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就業規則と雇用契約書の内容が違うとき、どちらが優先?

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労働者(従業員)と、使用者(会社)との間で、最重要となる書類が、「雇用契約書」「就業規則」の2つです。

雇用契約書も就業規則も、労働者と会社が、雇用関係を締結するときに、おたがいに守らなければいけないルールを定めている非常に重要なものです。

しかし、雇用契約書と就業規則の内容が、全く異なるという場合があります。就業規則と雇用契約書の内容が矛盾する場合には、どちらのルールにしたがえばよいのか、困ってしまいます。

また、労働者の正当な権利に関する内容が違う場合には、どっちの内容にしたがって労働者(あなた)が権利行使をしてよいのか迷ってしまいます。

 例 

例えば、賃金の計算方法、労働時間、休日など、労働者が、権利として会社に対して請求することのできる内容について、就業規則と雇用契約書の内容が違う場合を考えてみてください。

会社がブラック企業であると、より会社に有利な方法を武器にして、労働者に無理強いしてくるかもしれません。このように、就業規則と雇用契約書の内容が違うケースで、労働者(あなた)により有利なルールを使って戦うことができるのか?というのが、今回の問題です。

では、雇用契約書と就業規則について、労働法、裁判例のルールを、弁護士が順番に解説していきます。

1. 雇用契約書、就業規則の違い

雇用契約書も、就業規則も、労働者(従業員)と使用者(会社)との間の雇用契約の内容となる、という意味では、役割はおなじです。

つまり、労働者と会社との間では、「何時から何時まではたらきます。」「はたらいてくれた時間に対して、何円の給料を払います。」という約束があります。これが雇用契約です。

雇用契約で、労働者、会社のそれぞれが何を守ればよいのか、ということを定めているのが、雇用契約書と、就業規則です。

雇用契約書と就業規則には、次のような違いがあります。雇用契約書と就業規則の内容が違うときの対応方法を知るにあたって、まずは2つの違いをしっておいてください。

1.1. 役割の違い

就業規則は、会社全体のルールです。そのため、複数の労働者(従業員)に対して、統一的に適用したいルールがある場合に、会社は、就業規則にそのルールを記載します。

これに対して、雇用契約書は、ある労働者(従業員)と会社とが、個別に結ぶものです。ある労働者にだけ適用したいルールがある場合には、雇用契約書に記載します。

 ポイント 
  • 雇用契約書
    :労働者(あなた)と会社との間の、個別的なルール
  • 就業規則
    :複数の労働者と会社との間の、統一的(画一的)なルール

雇用契約書、就業規則の役割が、それぞれ異なることを理解していただいた上で、次に、就業規則と雇用契約の内容が異なる場合の、労働者の対応方法について、弁護士が解説していきます。

1.2. 定められている内容の違い

就業規則、雇用契約書は、いずれも雇用契約の内容を定めるものです。

したがって、先に解説した「役割」をしっておいていただければ、どちらに何を定めても自由な場合も多いといえます。

ただし、就業規則、雇用契約ともに、労働基準法で、それぞれ絶対に定めておかなければならない事項が決まっています。

就業規則の絶対的記載事項
  • 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
  • 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
書面で明示しなければならない労働条件
  • 労働契約の期間
  • 就業の場所及び従事すべき業務
  • 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換
  • 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金、賞与等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締め切り及び支払の時期並びに昇給
  • 退職(解雇の事由を含む)

2. 雇用契約書と就業規則が異なるとき

雇用契約書、就業規則を見比べたときに、その内容があきらかに異なっているとき、どちらのルールにしたがえばよいのでしょうか。あるいは、どちらの内容にしたがって労働者が権利行使をすることができるのでしょうか。

ここが、雇用契約書と就業規則の内容が異なるときの、一番のポイントとなります。

2.1. より労働者側に有利なルールにしたがえばよい

「雇用契約書と就業規則の優先順位」に関する問題について、結論は「より労働者に有利な方にしたがう。」とされています。

つまり、労働者は、就業規則と雇用契約書が異なるときには、自分に有利な方の主張をすることができ、会社は、より不利な方しか主張することができないということです。

就業規則の方が雇用契約書より有利であれば就業規則のルール、雇用契約書の方が就業規則より有利であれば雇用契約書のルールが、雇用契約の内容となります。

 注意! 

