男女平等が当然のこととなり、セクハラが社会問題化して久しく経ちます。
しかし、セクハラ被害を受けた労働者の相談は、増え続けています。
セクハラは、被害者の精神や人格を否定します。
これによりセクハラ被害を受けた労働者は、心に深い傷を負うもの。
うつ病や適応障害など、精神疾患になってしまう方もいます。
セクハラを理由に病気にかかってしまえば、多額の治療費を要するでしょう。
さらに、被害者なのに休職を余儀なくされてしまいます。
このとき、休職だと大切な収入を失ってしまうため、労災申請が重要となります。
今回は、セクハラ被害を受けた労働者が、労災認定を得る方法を、労働問題に強い弁護士が解説します。
休まざるをえない期間の補償を得るため、よく理解してください。
- セクハラは、業務による危険が現実化しているから、労災になりうる
- セクハラによる精神障害が、強い心理的負荷によって起こされたと証明する必要あり
- セクハラの労災申請では、セクハラの最中もしくは直後に入手した診断書が役立つ
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★セクハラの法律解説まとめ
【セクハラの基本】
【セクハラ被害者の相談】
【セクハラ加害者の相談】
- セクハラ加害者の注意点
- セクハラ冤罪を疑われたら
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- セクハラ加害者の責任
- セクハラの始末書の書き方
- セクハラの謝罪文の書き方
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- 身に覚えのないセクハラで懲戒処分
- セクハラ加害者の退職勧奨
- セクハラで不当解雇されたときの対応
- セクハラで懲戒解雇されたときの対応
- セクハラの示談
【さまざまなセクハラのケース】
★労災の法律解説まとめ
【労災申請と労災認定】
【労災と休職】
【過労死】
【さまざまなケースの労災】
【労災の責任】
セクハラでも労災になる
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「労災」と聞くと、ケガや事故をイメージする方も多いでしょう。
業務中の事故でケガをし、身体的な障害が出たとき、保険給付を受けるのが労災の典型です。
ただ、労災はそれだけに限りません。
労災とは、業務上の負傷、疾病、障害ないし死亡のこと。
決して、労災による保険給付は、身体的な被害には限られていません。
精神的な障害についても、労災にあたるケースがあります。
セクハラは、業務中の行為によってなされるのが普通です。
セクハラは、性的な嫌がらせであり、職場における地位や人間関係を利用するものだからです。
なので、仕事による危険によって、精神的苦痛を終えば、労災になる可能性があるのです。
セクハラを受けた労働者が、それによって精神疾患を発症したら、労災の認定を受けることができます。
労災について、弁護士への相談は次の解説をご覧ください。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/05/joseibengoshi-300x169.jpg)
セクハラで労災認定を得られるケースとは
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2022/04/marubatsu.jpg)
労災認定をするのは、労働基準監督署です。
このとき、精神疾患について労災認定を得られる要件は、次の3つです。
なお、労災認定は、会社が勝手に決めるわけではありません。
そのため、会社が、セクハラについて責任を否定しても、労災申請することができます。
労災認定の対象となる精神障害
セクハラを受けた労働者が、労災の認定を得るには、何らかの精神障害が発症していなければなりません。
これを医学的に証明するため、精神科、心療内科などで診断書をもらう必要があります。
労災認定の対象となる精神障害には、うつ病や適応障害のほか、急性ストレス反応など、さまざまな精神疾患が含まれます。
セクハラによる強い心理的負荷がなければならない
セクハラについて労災認定を得るには、受けた心理的負担が「強い」といえる必要があります。
つまり、業務によって強い心理的負荷が与えられなければ、労災とはいえないのです。
強い心理的負荷にあたるか、セクハラの労災のケースでは、次の事情を総合考慮します。
- セクハラの内容
- セクハラの程度
- セクハラの回数・頻度
- セクハラの継続した期間
- セクハラを相談した後の会社の対応、再発防止措置
- セクハラ加害者の改善状況
- 職場の人間関係など
セクハラの労災認定を判断する際には、セクハラそのもの以外の負荷も評価されます。
例えば、セクハラだけでなくパワハラや長時間労働などの要素があれば、総合的に高い負荷と判断されます。
なので、セクハラだけで強い心理的負荷といえなくても、その他の業務上与えられるストレスを考慮することで、労災認定を受けられる可能性もあります。
セクハラ以外の要因がないこと
労災による保険給付は、「業務上」の要因による精神障害でなければもらえません。
そのため、セクハラ以外に要因があるなら、労災認定はされないおそれがあります。
例えば、家庭や親族内のトラブルが、精神障害の理由になっているケースです。
このとき、その症状の原因には、業務外のものが含まれますから、労災ではありません。
労災認定の要件について、次に解説します。
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セクハラによる強い心理的負荷に、どんな例があるか
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2018/04/josei-tsurai.jpg)
セクハラで労災認定されるには、強い心理的負荷が必要だと説明しました。
では、具体的に、どんなケースが、強い心理的負荷に当たるかを解説します。
セクハラの具体的な類型ごとに、労災認定が受けられるかの参考にしてください。
レイプ、強制わいせつ
レイプは、すなわち、強姦のこと。
現在の刑法では、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪という犯罪にあたります。
これらの行為は、本人の意思を抑圧してされたわいせつ行為であり、とても悪質性が高いです。
被害者の人権を踏みにじり、大きな精神的ダメージを与えます。
そのため、重度のセクハラであり、労働者への心理的負荷は、極度に高いといってよいでしょう。
レイプや強制わいせつは、たとえそのセクハラ1度きりでも、強い心理的負荷と評価されるのが通例です。
