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セクハラ

取引先からのセクハラ被害を受けた労働者が知っておくべき6つの対処法

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悪質なセクハラ事件が、テレビや新聞で連日報道される中、社会のセクハラに対する目はより厳しくなっています。

セクハラ撲滅に向けた政策の一環として、男女雇用機会均等法が改正され、会社に対して職場内でのセクハラ対策を講じることを義務づけられました。

しかし、セクハラの中には、この法制度では防ぎ切れないものも多数存在します。その1つが、取引先からのセクハラ問題です。

営業や接待の場面で行われるセクハラに対しては、立場上受け身になってしまう被害者の方が多く、なかなか被害の声が上がらないのが、この問題の特徴です。

しかし、取引先からのセクハラが許されるということは絶対にありません。セクハラをしてきたのが取引先だからといって、泣き寝入りをすることはありません。

今回は、取引先からのセクハラ問題と、その対処法について、労働問題に強い弁護士が解説します。

1. 取引先からのセクハラ問題とは?

セクハラとは、簡単にいうと、性的言動による嫌がらせのことです。

通常は、人事評価や労働条件においての不利益な取り扱いをチラつかせて性的行為を強要したり、ボディータッチや卑猥な発言で従業員をはずかしめたりといった、社内で行われるセクハラのケースを想定しています。

顧客や取引先からのセクハラ問題は、契約締結を条件に性的言動を迫ったり、「取引先」「顧客」という力関係をもとに性的な嫌がらせを行ったりといったケースであり、職場内でのセクハラとは若干問題状況が異なります。

したがって、セクハラと一口にいっても、取引先や顧客からのセクハラ問題には、特に対処法を理解しておかなければ、放置して悪化しがちなのです。

2. 取引先からのセクハラの具体例

取引先からのセクハラは、営業活動のいたるところで起きています。「取引先だから断れない。」といった、セクハラ被害者の悲痛の叫びを見逃さないようにしてください。

取引先や顧客からのセクハラの具体例としては、次のようなケースが挙げられます。

 例 
  • 取引先のオフィスでの商談中に、取引先社長から「胸が大きいな。」「太りすぎ。」など、体型をからかうような発言を繰り返し浴びせられる。
  • 取引先の部長から「打ち合わせ」と称して頻繁に食事に誘われる。
  • 接待の席で、酒に酔った取引先の役員に体を触られる。
  • 顧客から、プライベートのLINEに土日や夜間も頻繁に連絡が来る。
  • 肉体関係を持たなければ、契約更新をしないと言われる。

3. 取引先からのセクハラ被害にあったら?

では、実際に自分が、取引先や顧客から、セクハラの被害にあってしまったら、どのように対処したらよいのでしょうか。

特に、会社にとって重要な「大口顧客」、「お得意様」からのセクハラの場合、「会社に相談しても対応してくれないのでは?」と不安、心配が募ることでしょう。

そこで、取引先や顧客からセクハラ被害を受けている労働者が、知っておくべき対応策について、弁護士が解説します。

3.1. 取引先のセクハラは違法!

セクハラは、被害者従業員に対する嫌がらせ行為ですから、たとえ会社にとって重要な「取引先」、「顧客」であるからといって許される行為ではありません。

セクハラ被害を受けて、被害者に精神的なショックやストレス、肉体的なダメージがあれば、そのセクハラは民法上の「不法行為」に当たります。

3.2. 慰謝料を請求できる

セクハラによって受けた上記のような精神的・肉体的苦痛については、セクハラ加害者に対し、慰謝料をはじめとした損害賠償請求をすることができます。

その根拠は、民法上の「不法行為」に基づく請求です。

3.3. 悪質なセクハラは犯罪になる

ここまでのお話は、取引先や顧客にセクハラ行為をされたときの、民事上の金銭請求についての解説でした。

しかし、セクハラの程度が酷い場合には、名誉毀損罪や侮辱罪、強制わいせつ罪や強制性交等罪などの重大な犯罪に該当するケースもあります。

このような悪質なセクハラ行為の場合には、警察や検察に対して、刑事告発することも可能です。

4. 取引先の会社の責任は?

セクハラ行為の加害者が、取引先や顧客の中で、重要なポジションにある場合には、セクハラ被害者が個人で被害を訴えても、なかなか対応してもらえず放置されがちです。

そこで次に、セクハラ行為の加害者はもちろんのこと、セクハラ行為の加害者を雇っている「取引先」や「顧客」の会社自体にも責任追及をしていくことができるケースについて、弁護士が解説します。

「取引先」や「顧客」という力関係において上位にあることから慢心していた会社であっても、会社自体の責任を追及されるとなると、あなたが被害にあったセクハラ行為に対処せざるを得なくなるといってよいでしょう。

4.1. 「使用者責任」を追及できる

取引先が個人顧客ではなく、会社である場合には、加害者個人だけでなく、取引先の会社に対する責任追及が可能な場合があります。

会社は、「事業の執行」に際して従業員が他人に与えた損害を賠償する責任を負っています(この責任のことを民法上の「使用者責任」と呼びます。)。

被害者従業員は、条件を満たせば、取引先の会社に対しても損害賠償を請求することができます。

4.2. 「事業の執行」といえるかがポイント

取引先の会社に対して「使用者責任」を追及するためには、加害者従業員のセクハラが取引先の会社の「事業の執行」に際して行われたものである必要があります。

「事業の執行」と言えるかどうかは、外観上、会社の事業活動に関連する活動中に行われたものかどうかで判断されます。

4.3. 営業や接待でのセクハラは「事業の執行」に含む

営業や接待は、取引先の会社に契約締結や契約継続を求める「売り込み」行為であり、会社の事業活動に深く関わるものです。

営業や接待を受けることは、取引先の会社にとっても、自社の事業活動に密接に関連する活動だといえます。そのため、営業や接待の場でのセクハラは「事業の執行」に際して行われたものだといえます。

したがって、営業や接待の場でセクハラ被害を受ければ、通常は取引先の会社に対しても「使用者責任」の損害賠償を請求できることになります。

5. 勤務先の会社の責任は?

