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失業保険は12か月の加入が必要!最低加入期間未満でも受給する方法

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運営元:弁護士法人浅野総合法律事務所

せっかく採用が決まった会社でも、「どうしてもブラック企業すぎて我慢できない」という場合、短期間での退職を検討してください。心身ともに疲弊するまで頑張りすぎてしまうことはお勧めできません。

短期間で退職をしてしまったとき、まだ貯金もあまりたまっておらず、「失業保険がもらえるかどうか」がまさしく死活問題であるケースも少なくありません。

一方で、失業保険には一定の要件があり、特に「一定の期間、雇用保険に加入していることが必要である」という要件が、短期間で退職してしまった人にとってはとても気になるところです。

失業保険は、雇用保険料をもとに運用されている制度ですから、短期間の退職でも失業手当がたくさんもらえるようでは、雇用保険の積立金が底をついてしまうからです。

そこで今回は、「どれくらいの期間、雇用保険に加入をしていたら、失業保険をもらえるのか」、つまり、最低加入期間について、弁護士が解説します。

「雇用保険・失業保険」の法律知識まとめ

失業保険をもらうための条件とは?

失業保険とは、会社を退職して無収入になってしまうとき、次の就職までのつなぎとして生活保障をするための一定の給付を受ける国の制度です。「失業手当」「失業給付」ということもあります。

そして、短期間で会社を退職する際には、失業保険を受給することができる期間に達しているかどうか、十分検討してから退職する必要があります。

会社をやめたときに失業保険をもらうことのできる受給要件は、あまりよく知られていません。「会社をやめれば、誰でももらえる」と勘違いしている方もいます。

雇用保険への加入が大前提

失業保険は、みなが払っている雇用保険料の積立によって運用されています。そのため、まず大前提として、雇用保険に加入していなければ失業保険を受け取ることができません。

「会社に雇用されているのだから、会社が雇用保険に加入してくれているはず」という安易な考えは危険です。会社には、雇用する労働者を雇用保険に加入させる義務がありますが、社会保険(健康保険と年金)、労働保険(雇用保険と労災保険)がすべて適切に整備している会社ばかりではありません。

むしろ、中小企業、零細企業の中には、できるだけ出費を減らすため、雇用保険にも社会保険にも加入手続きをしていない、という会社も少なくありません。

したがって、「失業保険を受け取ることができるか」の検討の第一歩として、自分が雇用保険に加入しているかどうかをチェックしてください。

2雇用保険に加入していない可能性がある場合の対応

「雇用保険への加入は当たり前」ではありません。社会保険が完備されており、賃金などの労働条件も好待遇な大企業で正社員として雇用されているのであれば、まず間違いなく雇用保険にも加入しています。

しかし、中小零細企業であったり、短時間の非正規社員であったりといった場合には、まずは確認が必要です。実は雇用保険に加入していなかった例として、例えば次のようなケースがあります。

  • 短時間の非正規社員で、雇用保険の要件を満たしていないと考えられていた。
  • 完全成果報酬制のスタッフとして個人事業主扱いとされていた。
  • 海外に派遣された際に雇用保険の適用を外され、そのまま帰国後も加入の手続をとっていない。
  • 取締役として役員扱いとなっており、雇用保険に加入していない。
  • 給与から天引きされた雇用保険料が、社長に着服されていた。

上記のような会社では、雇用保険に入らないことがさも当たり前かのような雰囲気になっていることすらあります。しかし、ブラック企業が語る雇用保険加入を回避する方法は、違法性の高いものである可能性があります。

少なくとも、パート社員、アルバイト社員などの非正規労働者であっても雇用保険に加入することができますから、「パートなので」というだけの理由で雇用保険に加入させないという会社の主張は誤りです。

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失業保険をもらうための最低加入期間

雇用保険に加入していることが確認できたら、次は、最低何か月、雇用保険に加入していたら失業手当を受け取ることができるか」を検討します。

特に、短期間で転職をする場合には、求職期間中の生活の糧を得るため、退職する時期を慎重に検討しなければなりません。

「あと少しで失業手当がもらえる」という最低加入期間に達するところを、雇用保険についての知識なくぎりぎりで退職してしまっては、失業保険が得られなくなってしまいます。

