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1日の残業時間に上限ある?残業上限をめぐる議論【平成29年(2017年)版】

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ブラック企業で残業時間がとても長い場合、「そもそも法律で長時間残業の上限はさだめられていないのか?」と疑問に思う労働者(従業員)が多いのではないでしょうか。

残業をさせると、残業代を払わなければいけないのが会社の義務であり、残業代を支払わない、いわゆる「サービス残業」は違法です。

「会社は、残業代さえ払えば、労働者をいくらでもはたらかせることができるのか?」というと、そうではありません。

上限のない長時間労働は、労働者(従業員)の心身をむしばみ、メンタルヘルス、うつ、適応障害などの精神疾患をひきおこし、さらには、脳疾患、心疾患などによる過労死へとつながりかねません。

現在、この「残業時間の上限」という問題について、国(政府)や専門家が活発な議論をしていますが、今のところ、ブラック企業に対して残業代の上限を強制する法律はありません。

今回は、36協定(サブロク協定)で定められる労働時間の上限と、現在活発な議論が進んでいる「残業時間の上限」について、労働問題に強い弁護士が解説します。

1. なぜ残業上限が必要なの?

「残業時間に上限をつくるべきではないか?」ということが、政府を中心に、活発に議論されています。

労働者(従業員)の意見をみても、「残業時間には上限が必要である。」という意見が多いようです。

では、そもそもなぜ、残業時間の上限が議論されているのでしょうか。なぜ残業には上限が必要なのでしょうか。

1.1. そもそも「残業」自体が違法

まず、そもそも残業をさせること自体が、労働法違反で、違法行為であるということを、しっかり理解してください。

「残業は違法だ!」と言うと、「うちの会社は残業があるよ。」という反論が多く起こるでしょう。

労働基準法では、「1日8時間、1週40時間」という時間を「法定労働時間」といい、これ以上はたらかせることは、原則として違法となるとされています。

つまり、労働基準法上、「そもそも残業は違法」であって、労働時間には、「1日8時間、1週40時間」という明確な上限があるのです。

しかし、この違法な残業を、例外的に合法化するのが「36協定」という、会社と労働者(従業員)との間の約束です。

「36協定(サブロク協定)」は、残業時間の上限を定めることによって、その時間内に限り、会社が労働者(従業員)に対して、残業を命令することを合法化するものです。

1.2. 36協定の残業の上限には基準がある

以上のことから、36協定で、残業時間を決め、その限度での残業でなければ、労働法の原則にもどって違法となることをご理解ください。

そのため「残業の上限」について解説するのに、次に重要となるのが、「36協定に定める残業時間には、上限があるの?」という点がポイントとなります。

36協定にさだめることのできる残業時間の上限は、法律で決まっているのではなく、厚生労働省の公表している「時間外労働の限度に関する基準」という告示によって、次のように決まっています。

期間 上限時間数
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1か月 45時間
2か月 81時間
3か月 120時間
1年 360時間

つまり、36協定さえむすべば、残業をしなければいけないということになります。

そのため、法律上は、「1日8時間、1週40時間」という上限があるものの、実際には、長時間の残業を強制されるということです。

さらには、「特別条項」というものを利用することによって、忙しい時期には、この上限を超えた長時間残業を行わせることができるとされています。

1.3. 36協定の上限基準に、強制力がない!

ここまでお読み頂いた方は、さきほどの36協定の上限を見て、自分の労働時間にあてはめた場合、この基準よりも長時間の残業を強制されているという労働者(従業員)も多いのではないでしょうか。

労働時間に法律上の上限があり、36協定にさだめられる残業時間にも上限の基準があるにもかかわらず、長時間労働の実態がなくならないのはなぜでしょうか。

その理由は、この36協定の限度基準が、厚生労働省の出した「告示」にすぎないものであって、法律ではないからです。

つまり、法的な拘束力がないということです。

労働基準法で、労働時間の上限が設定されているにもかかわらず、36協定、特に「特別条項付」の36協定をむすぶことによって、事実上、際限ない長時間労働が起こっている会社が少なくないです。

更には、「36協定など知らなかった。」「36協定を締結していない。」「36協定に締結した時間を大幅に超える残業を行わせている。」というブラック企業もあります。

以上の問題はいずれも、残業時間の上限が、強制的なものではなく、違反しても制裁がないことが大きな理由です。

2. 残業に上限を設定する政府の動き【2017年(平成29年)】

残業はそもそも違法であって、例外的に36協定(サブロク協定)をむすんだ場合にだけ、そこに記載された時間に限って残業を命令でき、その時間には限度の基準がある、というところまで理解いただけましたでしょうか。

