業務による傷病になったとき、労災申請して、労災保険の給付を受けられます。
会社が、労災申請に協力的なら、指示に従って手続きすれば問題ありません。
記載すべき内容を伝え、手続きすれば、労災認定を受けられる可能性は高いです。
しかし、労災申請に非協力的な会社も、残念ながらあります。
「労災かどうか」について労使間に争いがあるケースもあります。
このとき、労働者だけでも労災申請はできますが、弁護士のサポートを受けるのも有益です。
弁護士に依頼すれば、申請だけでなく、会社への損害賠償請求も代わりにしてもらえます。
今回は、労災申請を自分でしなければならないケースで、労災申請を弁護士に依頼するメリットと、かかる弁護士費用について、労働問題に強い弁護士が解説します。
- うつ病・適応障害や、重い後遺症の残る労災トラブルは、弁護士に依頼するメリットが大きい
- 証拠を集め、給付を増額するため、労災直後の早いタイミングで弁護士に相談する
- 労災について弁護士に依頼するとき、弁護士費用は初回相談でよく確認する
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労災について弁護士に相談すべきケース

労災について疑問、不安があるとき、弁護士に相談して解消するのがおすすめ。
労災は、難しい法律問題です。
専門的な知識がないと、もらえるはずの給付が受けられず、損してしまう危険もあります。
会社の不当な扱いにより不利益を受ける結果とならぬよう、労働者側でよく注意してください。
次の例では特に、労災について弁護士に相談するメリットが大きいケースです。
労災は、労働者保護のためにあるから、労働者1人でも申請可能。
しかし、弁護士に申請をサポートしてもらえば、利益もあります。
会社が労災申請に非協力的なケース
会社が、労災申請に非協力的なとき、労働者が自分で申請を進めなければなりません。
さらには「労災隠し」しようとする悪質なブラック企業だと、労災認定を得られないリスクが高まります。
会社に、労災事故の内容について事業主証明がもらえれば、認定を受けられる可能性があるのに、これすらもらえないと、労災認定が得られず、保険給付を受けられない危険があるケースも。
このとき、弁護士に依頼し、丁寧に進めるのがおすすめです。
会社が非協力的で、事業主証明がもらえないとき、次の対応も検討してください。
うつ病・適応障害のケース
うつ病、適応障害など、いわゆる精神疾患のケースでは、弁護士に依頼したほうがよいでしょう。
メンタルヘルスは、目に見えないため、その原因が業務にあるのか、プライベートにあるのか、判断がなかなか難しく、労災申請時にきちんと対処しなければ、認定を得づらくなってしまうからです。
こんな労災申請では、弁護士に依頼するのがおすすめです。
意見書を作成するなどの方法で、労働基準監督署に、主張を伝える必要があるからです。
重いケガで、後遺症のあるケース
労災による重いケガで、後遺症が残ったケースは、弁護士に依頼すべき典型例です。
後遺症は、法律用語では「後遺障害」といいます。
後遺障害は、労災手続きのなかで等級認定を受けられると、障害補償給付(障害給付)の対象となります。
このとき、できるだけ早く弁護士のサポートを受けるのが、高い等級認定を得るのに有効です。
会社に損害賠償を請求すべきケース
会社は、労働者を安全に働かせる義務、つまり、安全配慮義務を負います。
この義務に違反して、労働者の健康を害したとき、慰謝料をはじめ、損害賠償を請求できます。
会社の劣悪な労働環境によって病気やケガになったら、損害賠償請求できるわけです。
労災申請手続きをしようとしても、対立している会社へ、気軽に連絡するのは難しい場合も。
しかし、精神的苦痛の慰謝料など、労災ではカバーされない損害も多いため、あきらめてはいけません。
会社に損害賠償請求をする場合こそ、労災申請とあわせて弁護士に依頼すべきケースです。
労災によって会社に損害賠償請求する方法は、次の解説もご覧ください。
退職後に責任追及するケース
労災保険は、退職後も受給できます。
そして、安全配慮義務違反の会社の責任についても、退職後でも請求できます。
しかし、退職後の責任追及だと、自分で会社に連絡しづらい方もいるでしょう。
スムーズに手続きが進まないと、補償が受けられない期間が続き、つらい思いをしてしまいます。
そのため、退職後の責任追及のケースこそ、弁護士に依頼すべき例といえます。
安全配慮義務について次に詳しく解説しています。

