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セクハラしたら懲戒解雇される?解雇されたら対応策は?

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運営元:弁護士法人浅野総合法律事務所

セクハラを行ってしまった場合、セクハラ加害者は、当然ながら会社内で責任追及をされることとなります。

セクハラ加害者の責任には「雇用契約上の責任」、「民事上の責任」、「刑事上の責任」の3つがありますが、会社内で追及される責任は「雇用契約上の責任」です。そして、その中でも最も重いのが「懲戒解雇」です。

「懲戒解雇」は、社内の秩序を乱したことによって会社が労働者に下す制裁(ペナルティ)である「懲戒処分」のうち、最も重い処分です。セクハラ行為が社内の秩序を乱すことは当然ですので、セクハラ加害者に対しても懲戒処分、懲戒解雇が下されることがあります。

セクハラは、重大な問題行為であり、セクハラの程度が重く、悪質性・違法性の大きいケースでは、「懲戒解雇」となってしまうケースもあります。

では、セクハラをしたら懲戒解雇をされてしまっても仕方がないのでしょうか。セクハラを理由とする懲戒解雇と、その対応策について、労働問題に強い弁護士が解説します。

「セクハラ加害者」の法律知識まとめ

懲戒解雇となりやすい重度のセクハラとは?

まず、「セクハラ」と一言でいっても、その態様はさまざまです。

「女性社員の前で下ネタ発言をし、不快な思いをさせた。」、「会社内でアダルト雑誌を広げた。」といった軽度のセクハラの場合には、労働審判や裁判などの方法ではなく、まずは会社内での注意指導によって解決される場合もあります。

軽度のセクハラでは、まず懲戒解雇となることはないと考えられます。強制性交等罪、強制わいせつ罪などの刑法上の責任を負うこともありません。

これに対して、懲戒解雇にされてしまっても仕方ないような「重度のセクハラ」とは、例えば次のようなケースです。

強制性交等罪など、犯罪にあたるセクハラ

セクハラは、重度な場合には、次のような犯罪行為にあたる可能性があります。

セクハラ加害者の責任には、「雇用契約上の責任」、「民事上の責任」、「刑事上の責任」がありますが、そのうち最も重い「刑事上の責任」が科せられるケースです。

「重度のセクハラ」の例

  • 強制性交等罪・準強制性交等罪
  • 強制わいせつ罪
  • 脅迫罪
  • 暴行罪・傷害罪
  • 強要罪
  • 名誉棄損罪・侮辱罪
  • 逮捕・監禁罪

犯罪行為にあたるということは、そのセクハラ行為は、刑法にしたがって刑事罰の対象となるということです。

犯罪行為にあたるような重度のセクハラの場合、悪質性・違法性が高いと判断されますから、会社内においても重い処分となる可能性が高く、懲戒解雇とされても争うことが難しいケースも多いといえます。

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度重なる注意指導があってもしつこく続くセクハラ

軽度なセクハラであれば懲戒解雇されないのかというと、必ずしも言い切れません。

軽度のセクハラの場合、まずは注意指導や懲戒処分によって、セクハラをやめるよう指導があり、会社内で解決することが多いかと思います。再発防止策がとられ、再度セクハラが起こらなければ、それ以上厳しく処分されることはありません。

しかし、軽度のセクハラであっても、再三の注意指導があっても、しつこく続けていたような場合には、重度なセクハラと同様、懲戒解雇とされる可能性があります。

度重なる注意指導にもかかわらずセクハラを繰り返す社員は、「ストーカー犯罪」を犯すおそれもあり、企業秩序を乱す程度も大きいため、懲戒解雇をすることによって厳しく処分する必要性があるからです。

「セクハラで懲戒解雇」が不当解雇になるケースとは?

ここまでお読み頂ければ、セクハラを軽く見てはならず、セクハラをしてしまえば、懲戒解雇を含めた重い処分となるおそれがあることは、十分理解していただけたのではないでしょうか。

しかし、懲戒解雇は、たとえセクハラを行ってしまった労働者に対してとはいえども、非常に厳しい処分です。懲戒解雇になると、会社に居続けることができないことは当然、次のような不利益があるからです。

ココに注意

  • 懲戒解雇となると退職金が不支給・減額となる。
  • 懲戒解雇となると、失業保険について、受給期間、給付制限、金額の点で不利になる。
  • 懲戒解雇となると再就職が難しくなる。
  • 懲戒解雇となると、再就職先・転職先で再度解雇とされるおそれがある。
  • 懲戒解雇となると、同業他社などで評判が下がり、転職が困難となるおそれがある。

以上のように、懲戒解雇は労働者の人生を大きく左右する重大な処分であることから、一定の条件を満たさなければ、「不当解雇」として違法、無効となります。

そこで次に、セクハラで懲戒解雇された場合に、不当解雇となるのではないか?という疑問を解消するため、すぐにチェックしておいてほしいポイントについて、弁護士が解説します。

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会社のセクハラ対策が不十分なケース

わざとセクハラ行為を行うなど、故意に違法な行為をすることは許されるわけではありませんが、「セクハラ」との自覚なく行ってしまっていて、今は反省しているというケースもあります。

セクハラの被害者を出さないために、加害者となってしまった従業員(社員)はもちろんですが、会社もまた、セクハラを防止するための対策をとらなければならないとされています。