この36協定の限度基準を無視したり、そもそも36協定自体がむすばれていないのに残業をさせたりといったブラック企業が増加し、過労死、過労自殺などの深刻な問題が後を絶ちません。

そこで、残業の上限を、強制力のある形で設定しようという動きが政府や専門家の間で、活発におこなわれており、今後の動きに注目です。

現時点における、「残業上限」に関するながれについて、弁護士がまとめました(随時更新)。

2.1. ニッポン一億総活躍プラン(平成28年(2016年)6月2日)

長時間労働や、これにともなう残業代の未払い、過労死、過労自殺などの労災の問題に歯止めをかけるため、政府が、残業時間の上限についての議論を開始しました。

平成28年6月2日にまとめられた、「ニッポン一億総活躍プラン」の中では、次のように、長時間労働の是正について記載されています。

つまり、安倍政権の経済対策の一環として、国民のはたらきかたを変え、残業時間に上限を設定することの検討をはじめたということです。

ニッポン一億総活躍プラン(抜粋)

(長時間労働の是正)
長時間労働は、仕事と子育てなどの家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参画を阻む原因となっている。戦後の高度経済成長期以来浸透してきた「睡眠時間が少ないことを自慢し、超多忙なことが生産的だ」といった価値観が、この3年間で変わり始めている。

長時間労働の是正は、労働の質を高めることにより、多様なライフスタイルを可能にし、ひいては生産性の向上につながる。今こそ、長時間労働の是正に向けて背中を押していくことが重要である。

週 49 時間以上働いている労働者の割合は、欧州諸国では1割であるが、我が国では2割となっている。このため、法規制の執行を強化する。長時間労働の背景として、親事業者の下請代金法・独占禁止法違反が疑われる場合に、中小企業庁や公正取引委員会に通報する制度を構築し、下請などの取引条件にも踏み込んで長時間労働を是正する仕組みを構築する。

さらに、労働基準法については、労使で合意すれば上限なく時間外労働が認められる、いわゆる 36(サブロク)協定における時間外労働規制の在り方について、再検討を開始する。時間外労働時間について、欧州諸国に 遜色のない水準を目指す。あわせて、テレワークを推進するとともに、若者の長時間労働の是正を目指し、女性活躍推進法、次世代育成支援対策推進法等の見直しを進める。

2.2. 働き方改革実現会議(平成28年9月~)

ニッポン一億総活躍プランをうけて、働き方改革の実現に向けて、働き方改革実現会議が開催されています。

2.3. 「月80時間」上限の調整(平成29年1月)

政府が、長時間労働の抑制のため、残業時間の上限について「月80時間」を中心とする調整にはいったとの報道がありました。

政府の考えによれば、「月80時間」を上回る長時間残業がある企業が、全体の2割にもなることから、長時間労働抑制の効果があるとのことでした。2019年度(平成31年度)からの導入が目標です。

しかし、この「月80時間」は、既に解説した「過労死ライン」にあたるもので、常に「月80時間」の労働があるとすれば、過労死してもおかしくないレベルであるといえます。

平成29年2月に発表された政府案は、報道内容をまとめると次のようなものです。

  • 繁忙期は月100時間を残業時間の上限とする。
  • この場合、2か月平均で月80時間を残業時間の上限とする。
  • 他の月の残業を減らすことで、年間で月平均60時間を越えないこととする。

「月100時間」、「月80時間」の長時間残業も可能となる政府案は、他の期間に調整をするとしても、「過労死ライン(80時間)」と比べると、かなり労働者に負担の大きいものといえます。

2.4. 年720時間(月平均60時間)を上限とする政府案(平成29年2月)

政府は、第7回働き方改革実現会議で、年間720時間(月平均60時間)を残業時間の上限とする政府の新しい案を提案しました。

現在の厚生労働省の告示にさだめられている、月45時間、1年で360時間という上限を法律に明記しながら、労使協定を上限として、1年で720時間までの残業上限を認めるという内容です。

3. 「残業上限」の課題

以上のとおり、政府主導で、残業時間の上限を、強制力をもって定めなおすという動きがはじまっています。

これまでも、「残業代さえ払えばいくらでもはたらかせてよい。」というわけではなかったものの、36協定の上限についての規制がゆるいものであったことから、事実上、長時間残業が横行していました。

とはいえ、残業時間に上限を設定するためには、多くのハードル(課題)が存在します。

労働者保護の立場から、適当に残業時間の上限を設定しておけば済むわけではありません。残業時間の上限をさだめるにあたって、検討される課題について解説します。

3.1. 上限時間を何時間にする?

