不当解雇・残業代など労働問題に強い弁護士に”イマスグ”相談!!

労働問題弁護士ガイド

解雇

自宅待機命令は違法??給料は支払われる??

投稿日:

会社でセクハラ、パワハラ、横領などの問題行為を起こしてしまうと、会社から、「自宅待機」を命令されることがあります。

この「自宅待機」の命令は、それ自体が懲戒処分なのではなく、懲戒解雇など、より重い懲戒処分のための、事前準備のためのものであり、会社の労働者に対する業務命令であるとされています。

しかし、会社が労働者に対して業務命令をする権利があるとはいえ、自宅待機命令は、どのような場合でも適法なのでしょうか。労働者としては、必ず命令に従わなければならないのかというと、そうではありません。

問題社員として自宅待機を命令されてしまうと、その後には、懲戒解雇、諭旨解雇といった、より厳しい処分が待ち受けているケースも少なくありません。

そこで今回は、自宅待機命令が違法となるケースはないのか、また、自宅待機期間中の給料は支払われるべきであるのかといった問題について、労働問題に強い弁護士が解説します。

1. 「自宅待機」の根拠は?

まず、労働者の立場で、会社から、「自宅待機するように。」、「明日から会社に来なくてよい。」と言われたときには、その意味をよく考えていただかなければなりません。

というのも、このように口頭で自宅待機を告げられたような場合には、労働法を取り扱う弁護士の立場からしますと、次のような、複数の意味に考えられるからです。

  • 「明日から会社に来なくてよい。」というのは、解雇なのではないか?
  • 業務命令による「自宅待機命令」なのではないか?
  • 懲戒処分としての「自宅待機」なのではないか?

それぞれ、「自宅待機」をするという発言を受けたときの、労働者側の対応、違法となる場合が異なりますので、それぞれの初動対応のポイントについて、弁護士が解説していきます。

1.1. 解雇のケース

ブラック企業の中には、「明日から会社に来なくてよい。」と感情的に伝えることによって、よくわからないうちに事実上解雇に追い込んでしまう、というワンマン社長も、残念ながら少なくありません。

そのため、「明日から来なくてよい。」といわれ、今後も会社で働くことが予定されていないような場合、この発言が、すなわち「解雇」を意味するケースもあります。

しかし、日本では、解雇権濫用法理、というルールのもとに、会社の一方的な都合で労働者を解雇することは難しくなっており、このような解雇は「不当解雇」として違法、無効となる疑いがあります。

この場合には、「自宅待機」に黙ってしたがうのではなく、「不当解雇」であるとして争う必要のあるケースもあります。

1.2. 業務命令による「自宅待機」のケース

会社は、労働者と雇用契約を結ぶことによって、労働者に対して、業務上必要な命令をすることができます。これを、専門用語で「業務命令権」といいます。

業務命令権は、雇用契約を結ぶことによって当然発生する会社の権利であり、就業規則や雇用契約書にも記載されていることが多くあります。

しかし、業務命令権があるからといって、「自宅待機」をどのような場合であっても命令することができるわけではなく、あくまでも業務命令権の行使には、「業務上の必要性」がなければなりません。

業務にまったく無関係であったり、必要でなかったりすることは、会社といえども、労働者に対して命令ができないのは当然のことです。

1.3. 懲戒処分の「自宅待機」のケース

さきほど説明した、業務命令による「自宅待機」は、その後の懲戒解雇、諭旨解雇といった、より重い懲戒処分のための調査、準備のために行われることが多くあります。

これに対して、就業規則などに書かれた懲戒処分のメニューの中にも、「出勤停止」という項目がある会社が多いのではないでしょうか。

この出勤停止という懲戒処分は、まさに会社に労働者を越させなくする処分ですから、「自宅待機命令」と、内容としては非常に似ています。

ただ、懲戒処分としての出勤停止の場合には、「懲戒処分」であることから、次のような制限があり、労働者は、この制限を守った適切な懲戒処分であるかを、判断する必要があります。

  • 懲戒処分としての出勤停止には、合理的な理由が必要となります。
  • 懲戒処分としての出勤停止をするに足りる、社会通念上の相当性が必要となります。
  • 懲戒処分としての出勤停止をしたあと、同じ理由で、再度懲戒処分をすることはできません。

2. 自宅待機が違法となるケースとは?

ひとことで「自宅待機」といっても、法律的にどのような意味があるのかによって、対応を考えなければならないことを理解していただいた上で、次に、自宅待機が違法となるケースを、弁護士が解説していきます。

ここで解説するのは、業務命令としての「自宅待機」のケースです。つまり、懲戒解雇など、厳しい処分をする前の準備として、「自宅待機」を命じられた場合の対応についてのお話です。

2.1. 裁量権の濫用は違法!

