雇用保険

パートやアルバイトでも雇用保険に加入できるケース【弁護士解説】

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運営元:弁護士法人浅野総合法律事務所

会社は、雇用している労働者を雇用保険に加入させることが義務付けられています。

雇用保険料は、会社と労働者がともに支払うこととなり、労働者の負担分は給料から天引きされます。しかし、雇用保険への加入手続きは会社がおこないますから、本来であれば雇用保険に加入させるべきなのに、未加入状態で放置されている例があります。

雇用保険加入者にも4つの種類があり、受給できる失業保険の内容がことなります。そして、重要なことは「パート社員やアルバイト社員など、正社員ではない労働者でも一定の条件を満たせば雇用保険に加入できる」ということです。

雇用保険に加入していないと、いざ会社を退職せざるを得なくなったとき、失業保険をもらえなkなってしまいます。そのため、雇用保険に加入できるにもかかわらず手続きがされていない場合、会社に要求し、雇用保険に加入する必要があります。

今回は、雇用保険に加入できる4種類のケースと、パート社員やアルバイト社員などの非正規社員が雇用保険に加入できるケースについて、弁護士が解説します。

「雇用保険・失業保険」の法律知識まとめ

雇用保険被保険者の種類

雇用保険に加入するためには、会社が従業員を雇用したとき、または、労働条件の変更によって雇用保険の被保険者資格要件を満たす労働者が生じたときに、ハローワークに対して資格取得届を提出することが必要です。

つまり、雇用保険に加入するためには、会社の協力が必要だということです。

ハローワークへの被保険者の資格取得の届出は、「被保険者となった日の属する月の翌月10日」までに行う必要があります。

雇用保険の加入者を「被保険者」といいますが、この「被保険者」には、雇用形態、年齢などによって3つの区分があります。この雇用保険被保険者の分類によって、受給できる失業保険の種類がことなります。

一般被保険者

雇用保険の「一般被保険者」とは、65歳未満の常用労働者をいいます。

簡単にいうと、正社員として働くサラリーマンであれば、ほとんどの場合、一般被保険者に該当すると考えてよいでしょう。また、のちに説明するとおり、被保険者資格を満たすパート、アルバイト労働者も一般被保険者に含まれます。

つまり、正社員と同程度に働いている場合には、パートやアルバイトでも一般被保険者になる場合があります。このような場合には「同一労働同一賃金」の考え方からみて、正社員と公平な処遇を受けているかも検討しておいてください。

一般被保険者に対する求職者給付には、次のものがあります。

一般保険者の求職者給付
  • 基本手当
  • 技術習得手当(受講手当、通所手当)
  • 寄宿手当
  • 傷病手当

短期雇用特例被保険者

雇用保険の「短期雇用特例被保険者」とは、季節的に雇用される人のことです。短期雇用を繰り返しおこなっている労働者が典型です。

短期雇用特例被保険者に対する求職者給付は、次の通りです。

短期雇用特例被保険者の求職者給付
  • 特例一時金

高年齢継続被保険者

雇用保険の「高年齢継続被保険者」とは、65歳以降も同一の会社に継続して雇用される労働者をいいます。

高年齢継続被保険者に該当するためには、65歳になるまで一般被保険者として雇用、65歳以上も引き続き同じ会社で勤務する場合となります。

これに加えて、平成29年1月に改正雇用保険法が施行されることにより、65歳以降に新たに雇用される労働者も、雇用保険の対象となることが決まりました。

高年齢継続被保険者に対する求職者給付は、次の通りです。

高年齢継続被保険者の求職者給付
  • 高年齢求職者給付金

日雇労働被保険者

雇用保険の「日雇労働被保険者」とは、日々、または、30日以内の雇用期間を定めて、適用事業に雇用される労働者をいいます。

日雇労働被保険者に対する求職者給付は、次の通りです。

日雇労働被保険者の求職者給付
  • 高年齢求職者給付金

アルバイト、パート社員が雇用保険に加入するための要件

正社員だけでなく、アルバイト、パートタイマーなどの非正規社員であっても、雇用保険における一定の要件を充足する場合に、被保険者となることが可能です。

そして、このアルバイト、パートタイマーの雇用保険への加入は、雇用保険の被保険者としての要件を満たすかどうかによって法律上決定されるものであって、雇用保険に加入するかどうかを任意に選択することはできません。

アルバイト、パート社員の原則的な加入要件

パート、アルバイトが雇用保険の被保険者となる要件は、次の通りです。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上引き続いて雇用される見込みがあること
  • 昼間学生ではないこと

パート、アルバイトが雇用保険の被保険者の要件を満たす場合には、通常の労働者と同様に、「一般被保険者」に該当します。

この場合には、会社や労働者からの加入希望の有無にかかわらず、要件に該当すれば強制的に加入することとなります。ただし、季節的に一定期間のみ雇用される場合などには、被保険者とならない場合もあります。

所定労働時間とは、雇用契約によって労務の提供を約束した時間をいい、残業や臨時の労働時間を含みません。

シフト制で週の労働時間が決まっていないケース

シフト制のアルバイト、パートタイマーの場合には、週によってシフトの日数にばらつきがあり、週の所定労働時間が一定ではない場合があります。また、シフト制の社員の中には、本人の都合や家族の都合などを考慮して、勤務時間が増減することがあります。

このように、1週間の労働時間数が一定ではない社員については、1か月の所定労働時間を計算し、雇用保険に加入できるかどうかを判断することとなります。すなわち、次の計算式により、所定労働時間が月87時間以上であれば、「週20時間以上」の要件を満たすこととなります。

1週間の所定労働時間(20時間) × 52週間(1年間) ÷ 12か月 = 86.666・・・時間

残業によって週20時間以上労働することとなったケース

基本的に、ここまでに解説したとおり、雇用保険に加入することのできる要件は「所定労働時間」によって判断します。つまり、雇用契約書によって労働義務の定められた時間により判断します。そのため、残業がいかに長時間となったとしても、雇用保険の加入要件には影響しないのが原則です。

ただし、当初の契約に比べて、労働時間が常態的に増加している場合には、このことを考慮して、被保険者要件を判断します。

残業がよくおこなわれているとき、これが常態的なものか、突発的なものかの判断は困難ですが、一般的には、2か月連続で「週20時間」を超える残業がおこなわれた場合には、次の月から雇用保険に加入することとされています。

「労働問題」は、弁護士にお任せください!

今回は、退職時に、雇用保険から失業給付(失業手当)をもらうために、雇用保険に加入できる労働者がどのような労働者であるかについて、解説しました。

どのような理由にせよ、会社を退職して転職活動をするとなると、先立つお金が必要となります。そのため、雇用保険に加入しておくことは、労働者にとって非常に重要です。

雇用保険の加入要件を満たすのに、会社が協力的ではない場合には、ハローワークもしくは弁護士にご相談ください。

「雇用保険・失業保険」の法律知識まとめ

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弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区銀座)は、代表弁護士浅野英之(日本弁護士連合会・第一東京弁護士会所属)をはじめ弁護士5名が在籍する弁護士法人。 不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、近年ニュースでも多く報道される労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。 「労働問題弁護士ガイド」は、弁護士法人浅野総合法律事務所が運営し、弁護士が全解説を作成する公式ホームページです。

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