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退職届の正しい書き方と出し方!適切なタイミング、出す時期についても解説

労働者自らの意思で退職することを「自主退職」といいます。
このとき提出するのが「退職届」です。

退職届というと、「辞表」を社長にたたきつけるシーンが思い浮かぶかもしれません。
しかし、現実は、そんな乱暴な退職届の出し方だと問題しか生みません。
口頭のやりとりはむしろトラブルのもとだからこそ、退職届という書面に残し、証拠化するのです。

相談者

早くやめたいけど、退職届は出しづらい

相談者

退職届に、どう書いてよいかわからない

こんな労働者からの相談もあります。
退職を言い出すタイミングで、気弱な方ほど迷ってしまいがちです。
会社としてあなたに辞めてほしくないとき、不安につけこみ、プレッシャーをかけてきます。

しかし、退職を決意したなら、退職届は早く出すべきです。
このとき、退職届の書き方についてもよく理解してください。

今回は、退職届の出し方、書き方のポイントを、労働問題に強い弁護士が解説します。
あなたの将来のためにも、できるだけ円満退職を目指しましょう。

この解説のポイント
  • 退職届には、「確定的」な退職の意思表示を書く
  • 退職届は、退職を希望する日の2週間前までに出すようにする
  • 退職届を出したら、引き止めや保留、受取拒否などに負けず、退職の意思を貫き通す

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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退職届とは、円満退職のために重要な書類

退職届とは、労働者の退職する意思を、会社に伝えるための書面。
一般には、「辞表」と呼ぶこともあります。
つまり、退職届を出すことは、自主退職(辞職)の意思表示を意味しています。

労働者としても、できるだけ円満退職がご希望でしょう。

もう辞めると決めた会社でも、もめれば、今後の人生の支障となるおそれがあります。
ワンマン社長が、腹いせに、あなたの悪い噂を広めるかもしれません。

できるだけスマートに辞めるためにも、退職届はとても大切な書類です。

退職届の書き方、出し方をよく理解しないと、労働問題が起こりがちです。
退職時のもめごとが、将来に支障を及ぼした例には、次のケースがあります。

  • 退職届を出さなかったことで、迷っていると思われ、強い引き止めを受けた
  • 退職届を出さなかったため、退職日が先延ばしにされた
  • 退職届の書き方を間違え、退職前に有給休暇の消化ができなかった
  • 退職届を受け取ってもらえずに保留にされてしまった
  • 退職届による退職が認められず、再就職に支障をきたしてしまった

労働者には、自由に退職する権利があります。
一方で、人材不足の会社ほど、しつこく引き留めようとしてきます。
退職届を出すことによって、会社の引き止めを断ち切らなければ、会社を辞められません。

退職届できちんと対応すべきタイミングで「やめる会社にどう思われてもよい」などの投げやりは危険。
退職したいのに辞められず、長時間労働やパワハラなどにより心身を壊し、うつ病や適応障害になり、最悪は過労死してしまうといった不穏な将来になってしまわないよう、退職届によって危険を回避すべきです。

退職届を出さずにバックレるのはやめましょう。
最悪は、損害賠償を請求されるリスクがあります。

退職届の書き方【テンプレート付】

退職届の書き方に、法律上のルールはありません。
重要なのは、「退職する」という意思が、会社へ正確に伝わる内容とすること。
そのためにも、退職届の効果を正しく発揮するには、書くべき内容を知らなければなりません。

まず、退職届のテンプレートをご紹介します。

退職届

株式会社○○○○
代表取締役 XXXX 様

営業部第一課課長
XXXX

この度、一身上の都合により、勝手ながら20XX年XX月XX日をもって退職いたします。

以上

このテンプレートは、あくまで書式例のため、事情に応じて追記、修正してください。

退職届の書き方について、詳しく解説します。

書面の題名

まず、書面の題名は、「退職届」とします。

退職届とよく似た書面に、「退職願」があります。
退職届というと、会社の承諾がなくても一方的にやめるという意思を示し、退職願というと、会社の承諾を得て合意退職するという意思を示していると評価される可能性が高いです。

法律用語では、退職届は「自主退職(辞職)」、退職願は「合意退職の申し入れ」を意味します。
そのため、一方的に退職する強い意思があるなら、題名は必ず「退職届」とすべきです。

退職届と退職願の違いは、次に解説しています。

退職日

退職届には、必ず「退職日」を書きます。

退職日は、退職届の提出から2週間後以降なら、労働者が自由に決められます(民法627条1項)。
ちょうど2週間後の退職日でもよいですし、もっと後の日を指定してもOKです。