労災問題を弁護士に依頼し、解決するまでの流れ

次に、労災について弁護士に依頼し、解決するまでの流れを、順に解説します。
解決までの流れは、以下のとおりです。
労災が発生したら、すぐに証拠集めをはじめてください。
労災直後から治療を開始します。
治療まで間があくと、労災が原因かどうか曖昧になり、因果関係を争われてしまいます。
医師の指示にしたがい適切な頻度で治療するのが、後遺障害認定を得るポイントです。
あわせて、労災申請をしておきます。
会社が協力的なら指示にしたがって手続きし、非協力的なら自分一人でも申請できます。
労災認定が下りると、保険給付が得られます。
療養補償給付、休業補償給付、遺族補償給付などが、代表例です。
症状が固定し、後遺症が残ったら、後遺障害等級の認定申請をします。
障害等級の認定が得られれば、障害補償給付をもらえます。
会社の安全配慮義務違反の責任を追及し、損害賠償請求もできます。
労災保険には慰謝料が含まれないため、会社からもらう必要があります。
労災について弁護士に相談するタイミング
労災について弁護士に相談するなら、タイミングはできるだけ早いほうがよいです。
上記に解説した、解決までの流れのうち、労災事故の起こった直後から、サポートさせていただける内容は豊富にあるからです。
特に、証拠収集は、労災直後から、意識して進めなければなりません。
いざ、労災が認められなかったり、会社が責任を認めてくれなかったりなどといった場面では、すでに時間が経過していて証拠がなくなってしまっていることも多いです。
治療についても、労災直後から進めるでしょうが、症状固定時に後遺障害をとりやすくするために、法律上のポイントもおさえて進めなければなりません。
労働問題を弁護士に相談するとき、その選び方は次に解説しています。

労災について弁護士に依頼する時かかる弁護士費用

弁護士に依頼する唯一のデメリットといえるのが、費用がかかる点です。
弁護士費用がどれくらいかかるか知り、得られる経済的メリットと比較しなければなりません。
法律相談料
労災についての依頼をする時、初回相談で弁護士のアドバイスを聞いてください。
どの弁護士に依頼するのがよいか、実際にアドバイスを聞いて見極める必要があるからです。
依頼するときは、労働問題のなかでも特に労災の知識が豊富な弁護士を選びましょう。
弁護士への相談にかかる費用を、法律相談料といいます。
法律相談料は、30分5000円〜1時間1万円が相場です。
無料相談のメリット・デメリットは次の解説をご覧ください。
労災申請手続にかかる弁護士費用
労災申請の手続を、弁護士に代わりにしてもらうことができます。
このときかかる弁護士費用は、それほど高額とはなりません。
証拠収集のアドバイスをもらい、申請手続きを代わりにしてもらう依頼なら、手数料10万円ほどが目安です。
労災認定や後遺障害が思うように認められないなら、弁護士に不服申し立てを任せるのも有効。
不服申し立ては、はじめの労災申請より複雑で難しいため、弁護士費用はケースバイケースです。
損害賠償請求にかかる弁護士費用(着手金・報酬金)
労災申請とあわせて、会社に責任追及することができます。
このとき、会社の安全配慮義務違反を理由に、損害賠償請求をします。
損害賠償請求の手続きは、深刻な問題で、訴訟に発展する例も多く、弁護士に任せる意味があります。
かかる弁護士費用は、得られた利益に応じて、割合的に定めるのが通例。
着手金とは、着手の際にかかる費用、報酬金とは、獲得時にかかる費用です。
旧日弁連報酬基準によれば、次のように定められています。
経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
---|---|---|
300万円以下 | 8% | 16% |
300万円を超え、3000万円以下 | 5%+9万円 | 10%+18万円 |
3000万円を超え、3億円以下 | 3%+69万円 | 6%+128万円 |
3億円を越える場合 | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
当事務所の弁護士費用は、次の解説をご覧ください。
当事務所では、労災について豊富な知識をもった、労災専門の弁護士チームが対応します。