1番目の課題は、残業時間に上限をつけるとして、「上限何時間とすることが適切なのか?」という問題です。

労働者側、使用者側のそれぞれの専門家が活発に議論をしているとおり、適切な時間は、立場や意見によってさまざまです。

基準となる時間の1つに、「過労死ライン」というものがあります。「過労死ライン」とは、「これ以上の長時間労働をしていた場合、労働者がお亡くなりになったら、業務による過労死として、労災認定しよう。」という基準です。

しかし、実際には、過労死ラインを越えてはたらいても、死亡していない労働者(従業員)もたくさんいます。

また、常に過労死ラインを超える長時間残業があることは危険ですが、どうしても仕事が終わらない繁忙期に徹夜をする、という程度は、しかたない場合もあります。

このように労使いずれの意見も聞きながら考えていくと、強い強制力をもち、罰則までついた上限時間をさだめる場合に、「何時間にするの?」という問題は、より慎重になってしまいます。

3.2. どのような労働者を対象にする?

残業時間に上限をつける場合に、すべての労働者を対象とするということは適切ではありません。

残業時間による管理になじまない労働者もいるからです。たとえば、「事業場外みなし労働時間制」、「管理監督者性」など、残業代が支払われなくても違法とならないケースがあります。

 参考URL 

ただし、これら、残業代を支払わなくてもよいケースを悪用するブラック企業には、残業代を請求できます。

そこで、残業時間の上限をつくったとしても、一定の労働者には適用しない、いわゆる「適用除外」の定めがルール化されることが予想されます。

しかし、安易にこの「適用除外」を広げてしまうと、適用されないケースを悪用して、残業時間の上限を無視した長時間労働を強制する会社を取り締まることが難しくなります。

一定以上の収入のあるホワイトカラーの労働者について、残業代を支払わないことを認める、いわゆる「ホワイトカラーエグゼンプション」の制度が議論されたことは、記憶に新しいのではないでしょうか。

3.3. 制裁、罰則は?

最後に、残業時間に上限をもうけるとして、この上限に違反したときに、どのような制裁、罰則を会社に与えるのか、という問題があります。

制裁、罰則があまりに軽いものであったり、あまり意味のないものであったりすれば、残業上限をさだめたこと自体、意味がなくなってしまいます。

「残業代を払えば働かせても良い。」というわけではないことから、金銭による罰則は、結局労働者(従業員)の搾取、酷使につながる危険もあります。

つまり、「最悪、お金を払えばよい。」のであれば、忙しければ労働者をたくさんはたらかせて、お金を儲けておけばよい、という安易な発想につながりかねません。

かといって、あまりに重い場合にも不都合があります。労働者(従業員)が長時間労働の結果、過労死してしまったという重大なケースは厳しく罰するべきであるものの、1分1秒でも上限を上回ったら厳罰、というのは経済活動をストップさせるおそれもあります。

3.4. お金と時間の問題を区別する

今回解説している「残業時間の上限」という問題は、あくまでも時間の問題(残業時間の問題)です。

お金と時間の問題を一緒にしてしまうと、それこそ「残業代を払えば、いくらでもはたらかせていいのか。」という議論になりかねません。

あくまでも、お金の問題(残業代の問題)は、今回解説している残業に上限をもうける問題とは区別して考えなければいけません。

「残業時間に上限が必要」という問題提起は、「残業代が払われないから」という理由ももちろんありますが、メインの理由は、「長時間労働を強要すると労働者の心身をこわしてしまうから。」です。

お金の問題(残業代の問題)は、「はたらいた分の残業代は請求できる。」と考えておけばよいでしょう。

もちろん、当然のことながら、残業代に上限があるわけではありませんから、「固定残業代」の制度を悪用して、「残業代は○○円以上ははらわない!」という会社は、労働法違反であり、悪質なブラック企業です。

4. まとめ

残業時間の上限について、政府を中心として議論が進んでいます。

残業時間に上限をもうけなければ、際限なくはたらかされ、心身をこわし、メンタルヘルス、うつ病、過労死、過労自殺などの危険があります。

さらには、ブラック企業の場合、残業代も払われず、サービス残業を余儀なくされるでしょう。

そもそも、残業自体が労働法では違法であり、例外的に許される場合でも、政府は上限を設定して行政指導をしています。

残業の上限が、これまでは行政指導レベルでしかなかったことから、基準を守らなかったり、36協定を締結しなかったりといった違法行為を行う会社が多く存在していました。

残業の上限を、法的に義務付けることによって、労働者の正当な権利を実現することにつながります。

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