会社から退職を勧められ、辞めざるをえないことがあります。
思いもよらないタイミングで辞めると、失業保険で食いつなぐしかありません。
このとき、離職理由が、自己都合か、会社都合かにより、扱いが異なります。
結論からいえば、退職勧奨は、会社都合とすべきです。
労働者にとって、退職勧奨による離職は、「本意ではない」からです。
せめて、失業保険はすぐもらえなければ、つらいことでしょう。
退職勧奨で辞めざるをえずとも、せめて会社都合で多く給付を得たいはず。
しかし、退職勧奨で辞めさせたにもかからわず、自己都合と扱ってくる会社もあります。
会社都合は、会社側にとって不都合なことがあるからです。
なので、退職勧奨で辞めるなら、離職票にどう記載されるか、注意せねばなりません。
今回は、退職勧奨で辞めるとき、失業保険で不利にならないポイントを解説します。
自己都合扱いで辞めさせられそうなら、労働問題に強い弁護士に相談ください。
- 退職勧奨は、離職票に「会社都合」とし、失業保険について有利な扱いを受けられる
- 退職勧奨によって辞めるとき、自己都合にされてしまいやすい
- 退職勧奨で辞めるなら、離職票をよくチェックし、誤りがあれば異議を申し立てる
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退職勧奨への対処法は、次の解説をご覧ください。
★失業保険の法律解説まとめ
【失業保険の基本】
【離職理由について】
【失業保険をもらう手続き】
【失業保険に関する責任】
退職勧奨は、会社の都合で行われる
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退職勧奨とは、労働者に、自発的に辞めるよう説得する会社の行為。
つまり、退職勧奨は、会社の一方的な都合によって行われます。
決して、労働者には責任がありません。
退職勧奨は、退職を強制するものではありません。
働きかけられても、実際に辞めるかどうかは、労働者の判断に委ねられます。
労働者は、退職勧奨を、自由に断ることができるのです。
会社が退職勧奨をするには、理由があります。
大きな理由の1つは、「解雇を急ぐと、不当解雇と争われてしまう」から。
解雇には、厳しい制約があり、正当な理由がなければ違法です。
これに対し、退職勧奨は、必ずしも解雇の要件がそろっていなくても可能です。
会社は、辞めてほしいと考える、いわゆる「問題社員」には、退職をうながします。
なにも文句をいわず応じれば、会社から「自発的に辞めた」といわれかねません。
すると、失業保険の関係でも、自己都合と扱われる危険があります。
しかし、たとえ退職勧奨に応じてはいても、本意ではないでしょう。
したがって、退職勧奨は、会社の都合で行われているのは明らかです。
なお、断り続けてもされる退職勧奨は、違法な退職強要です。
お早めに弁護士に相談ください。
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退職勧奨で辞めたのに、会社が離職票に嘘を書く理由
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退職勧奨で辞めたなら会社都合。
それでも、会社が自己都合と、離職票に嘘を書くのには、理由があります。
法律知識がない場合には、弁護士から警告を送るなど、説得すれば解決できるでしょう。
しかし、わざと不都合を隠そうとする会社の悪質さは、深刻です。
法律知識がないから
1つ目が、会社に法律知識のないケースです。
退職勧奨で辞めるときには、最後は退職届を書く場合が多いです。
なので、形式的にみれば、労働者が自分から退職する場合と同じなわけです。
法律知識のない会社では「退職届をもらったなら自己都合だ」と考えられることがあります。
しかし、退職届を出したとしても、それは退職勧奨の働きかけがあったから。
労働者が、自発的に出したのとは、わけが違います。
違法な退職強要を隠すため
2つ目は、違法な退職強要を隠したいケースです。
退職勧奨は、あくまで「勧め」にとどまらなければなりません。
「強要」に至れば、違法であり、パワハラにもあたります。
労働者が争えば、退職が覆ったり、慰謝料を請求されたりするおそれもあります。
このような違法行為を行った証拠を残さないよう、自己都合と離職票に書くのです。
助成金の不支給を回避するため
3つ目が、助成金の不支給を回避したいケースです。
助成金の多くは、会社都合退職者がいると不支給となったり、減額されたりします。
そのため、助成金をもらう会社は、解雇を徹底して避ける傾向にあります。
退職勧奨でも会社都合にはなるわけですが、自己都合にして助成金をもらい続けようとします。
退職時のトラブルは弁護士に相談できます。
労働問題に強い弁護士の選び方は、次に解説します。
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退職勧奨で辞めるなら、離職票をチェックすべき
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離職理由には特に注意を要します。
ここでは、退職勧奨で辞めるとき、交付される離職票のチェックポイントを解説します。
退職勧奨に納得がいかないなら、断固として拒否しましょう。
とはいえ、労働者側でも、長く勤める意思はないこともあります。
退職に応じるなら、少しでも損を減らすため、離職票をよくチェックしてください。
離職理由は正しい?