業務命令権にもとづいて命じられる自宅待機命令は、会社に一定の最良が認められるとされています。

つまり、業務上必要であると考える場合には、会社は、労働者に対して自宅待機を命令することができ、この場合、どのようなケースで自宅待機を命じるかは、会社に一定程度まかされているというわけです。

しかし、裁判例も、次に紹介するように、「正当な理由」のない自宅待機命令を、「裁量権の濫用」であるとして違法と判断しており、労働者としても、どのような場合であっても自宅待機命令にしたがわなければならないわけではありません。

2.2. 7か月の自宅待機を違法としたケース

会社から労働者に対する自宅待機命令を違法と判断した裁判例として、千葉地方裁判所平成5年9月24日判決のケースを紹介します。

この裁判例は、航空会社に雇用された社員が、勤務中にシャンパンを飲んだことを理由に解雇されたケースですが、解雇前に自宅待機を命じられ、その自宅待機命令にしたがわなかったことが、解雇理由の1つとしてあげられました。

しかし、この裁判例では、会社から労働者に対する自宅待機命令は、約「7か月間」にもわたって継続されたことが、自宅待機命令を違法とする1つの考慮要素となりました。

裁判例では、次のようにして、この自宅待機命令を違法であると判断しました。

 千葉地方裁判所 平成5年9月24日判決
  • 「使用者が従業員に対し労務提供の待機を命じることは、当該従業員の労務の性質上就労することに特段の利益がある場合を除き、雇用契約の一般的指揮監督権に基づく業務命令として許される」
  • 「業務命令としての自宅待機も正当な理由がない場合には裁量権の逸脱として違法となる」

つまり、業務命令としての自宅待機は、裁量権があるためある程度自由に可能であるものの、約7か月もの間継続したことには「正当な理由がない」として、この自宅待機命令を、違法であると判断したわけです。

3. 自宅待機命令の「正当な理由」とは?

ここまでお読みいただければ、労働者の立場で、会社から「自宅待機」を命じられた場合には、「正当な理由」がある業務命令かどうかを、しっかり検討しなければならないことをご理解いただけたのではないでしょうか。

会社の側の立場に立ったとすれば、「自宅待機」を命令するわけですから、何らかの理由があるのではないかとは思いますが、これが、労働者側としても甘受しなければならないほどのものであるのかを検討しなければなりませn。

そこで次に、自宅待機命令のケースにおける「正当な理由」について、弁護士が解説していきます。

3.1. 懲戒処分のための調査は「正当な理由」?

自宅待機をおこなう会社が考える、業務上の必要性として、真っ先にあがるのが、懲戒処分のための調査でしょう。

自宅待機を行った後、会社としては、その労働者に対して、懲戒解雇、諭旨解雇といった、より重度の懲戒処分に処することが一般的だからです。

必要な事実調査を行うために、一般的に要する程度の常識的な期間であれば、その自宅待機のための「正当な理由」と判断される可能性は、十分にあります。

3.2. 証拠隠滅のおそれは「正当な理由」?

横領行為、セクハラ行為などの場合には、会社内に、その労働者が行った問題行為を立証するための証拠が、多く存在する可能性があります。たとえば、次のようなケースです。

  • 横領行為
    :入出金履歴、領収書、レシート、請求書など
  • セクハラ行為
    :防犯カメラ、被害者自身、目撃者

そのため、「懲戒解雇になるかもしれない。」といった切羽つまった状態で、労働者が証拠隠滅をするおそれのあることは、自宅待機の「正当な理由」と判断される可能性があります。

ただし、証拠隠滅のおそれがあるからといって、無制限に自宅待機が命じられるわけではなく、さきほど解説したのと同様、その自宅待機を命じられる期間は、懲戒処分を判断したり、再発防止策を判断したりするのに相当な程度に限られます。

3.3. 再発防止は「正当な理由」?

セクハラ行為など、再発を防止することが必須の問題行為を起こしてしまうと、再発防止こそが、自宅待機の正当な理由の1つと判断される可能性があります。

例えば、セクハラ行為をおこなった被害者が同部署にいて、小さな会社で異動・配転も難しいような場合には、再発を防止するため、加害者側の労働者に対して、自宅待機を命令することはやむを得ないことと考えられるからです。

このように、再発防止のためには、加害者側に対する自宅待機命令をすることもやむを得ないケースがあり、この場合、結果的には退職となるおそれも十分にあります。

4. 証拠隠滅防止のための自宅待機は適法?違法?

