急増する退職代行には様々なサービスが登場しています。選択肢が多いのは嬉しいものの、結局どのサービスが良いのか、迷うこともあるでしょう。
弁護士による退職代行と、その他の(弁護士の担当しない)退職代行(いわゆる「退職代行業者」)とでは、サービス内容が異なり、その分かかる費用に差があることが多いです。費用の相場やメリット・デメリットを見比べ、どちらを選ぶか慎重に検討する必要があります。
弁護士の退職代行サービスは、確かな交渉力に裏打ちされ、裁判にも対応できる強みがあります。一方で「退職代行の弁護士費用は高いのでは?」という不安もよく聞きます。交渉が生じるなら弁護士に依頼すべきだと気付いていても、費用がネックとなって相談をためらう方もいます。
今回は、退職代行を弁護士に相談すべきケースと、弁護士費用の相場について労働問題に強い弁護士が解説します。
弁護士による退職代行の特徴
まず、弁護士による退職代行の特徴について解説します。
退職代行は、運営主体によって大きく3つに分けられます。つまり、弁護士、労働組合、一般企業のそれぞれの退職代行サービスです。なかでも弁護士による退職代行と、その他の(弁護士の担当しない)退職代行(いわゆる「退職代行業者」)には大きな差があります。
退職代行を弁護士に相談すべきケース
退職代行は、退職の意思を代わりに伝えてもらうサービスです。
もともとは労働問題を扱う弁護士業務の一環として行われていましたが、昨今特に「辞めたいのに辞められない」という人が増加し、ブラック企業による執拗な引き留めが問題視されるようになりました。これらの社会課題を解決するために生まれたサービスが「退職代行」です。
弁護士以外の退職代行サービスは、これまで弁護士が担当していた幅広い退職時のトラブル解決の一部を切り出し、安価な費用で対応するものが多いです。ただし、これらのサービスには対応できない部分もあるので注意が必要です(詳細は「退職代行を弁護士に依頼するデメリット」)。
なお、サイトに「弁護士」と記載されていても、必ずしも弁護士が直接対応するとは限りません。「弁護士監修」や「弁護士の指導を受けている」といった宣伝広告の場合、運営元が弁護士でないこともあります。弁護士が直接担当しなければ、退職代行を弁護士に依頼するメリットを享受できない点に注意が必要です。
弁護士による退職代行と他のサービスの違い
前章で解説したような経緯からして、弁護士による退職代行と他のサービスには大きな違いがあります。サービスは多様ですが、その内容を事前に確認しておくことが大切です。
サービス内容 | 弁護士 | 労働組合 | 企業 |
---|---|---|---|
退職の意思を伝える | |||
退職届を代わりに提出する | |||
弁護士名義の内容証明で退職届を出す | |||
窓口となり直接連絡させない | 交渉は不可 | ||
退職日の調整 | 意思表示のみ | ||
離職票の請求 | 意思表示のみ | ||
有給消化を伝える | 意思表示のみ | ||
退職金の請求 | 意思表示のみ | ||
未払い給料、残業代の請求 | 意思表示のみ | ||
ハラスメント慰謝料の請求 | 意思表示のみ | ||
辞められないとき強く交渉する | |||
会社からの損害賠償請求の訴訟対応 |
まず、弁護士は法律の専門家です。労働問題を扱う弁護士なら、労働者の権利を守る法律と裁判例の知識、経験を豊富に有し、退職代行はもちろん、その他の法律トラブルにも総合的に対処できます。これに対して弁護士ではない退職代行業者は、法的なトラブルに対処する権限はありません。その分だけ弁護士に依頼するより安価な傾向にあります。
弁護士は国家資格であり、高い信頼性と専門性を保証されていますが、退職代行業者のサービスの質や信頼性は、業者によって大きく異なります。信頼できる業者を選択しなければ、退職代行を依頼したことがかえってトラブルを招くおそれもあります。
「退職代行のトラブル」の解説
非弁行為は弁護士法違反となる
弁護士による退職代行と他のサービスの違いのなかで、特に重要なのが、法的な交渉や裁判に発展したときに対応することができるかどうか、という点です。というのも、弁護士でない者が、報酬を得る目的で法律事務を行うことは「非弁行為」として禁止されているからです(弁護士法72条)。
法律相談をしたり、法律文書を作成したり、代理人として交渉を行ったりする行為は、法律の専門知識と資格を持つ弁護士のみに許されている業務です。したがって、弁護士ではない退職代行業者がこれらのサービスを提供する場合は違法であり、そのようなサービスは悪質で、信頼できないものである可能性が高いです。
退職代行にかかる弁護士費用はいくら?