犯罪となるセクハラ行為は、次に解説しています。
胸をさわる行為
胸をさわる行為も、悪質といわざるをえません。
服の上からさわるだけでなく、服や下着に手を入れてさわるケースもあります。
性交渉のあるケースほどではないにせよ、強い心理的負荷を与えるといえます。
突然キスする行為もまた、同意はなく、心理的に強い苦痛を与えます。
肩や腰をさわる行為
肩や腰をさわる行為は、同じ身体的接触でも、胸や性器をさわるのに比べれば軽度です。
許されるわけではないものの、通常は、1どきりでは心理的負荷が強いとまではいえません。
ただし、肩や腰をさわるのでも、継続的にされれば、心理的負荷は強くなっていきます。
さらに、会社が適切な対応をせず、職場環境が改善されずに続けば、強い心理的負荷と評価できます。
性的な発言
性的な発言は、身体的な接触のあるケースに比べれば、心理的負担は弱いものと考えられます。
行動をともなわず、発言のみならば、相応に苦痛は小さいでしょう。
ただし、セクハラ発言のみだからと甘くみてはいけません。
性的な発言のなかには、労働者の人格を否定する言葉が、多く含まれています。
継続的に発言を受けたり、罵倒されたりすれば、強い心理的負担となります。
セクハラ発言になる言葉は、次に解説します。
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セクハラで労災申請をする方法と、手続きの流れ
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ここまでは、どんなセクハラが労災の認定を受けられるかを説明しました。
実際にセクハラされたとき、労災と認定してもらい保険給付を受けるには、労災申請を要します。
労災申請は、会社が協力し、代わりにしてくれることもあります。
しかし、社長がセクハラの加害者の場合など、隠蔽しようとする会社は、非協力的でしょう。
セクハラ加害者の肩を持つ会社の協力がもらえないなら、自力で労災申請する必要があります。
そこで、セクハラによる労災申請で、知っておくべきポイントを解説します。
セクハラ直後に医師の診断を受ける
セクハラの被害者が労災の認定を受けるには、精神障害になっていなければなりません。
そのため、医師による診断をしてもらう必要があります。
具体的には、その際に医師に書いてもらえる診断書が、とても重要な証拠となります。
このとき重要なのは、セクハラ被害を受けている最中もしくは直後に診断を受けること。
これにより、「セクハラによって症状が発症した」といえるからです。
労災申請の必要書類を作る
診断書の存在は、「精神障害」になったことは証明してくれます。
ただ症状があるのみならず、それが「セクハラを原因とすること」も立証しなければなりません。
セクハラが業務上「強い心理的負荷」を与えたことや、精神障害の理由がセクハラであることは、労災時に提出する必要書類によって証明しなければなりません。
そのため、労災認定の要件を満たす証拠を集め、提出書類を作成します。
会社が協力的であり、セクハラが原因であると認めれば、事業主証明が大きな役割を果たします。
迅速かつ確実に書類を作成し、労使を得たいとき、ぜひ弁護士に相談ください。
会社が労災申請に協力しない場合の対応は、次に解説します。
労働基準監督署に提出する
セクハラを受けた労働者の方は、必要な書類と、労災の認定に必要な要件を満たすことを証明する書類を、労働基準監督署に提出する必要があります。
事業所を管轄する労働基準監督署が、提出先となります。
労働基準監督署への相談は、次の解説を参考にしてください。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/06/aku-300x169.jpg)
セクハラが労災なら、慰謝料も請求できる
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2016/08/coin.jpg)
セクハラの被害にあってしまい、これによって精神障害にかかってしまった被害者にとって、労災保険からの給付は、生活を保障するための最低限の補償です。
むしろ、セクハラの犠牲になってしまったとき、労災だけでは不足だといえます。
セクハラ被害者となってしまった労働者にとって、労災で不足する分について、慰謝料請求ができます。
このとき、セクハラ加害者にはもちろんのこと、セクハラ被害を事前に防止してくれなかった会社に対して、慰謝料などの損害賠償請求をすることを検討すべきです。
セクハラを防止する責任は会社にもあります。
そのため、会社の安全配慮義務違反、使用者責任を追及することも可能な点が重要です。
労災の慰謝料について、次に解説します。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/10/keisan-300x169.jpg)
まとめ
![弁護士法人浅野総合法律事務所](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2022/03/asanosougou-zentai.jpg)
今回は、セクハラを受けた被害者の立場で、どんなとき労災認定を受けられるか、解説しました。
労災認定を適切に得るには、労災申請の方法を理解しなければなりません。
労災の認定を得られれば、セクハラ被害により発症した病気の補償が得られます。
治療費だけでなく、休業した場合の給料について、大部分を補填できます。
セクハラ被害者は、泣き寝入りせず労災申請をし、必要な保険給付をもらいましょう。
セクハラを理由とする労災申請を弁護士に任せることもできます。
会社が協力的でないときも、弁護士に申請してもらい、労災認定の可能性を高めることができます。
- セクハラは、業務による危険が現実化しているから、労災になりうる
- セクハラによる精神障害が、強い心理的負荷によって起こされたと証明する必要あり
- セクハラの労災申請では、セクハラの最中もしくは直後に入手した診断書が役立つ
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★セクハラの法律解説まとめ
【セクハラの基本】
【セクハラ被害者の相談】
【セクハラ加害者の相談】
- セクハラ加害者の注意点
- セクハラ冤罪を疑われたら
- 同意があってもセクハラ?
- セクハラ加害者の責任
- セクハラの始末書の書き方
- セクハラの謝罪文の書き方
- セクハラ加害者の自宅待機命令
- 身に覚えのないセクハラで懲戒処分
- セクハラ加害者の退職勧奨
- セクハラで不当解雇されたときの対応
- セクハラで懲戒解雇されたときの対応
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