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浅野 英之
弁護士
弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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タトゥーがバレたらクビになる?入れ墨で解雇されたときの対処法

タトゥーや入れ墨がバレるのを恐れながら働く方もいます。
いざバレてクビにされると、その解雇は不当だといえることもあります。
タトゥーや入れ墨を理由に辞めざるをえないと、不当解雇なのか疑問でしょう。

面接でタトゥー禁止と言われなかったり、就業規則に記載がなかったりする場合もあります。
さして業務に影響ないなら、不満に思う気持ちもよく理解できます。
このとき、解雇が不当なのかどうか、法律に基づいて判断しなければなりません。

今回は、タトゥーや入れ墨で解雇されたときの対処法を、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • タトゥー、入れ墨もただちにクビではなく、業務に支障が生じるかどうかがポイント
  • 解雇するに相当でない程度のタトゥー、入れ墨なら、不当解雇になる
  • 注意指導したり、代替手段を講じたりせずに解雇することはできない

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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タトゥー、入れ墨は解雇理由となる?

まず、タトゥー、入れ墨で解雇される具体的なケースと、その理由を解説します。

タトゥー、入れ墨があり、クビにされないか恐れる方も多いでしょう。
ましてや入れていることが会社にバレていないならなおさらです。
一方で、「自分の体をどうしようと自由ではないか」という考えもあります。

果たして、タトゥーや入れ墨は、解雇理由になるのでしょうか。
解雇の理由は、就業規則に定められるものの、規定が抽象的でわかりづらい場合も多いです。

業務に支障がある

タトゥーや入れ墨が解雇の理由となるのは、業務に影響があるからです。
業務に支障を生じる入れ方だと、解雇理由となってもしかたありません。
企業としても、安心して働かせることができません。

業務に支障ある例とは、例えば次のケースです。

  • 顔面に入れ墨、タトゥーがある
  • 接客業など、よく顧客と接する業務である
  • 一般に、入れ墨、タトゥーを好まない層がターゲットである
    (例:主婦層など)

業務に影響すると、企業は安心して利益を追求することができません。

タトゥーや入れ墨は、入れていない人には怖いという印象を与えがちです。
業種や、担当する業務によっては、タトゥーや入れ墨のある社員に任せられない場合もあります。
本来、スムーズにいくはずの取引が、イメージが悪くなることで難航することも……。
このとき、入れ墨やタトゥーが、業務の支障になっているといえます。

社会的なイメージが悪い

ファッションとしてのタトゥーは、若者を中心に増加しています。
しかし、今もなお、タトゥー・入れ墨があると反社会勢力とのつながりを想起させがちです。

会社の存続は、取引先企業や一般消費者からの信用で成り立っているもの。
反社会勢力とつながりがあると思われると、大切な信用を失ってしまいかねません。
堅いイメージのある古い業界ほど、このことがあてはまります。

したがって、イメージの悪さから会社の信用を落としてしまうと、クビになる可能性があります。

髭の禁止についての解説も参考にしてみてください。

服務規律に違反する

服務規律に違反すると、解雇されてしまいます。
服務規律とは、企業秩序を守るルールのことで、就業規則に定められています。

服務規律は、染髪の禁止、髭の禁止、酩酊した状態での就労の禁止など、社内の秩序を守るための多くのルールが定められており、会社によっては「タトゥーや入れ墨を入れてはならない」と明示的な規定を置いている例があります。
また、「社員として適性がない場合」といった包括条項が定められることもあります。