退職代行を弁護士に任せるにあたって気になるのが弁護士費用です。弁護士は、専門的な知識を有し、交渉力があるため解決力が強い一方で、費用面が唯一のデメリットとなります。
しかし、弁護士費用は、理由なく高いわけではありません。退職代行の弁護士費用の考え方を知り、相場に合った適切なサービスを選ぶようにしてください。
退職代行の弁護士費用の相場
退職代行の費用について一律の相場を示すのは難しい面があります。というのも「退職代行」と一口でいっても、そのサービス内容や取扱い範囲は様々だからです。広告に掲載された料金だけで比較するのではなく、退職の意思を伝えるのみで終了する際の費用なのか、その後の交渉を一括で任せられる費用なのかを事前に確認しておきましょう。
参考までに、サービス内容ごとのおおよその費用感をご紹介しておきます。
サービス内容 | 弁護士 | 退職代行業者 |
---|---|---|
退職の意思を伝えるのみ | 2万円〜3万円 | 1万円〜3万円 |
退職に関する交渉を含む (退職日、有給消化、損害賠償請求への対応など) | 3万円〜8万円 | 2万円〜6万円 |
退職時の金銭交渉も含む (残業代請求、退職金請求など) | 5万円〜10万円 | 対応不可 |
退職代行を選ぶ際に、費用は重要な要素の一つです。しかし、相場だけで判断しないことが大切です。「安さ」に釣られて、本来目指すべき退職の形から遠ざかる結果は避けなければなりません。
まず、自分の目指す目標を明確にしましょう。そして、その目標を達成するためのサービス内容や運営主体について考慮します。特に、弁護士による退職代行を依頼すべきか、その他の退職代行サービスでも足りるのかを検討するのが重要です。
次に、提供されるサービス内容が費用に見合ったものであるかを確認してください。これらの手順に従って検討することで、誤った選択を避けることができます。
「労働問題の弁護士費用」の解説
弁護士による退職代行の料金体系
次に、弁護士による退職代行の料金体系について説明します。
退職代行にかかる弁護士費用は、初回相談料、着手金、報酬金、その他の費用から構成されます。費用は弁護士や案件の内容によっても異なるので、事前に複数の法律事務所を回って相談し、見積もりを確認するのがよいでしょう。退職代行の分野では、固定の手数料制とし、退職が成功しなければ返金を保証する「成功報酬制」を採用する例が多いです。
弁護士費用は高額になることもあるので、費用やサービス範囲をしっかりと説明をしてくれる誠実な弁護士を選ぶようにしてください。
初回相談料
弁護士に最初に相談する際にかかる費用であり、弁護士が相談者の状況を把握し、アドバイスを提供する際に発生します。30分5,500円〜1時間11,000円が目安ですが、退職代行の分野では、初回の相談を無料としている弁護士もいます。
着手金
着手金は、弁護士に正式に依頼する際に支払う費用で、業務を開始するための前払い金のことです。ケースバイケースですが、退職代行の着手金の額は、55,000円〜110,000円程度が多いです。
報酬金
報酬金は、弁護士が依頼者の希望する実現した際に発生する報酬です。経済的利益が得られた場合にはその10%〜20%程度と定めますが、退職代行に成功しただけであれば経済的な利益はなく、報酬金は生じないケースが多いでしょう。
その他の費用
その他の費用として、実費や日当が発生することがあります。退職代行の場合には、通知書などを内容証明で送付する場合にはその費用がかかります。メールや電話で伝えるのみのサービス内容であれば、実費は生じないのが通常です。
「労働問題を弁護士に無料相談する方法」の解説
退職代行を弁護士に依頼するメリット
次に、弁護士による退職代行のメリットを解説します。
そもそも退職代行のサービスは、会社と直接やり取りせずに辞められるという点で大きなメリットがありますが、ここでは特に、弁護士が対応することによって、退職代行業者にはない特別なメリットがあることを中心に解説していきます。法的トラブルが予想される場合や、確実で安心な退職手続きを希望する場合には、弁護士による退職代行が最適です。
専門的な法律知識に基づくサポートを受けられる
弁護士は、労働法に関する知識と豊富な経験を持っています。そのため、退職時に起こる法的な問題やトラブルにも、適切に対処できます。また、退職時に生じる可能性のある未払い賃金や残業代についても、法律に基づいて正しく判断できるでしょう。
