セクハラ

同性からのセクハラの被害にあったら対処法は?慰謝料請求できる?

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運営元:弁護士法人浅野総合法律事務所

セクハラ(セクシュアル・ハラスメント)が社会問題化しています。「セクハラ」というと、「女性が被害者、男性が加害者」というイメージをお持ちになる方もいますが、これに限られるものではありません。

性(性自認・性的指向)の多様化にしたがい、「LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)」の権利尊重が叫ばれています。そして、LGBTの方は当然ながら、そうでくとも、同性から性的な嫌がらせを受けるケースは少なくありません。そのため、同性間(男性同士・女性同士)のセクハラ問題の理解が必要です。

自分が同性からセクハラを受け、「セクハラ被害者」の立場になってしまったときはもちろんのこと、自分の同性に対する行為がセクハラ扱いされ「セクハラ加害者」とされてしまうこともあります。

「会社には隠しているけれどもLGBTだ」という性的マイノリティも少なくなく、同性だからといって無神経、無遠慮な性的行為、性的発言をすることは控えなければなりません。

今回は、同性からのセクハラ被害の実態と、いざ同性同士のセクハラトラブルで被害者・加害者となったときの適切な対処法を、労働問題に強い弁護士が解説します。

「セクハラ」のオススメ解説

「同性間」でもセクハラ問題は起こり得る!

「女性から男性」、「男性から女性」という異性間でなく、たとえ同性間であっても、セクハラ問題が起こることがあります。

セクハラ被害者の性自認が見た目と異なる場合、すなわち、対象者がLGBTの場合にセクハラとなり得るのは当然ですが、性的少数派(性的マイノリティ)でなくとも、同性からベタベタと体を触られたり、必要以上に近い距離に接近されたりすることに不快感を示す人も多いものです。

特に、男性同士の場合には、「下ネタ」や「飲み会のノリ」と称して性的発言、性的行動をとる人もいますが、真面目な性格な人ほど、「セクハラだ」と感じて悩んだり、精神的苦痛を感じたりします。

更には、対象者がLGBTの場合には尚更、「LGBTであることを馬鹿にされた」、「からかわれた」と感じるなど、性的な嫌がらせ(セクハラ)だと評価できることも十分あります。

まず初めに、同性間(男性同士・女性同士)でも起こり得るセクハラ問題について、どのような行為、言動が問題視されているのかを、弁護士が解説します。

被害者がLGBTの場合

性的発言、性的行動の対象者がLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)である場合、同性間であってもセクハラが成り立つ可能性が非常に高いです。

特に、見た目の性別と性認識(性自認)が異なる場合には、たとえ同性間(男性同士・女性同士)でも、キスされたり、抱き着かれたり、からだを触られたりといった行為が、男女の場合と変わらない性的嫌がらせの対象になる可能性が十分にあります。

LGBTの定義は、次の通りです。

もっと詳しく

  • 【L】レズビアン:女性同性愛者(女性を愛する女性)
  • 【G】ゲイ:男性同性愛者(男性を愛する男性)
  • 【B】バイセクシュアル:両性愛者(男性・女性どちらも愛する性)
  • 【T】トランスジェンダー:性的越境者(自身の性に違和感・嫌悪感を感じる性)

なお、LGBTは性的マイノリティ(性的少数者)の典型例として挙げられますが、性の多様化により、これ以外の性自認を有する人も増えています。

例えば、好きになる性を持たない「Aセクシュアル」、恋愛感情は抱くが性的感情を抱かない「ノンセクシュアル」がその例です。

LGBTがセクハラの被害者となる場合、基本的に、「身体的性(体が男性・女性のいずれであるか)」ではなく「性自認(自身がどのような性だと自認しているか)」で判断をすべきです。「身体的性」が男性であっても、「性自認」が女性である場合には、男性からの性的発言、性的行動に嫌悪感を示し、セクハラだと感じるのは当然です。

また、LGBTであることで、「身体的性」が「性自認」に近づき、その結果「正常ではない」という批判を受けたり、馬鹿にされたり、からかわれたり、性的行為をことさら強調して行われたり、といったセクハラの被害に遭ってしまうおそれもります。

例えば、LGBTが被害者となる、同性間のセクハラには、次のような発言、言動があります。

ココがポイント

  • 「オカマ」、「ホモ」など、LGBTを蔑視する呼び名を使う。
  • 「男らしくない。」「女々しい」など、性認識が異なることを馬鹿にする。
  • LGBTであることに対する不快感をあらわにする(「気持ち悪い。」等の発言)。
  • LGBTであることを理由に労働条件を悪化させる。
  • 殊更に性差別的なことがらを吹聴する。

その他、異性間でセクハラとなる言動が、LGBTであってもセクハラに該当することは当然です。

チェック
セクハラ発言になる7つの言葉と、セクハラ発言を受けたときの対処法

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男性同士(男性間)のセクハラ

対象者やセクハラ加害者が、LGBTの場合はもちろん、LGBTでなくても、同性間のセクハラが発生するケースは十分に考えられます。たとえ同性に性的な興味が全くなかったとしても、同性からキスされたり抱き着かれたり、性器に接触されたりといった行為を不快に思うのは当然です。

