退職 雇用保険

離職票の発行までの全ての手続と、かかる期間【弁護士解説】

お問い合わせ

運営元:弁護士法人浅野総合法律事務所

会社に雇われている間に雇用保険料を支払っていれば、万が一解雇をされてしまったり、急に会社を退職せざるをえない事態となったとき、ハローワークで手続きをすることで失業保険を受け取ることができます。

失業保険の給付をハローワークに申請するときは、いくつかの必要書類をそろえる必要がありますが、なかでも特に重要なのが「離職票」です。

離職票は、労働者だけで準備できる書類ではなく、勤めていた会社に協力してもらって発行を進める必要があります。突然の退職となってしまったとき、離職票発行の手続きをきちんと進めなければ、失業保険をもらうのが遅くなってしまいます。

そこで今回は、失業保険をもらうためにとても重要となる「離職票」の発行までの全手順と、発行にかかる期間について、労働問題に強い弁護士が解説します。

「雇用保険・失業保険」の法律知識まとめ

失業保険とは?

「失業保険」とは、雇用保険料を支払っていた労働者が勤務先の会社を退職するとき、再就職のための求職活動をしている間に生活費の補助として受け取ることができる給付です。

正式名称は「求職者給付の基本手当」(雇用保険法10条2項)といいますが、一般的には「失業保険」「失業手当」「失業給付」などと呼ばれます。

会社をやむを得ず退職しなければならなくなった労働者が、求職活動に集中するためにも、仕事をしない間の無収入期間に生活費を補償してもらう必要がありますから、失業手当はとても重要です。

失業保険の受給資格

「労働者保護」における失業保険の重要性からすれば、できるだけ広く失業保険をもらうことができるのが望ましいといえます。しかし、失業保険は雇用保険料によってまかなわれていますので、一定の制限があります。

「雇用保険法」という法律にしたがって、失業保険の給付を受けるための受給資格としては、次の2つの条件を満たしている必要があります。

  1. 退職日前の2年間の雇用保険加入期間が通算して12ヶ月を超えていること
    :失業保険の給付を受けるためには雇用保険料を一定額支払っていることが必要です。
    そのため、雇用保険加入期間が条件に設定されています。
    怪我や病気などの事情によっては、通算する加入期間を最長4年まで遡ることができます。
  2. 働く意思と能力があること
    :失業保険は求職中の労働者の生活を補助する目的で給付されるものです。そのため、給付を受ける労働者には就職したいという積極的な意思が求められます。
    要するに、求職活動をしているのに仕事が見つからない人だけが受け取れるのです。
    また、いつでも就職できるという健康状態や家庭環境が備わっている必要があります。

したがって、入社した会社をすぐに辞めてしまったり、短期間に何度も転職を繰り返していたりといった労働者や、退職後にもうはたらくつもりがない労働者、定年退職をして今後ははたらくつもりのない労働者などは、失業保険をもらうことができません。

なお、失業保険をもらうためには、大前提として雇用保険に加入している必要があります。この点、アルバイトやパート社員などの非正規社員も、雇用保険に加入することができます。

チェック
パートやアルバイトでも雇用保険に加入できるケース【弁護士解説】

雇用保険への加入の手続きは、会社が行いますが、この際、雇用保険加入者には4つの種類があります。パート、アルバイトなど、正社員ではない労働者も、一定の条件を満たせば、雇用保険に加入できます。

続きを見る

失業保険の申請に「離職票」は必須!

失業保険の給付を受けるためには、雇用保険被保険者証やマイナンバー、身分証明書、顔写真や預金通帳などの必要書類を揃えて、各地域にあるハローワークで申請手続をする必要があります。

必要書類のなかでも特に重要なのが、今回解説する「離職票」です。

離職票をきちんと入手することができないと、求職期間中の重要な収入源である失業保険(失業給付)を、得られなくなってしまうおそれがあります。

離職票とは?