法律に従って有給休暇を計算し、残日数があれば必ず取得してから辞めるよう退職日を調整するようにします。労働者からの請求がある場合や、会社が退職を拒否して脅してきた場合に、弁護士なら、裁判手続きを活用してトラブルを解決できます。
「労働問題の種類と解決策」の解説
高い信頼性と安心感がある
弁護士資格を有する人が対応する退職代行サービスなら、高い信頼性と安心感が得られます。弁護士は、会社とのやり取りの窓口になるだけでなく、交渉全般について代理人として行動することができます。前章の通り、交渉が激化した場合に、本人に代わって行動できるのは弁護士のみです。労使の立場に大きな差があるケースほど、弁護士に依頼すべきです。
弁護士は、法律知識の専門家であると共に、交渉のプロでもあります。退職代行を機に会社が過剰反応してトラブルに発展するなど、特殊なケースでも弁護士ならしっかりと対応して紛争を抑止できます。
「残業代請求に強い弁護士への無料相談」の解説
個別の事情に応じて柔軟に対応できる
弁護士は、依頼者の個別の事情や希望をヒアリングし、最適な戦略を提案できます。
退職代行業者だと、「本人に代わって電話・メールで通知するのみ」といった定型的なサービスであることも多いですが、弁護士なら、通知はもちろん、交渉や労働審判、訴訟などの複数の解決手段のなかから、適したものを選ぶことができます。このことは特に、会社が難色を示し、一筋縄ではいかない退職のケースで有効です。
万が一、会社から訴訟を起こされるなどしても、裁判対応も同じ弁護士が行ってくれます。
精神的な支えになる
弁護士に退職代行を任せることで、依頼者は精神的なストレスから解放されます。
今後のやり取りについて会社との窓口を弁護士に任せられるため、社長や上司などと接触せずに退職手続きを進められるからです。会社との直接のやり取りを避けることで、退職に伴うストレスを大幅に軽減できるので、業務が原因でうつ病や適応障害といった精神疾患にかかって辞めざるを得なくなった事案で有効です。
「退職したらやることの順番」の解説
アフターフォローが充実している
退職代行を使わざるを得ないような勤務先は、相当深刻な労働問題を抱えた職場だといえます。そのため、退職代行によって辞める意思を伝えても、円満に進まない場面もあります。
弁護士による退職代行なら、単に意思を伝えるだけでなく、その後のアフターフォローも充実しています。窓口となって退職手続きを遂行するのはもちろん、退職後の未払い賃金や残業代の請求、会社から損害賠償請求されたときの対応から、転職時の法律問題までアドバイスできます。雇用保険に詳しい弁護士なら、失業保険を有利に進める方法についても情報提供できます。
退職代行がきっかけで縁をもった弁護士との関係が、退職後も続くことは多く、今後の人生における悩みや疑問についても、法律面からサポートを受けられます。
「裁判で勝つ方法」の解説
退職代行を弁護士に依頼するデメリット
退職代行を弁護士に依頼するのにはデメリットやリスクもあります。
ただし、デメリットはあらかじめ理解しておくことによって減らすことができます。どのような難点があるかを十分に理解し、自分の状況に合わせて適切なサービスを慎重に選ぶのが大切です。
費用が高額になる可能性がある
弁護士に退職代行を依頼すると、退職代行業者に比べて費用が高額になることがあります。その分だけ丁寧で安心感のあるサービスを受けられますが、「意思表示を代わりに伝えるだけで足りる」といった場面ではどうしても割高となる傾向があります。
問題のある法律事務所だと、料金体系を明確に説明せず、追加費用が生じるなど、最終的にいくらかかるか分かりづらいこともあります。このような弁護士への依頼は避けるべきです。
なお、未払いの給与や残業代、退職金を獲得できれば、費用負は軽減されます。つまり、費用対効果の高いケースなら、費用面は弁護士に依頼するデメリットにはなりません。
「給料未払いの相談先」の解説
手続きに時間がかかる
弁護士による退職代行は、退職代行業者に比べると準備や手続きに時間がかかることがあります。それだけ重大で深刻な問題に対処する必要のあるケースに活用すべきです。裁判手続きに発展するようなケースは、解決までに相当な時間がかかってしまうでしょう。
