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セクハラの加害者必見!示談の流れ、示談書の書き方、示談金の相場

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運営元:弁護士法人浅野総合法律事務所

セクハラの加害者になってしまったとき、気になるのが「示談」の問題ではないでしょうか。「示談金はいくらが相場なのだろうか」という金銭的問題だけでなく、「示談したら有利になるのだろうか」という責任軽減の意味でも、「示談をしたい」と思うはずです。

しかし、セクハラという違法行為をしてしまったことを十分理解し、冷静に行動しなければなりません。

特に、示談の流れを間違えると、被害者の怒りを買ってしまったり、被害者を更に傷つけ二次被害を招いてしまったりと逆効果です。示談金の相場も、セクハラ行為の内容、程度、頻度、回数、期間、被害者との関係などによって様々で、決まったルールがあるわけではありません。

今回は、セクハラ事件を起こしてしまった加害者の立場で、セクハラの示談をうまく進める法律知識について、労働問題に強い弁護士が解説します。

「セクハラ加害者」の法律知識まとめ

セクハラの示談とは?

セクハラ(セクシュアルハラスメント)とは、職場における性的な嫌がらせのことをいいます。セクハラには、性的言動により労働条件に不利益を与える「対価型セクハラ」と、性的言動により労働環境を悪化させる「環境型セクハラ」があります。

セクハラの責任とは?

「おばさん」、「ちゃん付け」、「女はお茶でも出してろ。」といった性差別的な発言はもちろんのこと、外見をほめて不快感を与える行為、尻や胸を触行為、相手の意に反してデートしつこく誘ったり、プライベートで連絡をとったり、性行為を強要したりすることは、全てセクハラです。

セクハラに該当するかどうかは、その行為の態様や被害者の感情によっても異なりますが、セクハラ加害者となると、民事上の責任、刑事上の責任、雇用契約上の責任が重くのしかかります。

最も重度のセクハラでは、強制性交等罪、強制わいせつ罪、暴行罪、傷害罪といった刑事犯罪に該当し、刑事罰を科される可能絵師があります。このように重いセクハラにこそ、示談活動が重要となります。

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示談はセクハラの責任を軽減できる?

悪質なセクハラは、起こってはならないことですが、万が一加害者になってしまったときには、刑事処分を少しでも軽く収めるために、示談が重要となります。

示談は、重度のセクハラをはじめとした刑事事件において、加害者側にとって有利な情状として考慮されるからです。有利な情状が多く集まると、裁判において下される刑事処分は軽くなります。

重度のセクハラの加害者となってしまい、被害者側の処罰感情がとても強く、示談ができず許してもらえず、会社でも懲戒解雇などの厳しい処分を受けたとなると、刑事事件についても裁判所が厳しい判断をする可能性が高まります。

セクハラの示談の流れ、方法

セクハラの示談をするとき、同じ会社で働く上司と部下、もしくは同僚同士が被害者、加害者となることが多いため、「直接連絡をして謝まれば、示談してくれるのではないか。」と軽く考えてしまいがちです。

しかし、セクハラ行為を犯してしまった加害者がこのように考えても、被害を受けた側にとってはとても大きな精神的ダメージであり、二度と顔を会わせたくないと考えていることも多くあります。

そのため、セクハラの示談の流れ、方法は、間に弁護士や会社関係者などが仲介して行われることが一般的です。そこで次に、セクハラの示談の流れについて、弁護士が解説します。

謝罪文と時系列表を作成する

はじめに、セクハラ問題に関する時系列表を作成してください。直接謝罪し、示談をすることが難しい場合、依頼を受ける弁護士は、実際に自分の身に起こったことではないため、できる限り詳しい事情を事前に把握しておく必要があるからです。

その上で、直接の謝罪に替えて、弁護士に代わりに謝罪文を渡してもらうことで、誠意を被害者側に伝えるようにしてください。言葉だけの謝罪だと、弁護士が代わりに行う場合、十分に被害者に伝わらないおそれがあるからです。