労災について弁護士に依頼するメリット

次に、労災について弁護士に依頼するメリットを詳しく解説します。
労災申請は、労働者自身でもすることができます。
ただ、弁護士に依頼するメリットがあるケースなら、ぜひ相談したほうがよいでしょう。
労災申請を弁護士にサポートしてもらえる
労災申請は、複雑な事務手続きを要する面倒なもの。
会社が協力して、やってくれればよいですが、労使対立の激化したケースや、退職後の労災申請の場合などは、自分でやらなければなりません。
証拠整理だけでも一苦労。
とはいえ、労働者に有利な主張が伝わらず、労災認定を受けられなければ元も子もありません。
弁護士に労災申請をサポートしてもらえるのが、依頼する大きなメリットとなります。
労災認定を得やすくなる
労災保険からの給付を得るためには、その要件を満たさなければなりません。
そして、労働基準監督署が労災だと認定してくれなければ、給付を受け取れません。
認定を受けられるよう示すためには、業務起因性の要件について、法律、裁判例の知識を要します。
労災について弁護士に相談、依頼すれば、意見書を書くなどのサポートを受けられ、労災認定を得られる可能性を上げることができます。
労災認定が得られる要件は、次の解説をご覧ください。
給付の増額が期待できる
弁護士に依頼すれば、証拠集めからアドバイスし、労災認定が得られる可能性をあげられます。
また、後遺障害の認定が得られるとき、その等級に応じた障害補償給付(障害給付)を得られます。
法律、裁判例を踏まえた主張をすれば、より上位の等級認定を得て、給付を増額するのが期待できます。
労災トラブルとなったとき、証拠収集はスピーディにしなければなりません。
証拠は、日々消えていきますから、労災認定が得られなくなってはじめて弁護士に相談しても、証拠収集がそれからでは間に合わないおそれもあります。
会社からの不当な扱いを避けられる
あなたの傷病が労災なら、療養中の解雇は禁止されています。
しかし、労災について労使に争いがあるとき、労働問題に理解のない会社が相手だと、不当な扱いを受けてしまう例も残念ながらあります。
その最たる例が、労災での療養中の解雇です。
「不当解雇」となり無効ですが、解雇されないに越したことはありません。
労災について弁護士に依頼し、会社にプレッシャーをかければ、交渉中に不当な扱いを防げます。
不当解雇されたとき、撤回を求めるには次の解説もご覧ください。

まとめ

今回は、労災申請の手続きを弁護士に依頼するメリットと、かかる弁護士費用を解説しました。
弁護士費用がかかっても、それ以上に労災を正しくもらえるメリットが大きいなら損はありません。
労災申請は、書類の書き方1つで、労災認定が下りず、給付が受けられないおそれある難しい手続き。
労働者1人でも申請は可能ですが、難しい事案では、労災に詳しい弁護士のサポートが有益です。
うつ病で会社と争いがあるなど、会社が協力的でないケースは、弁護士のメリットが大きいです。
弁護士は、手続きに必要な最低限の書類をそろえるにとどまらず、労災認定が得られず裁判まで発展するケースも見すえて、しっかりと準備をサポートしてくれます。
- うつ病・適応障害や、重い後遺症の残る労災トラブルは、弁護士に依頼するメリットが大きい
- 証拠を集め、給付を増額するため、労災直後の早いタイミングで弁護士に相談する
- 労災について弁護士に依頼するとき、弁護士費用は初回相談でよく確認する
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【過労死】
【さまざまなケースの労災】
【労災の責任】