しかし、酒の席や、下ネタのノリで、同性間での軽いタッチが頻繁に行われ、そこから徐々にエスカレートして「いじめ」に繋がるケースも残念ながら少なくありません。

LGBTでなくても、同性間でのセクハラの対象となる行為には、次のようなものがあります。

ココがポイント

  • 男性同士(男性間)で、酒のノリで性器にタッチし、過剰に触り続ける。
  • 男性同士(男性間)で、性的な質問をことさらに繰り返す。
  • 男性に対して、飲み会のノリで全裸を強要する。
  • 男性に対して、罰ゲームで社内の女性社員への告白を強要する。

特に、男性同士のセクハラでは、飲み会のノリ、酒のノリ、下ネタといったケースが多く相談されています。男性同士では、「体育会系ノリ」や「下ネタ」に乗れないと人間関係が築きづらかったり、会社に居づらくなってしまったりといった理由で、裸踊りや罰ゲームを我慢してしまいがちだからです。

女性に対して裸になることを強要すればセクハラになるのは自明の理ですが、男性に対しては境界が曖昧になりがちです。しかし、ノリや下ネタが好きな人ばかりではないのは当然ですから、「セクハラ被害」といえます。

女性同士(女性間)のセクハラ

男性間のセクハラと同様に、女性間でも、同性間のセクハラが発生するケースがあります。

飲み会のノリ、体育会系ノリ、下ネタを理由として行われる男性同士(男性間)のセクハラに比べ、女性同士(女性間)のセクハラは陰湿です。女性同士(女性間)のセクハラは、他の社員に見られないところで、隠れてこっそり行われることも少なくなく、陰湿で、ときに苛烈ないじめに繋がることもあります。

例えば、女性同士(女性間)で発生する可能性のあるセクハラとして、次のような言動、発言があります。

ココがポイント

  • 女性同士(女性間)で、胸を執拗に揉みしだく。
  • 女性同士(女性間)で、尻を執拗に触り続ける。
  • 女性に対して、性的なことがら(恋愛、彼氏の有無)を執拗に追求し続ける。
  • 女性に対して、体型(体重、スリーサイズなど)を明らかにするよう強要する。
  • 同性同士(同性間)のセクハラにあたる発言・行為

    さきほど解説したとおり、同性間だと、セクハラにあたる発言、言動が、どの程度の範囲からなのか、「セクハラの線引きが難しい」ということが多くあります。

    例えば「胸を執拗に揉む」行為は、男性上司が女性部下に行えば「セクハラ」となるのが明らかですが、女性上司が女性部下に対して行った場合には、「軽いノリで」と言い訳されてしまうこともあるからです。

    しかし「セクハラかも?」と疑問、不安を持ったまま放置し、精神的苦痛をつのらせ、大きなストレスを抱えることはお勧めできません。

    同性間(同性同士)でも、次のような行為があった場合、セクハラの疑いがあります。「セクハラかも?」という不安、お悩みのある労働者の方は、労働問題に強い弁護士へ、お早めに法律相談することをお勧めします。

    ココがポイント

    • 執拗に、性生活について明らかにするよう迫る(「好きな体位は?」「週何回エッチする?」など)。
    • プライベートな恋愛、結婚についての情報を質問する(彼氏の有無、結婚・離婚歴の有無など)。
    • 身体に関すること、性的事項について執拗にイジる(女性に対する体型、スリーサイズ、男性に対する性器の形状、大きさなど)。
    • 執拗に近い距離に密着する。
    • 拒否されても、何度も食事に誘い、交際を求める。

    加えて、事実ではないことであっても、噂を流すことで、労働環境を悪化させることが、セクハラにつながる場合があります。

    例えば、「あの子は会社内で何人もエッチしている」、「ヤリマンビッチだ」、「ヤリチンだ」といった性的な噂を流すことは、異性間ではもちろん、同性間であっても、性的発言によって労働環境を悪化させる、セクハラになります。

    同性間(男性同士・女性同士)はセクハラでなく、パワハラ?

    同性間(男性同士・女性同士)のセクハラが成立する可能性が十分にあるのは当然ですが、「同性同士の場合には、『パワハラ』にもあたるのではないか?」という相談を受けることがあります。

    セクハラ(セクシュアル・ハラスメント)は、「性的な嫌がらせ」と和訳されますが、加害者にとって「性的な意図」がなかったとしても被害者にとっては十分「嫌がらせ」にあたる場合もあるからです。この場合、パワハラに当たる可能性があります。

    パワハラは、会社内における優越的な地位を利用した嫌がらせのことです。

    パワハラは男女の性別を問わず成立します。つまり、パワハラは男性同士でも女性同士でも当然に成立するわけです。

    したがって、性的少数者(性的マイノリティ)であることを会社内で隠している場合など、同性間でのセクハラ被害を訴えることが人間関係的に難しかったり、恥ずかしかったりという場合、「パワハラ問題」として相談する手もあります。