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弁護士に相談する

直接の示談交渉がむずかしいセクハラ事案の場合、間に弁護士を入れて、間接的に謝罪の意思を伝えてもらうことがお勧めです。特に、労働問題、セクハラ問題の経験豊富な弁護士であれば、被害者の心情も十分理解しています。

社長や人事部長、上司等、会社の関係者が示談の仲立ちを行うこともありますが、会社はセクハラ加害者の味方ではありません。特に、セクハラが重度であり、かつ、セクハラ被害者の処罰感情が強い場合、会社の立場では、示談を申し出ることすら難しいことも多くあります。

この点では、弁護士は依頼者の味方であり、依頼者の利益に立って示談交渉を進めることができます。

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示談交渉を依頼する

示談交渉を弁護士に依頼したら、弁護士はすぐに動きます。具体的には、まずは書面を送る、もしくは、電話をするといった方法によってセクハラ被害者にコンタクトをとり、示談交渉を進めます。

事前に弁護士との話し合いで、示談金としてどの程度の金額を提示するか、最終的な譲歩案、着地点などについて十分相談をしてください。

最後に、示談交渉が終了し、示談内容の合意に至ったら、そのことを証拠に残して問題を最終解決とするため「示談書」の作成をしてください。

セクハラの示談書の書き方(書式・ひな形)

セクハラの示談交渉が終了し、セクハラ被害者との間で示談が成立したら、そのことを客観的な証拠に残すために、示談書を作成します。

弁護士に依頼して、法的に穴のない有効な示談書を作成することによって、その後に更に、セクハラ被害者から追加の請求を受けることを防ぐことができます。示談書は、刑事責任、雇用契約上の責任を少しでも軽減するための、有利な情状の証拠となります。

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示談書

被害者○○○○(以下「甲」という)と、○○○○(以下「乙」という)とは、XXXX年XX月XX日、株式会社○○○○内にて発生したセクハラ事件(以下「本件」という)について、次のとおり示談をした。

第1条(謝罪)
乙は、甲に対して、~~~という行為をし、多大なる精神的苦痛を与えたことを認め、深く謝罪する。

第2条(示談金とその支払方法)
1 乙は、甲に対して、本件の示談金として金○○円を支払うものとする。
2 乙は、甲に対して、前項の金員を、XXXX年XX月XX日限り、甲の指定する金融機関口座へ振込送金する方法により支払う。なお、振込手数料は、乙の負担とする。

第3条(接触禁止)
乙は、甲及び甲の家族に対して、対面、電話、メール、LINE、その他いかなる方法によっても、業務上の必要性のある場合を除いては接触しないことを確約する。

第4条(宥恕文言)
甲は、本件について乙の謝罪を受け入れ、本件を許し、乙に対する刑事処罰を望まない。

第5条(守秘義務)
甲及び乙は、本件の経緯、本示談書作成の経緯及び内容について、正当な理由なく、第三者に漏洩、口外しないことを確約する。

第6条(清算条項)
甲及び乙の間には、本示談書に定めるものを除いて、何らの債権債務も存在しないことを相互に確認する。

以上

XXXX年XX月XX日

(甲)  ○○○○  ㊞

(乙)  ○○○○  ㊞

セクハラ問題で実際に利用される示談書の見本で、イメージをつかんでいただいたところで、条項ごとに、その内容や意味を解説していきます。

謝罪文言

示談書を作成する際に、「示談書を作成し、自分の責任を軽くしよう」という気持ちが先立つあまりに、下心が被害者に見えてしまうと、当然ながら示談はうまくいきません。特にセクハラの場合、性的な被害を受けた被害者の処罰感情が高い場合が多いです。

示談交渉の目的として、まずは「謝罪」を最優先にして進めるようにしてください。そのため、示談書の内容も、冒頭にて、行ったセクハラ行為の内容を認め、謝罪文言を記載する必要があります。

示談金に関する条項

示談書に記載する示談金に関する条項は、示談金の金額はもちろんのこと、支払方法、支払期限、振込手数料の負担者についても、後に争いにならないよう明確に定めておいてください。