失業手当をもらうための雇用保険の最低加入期間は、退職理由によって変わります。具体的には次の通りです。

「自己都合退職」の場合 雇用保険に加入していた期間が、会社を辞めた日以前の2年間に12か月以上あること
「会社都合退職」の場合 雇用保険に加入していた期間が、会社を辞めた日以前の1年間に6か月以上あること

どのような退職理由が自己都合となり、会社都合となるか、また、自己都合と会社都合とで失業保険がどのようにことなるかについては、次の解説もごらんください。

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自己都合による退職の場合

自己都合で退職する場合には、退職時期を自分でコントロールすることができます。むしろ、労働者が自分で退職時期を決められないような辞め方は、自己都合とはいえないのではないかと疑問に思うべきです。

そのため、自己都合で退職するときには、失業保険をもらうための雇用保険の最低加入期間は比較的長めに設定されています。

つまり、退職後に失業保険をもらいたい場合には、「今自主的に退職するのではなく、もう少し勤務したほうが失業保険がもらえるのではないか」という点に注意をして、退職時期を慎重に検討してください。

会社都合による退職の場合

これに対して、会社都合で退職する場合には、会社から一方的に雇用契約を解消されることから、労働者の側で退職時期を選ぶことができません。

そのため、会社都合で退職する労働者に対しては、保護を手厚くする必要があります。自己都合で退職する場合に比べ、失業保険をもらうための雇用保険の最低加入期間は短くても済むこととなっています。

とはいえ、自己都合退職であっても、12か月以上勤務すれば、失業保険をもらう資格を取得できるので、それほどハードルは高くありません。

最低加入期間未満でも、失業保険をもらう方法

失業保険をもらうための雇用保険の最低加入期間よりも短い期間しか勤務しておらず、早期退職を決断するときには、失業保険がもらえない覚悟が必要となります。それでもなお、そのまま会社に居続けて心身を壊してしまうよりはましです。

とはいえ、生活が困窮するのも困りますから、最低加入期間よりも短い期間で退職をしてしまったとしても失業手当をもらう方法について、最後に解説しておきます。

退職理由について争う

さきほど解説したとおり、失業保険をもらうために必要となる雇用保険の最低加入期間は、退職理由によってことなります。

会社都合の退職のほうが、自己都合の退職よりも労働者を保護すべき必要性が高いことが理由であり、そのため、会社都合の退職のほうが必要となる加入期間が短く設定されています。

会社から、自己都合の退職として取り扱われていたとしても、形式上自主退職であったとしても、実際には「会社に残ることをあきらめざるを得ない」という思いをすることがあります。不当な労働条件の低下やハラスメントを受けた場合などが典型です。

このようなケースでは、退職理由を争い、会社都合としてもらうことにより、雇用保険の最低加入期間を少なくてもよいようにして、失業保険をもらう交渉をしてください。

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加入期間を通算する

現在勤務している会社よりも前に勤めていた会社でも雇用保険に加入していた場合には、その加入期間を通算できる場合があります。

現在勤務していて退職をする会社では、短期間しか勤務しておらず加入期間が少なかったとしても失業保険をもらえる可能性があります。

前職の会社で、もう6か月勤務しており、そちらでも雇用保険に加入していた場合には、その両方を通算した2年間のうちで12か月間の加入実績があれば、最低加入期間の要件を満たし、失業保険をもらうことができます。

この要件を満たせば、現在勤務している会社の雇用契約期間が最低加入期間未満であっても、失業保険を受け取ることができです。

「労働問題」は、弁護士にお任せください!

会社を退職したり、転職したりする方にとって、失業保険は生活を支える重要な収入です。できる限り確実に失業保険をもらえる状態で会社を退職できるよう、雇用保険についての法律知識を知っておくことが重要です。

特に、失業保険をもらうための雇用保険の最低加入期間は、退職理由によって異なるため、個別のケースにおいて、果たして自分が失業保険をもらうことができるのかの判断が難しい場合があります。

失業保険の要件を満たしているか不安な方や、退職に際して悩みのある労働者は、ぜひ一度、労働問題に強い弁護士にご相談ください。

「雇用保険・失業保険」の法律知識まとめ

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弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区銀座)は、代表弁護士浅野英之(日本弁護士連合会・第一東京弁護士会所属)をはじめ弁護士5名が在籍する弁護士法人。 不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、近年ニュースでも多く報道される労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。 「労働問題弁護士ガイド」は、弁護士法人浅野総合法律事務所が運営し、弁護士が全解説を作成する公式ホームページです。

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