退職代行はスピードが非常に重要なため、弁護士に依頼する場合にも、問い合わせに迅速に対応してくれる事務所に任せるべきです。労働問題に精通した弁護士のなかには、平日だけでなく夜間や休日の相談対応をしているところも少なくありません。
弁護士選びが難しい
労働問題に詳しくなかったり、退職代行の経験が少なかったりする弁護士もいます。そのため、弁護士に退職代行を依頼しようとするとき、適切な弁護士を見極める必要があります。
退職代行をはじめ、弁護士の扱うサービスはいずれも必ず成功する保証があるわけではありません。退職代行も失敗例があります。そして、弁護士に依頼する退職代行は、ケースバイケースで、オーダーメイドで対応すべき重大な場面が多いため、弁護士の手腕が、結果に大きく影響します。
信頼できる弁護士を選ばなければ、弁護士に退職代行を依頼したことがかえって逆効果になりかねません。退職代行を任せるにあたっては、退職代行を扱った実績が豊富かどうか、評判や口コミを確認して吟味してください。
「労働問題に強い弁護士の選び方」の解説
会社を刺激してトラブルになる
弁護士に退職代行を依頼することによって、かえって会社を刺激し、トラブルに発展しやすくなってしまうことがあります。このような事態に直面すると、退職代行自体をせず、本人から誠意をもって退職を伝えておくべきだったと後悔してしまうでしょう。
しかし、退職の意思を伝えたことを理由に脅したり、在職強要したり、損害賠償を請求したりすることは許されません。退職することは労働者の権利であり、不当な引き留めに応じず戦うべきです。また、経験豊富な弁護士なら、問題のある社長に対しても、できるだけ刺激にならないように伝える方法を心得ているものです。
「会社から損害賠償請求された時の対応」の解説
退職代行を相談する弁護士の選び方は?
次に、退職代行を任せるべき、適切な弁護士の選び方について解説します。弁護士には得意分野があり、退職代行を任せるにふさわしい、労働問題を得意とする弁護士を選ぶ必要があります。
労働問題を専門分野としている
弁護士には様々な専門分野があります。退職代行を依頼する場合は、労働法に精通している弁護士を選ぶのが重要です。労働問題に関する経験が豊富な弁護士なら、退職代行についても適切なアドバイスとサポートをしてくれることが期待できます。
労働問題を扱う弁護士のなかにも、退職代行の経験が少ない人もいるので、退職代行の件数、実績について初回相談で質問するなどして確認しましょう。経験を知るには、退職代行を実施したときの使用者側の対応の見通しと、問題ある対応をされたときの対策について質問するのが有効です。過去に多くの事例を経験していれば、失敗やトラブルを未然に防止してくれるでしょう。
初回相談で丁寧に聞いてくれる
退職代行サービスを提供する弁護士の多くは、初回相談を無料、もしくは安価で実施しています。初回相談の機会を最大限に活用することで、弁護士の対応や雰囲気を知ることができます。
すぐ依頼するのでなく、何人かの弁護士と相談して知識・経験と、相性をチェックして決めるのがお勧めです。丁寧に相談を聞いてくれる弁護士でなければ退職代行は任せられません。退職代行を成功させるには、労働者ごとの事情を聴取する必要があり、ただ「退職の意思を伝えるだけ」の定型作業を事務員に任せているようなら、わざわざ弁護士に依頼するメリットはありません。
人柄や雰囲気が良い
退職代行は、会社との直接のやり取りが減る代わりに、サービスの運営元との連絡が増えます。相性の合わない弁護士に任せると逆にストレスとなってしまいます。退職という一大イベントで良い解決を目指すためにも、相性の合うパートナーを選びましょう。話しやすさや明るさ、物腰の柔らかさなど、実績だけでは判断できない要素も重要です。
また、退職代行において弁護士はいわばあなたの分身となって会社と交渉します。そのため、あなたがコミュニケーションに違和感を抱く場合には、交渉相手となる会社との間でも同じ態度で接する可能性が高く、円滑な手続きの支障になるおそれがあります。
「弁護士を途中で変える方法」の解説
退職代行を弁護士に相談するときよくある質問
最後に、退職代行を弁護士に相談するときによくある質問について回答しておきます。
弁護士に退職代行を依頼する費用はいくらかかる?