示談金の支払期限は、常識的な範囲でできる限り早くしましょう。1か月以内程度がお勧めです。

接触禁止条項

セクハラ問題の場合には、その後に被害者と加害者が接触することは好ましくありません。そのため、接触禁止条項を入れ、できる限り接触を禁止しておきます。

街中で見かけたとしても、近づいて話しかけたりしてはいけませんし、できる限り、うっかり遭遇してしまわないよう生活しましょう。

ただし、セクハラの当事者が同じ会社に勤務しており、業務上、顔を合わせたりメールをしたりせざるをえない状況の場合には、「業務上の必要性のある場合は、必要最小限の範囲に限り、接触をすることが許される」という内容にしてください。

宥恕文言

宥恕文言とは、「被害者が加害者を許す」という内容の文言です。この宥恕文言があると、特に刑事事件において、単なる示談書よりも有利な情状証拠として扱われることが通常です。

宥恕文言を示談書に記載する場合のほか、別途「嘆願書」という書面を記載してもらい、セクハラ被害について許すという意思表示を明確にしてもらう方法もあります。

守秘義務条項

セクハラが示談で終われば、その後に禍根を残さないのが一番です。

お互いの名誉、信用のためにも、過去のセクハラの事実を言いふらすことはあってはなりません。特に、性的被害について生々しく語ることは、せっかく示談に応じたセクハラ被害者に対して二次被害を与えることとなります。

清算条項

示談書の最後に、清算条項を記載します。清算条項とは、「これで全て終わり、清算する」という意味を持つ条項です。

具体的には、「被害者、加害者の間に、お互いに債権債務がない」ということを確認し、今後請求したり、請求されたりすることがないことを約束します。

セクハラの示談金の相場

セクハラと一言でいっても、その内容、程度、悪質性は様々です。そして、セクハラの違法性・悪質性によって、実際に示談交渉を進めていく際の「示談金の相場」は異なります。

極めて軽微なセクハラであれば、示談金も10万円程度など、少額で解決できる場合があります。軽微なセクハラの場合、被害者の処罰感情もそこまで高くなく、「お金をもらえるのであればそれに越したことは無い。」、「早く示談して解決したい。」と考えることが多いからです。

しかし、意に反して肉体関係(性行為)を持ってしまった等、重度のセクハラの場合、示談交渉は難航します。この場合、「示談金の相場」も、100万円~200万円程度と高額化します。

特に、精神的苦痛に対する慰謝料だけでなく、会社を退職したことによる「逸失利益」や、精神疾患(メンタルヘルス)にり患したことによる慰謝料、治療費などが加わると、支払うべき示談金は高額化する傾向にあります。

セクハラの示談交渉を弁護士に依頼するメリットの1つとして、「示談金の相場」を被害者に示し、相場に近い金額で示談を成立させやすくなる、という点があります。

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「セクハラ問題」は弁護士にお任せください!

今回は、セクハラの加害者となってしまったときに検討すべき「示談」に関する法律知識について解説しました。セクハラの加害者側であっても、弁護士に相談・依頼することにより、将来予想される責任追及を少しでも軽減し、有利な解決を得ることができます。

示談活動は、早期に成立させたほうが、被害者の処罰感情も高まりづらく、また、刑事責任や会社内での責任も進みづらくなります。

特に、被害者が、セクハラ行為によって精神疾患にかかってしまったり、会社を退職してしまったりすると、被害額が大きくなり、示談金額も高額化するおそれがあります。

示談交渉をお考えのセクハラ加害者の方は、ぜひ一度、労働問題に強い弁護士に法律相談ください。

「セクハラ加害者」の法律知識まとめ

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弁護士浅野英之(弁護士法人浅野総合法律事務所 代表)

弁護士浅野英之(弁護士法人浅野総合法律事務所 代表)

弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区銀座)の代表弁護士(第一東京弁護士会所属)。 不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、近年ニュースでも多く報道される労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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