「就業規則の方が優先である。」という解説をたまに見ます。しかし、これは厳密には正しくありません。

おそらく、そのような解説は、次に解説するとおり、「就業規則の方が雇用契約書よりも有利なときに、就業規則を優先させることができる。」ことをとらえて、「就業規則が優先である。」というのでしょう。

ただ、雇用契約書の方が就業規則よりも労働者にとって有利である場合には、雇用契約書にしたがった権利の請求をすることができます。したがって、「有利なルールにしたがえばよい。」というのが正解です。

2.2. 就業規則の方が雇用契約書より有利なとき

「より有利なルールにしたがえばよい。」という結論について、雇用契約書は、労働者(従業員)と会社が個別に締結しているものですから、これにしたがっていただくことは非常にわかりやすいかと思います。

これに対して、就業規則の方が雇用契約書よりも有利な場合には、就業規則の内容を雇用契約の内容とするための、法律上の特別なルールがさだめられています。

就業規則の特別な効力をさだめる、労働契約法の条文を見てみましょう。

労働契約法12条

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となつた部分は、就業規則で定める基準による

労働契約法12条の条文のとおり、就業規則の方が、雇用契約書の内容よりも労働者に有利な場合には、その雇用契約書の内容は「無効」となり、その部分についてはより有利な就業規則のルールにしたがうということです。

法律の専門用語で、「強行的直律的効力」などといいます。つまり、就業規則が、雇用契約のルールを「直接」「律する(さだめる)」効力ということです。

この場合、雇用契約書で、どのような内容を約束していたとしても、就業規則より下回る労働条件であるとして無効になります。

 注意! 

会社に、より有利な就業規則が作成されていることがわかれば、労働者(あなた)がどのような雇用契約書を締結していたとしても、就業規則に応じた正当な権利を主張することができます。

ただ、「その就業規則が自分に適用されるのか?」という点は注意しておかなければなりません。会社に複数の就業規則が存在する場合があり、どの就業規則がどの労働者に適用されるかは、就業規則の内容を慎重に☒しましょう。

たとえば、アルバイト、契約社員、正社員など、雇用形態によって就業規則をわけている場合、「アルバイトには休職がない。」など、ある労働者にだけ、より保障のすくない就業規則が適用されるとする会社も少なくありません。

なお、雇用契約書のうち、「就業規則よりも不利な部分」が無効となるのであって、雇用契約書のすべてが無効となるわけではありません。

雇用契約書と就業規則は、その内容が異ならない範囲(矛盾しない範囲)では、おたがいに補完し合っているのです。

2.3. 優先順位を会社が勝手に決めることはできない

以上をまとめると、雇用契約書と就業規則の内容が違うときには、「より有利な方を見ればよい。」、そして、「就業規則の方が有利な場合、これに反する雇用契約書の部分は無効となる。」ということになります。

この優先順位は、さきほど解説したように、「労働契約法」という法律に決まっているもので、会社が勝手にいじれるものではありません。

したがって、ブラック企業の次のような言い分は、いずれも、労働審判や裁判であらそえば、認められません。

 例 
  • ×「会社のルールはすべて就業規則に書いてあるので、個別に契約した内容は関係ない。」
  • ×「就業規則より不利な契約を特別にしたのだから、契約にしたがうべきである。」
  • ×「就業規則を守るという誓約書にサインをしたのだから、個別の契約は有利であっても関係ない。」

3. 雇用契約書がないときは?

「就業規則はあるが、雇用契約書はない!」という労働者の方へ向けた解説です。

「雇用契約書と就業規則の内容が違うとき」というのが今回のテーマですが、就業規則はあっても雇用契約書はない、という労働者の方も少なくありません。

労働基準法では、少なくとも、重要な労働条件について、入社時に書面で労働者に対して伝えられていなければ違法となります。

そのため、労働条件通知書、雇用契約書のいずれもない場合には、違法である可能性が高いといえます。しかし、実際には雇用契約書が存在していない会社も多くあります。

では、「雇用契約書がなく就業規則しかないときは、就業規則にしたがうしかないの?」というと、かならずしもこれも正しくありません。

「雇用契約書がなく、就業規則だけがある。」というケースで、労働者がどのように権利を主張していけばよいのかについて、弁護士が解説します。

3.1. 就業規則を超える約束が証明できるとき

雇用契約書がなくても、つまり、書面の証拠がなくても、雇用契約(労働契約)は成立します。

そして、労働者(従業員)と使用者(会社)との間で、就業規則よりも有利な約束がされていれば、その約束が優先することとなります。ただ、雇用契約書がないので、その「有利な約束」を証明できないだけです。

したがって、次のような方法で、「就業規則より有利な約束」を証明することをこころみます。

 例 
  • 就職説明会の資料
  • 求人票
  • 労働条件通知書
  • 採用面接の際に渡された資料
  • 社長の口約束の録音
  • 人事担当者とのメール、LINE

これらの証拠により、就業規則よりも有利な労働契約の内容が証明できれば、雇用契約書がなかったとしても、その内容が就業規則より優先します。

3.2. 口頭の約束より就業規則が有利なとき

「より有利な約束が証明できれば、雇用契約書がなくてもそれにしたがうことができる。」と解説しました。

これに対して、口頭の約束が証明できたとしても就業規則が有利な場合には、やはり就業規則の内容にしたがうこととなります。

ただし、就業規則が労働契約の内容となるためには、2つの要件があり、この要件を満たさない就業規則は、有効な就業規則とは考えられていません。

  • 就業規則にさだめられた労働条件が、合理的なものであること
  • 就業規則が、労働者に対して周知されていること

就業規則の有効要件は、次のように、労働契約法という法律で定められています。

労働契約法7条

労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。
ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

4. 就業規則がないときは?