    「パワハラ」のオススメ解説

    同性間のパワハラにあたる発言、行為

    同性間での執拗なデートの誘い、肉体関係の強要など、「セクハラでは?」と疑われる行為の中でも、上司・部下の関係を利用したものは、パワハラにもあたる可能性があります。

    セクハラもパワハラも、いずれも民法における「不法行為」に当たる違法な行為であり、慰謝料請求の対象となりますから、疑問のまま放置し、泣き寝入りする必要はまったくありません。

    例えば、同性間で、上司と部下の関係にあり、私生活上の性生活に関すること(彼女の有無、結婚生活の詳細、肉体関係の有無、頻度など)を明らかにするよう強く求めたり、社員全員の前で発表させたりすることは、同性間のセクハラであると同時に、パワハラにもあたります。

    同性間のパワハラが違法となる基準

    「パワハラとして違法行為かどうか。」という点については、「指導の目的があるかどうか。」すなわち、「適切な業務命令、注意指導とパワハラとの境界」という点の判断が重要となります。

    ただ、同性間のセクハラにもあたりうるようなケースでは、その行為、言動の違法性は明らかであるといってよいでしょう。

    たとえ同性間で、かつ、上司部下の関係にあって指導の目的があったとしても、性的な言動を行うことは、業務上必要であるとは到底いえないからです。

    基本的には、セクハラにもなりうるような発言、言動であれば、被害者の感じ方が重視されます。「同性間だが、セクハラかもしれない。」と感じたら、次に説明します通り、早めに対応していくことが重要です。

    同性間のセクハラ被害者となったときの対処法は?

    最後に、同性間のセクハラ被害にあってしまったとき、どのように対処していくのが適切かについて、弁護士が解説します。

    今回解説しましたとおり、同性間でもセクハラが成立することを理解して頂ければ、同性間のセクハラの対処法が、異性間のセクハラの対処法と同様のものが有効となることを理解頂けるのではないでしょうか。

    しかし、特に同性間のセクハラでは、セクハラ加害者側が「まさか同性間でセクハラが発生するとは思わなかった」、「嫌だと思っているとは知らなかった」という場合が多いため、「明確に拒絶の意思表示をする」という対処法が、異性間のセクハラにも増して重要となります。

    同性間のセクハラの相談先は、会社内で解決可能な軽度のセクハラであれば、会社内の相談窓口(人事部・総務部や、小規模な会社の場合には社長など)に相談します。しかし、次のような悪質性の高いセクハラの場合、弁護士にご相談ください。

    • 重度のセクハラ
    • 軽度であっても継続的に続く嫌がらせ的なセクハラ
    • 社長が加害者となっているセクハラ
    • 同性間のセクハラに関する相談について会社がまともな対応をしてくれないケース

    セクハラ発言、言動は、誰も見ていないところでこっそり行われることが多いため、労働審判や訴訟などで、セクハラの慰謝料を請求しようとしても「証拠がない」というケースが少なくありません。

    同性同士(男性同士・女性同士)でもセクハラが成立するとはいえ、異性間のセクハラに比べれば例外的です。証拠が全く存在しないと、「男性同士でそのようなセクハラをはたらくことは、通常ないだろう」というように、推測でセクハラ行為を否定されてしまいかねません。

    同性間でも「セクハラかも」とお悩みの際には、すぐに録音、セクハラ行為のメモなどを作成し、客観的にセクハラ行為を証拠化しておくようにしてください。

    「セクハラ」の法律相談について

    「セクハラ問題」は弁護士にお任せください!

    今回は、同性間(男性同士・女性同士)でもセクハラが成立しうることと、同性間(男性同士・女性同士)でセクハラ被害者になってしまったときの対処法・相談窓口などについて、弁護士が解説しました。

    同性間だとセクハラの判別が難しく、会社の人事などに相談しても「考えすぎなのでは?」、「○○さんがそんなことするはずがない」というように馬鹿にされるのではないか不安になり、我慢してしまう方も少なくありません。そもそも性的マイノリティ、LGBTであることを会社に告げていない方にとって、セクハラ被害を訴えることは更に勇気の要ることです。

    しかし、被害者がLGBTであるケースは当然、そうでなくても同性間でもセクハラが起こり得ることを理解しなければなりません。「セクハラ」と言えずとも「パワハラ」等その他の違法行為になる可能性もありますから、違法、不当な扱いには明確に拒絶しなければなりません。

    セクハラ問題にお悩みの方は、同性間(男性同士・女性同士)やLGBTが論点となるケース等、人には言い出しづらい問題も丁寧にお聞きします。安心してご相談ください。

    「セクハラ」のオススメ解説

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    弁護士浅野英之(弁護士法人浅野総合法律事務所 代表)

    弁護士浅野英之(弁護士法人浅野総合法律事務所 代表)

    弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区銀座)の代表弁護士(第一東京弁護士会所属)。 不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、近年ニュースでも多く報道される労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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