有給休暇の残日数を計算し、必ず退職日までに消化できるようにしておきましょう。

有給休暇は「休む権利」で、残しておいても必ず買い取ってもらえるとは限りません。
退職前の有給消化について、次に解説しています。

確定的な退職の意思表示

退職届には、確定的な退職の意思表示を記載します。

意思表示は、必ず「確定的」に書くようにしてください。
つまり、「退職します」と書くこと
です。

「退職したい」という希望と読めるような書き方は間違いです。
こんな書き方だと、会社が拒否したり、退職届を認めなかったりすると退職できないからです。

退職届の宛先

退職届の宛先は、社名と、代表者名(通常は、社長)を書くようにします。

退職届は、会社に届いてはじめて効果があります。
そのため、法的に会社を代表する権限のある人に出さなければなりません。

なお、会社から、人事部長など、宛先の指示があればそれに従います。
このときは、その指示された窓口に、退職届を受領する権限が委譲されていると考えられるからです。

退職届の日付

退職届には、必ず日付を記載します。
このとき、作成日ではなく、提出日を書くようにしてください。

退職届に書いた日時は、退職日を決めるときに効果を発揮するからです。
つまり、退職届は、会社の意思にかかわらず「提出から2週間後」の日以降に、退職する効果を生じます。

署名・押印

最後に、退職届には、誰の意思表示かわかるよう、自分の名前を署名し、押印します。

あわせて、部署名、役職名などを併記するのが一般的です。

退職届の書き方について、ちょっとした疑問は、まずは弁護士の無料相談を活用しましょう。

退職届を出すタイミングと、適切な時期について

退職届を出すのに適切な時期は、「退職を決意したら、できるだけ早く」が正解です。

というのも、次に解説のとおり、退職届を出しても、即日やめられるわけではないからです。
会社が合意してくれれば、即日やめることもできますが、実際には、業務の引き継ぎがあったり、どうしても片付けていかなければならない仕事があったりという例が多いもの。

責任感の強い人ほど、すぐには退職できません。
また、円満退職したいなら、退職届を出すタイミングにも配慮しましょう。

もちろん、退職を、あなたの意思に反して遅らせる必要はまったくありません。
しかし、業務が多忙なときや、大きなトラブルが起こってしまったタイミングなど、会社にとって明らかに被害の大きい時期に退職届を出すと、感情的な反発が起こりやすくなってしまいます。

一度出した退職届を撤回したいとき、次の解説をご覧ください。

退職届は、いつまでに出すべきか

「退職届はいつまでに出せばよいですか?」という法律相談を受けることがあります。

退職届は、できれば、退職直前に出したいからでしょう。
あまりに退職届を出す時期が早いと、提出後しばらく在職せねばならず気まずくなります。

しかし、退職届を出す時期については、民法のルールがあります。

期間の定めのない雇用契約の場合

期間の定めのない雇用契約とは、正社員がその典型例。
このとき民法は、退職の意思表示をしてから2週間が経過したら、退職できると定めています。

民法627条1項

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法(e-Gov法令検索)

したがって、いつ辞めたいかを決め、その2週間前までには退職届を出さなければなりません。

なお、2020年3月31日までは、期間の前半にした退職の意思表示はその期間の末、期間の後半にした退職の意思表示は次の期間の末に効果を発揮するというルールになっていましたが、2020年4月1日に施行された民法改正以降は、このルールは会社側からの解約に限定して適用されます。

6ヶ月以上の期間によって報酬を定めた場合

例外的に、6ヶ月以上の期間によって報酬を定めたときは、3ヶ月前までに退職届を出す必要があります。

民法627条3項

6ヶ月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、3ヶ月前にしなければならない。

民法(e-Gov法令検索)

期間の定めのある雇用契約の場合

期間の定めのある雇用契約とは、契約社員、アルバイトやパートによくある契約形態のこと。
このとき民法は、期間内の解約は「やむを得ない事由」を要すると定めています。

民法628条

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

民法(e-Gov法令検索)

そのため、退職届は「いつまでに出さなければならない」と一義的には決まりません。
むしろ、業務に支障のあるタイミングで出すと、「やむを得ない事由」があると認められないおそれがあるため、退職日を決めたらできるだけ早く退職届を出し、会社と相談するよう配慮しなければなりません。

契約期間の満了時に退職したいなら、更新の合意をするまでに退職届を出しておけば足ります。

違法な雇止めのトラブルについて、次の解説を参考にしてください。

退職届の出し方

退職届を完成させたら、次に、退職届の出し方についても理解しておきましょう。

会社に事前相談しておく

まず、事前に会社における退職手続きを調べておきましょう。
退職に必要な手続きがあるとき、それが法的に問題ないものなら、ルールに従うほうが無難です。

次に、事前に直属の上司などに退職の意思を伝えるなど根回しをします。
突然に退職届の提出からスタートするより、トラブルにならず円満に退職できるからです。
事前準備をきちんとしておくのが、会社に認めてもらって気持ちよく退職するコツです。