退職代行の費用は弁護士や法律事務所によって異なりますが、一般的には以下のような費用がかかります。
- 初回相談料
30分5,500円~1時間11,000円程度。無料相談をしてくれる弁護士もある。 - 着手金
55,000円~110,000円程度。 - 報酬金
回収した未払い賃金や残業代、退職金の10%~20%。退職に成功しただけであれば報酬金はかからないのが基本。 - その他の費用
内容証明を送付する際の郵便代、交通費などの実費がかかることがある。
※ 参考:退職代行にかかる弁護士費用はいくら?
退職代行を弁護士に依頼するメリットは?
退職代行を弁護士に依頼するメリットは多数あります。法律の専門的な知識に基づいたアドバイスをもらうことができ、法的サポートを受けられます。弁護士なら、トラブルが発生しても迅速に対応してくれて、企業からの反論があっても的確に対処できます。
弁護士なら退職代行と同時に、残業代請求や、長時間労働を理由とした労災の補償など、会社の責任を追及することもできます。
※ 参考:退職代行を弁護士に依頼するメリット
退職代行を依頼する際に必要な書類は?
退職代行を依頼するときは、弁護士に証拠となる資料を見せて相談するのがおすすめです。まず、労働契約が成立している必要があるため、雇用契約書や労働条件通知書、就業規則などの労働条件の示された書類を準備しましょう。状況説明のため、使用者側が退職を拒んでいる理由や、その態様のわかるメールやチャットの写しなどがあると、退職代行を進める際の参考になります。
その他に、残業代請求やパワハラの慰謝料請求といった労働問題もまとめて解決したいなら、それぞれの問題に応じた証拠を持参して相談するようにしてください。
退職代行を依頼後はどのように手続きが進む?
まず初回相談で詳細を説明し、弁護士のアドバイスに納得できたら依頼の手続きをしてください。依頼後の流れは、弁護士が会社に通知書を送付し、退職の意思を伝えます。内容証明を利用するのが基本ですが、必要に応じて電話やメールでも伝えます。
会社が退職に応じる場合は退職手続きを行いスムーズに終了できますが、反論してくる場合は再反論して協議をします。無期契約の正社員の場合は、退職の意思表示が到達してから2週間が経過することで労働契約は終了する(民法627条)ため、このルールを会社によく説明して理解を求めるのが進め方の基本です。
「退職は2週間前に申し出るのが原則」の解説
退職代行を弁護士に依頼するときの注意点は?
退職代行を弁護士に依頼するときは、労働法に精通し、退職代行の実績が豊富な、信頼できる弁護士を選定するのが非常に重要です。そして、費用を事前に確認して見積もりを取得してください。依頼後も丸投げするのではなく、弁護士とのコミュニケーションを密にとって進捗状況を確認するのが大切です。
退職代行の依頼後に会社から連絡があった場合どうすればいい?
退職代行を弁護士に依頼した場合、会社からの連絡には対応せず、すべて弁護士に任せるようにしましょう。弁護士が代理で対応するため、依頼者自身が会社と直接やり取りする必要はありません。法律問題の交渉だけでなく、業務引き継ぎについても弁護士を通じて行うことができます。
最初の通知で「本人に連絡しないように」と強く伝えますが、どうしても会社からの連絡が続くようなら、弁護士から警告書を送付してもらうようにしてください。
まとめ
今回は、弁護士による退職代行のポイントを解説しました。
会社の辞め方の1つの選択肢として注目される「退職代行」。一般企業の運営するサービスだけでなく、弁護士や労働組合など、様々な団体に相談することができます。それぞれ一長一短なため、状況に応じて選ばないと損してしまいます。
「ただ退職の意思を伝えるだけ」ならば、弁護士への依頼は過剰かもしれません。とはいえ多くの場合、ブラック企業は退職の意思表示にまともに対応しません。交渉の激化が予想されるなら、弁護士によるプレッシャーを活用すべきです。そして、弁護士費用は自由に設定できるため「退職代行を弁護士に頼むと高い」というのは誤りです。弁護士が会社と交渉することで未払いの給料や残業代を勝ち取れば、費用を補うことも可能です。
退職代行は、早めの相談が肝心です。退職についてお悩みなら、労働問題に精通している弁護士に今すぐご相談ください。
【退職とは】
【退職時の注意点】
【退職できないとき】
【退職金について】