ここまでお読みいただければ、失業保険の給付に必要となる「離職票」が、とても重要な書類であることは、十分ご理解いただけたのではないでしょうか。

離職票とは、雇用保険の被保険者である労働者が、勤務先の会社を退職したこと(失業したこと)や、その退職理由、在職中の賃金額などを証明する書類のことです。

離職票は、正式名称を「雇用保険被保険者離職票」といいます。離職票には、次の2種類(「離職票Ⅰ」と「離職票Ⅱ」)があります。

離職票Ⅰ

離職票Ⅰは「雇用保険被保険者喪失確認通知書」ともいいます。

会社に雇用されている労働者は雇用保険への加入が義務づけられていますが、会社を退職すると雇用保険被保険者の資格を失います。

失業保険の給付を受けるためには、会社を退職して雇用保険被保険者の資格を失ったこと、つまり「失業したこと」を証明する必要があります。

離職票Ⅰは、この「失業したこと」を証明するために必要な書類です。離職票Ⅰには、労働者の氏名やマイナンバー、退職する会社の名称、失業保険給付の払渡しを受ける金融機関などの基本情報が記載されています。

離職票Ⅱ

離職票Ⅱには、労働者の氏名や勤務先の会社の名称、住所、退職前の賃金(給料)の支払状況(明細)、退職の理由などが記載されています。

ハローワークは、この資料を見て、労働者に失業保険の給付を行うかどうか、給付の額や給付日数をどうするかを決めます。

そのため、失業保険の給付を申請する労働者は、離職票Ⅰと合わせて、上記各事項が記載された離職票Ⅱを必ずハローワークに提出しなければなりません。

離職票を発行してもらう全手順

失業保険にとても重要となる「離職票」ですが、発行までに必要となる手続きは労働者だけではすべてをおこなうことができず、会社の協力を得る必要があります。

そこで、離職票を発行するために、退職した労働者が行わなければならない手続きについて、その全手順を弁護士が解説します。

離職票は、労働者の申請だけで発行されるものではなく、会社の協力が必要となりますが、会社が離職票の発行に協力してくれない場合には、ハローワークもしくは労働問題に強い弁護士へ、お早目に法律相談ください。

会社に離職票の発行を求める

労働者にとって非常に重要な「離職票Ⅰ・Ⅱ」ですが、会社から発行してもらう必要があります。

まず、会社を退職することを決意した際には、早めに「離職票を発行して欲しい」ということを会社に伝えておく必要があります。労働トラブルになることなく円満に退職できる場合には、退職日よりも前に離職票の発行のお願いをしておくことがお勧めです。

すでに転職先の決まっている労働者や、定年退職して今後働くつもりのない方など、離職票が不要な退職者もいるため、離職票の発行を求めないと会社がやってくれないことがあります。

退職を決意したらまず初めに、会社に対して「離職票がほしい」という意思表示をしなければなりません。

会社から「離職票Ⅱ」を受け取る

労働者から退職の意思表示を受けた会社は、労働者に対して記載事項が未記入の「離職票Ⅱ」を発行することになっています。

退職日当日までに手渡しで、あるいは、退職後に郵送で「離職票Ⅱ」受け取ります。

特に、労働トラブルとなってしまった結果、かならずしも円満退社をすることができなかったケースでは、「離職票」に関するやりとりは郵送で行った方が余計な紛争を招かずお勧めです。

「離職票Ⅱ」を会社に提出する

「離職票Ⅱ」を会社から受け取った労働者は、氏名等の記載事項を記入し、署名捺印した上で、これを一旦会社に提出します。

「離職票Ⅱ」を会社に提出する方法は、職場に直接提出する方法と、郵送のいずれでも構いません。

「離職票」のやりとりを、会社との間で直接行うことが、退職理由や人間関係の問題から難しいという労働者の方は、弁護士が代理人となって行うことも可能です。

会社がハローワークで手続する

労働者から離職票Ⅱの提出を受けた会社は、これをハローワークに持っていき、失業手続をおこないます。

次章で、離職票を受け取るのにどの程度の期間がかかるのか、という解説で詳しく説明しますが、離職票を受け取るのが遅れる原因は、このハローワークでの手続を、会社がなかなか行ってくれないという原因にあることが多いです。

会社に「離職票Ⅰ・Ⅱ」が発行される

手続が完了すると、ハローワークから処理手続済の離職票Ⅱが会社に返戻(へんれい)され、新たに離職票Ⅰが発行されます。

つまり、離職票は、ハローワークから直接もらえるわけではなく、会社を経由して労働者の手にわたることとなります。これもまた、離職票の発行に時間がかかってしまう原因となります。

会社から「離職票Ⅰ・Ⅱ」を受け取る

ハローワークから離職票Ⅰ・Ⅱを受け取った会社は、これらを労働者に渡さなければなりません。

通常は会社から労働者に郵送されますが、会社によっては、労働者に職場まで受け取りに来させる所もあるようです。労働問題が激化しており、直接受け取ることができない場合、弁護士が代理して事務所に送付してもらう、という方法をとることもあります。