退職勧奨で辞めるとき、特に注意を要するのが、離職票に書かれた「離職理由」です。
離職理由は、失業保険の点から、退職の理由を分類したもの。
主には、自己都合か、会社都合かを区別するものです。
退職勧奨による退職ならば、離職票は、会社都合とするのが正しい扱いです。
これにより、せめて有利な失業保険を給付できるのです。
しかし、残念ながら、自己都合扱いしてくる会社もあります。
このような会社は「解雇以外は自己都合だ」と誤解しているおそれもあります。
自己都合だと、労働者にとって、次のデメリットがあります。
- 7日間の待機期間に加え、3ヶ月の給付制限期間がある
- 給付日数が減少する
- 退職金が減額される場合がある
強く退職を強要するような違法な会社ほど、離職理由に嘘を書きがちです。
違法な働きかけがバレないよう、自己都合を装いたいからです。
自己都合と会社都合の違いは、次に解説します。
退職日は正しい?
次に、退職日(離職日)を確認しましょう。
退職日(離職日)は、失業保険の受給スタートの日にも影響します。
退職後、7日間の待機期間(+自己都合なら3ヶ月の給付制限期間)を経過しての支給となるから。
退職勧奨に応じるなら、せめて退職日は、有利な日になるよう、会社と話し合いましょう。
退職日すら譲歩してもらえないなら、退職に応じる必要はありません。
給料額は正しい?
離職票には、給料についての情報も記載されます。
失業保険の受給額に関わるため、正しいかどうか、しっかりチェックしてください。
退職勧奨で辞めるときは特に、退職する月の給料が正確かも検討を要します。
離職票が交付されない場合は?
退職勧奨は、労働者の意思に反して追い出す行為。
辞めざるをえなくなった後で、会社に連絡はしづらいことでしょう。
居心地の悪さを悪用して、きちんと離職票を交付してくれない会社もあります。
離職票がないと、失業保険がもらえず、困ってしまいます。
送られてこないとき、ハローワークに相談するのがお勧めです。
(参考:離職票が届かない理由と対処法)
離職票の受け取り方と、期間は、次に解説しています。
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離職票の記載に異議を申し立てるには?
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まず、会社が、自己都合と会社都合の区別を正しくしていないなら、交渉で解決できます。
「退職勧奨が会社都合だ」ということを知らないケースも同様。
とはいえ、ブラック企業に、労働者が立ち向かい、説明を理解してもらうのは至難の業。
会社が納得しないなら、弁護士から警告し、法律知識を正しく伝えるのが効果的です。
そして、会社が意図して「自己都合」としたとき、交渉での解決はできません。
その場合には、離職票に「離職理由に異議がある」と記載します。
下部に、記載欄がありますので、チェックしてください。
そして、ハローワークに、異議を申し立てましょう。
異議申立てされると、ハローワークは、労使双方の事情を聞き、判断をします。
この際、提出された証拠も参考にされます。
「退職勧奨を受けた」という客観的な証拠があるなら、必ず提出しましょう。
退職勧奨の面談における録音などが、証拠として役立ちます。
(参考:パワハラを録音する方法)
自己都合から会社都合に変更する方法は、次の解説をご覧ください。
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まとめ
![弁護士法人浅野総合法律事務所](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2022/03/asanosougou-zentai.jpg)
今回は、退職勧奨で退社する方が不利益を受けないためのポイント。
なかでも、離職票で、自己都合とされてしまわない方法について解説しました。
退職勧奨は、会社の意思で行うものであり、会社都合の退職です。
それにもかかわらず、離職票に自己都合と書かれれば、損します。
もらえるはずの失業保険の給付が減り、3ヶ月の給付制限期間も生じてしまうから。
退職勧奨があったと証明できれば、会社都合の扱いに変えるよう争えます。
十分な失業保険をもらうには、証拠集めも欠かせません。
- 退職勧奨は、離職票に「会社都合」とし、失業保険について有利な扱いを受けられる
- 退職勧奨によって辞めるとき、自己都合にされてしまいやすい
- 退職勧奨で辞めるなら、離職票をよくチェックし、誤りがあれば異議を申し立てる
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★失業保険の法律解説まとめ
【失業保険の基本】
【離職理由について】
【失業保険をもらう手続き】
【失業保険に関する責任】