服務規律に違反する場合、解雇される理由になります。
ただし、その服務規律が、裁判例などに照らして適切でなければ、解雇は違法となることもあります。

服務規律違反は、懲戒解雇という厳しい処分になります。

懲戒解雇を「不当解雇」だと争うときのポイントも解説しています。

タトゥー、入れ墨による解雇が違法となるケース

タトゥー、入れ墨を理由とする解雇は、違法となる可能性があります。

そこで次に、どういった場合に解雇が違法となるのか、具体例を交えて解説します。

というのも、タトゥー、入れ墨などの容貌は本来、個人の自由。
業務に支障があるなど、例外的な場合に制限されるに過ぎません。

タトゥー、入れ墨による解雇にも、解雇権濫用法理が適用されます。
この点で、判断基準は、他の理由の解雇と違いません。

解雇が適法とされるには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当でなければなりません(労働契約法16条)。

解雇権濫用法理とは
解雇権濫用法理とは

違法な解雇は、「不当解雇」であり、争えば無効となります。

採用時から判明していたタトゥー、入れ墨

解雇が違法となる1つ目は、タトゥーや入れ墨が採用時から判明していたケースです。

採用時から判明していたなら、企業としては入社させない選択もありました。
どんな支障があるかは、想定しておくべきです。
わかって入社させたなら、そのタトゥーや入れ墨は認められたということ。
後からなにか支障があったとしても、ただちに解雇理由にはなりません。

タトゥーや入れ墨を申告していたなら、明確に許容されたといえるでしょう。

また、明らかに許可をとっていなくても、見えていたタトゥーを黙認したなら同じこと。
このとき、タトゥーや入れ墨による解雇に、客観的に合理的な理由はなく、不当解雇です。

採用で違法に差別されたときの対策は、次に解説します。

業務に支障がないタトゥー、入れ墨

解雇せざるをえないのは、業務に支障があるからと解説しました。
逆に、業務に支障を生じないタトゥーや入れ墨は、解雇理由にはなりません。

タトゥーや入れ墨で考えられる業務の支障は、次のものがあります。

  • 担当者のタトゥー・入れ墨が理由で、取引先から契約を打ち切られた
  • 接客をしていた際にタトゥー・入れ墨が見えて、顧客からのクレームが殺到した
  • タトゥー・入れ墨が原因で、予定していた接客業務が担当できない
  • 他の社員を威圧し、適正な職場環境が害された

これらの支障がないのにクビにされたら、違法な不当解雇ではないか、疑うべきです。

隠すなどの手段を検討していない場合

タトゥー、入れ墨のイメージが良くないのは確かで、まったく影響なしとはいえないかもしれません。
しかし、入っている部位、服装などにより、業務への支障は軽減できます。

単に見た目だけの問題ではありません。
態度が威圧的か、誠実な対応ができているか、といった点も大きく影響します。
勤務態度が良く、処分歴もないなら、外見だけを理由にした解雇は相当でないこともあります。

したがって、業務への支障を減らす努力は、会社が指示して行わなければなりません。
タトゥーや入れ墨を隠すなど、代替手段がまったく検討されず、すぐクビにするのは許されません。

注意、指導がない場合

業務へ支障がある場合にも、すぐにクビにしてはいけません。
注意指導なく解雇になったら、違法なものではないか、検討してください。

というのも、解雇がもたらす不利益はとても大きいもの。
解雇が適法だといえるには、それ以外他に方法がないことが必要です。

注意指導をし、改善され、解雇が回避できるならば、それに越したことはありません。

タトゥーや入れ墨は、すぐ消すことはできないものの、隠すことはできます。
「勤務中には袖をまくらない」など、工夫して対策することもできます。
また、場合によっては、異動や転勤で、業務に支障のないところに配転するという手もあります。

違法、不当な異動の拒否は、次の解説をご覧ください。

他の社員のタトゥー、入れ墨が許されている場合

タトゥー、入れ墨のイメージは、業界によっても違います。
少なくとも、会社でタトゥー、入れ墨が許されているなら、あなただけクビなのは不当です。
他の社員も、タトゥー、入れ墨を入れているなら、不当解雇といえるでしょう。