以上で、離職票の発行手続は完了です。あとは、離職票Ⅰ・Ⅱを上記に解説した必要書類とともにハローワークに持参し、失業保険の給付申請手続をするだけです。

離職票の発行にかかる期間

「会社を退職したのに、離職票がもらえず失業保険を申請できない」という相談を受けることがあります。「離職票はいつ届くのか」と不安、心配な労働者の方も多いことでしょう。

前章で解説した、離職票をもらうまでの流れを見て頂ければわかるとおり、離職票が労働者の手元に届くまでには、会社やハローワークを経由する必要があり、ある程度の期間がかかってしまいます。

はたして、会社に依頼をしてから労働者の手元に離職票が届くまで、どの程度の期間がかかるのかについて弁護士が解説します。

「退職から10日以内」が義務

離職票の発行には会社の協力が必要となるため、会社が嫌がらせをしたり、離職票の発行を怠っていたりすると、失業保険をもらえない労働者が困ってしまいます。

そのため、雇用保険法では、「退職の翌日から10日以内」に、雇用保険の資格喪失手続をハローワークで行わなければならないことを、会社に義務付けています。したがって、会社は離職票についての手続を「退職の翌日から10日以内」に終わらせなければなりません。

この義務を会社が誠実に履行した場合には、通常10日~2週間程度の間には、離職票が労働者の手元に届くことが一般的です。

ただし、ハローワークにおける手続きがどの程度の期間を要するかについては明確がないため、ハローワークの混雑具合などによっては期間が前後することがあります。

離職票が届かないとどうなる?

離職票の発行を求めてから、実際に発行がされるまでの間には、さきほど解説したとおり、通常10日~2週間程度は少なくともかかってしまいます。

会社を退職しても、離職票がないと失業保険の給付を受けることはできません。早期に失業保険の給付を受けられないと、その間の生活費は自分の貯金でまかなわなければならなくなってしまうので、離職票の発行手続は計画的に行う必要があります。

失業保険の受取りは、「自己都合」でも「会社都合」でも「7日間」の待期期間があり、「自己都合」の場合にはさらに「3か月間」の給付制限期間があります。

チェック
「自己都合退職」といわれても失業保険をすぐにもらう4つの方法

会社を退職することを決意した労働者が気になるのが、「自己都合なのか、会社都合なのか」という点です。特に、会社とトラブルになったり、労働問題により会社に居続けられなくなったりといった場合には、「自己都合 ...

続きを見る

離職票がもらえないときの対処法

離職票の発行を求めてから、1ヶ月近く経っても、会社から離職票が発行されないという場合には、離職票の発行手続きを行っていないブラック企業のおそれがあります。

そのため、会社に問い合わせをして、離職票の発行をうながす必要があります。

会社には労働者の請求に応じて離職票を発行する法律上の義務があるため、離職票を発行しないことは明らかな違法行為です。離職票を発行するよう催促しても応じないブラック企業にお困りの方は、弁護士に相談して会社と交渉してもらうのがお勧めです。

「労働問題」は、弁護士にお任せください!

今回は、失業保険の給付申請に必要となる「離職票」の発行手続の流れについて弁護士が解説しました。

会社を退職するときの手続には面倒なことが沢山あります。なかには離職票の発行手続のように会社側の協力が不可欠なものも多数あり、法律を守らないブラック企業に勤務してる場合には労働者が不利益を受けてしまうおそれがあります。

会社を退職するときに労働トラブルが起こっていると、労働者と会社が激しく対立していて、「労働者を困らせるために手続に協力しないでおこう」というブラックな対応をする会社に悩まされることも少なくありません。

退職手続をお一人ですることが困難な場合など、円満でスムーズな退職に非協力的な会社にお困りの方は、労働問題に強い弁護士に、お気軽に法律相談ください。

「雇用保険・失業保険」の法律知識まとめ

お問い合わせ

運営元:弁護士法人浅野総合法律事務所
  • この記事を書いた人
  • 最新記事
弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区銀座)は、代表弁護士浅野英之(日本弁護士連合会・第一東京弁護士会所属)をはじめ弁護士5名が在籍する弁護士法人。 不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、近年ニュースでも多く報道される労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。 「労働問題弁護士ガイド」は、弁護士法人浅野総合法律事務所が運営し、弁護士が全解説を作成する公式ホームページです。

-退職, 雇用保険
-, , , , ,

お問い合わせ

© 2020 労働問題の法律相談は弁護士法人浅野総合法律事務所【労働問題弁護士ガイド】