会社が、セクハラのない安全・安心な環境で労働者を働かせるよう配慮する義務を、専門用語で「安全配慮義務」といいます。

会社が、常日頃から、セクハラ防止の対策を徹底していたかどうか、懲戒解雇となってしまった場合にはすぐにチェックしてみてください。

会社のセクハラ教育が不十分なケース

同様に、会社は労働者に対して、「何がセクハラにあたるのか。」をきちんと指導、教育し、社内のセクハラを防止する義務を負っています。

厚生労働省の出す「セクハラ指針」にも、周知徹底、指導、教育が重要であることが記載されています。

特に、セクハラにあたるかどうかが微妙な行為について、労働者が無知であったがために、自覚なく行ってしまったセクハラ行為の場合には、会社が教育をしていなかったことにも責任があると判断されます。

そのようなセクハラにあたるかどうかが微妙な行為によって、会社から懲戒解雇とされてしまった場合、会社のセクハラ教育が万全であったかについても振り返ってください。

就業規則に「セクハラは懲戒解雇」と定められていないケース

懲戒解雇をするためには、懲戒解雇の理由が、就業規則に記載されていなければならないこととされています。

セクハラを理由として懲戒解雇するのであれば、就業規則に、セクハラの場合に懲戒解雇とするための根拠が定められている必要があります。

そこで、セクハラを理由に懲戒解雇とされてしまった場合には、就業規則をチェックし、セクハラの場合に懲戒解雇とする権限が会社にあるのかどうか、確認してみてください。

なお、「セクハラの場合には懲戒解雇する」と明記されていなかったとしても、「その他、企業の秩序を乱したとき。」といった一般的な規定にしたがって懲戒解雇とされてしまうケースもあります。

解雇予告手当が支払われないケース

懲戒解雇となった場合であっても、解雇予告手当を支払わなくてもよいわけではありません。

労働者を解雇する場合には、30日以上前に予告をするか、不足する日数分の解雇予告手当を支払う必要があると、労働基準法で定められているからです。

重度のセクハラのように、会社内で大きな問題となって懲戒解雇となるケースでは、予告期間を置くことは少なく、「即日解雇」とすることがほとんどです。

しかし、即日解雇の場合、解雇予告手当を支払わなくてもよくなるためには、労働基準監督署による「除外認定」という制度を利用して、適切な認定を受ける必要があります。そして、この「除外認定」の取得はさほど容易ではなく、相当重度のセクハラでなければ、認定を受けられない可能性もあります。

ただし、解雇予告手当が未払いであることだけを理由には、懲戒解雇が「不当解雇」と評価されない場合があります。

弁明の機会を与えられていないケース

セクハラが行われたという事実を、セクハラ被害者である女性社員の言い分だけを信じて懲戒処分とすることは、不当であると言わざるを得ません。

特に、懲戒解雇という重い処分を下す場合には、セクハラ加害者とされている従業員の言い分を聞かなければ、不当解雇とされる可能性が高いといえます。

したがって、セクハラを理由に懲戒解雇とされてしまったとしても、懲戒解雇の前に弁明の機会が十分に与えられていない場合には、懲戒解雇について会社と争うことが可能です。実際には、セクハラの冤罪(えん罪)であるといったケースもあるでしょう。

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懲戒解雇になるかどうかは、セクハラの程度次第!

懲戒処分と一言でいっても、その中には、非常に厳しい処分から、注意や警告を意味する軽い処分まで、さまざまな「メニュー」があります。

懲戒処分の程度は、例えば次のとおりです。懲戒処分は、就業規則に記載しておく必要があるため、どのような懲戒処分が準備されているかは会社ごとに異なります。詳しくは、働いている会社の就業規則を確認してください。

「懲戒処分」の例

  • 重度の懲戒処分・・・懲戒解雇
  • 中程度の懲戒処分・・・出勤停止、降格、減給
  • 軽度の懲戒処分・・・譴責(けん責)、戒告

セクハラ問題において、どの程度のレベルの懲戒処分まで許されるかは、行ってしまったセクハラ行為の程度によって異なります。

要は、セクハラ行為の程度と、懲戒処分のレベルとの間に、バランスがとれていなければならないということです。

懲戒解雇は、懲戒処分の中でも非常に重度のものですから、その懲戒解雇の対象となるセクハラ行為の程度も、重度のものでなければ「不当解雇」として争うことができるケースもあるということです。

更には、懲戒解雇の場合には、退職金が減額されたり、退職金が不支給となったりするといった、経済的な制裁(ペナルティ)もついてくることが多いです。

「セクハラ問題」は弁護士にお任せください!

セクハラは、あってはならない重大な問題です。そのため、セクハラ行為を行ってしまえば、損害賠償請求を受けることはもちろんのこと、会社内でも懲戒処分などの制裁(ペナルティ)を受けても仕方ないといえます。

しかし、「セクハラ=懲戒解雇」ではありません。

セクハラで懲戒解雇にされるケースの中にも、「不当解雇」の疑いが強い相談ケースも多く存在します。

特に、会社がセクハラ被害者である女性社員の言い分だけを一方的に信じて、安易に行われた懲戒解雇は、不当解雇として違法、無効となる可能性があります。

セクハラで懲戒解雇とされてしまった労働者の方は、その懲戒解雇が適切なものであるかどうか、労働問題に強い弁護士へ、お気軽に法律相談ください。

「セクハラ加害者」の法律知識まとめ

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弁護士浅野英之(弁護士法人浅野総合法律事務所 代表)

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弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区銀座)の代表弁護士(第一東京弁護士会所属)。 不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、近年ニュースでも多く報道される労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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