「雇用契約書はあるが、就業規則はない!」という労働者の方へ向けた解説です。

「雇用契約書と就業規則の内容が違うとき」というのが今回の解説ですが、雇用契約書はあっても就業規則はない、という労働者の方も少なくありません。

労働基準法において、次のように、一定の場合(「常時十人以上の労働者を使用する」場合)には、就業規則をつくらなければいけないことになっています。

労働基準法89条(作成及び届出義務

常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一  始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二  賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三  退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二  退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四  臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五  労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六  安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
七  職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八  災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
九  表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十  前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

そのため、常時10人以上の社員がいるのに就業規則がない、という場合、労働基準法違反の疑いが強いといえます。

この場合、まずは就業規則を作成するよう、使用者(会社)に求めることが必要です。

これに対して、10人に満たない社員しかいない場合には、就業規則をつくる必要がありませんので、雇用契約書に定められたルールにしたがって労働者の権利を請求すればよいこととなります。

 注意! 

雇用契約書について、一般的に出回っている雛形(厚生労働省がつくっているものなど)を使っている場合、労働条件の重要な部分について「就業規則○条による。」とさだめられていることが多くあります。

就業規則を作成していない会社が、労働法に関する知識なく、あまりよく読まずに雛形を流用している場合、労働条件の重要な部分について、「どこにも定めがない。」という場合がありますので、注意が必要です。

5. 雇用契約書、就業規則のどちらもないときは?

雇用契約書も就業規則も、どちらも存在しない場合には、会社が労働基準法に違反していることはあきらかです。

ただ、実際には、ブラック企業の中には、雇用契約書、就業規則いずれも存在せず、なんとなく口頭の約束にしたがって働いていたというケースも少なくありません。

このような場合に怖いのは、会社が、ある日突然、口頭で約束していたはずの労働条件に違反し、労働者(従業員)に一方的に不利な内容に変えてきたというときです。

雇用契約書、就業規則のどちらもないことは、悪質な労働法違反ではあるものの、会社の不当な処置に対して、対抗するための証拠がなくなってしまいます。

そのため、雇用契約書、就業規則のどちらもない場合には、雇用契約(労働契約)の内容を明らかにするため、前章で解説したような証拠をかならず確保するように準備しておいてください。

なお、次で解説するとおり、会社が労働契約の内容を示す書類をなにも用意してくれなかった場合であっても、労働基準法を下回る労働条件とすることは絶対にできません。

6. 何よりも労働基準法が優先!

ここまで、雇用契約書と就業規則の優先順位について、労働問題を得意とする弁護士の立場で解説をしてきました。

しかし、使用者(会社)が決して違反してはならないのが、労働基準法です。

労働基準法を下回るような労働条件は、雇用契約書、就業規則のどちらに記載されていたとしても、違法であり、無効です。

これは、労働基準法が、労働者を保護するためにつくられたものであって、「強行法規」という性質をもっているからです。

「強行法規」とは、当事者間(つまり労働者と会社)で、どのような約束をしたとしても、法律違反が認められないという性質n法律をいいます。

そのため、労働基準法を下回る約束を、雇用契約書や就業規則に記載していたとしても、労働者(従業員)は、労働基準法にしたがって、労働者の正当な権利を主張することができます。

7. まとめ

労働者(従業員)が、会社に入社するとき、気になる労働条件を確認するために必要となるものは、「就業規則」と「雇用契約書」が特に重要です。

2つの重要な書類を見比べた結果、あきらかに両方の内容がことなるという場合、どちらにしたがったらよいかについて解説しました。

特に、労働者(従業員)が、会社との約束にしたがって、賃金(給料)、休日、賞与、退職金などを請求したいという場合、労働者の権利をどのように定めているかが重要になってきます。

就業規則と雇用契約書で、労働者の権利の内容が異なる場合、基本的には、より有利な方にしたがって考えていけばよいといえます。労働者の保護、という考え方です。

労働問題、労働トラブルにお悩みの労働者の方は、労働問題に強い弁護士へ、お気軽に法律相談ください。

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