同部署の社員が、注意で済むなら、わざわざ解雇という重い処分をしなくてもよいはず。
その背景には、あなたに対する嫌がらせ、いじめの意図があることもあります。

不当解雇はすぐ弁護士に相談すべきです。

不当解雇に強い弁護士への相談方法も参考にしてください。

タトゥー、入れ墨で解雇された時の対処法

タトゥー、入れ墨で解雇されてしまったら、どう対処すべきか、注意点を解説します。

まず、自分の認識をあらためて見直すのが大切でしょう。

タトゥー、入れ墨を入れている人は、少数はといってよいでしょう。
悪いイメージを持たれがちなのも理解しなければなりません。

しかし、容貌や外観を決めるのは、個人の自由であり、悪いことではありません。
タトゥーや入れ墨を入れているからといってクビにするのは、不当解雇の可能性が高いもの。
あきらめるのは、まだ早いといえるでしょう。

解雇が違法だと感じたら、労働者としての権利を主張して、争うべきです。
少なくとも、退職勧奨に応じて辞めてはいけません。
会社には、次の3点を確認しましょう。

  • 入れ墨、タトゥーで、具体的にどんな支障が生じているか
  • 入れ墨、タトゥー以外に、問題点があるか
  • 他の職種への異動、転勤ができないか

ただ、真面目に取り合ってくれない可能性も十分に考えられます。
交渉するときは、前例がないか調べておくべきです。
配転や異動の希望も通らずクビになったら、解雇の無効を主張し、出社の意思を示しましょう。

働きたくても働けなかったら、解雇が無効なとき解雇期間中の給料(バックペイ)も請求できます。
また、解雇されたら、解雇通知書解雇理由証明書といった書類を必ず請求してください。
タトゥー、入れ墨で生じた業務への支障を、具体的に知ることが、争う際の助けになります。

解雇の争い方について、次の解説を参考にしてください。

そもそも、タトゥー、入れ墨を禁止してもよいのか

これまでは、就業規則自体が有効であることを前提に話を進めてきました。

ただ、タトゥー・入れ墨の禁止は、個人の自由を制限するもの。
そもそも、個人の容貌を制限するような就業規則そのものが、違法の可能性もあります。
会社は労働者の自由を制限できますが、あくまで業務に必要な範囲に限られます。

したがって、不当解雇となる理由の場合、そもそも就業規則が違法でないか検討してください。
タトゥーや入れ墨も、企業秩序の維持が困難なものに限定して禁止されるべきです。

裁判例でも、タトゥーや入れ墨のイメージに言及したものがあります。

大阪高裁平成27年10月15日判決は「現時点の我が国において、反社会的組織の構成員に入れ墨をしている者が多くいることは公知の事実であり、他人に入れ墨を見せられることで不安感や威圧感をもつ」と指摘しており、一般に、イメージが悪いものとすることは仕方ないといえます。

とはいえ、そのタトゥーや入れ墨の内容、見え方によっても変わるでしょう。
価値観は、時代とともに変化するのであり、過去の裁判例がそのままあてはまるとも限りません。
重要なことは、具体的な状況に応じて、その解雇の違法性を判断することです。

労働問題に強い弁護士の選び方は、次の解説をご覧ください。

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、タトゥーや入れ墨を理由とした解雇について解説しました。

結論としては、タトゥー、入れ墨で解雇されてもあきらめる必要はありません。
不当な解雇の可能性は大いにあり、しっかりと争うべきです。

タトゥーや入れ墨を入れるなら、その社会的な影響は考慮しなければなりません。
それでもなお、解雇は、労働者の生活の基盤を失われる厳しい行為。
業務に支障のない範囲なら、ただちにクビにはできません。

どういった状況なら解雇が違法なのか、よく理解し、適切に対処しなければなりません。

この解説のポイント
  • タトゥー、入れ墨もただちにクビではなく、業務に支障が生じるかどうかがポイント
  • 解雇するに相当でない程度のタトゥー、入れ墨なら、不当解雇になる
  • 注意指導したり、代替手段を講じたりせずに解雇することはできない

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