横領行為をおこなった従業員(社員)に対して、自宅待機を命じた会社の業務命令が、「違法」であると判断された裁判例を紹介します。

この裁判例のケースでは、役員(所長)による業務上横領が発覚したあと、その役員(所長)の営業所の社員にも、横領行為への関与が疑われ、証拠隠滅防止を目的として、自宅待機命令がなされました。

裁判所はこの自宅待機命令に対して、正当な理由のない、裁量権を濫用した業務命令であるとして、違法であるとの判断をしました。

その根拠として、会社が、その労働者に対して横領行為をうたがったことに十分な理由がない、というのが概要です。つまり、憶測で、証拠隠滅を防止するために自宅待機命令を乱発している会社の行為は、違法と判断される可能性が高いといえるわけです。

5. 自宅待機中の給与はもらえる?

ここまでは、自宅待機命令自体が違法であるのかどうか、従わなければならないのかどうかについて解説しましたが、最後に、自宅待機自体はしたがわなければならないとして、その期間中の賃金(給与)が支払われるのかについて、弁護士が解説します。

自宅待機となると、その後には懲戒解雇などの厳しい処分が予想され、無収入となる可能性も高いため、せめて自宅待機期間中の給料がもらえるのかどうかは、労働者としても関心の高いところではないでしょうか。

また、自宅待機後の解雇などを、「不当解雇」として争う場合には、さらに収入的には不安定な状況が続くので、なおさらです。

5.1. 「無給が当然」ではない!

「自宅待機命令」となると、労働者としては責任追及を受けているという立場上、「無給が当然」と我慢してしまう方も少なくないかもしれません。

しかし、労働法の裁判例では、自宅待機命令の期間中といえども、給与が支払われないことを当然であるとはしていません。「欠勤」であれば、欠勤控除によって給与がなくなる会社も多いでしょうが、「自宅待機」は欠勤ではありません。

自宅待機命令が、労働者の都合による「欠勤」ではなく、会社の業務命令を根拠としているからなのです。

5.2. 自宅待機は欠勤ではない!

会社の業務命令にしたがって、労働者が自宅待機をせざるをえないとき、これは、労働者が自身の都合でおこなう「欠勤」とは性質が異なります。

裁判例では、この自宅待機の性質について、「当面の職場秩序維持の観点から執られる一種の職務命令とみるべき」などとされています。

つまり、「職場秩序維持」という会社の都合によって行われるものというわけです。そのため、給料の支払義務はなくならないと判断される可能性が高いといえます。

5.3. 賃金が支払われない自宅待機とは?

ただし、どのようなケースであっても、自宅待機期間中の賃金を支払ってもらえるわけではありません。会社内で重大な問題を起こしてしまったケースでは、やはり賃金をあきらめざるを得ない場合もあります。

自宅待機期間中の給料をもらうことができるかどうかについて、裁判例では、次の点が基準としてあげられています。

  • 労働者を就労させないことについて、不正行為の再発、証拠湮滅のおそれなどの緊急かつ合理的な理由が存在する場合には、賃金は支払われない。
  • 実質的な出勤停止処分に転化させる懲戒規定上の根拠が存在する場合には、賃金は支払われない。

したがって、この2つの条件のいずれにもあてはまらない場合には、自宅待機期間といえども、給与を支払ってもらうよう請求することができると考えてよいでしょう。

6. まとめ

今回は、会社で問題行為を起こしてしまい、会社から「自宅待機」を命じられた労働者の方に向けて、その自宅待機命令が違法となるケースと、その基準について、弁護士が解説しました。

「自宅待機」をいわれ、焦って冷静な対応の困難な方も多いことでしょうが、その業務命令が、正当なものなのかどうか、十分な検討が必要です。

自宅待機命令を受け、その後の懲戒解雇などが不安な労働者の方は、お早めに、労働問題に強い弁護士に法律相談ください。

労働問題に強い弁護士へ相談!

労働問題に強い弁護士へ相談!


ご相談者名(必須) ※フルネームでお願い致します。

メールアドレス(必須)

電話番号

ご住所 ※東京都の事務所での相談が中心となります。

ご相談の内容

労働問題は、弁護士にご相談ください!
不当解雇、残業代、パワハラ、セクハラなど、会社で起こる労働問題にお悩みではありませんか?労働者に有利な解決のためには、労働法、裁判例の知識、解決実績が豊富な弁護士にお任せください!

労働問題に強い弁護士が、あなたの労働問題の解決を、徹底サポートいたします。

-解雇
-, , , ,

Copyright© 労働問題弁護士ガイド , 2018 AllRights Reserved.