仕事上出向いた取引先や顧客から、セクハラ行為をされてしまった被害者の方とすれば、業務上の活動によってセクハラの被害にあったのですから、勤務先の会社にも、慰謝料などを支払ってもらいたいと考えるのではないでしょうか。

そこで、取引先や顧客からのセクハラ被害について、勤務先の会社に対して責任追及が可能であるかどうかについて、弁護士が解説します。

5.1. 職場内のセクハラ対策義務

職場内でのセクハラ問題については、男女雇用機会均等法11条1項が、会社に対して適切な対策措置を講じることを義務づけています。

男女雇用機会均等法11条1項

事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

同法が念頭に置いているのは、「職場内」で起こるセクハラ問題への対策ですが、たとえセクハラ行為が会社外で行われたとしても、仕事の営業で外回りをしたり、出張であったりといった場合、会社内でのセクハラと何ら変わりはありません。

そのため、勤務している会社もまた、取引先や顧客からのセクハラ行為について、防止する義務があります。

5.2. 安全配慮義務

勤務先の会社が、従業員が取引先から受けるセクハラ被害について何ら責任を負わない、ということではありません。このことは先程解説したとおり「職場内」というのが、必ずしも会社のオフィス内だけを指すのではないことからも明らかです。

労使間の雇用契約について定めた労働契約法5条は、会社に対して、従業員が健康かつ安全に働けるように配慮すべきことを義務づけています(「安全配慮義務」と呼びます)。

労働契約法5条

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

勤務先の会社は、この雇用契約上の安全配慮義務に基づいて、自社の従業員を取引先のセクハラ被害から守る責任を負っています。

5.3. 会社に協力をあおぐこと

取引先からセクハラ被害を受けた被害者従業員の方は、勤務先の営業ノルマとの板挟みにあい、自分ではセクハラ被害の声を上げにくい場合が多いと思います。

しかし、少なくとも、自分が勤める会社に相談することは可能なはずです。

会社には安全配慮義務があるため、被害を受けた従業員の方としては、安全配慮義務の実践として取引先の会社にセクハラをやめてもらうよう交渉してもらうなど、勤務先の会社に協力をあおぐようにしましょう。

5.4. 義務違反の会社には賠償請求!

取引先からのセクハラ被害を相談して協力を求めたにもかかわらず、勤務先の会社が何ら具体的な対応をしてくれない場合、勤務先の会社は安全配慮義務に違反します。

そのため、迅速な対応をしてもらえなかったことにより取引先からのセクハラ被害が拡大したときには、勤務先の会社に対しても契約責任としての損害賠償を請求できます。

6. 取引先からのセクハラ対処法

ここまで、取引先からのセクハラ問題と、各当事者が負う法的な責任について解説してきました。

以下では、上記の解説を踏まえて、取引先からのセクハラ被害を受けた際の対処法について、弁護士が解説します。実際に取引先からのセクハラ被害を受けてしまった労働者の方は、お早目に弁護士にご相談ください。

6.1. まずは勤務先の会社に相談する

取引先との契約ノルマを負っている被害者従業員にとって、取引先の会社に直接セクハラ被害を訴えるのは得策ではありません。

言いづらいことはもちろんですが、下手を打って取引先の機嫌を損ねてしまえば自身の人事評価にも関わります。

そのため、取引先からセクハラ被害を受けた場合には、まず、勤務先の会社の窓口に相談して適切な対応を求めるべきです。

6.2. 録音して証拠を確保

裁判を起こすにしても、勤務先の会社に協力してもらうにしても、顧客や取引先従業員からセクハラ被害を受けたことを証明する必要があります。

そのためには、セクハラ被害を裏付ける「動かぬ」証拠を確保しなければなりません。セクハラは人目につかない水面下で行われることが多く、有力な証拠を収集するのが困難だからです。

そのため、セクハラ被害を受けそうなときは、録音アプリやICレコーダーを活用して証拠を確保しておくのがオススメです。

6.3. 弁護士に依頼するメリット

勤務先の会社に相談しても、相手が大口の取引相手の場合には及び腰になり、適切な対応をしてくれないこともあります。

また、セクハラ加害者が個人顧客やワンマン社長の場合には勤務先の会社の働きかけにもかかわらず、セクハラ被害が解消されないケースもあります。

そうした場合には、被害者従業員が自ら損害賠償などの法的手段に出なければなりませんが、法律の専門知識や経験が必要な各種手続を1人で進めることは非常に困難です。

法律のプロである弁護士に依頼すれば、面倒な法律手続は全て代行してもらえます。

また、早期にセクハラ被害を相談しておけば、勤務先や取引先の会社との交渉、証拠の収集、加害者本人との示談交渉もトータルサポートしてもらうことができ、有利に問題を解決できます。

7. まとめ

今回は、取引先からのセクハラ問題と、その対処法について、弁護士が解説しました。

セクハラ加害者が取引相手であるために文句を言えず、不幸にもセクハラ被害に苦しむ方も少なくありません。

しかし、職場内でのセクハラが違法であるのと同様、会社外の人物に対するセクハラ行為もまた、違法行為です。セクハラ被害を受けたのが出先だったからといって、泣き寝入りをする必要は全くありません。

取引先からのセクハラ被害に苦しんでいる労働者の方は、労働問題に強い弁護士にお早目に法律相談ください。

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