便箋に手書きし、封筒に入れ、手渡しする

社会人マナーとして、退職届を裸で渡すのは失礼だととらえる人もいます。
そうでなくても、できるだけ堅苦しく伝わるほうが、退職を認めてもらいやすいもの。

退職届は、便箋に縦書き、かつ、手書きで作り、封筒に入れて封をするようにします。

そして、誠実な態度で、可能であれば手渡しするようにしましょう。

退職届の受取を拒否されたら、内容証明で送りつける

退職届の受取を、拒否されてしまうことがあります。
会社があなたに辞めてほしくないと考え、退職しようとするのをあきらめてほしいから。

こんなケースでは、退職したいという気持ちを強く持たなければなりません。
受取を拒否されたくらいであきらめていては、会社の思うツボ。

退職届を手渡ししようとしても受け取ってもらえないなら、内容証明で会社に送りつけます。
内容証明を使うことで「退職届を出した」という事実、受領日を、証拠として残しておけます。

退職時は、法律関係の清算タイミングなので、労働問題が特に起こりやすいもの。

大事にならずに辞めるため、退職届を出す前に、弁護士にご相談ください。

退職届を出すときの注意点

最後に、退職届を出すときに、法律上注意したいポイントを解説します。

不当な退職の引止めにあった時の対応

労働者には、「退職の自由」があります。
そのため、退職届を出せば「会社をやめられない」ということはなく、必ず退職できます。

労働者が拒絶しているのに、退職の引き止めをしつこく続けるのは違法です。
不当な退職の引き止めにあっても、従う必要はありません。

会社を辞めたいのに辞められないときの対応は、次に解説します。

法律より不利な退職予告を定める会社における対応

退職届の提出時期についての民法のルールで、2週間前に出せば退職できると解説しました。
しかし、このルールは労働基準法のような強行法規ではありません。
そのため、民法のルールよりも不利な定めをしている会社があります。

法律より不利な退職予告を定める会社も、それだけで違法ではありません。
就業規則などに「退職は、1ヶ月前に申し出ること」といったケース。

ただし、会社のルールがあまりに労働者に不利だと、労働者の「退職の自由」を侵害し、違法です。
労働者に一方的に不利なルールは、公序良俗(民法90条)に反して無効です。

就業規則と雇用契約書の定めが違うとき、次の解説を参考にしてください。

退職届を保留されたケースの対応

なかなか退職できない例のなかには、「退職届を保留されてしまった」というケースもあります。
上司に出したが、「預かっておく」、「しばらく考えてほしい」といわれる例です。

退職届を出したら、保留にするのは本来不適切。
しかし、受領する権限のある人にたどりつかなければ、退職届は効力を生じません。

例えば直属の上司の段階で保留されてしまったとき、そのまま放置しておくのではなく、社長などの上位者に届くように、郵送などの方法によって退職届を出し直さなければなりません。

退職届を提出後も、給料はもらえる

退職届を出した後も、給料をもらうことができます。
退職日までは労働者としての地位がありますから、当然の権利です。
もちろん、有給休暇を使うこともできるし、在籍中なら賞与(ボーナス)ももらえます。

なお、退職を円満に済ませるためにも、給料をもらう分だけ、業務の引き継ぎはきちんとしましょう。
常日頃から業務内容をまとめ、企業秘密の持ち出しをしないなど、トラブル回避に努めてください。

離職票の交付をはじめとした退職手続きには、会社の協力が必要なものもあります。
退職時にもめず、労働問題を起こさないに越したことはありません。

退職届を出した後のハラスメントの問題は、次に解説しています。

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、退職届の書き方、出し方について解説しました。
退職届について、法律に決められたルールはないため、ある程度は、ビジネスマナーに任されます。

ただし、退職届を出すタイミングについては、民法のルールがあります。
原則として、期間の定めのない正社員だと2週間前に出さなければならないのが基本となります。
希望する退職日に間違いなく辞めるためにも、この点に配慮し、できるだけ早く退職届を出すのがよいでしょう。

退職にともなう労働問題が予想されるなら、退職届を出す前に弁護士のアドバイスをお聞きください。

この解説のポイント
  • 退職届には、「確定的」な退職の意思表示を書く
  • 退職届は、退職を希望する日の2週間前までに出すようにする
  • 退職届を出したら、引き止めや保留、受取拒否などに負けず、退職の意思を貫き通す

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