会社から一方的に辞めさせられるのが、解雇の典型。
つまりは、クビ、ということで、これ以上働き続けられません。
解雇されれば就労できず、無収入になる点で不利益は甚大。
解雇に関する法律知識について、労働問題に強い弁護士が解説します。
【解雇の種類】
【不当解雇されたときの対応】
【解雇理由ごとの対処法】
【退職勧奨への対応】
【不当解雇の相談】
解雇の種類
解雇は、会社の一方的な意思による、労働契約の解約のこと。
この点で、自主退職(辞職)や合意退職とは区別されます。
解雇は大きく分けて、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇の3種類があります。
それぞれ、解雇の理由が異なります。
普通解雇は、社員の適性や、信頼関係の破壊といった理由による契約関係の解消。
懲戒解雇は労働者の企業秩序違反に対する制裁であり、懲戒処分のなかの一番厳しいものです。
これに対し、整理解雇は、業績不振など、会社側の理由です。
(その最たる例は、倒産による解雇です)
解雇の基礎知識は、次に詳しく解説します。
解雇の種類について、次に詳しく解説しています。
いずれの解雇も、労働者に不利益が大きく、厳しく制限されます。
つまり、正当な理由のない解雇は、不当解雇として違法、無効です。
なお、なかでも懲戒解雇は特に不利益が大きく、原則として争うべきもの。
懲戒解雇について、次に詳しくまとめています。
正社員の解雇だけでなく、契約社員の雇い止め、派遣社員の派遣切りも、深刻な労働問題。
期間の定めのない社員も、5年ルールにより、無期転換ができます。
非正規社員はいずれも、正社員ほどの保護はないものの、解雇には制限があります。
(なお、実質は労働者なら、個人事業主の解雇も違法になりえます)
非正規社員の解雇については、次の解説をご覧ください。
不当解雇されたときの対応
正当な理由のない解雇は、不当解雇だと解説しました。
不当解雇は違法なので、無効であり、撤回を求めることができます。
不当解雇を争いで、やるべきこと、やってはいけないことがあります。
いずれにせよ、不利な戦いとならぬよう戦略的に進めてください。
不当解雇を争う場合の手順
不当解雇され、会社と争うなら、次の手順で進めてください。
不当解雇そのものに、時効はありません。
しかし、異議を言うなら、問題が風化する前にせねばなりません。
証拠も、時間が過ぎるごとになくなっていきます。
解雇をいつまで訴えることができるのか、次の解説を参考にしてください。
解雇が無効になれば、労働者の地位を確認してもらえます。
わかりやすくいえば、社員に戻れるということ。
この場合、解雇が無効だったわけで、その期間中の給料(バックペイ)も請求できます。
解雇期間中の給料(バックペイ)の意味は、次に解説します。
解雇により退職する場合
解雇によって退職する場合も、解雇予告手当は請求できます。
解雇は、30日前に予告するか、不足する日数分の手当を要するからです。
そのため、即日解雇なら30日分の解雇予告手当が支払われます。
ただし、労働基準監督署の除外認定を受けると、例外的に手当は不要です。
解雇予告について、次に詳しく解説します。
解雇理由ごとの争い方
解雇は、客観的に合理的な理由が必要。
そして、不当解雇かどうかは、解雇理由によって異なるポイントがあります。
よく解雇理由に挙げられる事情ごとに解説します。
- 能力不足による解雇
労働者の能力が不足していることは、解雇の理由となる。
契約で約束した能力が足らず、改善の余地がないことを要する - ノルマ未達による解雇
客観的指標としてノルマを設け、未達でクビにする例もある。
ノルマが妥当なものでなければ不当解雇の可能性あり。 - 無断欠勤による解雇
無断欠勤をはじめ、勤怠の不良は解雇の理由となる。
遅刻を理由とする解雇のケースもありうる。 - 病気を理由とする解雇
私生活上の病気で働けなくなると、解雇の理由になる。
うつ病をはじめ精神疾患による解雇は、よくトラブルになりがち。 - 勤務態度を理由とする解雇
勤務態度の不良は、解雇の理由となりうるが、強度である必要あり。
仕事中の居眠り、職場でのスマホいじりなど。 - 横領による懲戒解雇
横領が事実ならば、懲戒解雇となって当然のこと。
ただ、横領が冤罪のケースもあるため、争うべき場合もある。 - ハラスメントによる解雇
ハラスメントの加害者になると、企業秩序に反するため解雇理由になりうる。
セクハラによる解雇、パワハラによる解雇などの例あり。 - 交通事故による解雇
交通事故を起こしたのが理由で解雇されることも。
ドライバーなど運転を仕事とする方は、安全面から退職を強要されるおそれ。 - 逮捕による解雇
逮捕されると、解雇されるケースがあるが、冤罪なら不当解雇の危険も。
痴漢による解雇など、信用低下を免れない場合、解雇で当然のケースもある。 - 内緒のバイトで解雇
会社に秘密の副業が発覚すると、解雇の理由となる。
特に、キャバクラ副業による解雇など、会社の信用低下につながるかが争点。 - 社内恋愛による解雇
社内恋愛禁止の会社で、禁止に違反して解雇されるケース。
悪影響の大きい社内不倫による解雇ならしかたないことも。
ただ、結婚退職制や妊娠を理由にした解雇は、古い伝統のなごりであり違法。
解雇をできるだけ回避することが、会社にとってリスクヘッジとなります。
可能な限りのプレッシャーで、自主退職させようとします。
そのため、労働者が争おうとすると「解雇ではない」と反論されることも。
なかには、解雇時点から、退職届を書かせようとしてくる企業もあります。
会社の反論への対応について、次に詳しく解説します。
退職勧奨への対応
会社が労働者に、退職するよう進める行為が退職勧奨。
退職勧奨は、解雇したい問題社員扱いの人に降りかかる危険といえます。
ブラック企業は、無理やり辞めさせようとします。
解雇して争われると、不当解雇となるリスクを理解しているからです。
しかし、強要は違法なパワハラであり、解雇と同義。
明確に断ってもなお続くのなら、違法な処分として争えます。
退職勧奨を1人で断るのが難しいとき、弁護士のサポートが有効です。
退職勧奨について、次に詳しく解説します。
退職勧奨と似た制度に、希望退職制度があります。
これは、人員削減の必要があるとき、まずは自主退職したい人を募る行為。
適切に運用されれば違法ではありません。
労働者は、希望退職に応募するか、メリット、デメリット踏まえ、慎重な検討を要します 。
希望退職制度について、次に詳しく解説します。
不当解雇の相談
不当解雇された方が弁護士に相談すべきは、メリットが大きいためです。
法律知識に基づき解決すれば、有利に交渉を進められます。
直接交渉するストレスを回避することもできます。
また、会社がどうしても不当解雇だと認めないとき、法的手続きを要します。
労働審判や訴訟で争うのも、弁護士のサポートが有効です。
解雇について争う際、弁護士に相談する方法は、次に解説します。
まとめ
今回は、解雇にまつわる法律知識をまとめて解説しました。
解雇は、労働者にとって突然に降り掛かってきます。
自分の意向に反して、収入を絶たれると、戦うのもつらい状況でしょう。
しかし、不当解雇は違法であり、泣き寝入りは禁物。
不当解雇を争うときは、解雇されたらすぐに弁護士へ相談ください。
【解雇の種類】
【不当解雇されたときの対応】
【解雇理由ごとの対処法】
【退職勧奨への対応】
【不当解雇の相談】