退職時とは、すべての労働関係の清算。
なので退職のタイミングで起こる労働トラブルの対立は激化しがちです。
退職時に断ち切らないと、ブラック企業の糧になり続けてしまいます。
退職の問題についての法律知識を、労働問題に強い弁護士が解説します。
【退職とは】
【退職時の注意点】
【退職できないとき】
【退職金について】
退職とは
退職は、労働契約を、労働者側の意思で解約すること。
自主退職ないし辞職ともいいます。
労働者には、退職の自由が保障されています。
労働者が望めば、退職をすること自体は自由です。
ただし、会社に退職の意思表示を伝えねばならず、退職届を出すのが通例です。
退職届の出し方に注意しないと、思わぬトラブルに見舞われてしまいます。
退職届に関する法律問題は、次の解説をご覧ください。
退職のしかたには、その労働者の置かれた状況に応じた注意点があります。
特に、雇用形態ごとの注意点は大切。
退職にどれほどの意味があるかは、雇用形態や社内の地位によって変わるからです。
例えば、次の類型ごとの解説を理解してください。
退職するときの注意点
退職するとき、注意しないと、会社の誤った対応で不利益を被ります。
会社にとって、もうすぐ退職してしまう社員の価値は低いのでしょう。
いじめや減給など、辞める直前で突然に処遇が悪化してしまうこともあります。
退職時の会社による不適切な対応について、次に解説します。
退職時のトラブルが長引くと、転職にも影響してしまいます。
将来にわたって被害を継続させないことも大切です。
退職時には、離職票など、今後のために必要な書類は必ず受け取ってください。
一方で、会社に迷惑をかけないよう、最低限のマナーも必要です。
転職後の行動によっては、被害を拡大するおそれも。
詳しくは、次の解説をご覧ください。
なお、労働者が望まない時期に、会社が働きかけを行うことによって退職を勧められる、いわゆる退職勧奨の場面も、労働問題が起きやすいタイミングだといえます。
退職勧奨を受けると、労働者としては希望しない時期、条件で辞めざるを得なくなることがあるからです。
後悔しないよう、退職勧奨にすぐ応じるのでなく、しっかりと条件交渉をすべきであり、弁護士に相談すべき重大な場面だといえます。
辞めたいのに退職できないときの対応
退職したいと願えば、必ず退職できるのが基本です。
「会社を辞められない」という悩みは、違法な状態に置かれているのを意味します。
労働者に、退職の自由が保障されるからです。
会社として、有益な人材ほど、残ってほしいと願うものです。
違法な手を使い、退職させないよう粘る会社も、残念ながら少なくありません。
会社の辞め方を知り、あきらめずに退職を伝え続けるのが大切。
労働者の意向で退職するための方法は、次に解説します。
ただし、会社が違法に引き止めを図っても、バックレは厳禁。
辞め方を誤ると、むしろ労働者にとって不利益があるからです。
辞める時点や、辞め方、会社へのダメージにより、損害賠償請求される危険があります。
裁判で認められるケースは少ないでしょうが、コストのかかる争いは回避すべきです。
バックレと、会社からの損害賠償請求について、次に詳しく解説します。
なお、悪質なブラック企業がどうしても退職を認めなかったり、会社を辞めようとすると嫌がらせをされたりするときには、弁護士に代わりに退職の意思を伝えてもらう、退職代行のサービスを活用することもできます。
★ 退職代行の労働問題まとめ
退職金について
退職金の法的性質は、功労への報いという意味があります。
また、退職金のための積立などがあれば、給料の後払いという性質もあります。
そのため、退職金規程に従い、退職金をもらう権利があります。
違法に未払いな状態が続くなら、退職金を請求する方法をご理解ください。
たとえ懲戒解雇でも、退職金の不支給は違法となるケースもあります。
役員もまた、退職慰労金を請求できる可能性があるため、注意を要します。
支払ってもらうべきお金を請求し、損しないようにしましょう。
特に、外資系は退職金のない会社も多く、外資系企業の退職金がしばしばトラブルになります。
退職金の請求については、次に詳しく解説しています。
まとめ
今回は、退職のタイミングでよく起こる法律問題を解説しました。
会社を辞めざるをえないにせよ、気持ちよく退社したいもの。
悪質なブラック企業ほど不利益を課そうとします。
労働者の思ったように辞められないこと自体が違法の疑いが強いです。
退職時にまで損を被らないよう、弁護士に相談ください。
【退職とは】
【退職時の注意点】
【退職できないとき】
【退職金について】