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労災隠しに対する4つの対応策と、労災隠しの具体例・違法性

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最近、有名企業の過労死問題が報道されたことで、労働災害(労災)に対する社会の関心は高まっています。

スキャンダラスな報道が注目される一方で、労働災害(労災)の事実がなかなか発覚しない、という根本的な問題への関心は、そこまで高くないようです。

しかし、「バレなければいい。」という甘い考えのもとに「労災隠し」をするブラック企業に苦しむ労働者の方は少なくありません。「労災隠し」には、ただ発覚しないという以上に大きな問題も潜んでいます。

今回は、「労災隠し」の危険と、その対処法について、労働問題に強い弁護士が解説します。

1. 労働災害(労災)とは?

労働災害(労災)とは、通勤中や業務に従事している間に生じたケガや病気、死亡事故のことをいいます。労働安全衛生法2条1号では、次のように定義されています。

労働災害衛生法2条1号

労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。

労働災害(労災)というためには、「会社の仕事と因果関係がある。」ものでなければならず、これが厳しい条件となります。

労働災害(労災)だと認定されれば、労災保険法に基づいて生活費や治療費、遺族への補償など、様々な保険給付を受け取ることができます。

2. 労災隠しとは?

「労災隠し」とは、労働災害(労災)に当たる事故が発生したのに、会社がその事実を隠すことをいいます。

労働者を言いくるめて労災保険を利用させず、会社が労働災害(労災)の事実を各地域の労働基準監督署(労基署)に報告しないことで、労働災害(労災)が発覚するのを防ぐ、というのが「労災隠し」をするブラック企業のやり口です。

労働災害(労災)は、会社の安全配慮義務違反の責任追及につながる可能性があることから、会社としては、「労災事故が起こったことを隠したい。」という気持ちが生まれるわけです。

2.1. 「労災隠し」の具体例

ブラック企業による「労災隠し」には様々な方法があります。法律知識の無い一般労働者が会社にだまされていると気づくのは難しく、そのことが「労災隠し」の被害を増加させています。

以下では、この解説をお読みの労働者の方に「労災隠し」のイメージを持って頂くために、「労災隠し」の具体例をいくつかご紹介します。

 例 
  • 「正社員でなければ労災保険は下りない」と会社に嘘をつかれて労災申請しなかった。
  • 「この事故では労災が下りない」と言われて労災申請できなかった。
  • 「会社から治療費を払うので労災申請はしないでくれ。」と会社から迫られて、断れなかった。
  • 労災申請をするなら解雇にする、と脅され、労災申請できなかった。
  • 労災申請をさせないためにタイムカードを偽造され、違法な長時間労働を隠ぺいされた。

2.2. 「労災隠し」は違法行為

会社が、労災事故が起こった事実を隠す、いわゆる「労災隠し」は、会社が労働者に対して負っている義務に違反しますので、違法行為であることが明らかです。

会社は、労働契約法5条に基づき、労働者に対する安全配慮義務を負っています。会社は、この義務に従って、労働者が労災保険の給付を受けられるように協力しなければなりません。

また、業務に従事している間に生じた労働災害(業務災害)に対しては、労働基準法75条以下の規定に基づいて、会社が治療費等の災害補償責任を負うことになっています。

会社は、労働安全衛生規則に基づいて、各地域の労基署に労働災害(労災)の発生を報告しなければならず、報告書の未提出は罰則の対象になります。

会社の「労災隠し」は、これらの3つの法的義務に反する違法な行為なのです。

3. なぜ労災隠しが起こってしまうの?

労災隠しがなぜ起こってしまうのか。言いかえると、会社がなぜ「労災隠し」をするのかというと、その理由は、労働災害(労災)が発覚すると会社に沢山の不利益が生じるからです。

労働災害(労災)が起きたことで会社が受ける不利益には次のようなものがあります。それぞれ会社にとって重い責任を負うことになることから、労災隠しをしておけばバレずに済むだろうという甘い考えが生まれるわけです。

3.1. 刑事責任

工場の機械に不備があったり、労働者に対する業務指示が不適切であったことが原因で労働災害(労災)が発生した場合、業務上過失致死傷罪という犯罪が成立する可能性があります。

この場合、会社の代表者は5年以下の懲役か、100万円以下の罰金を科せられます。

3.2. 行政責任

労働災害(労災)の状況によっては、業務停止などの行政処分を受けるおそれがあります。

建設業、メーカー等の会社の例では、国や地方自治体の競争入札に参加できなくなる可能性もあり、経済的な損失は計り知れません。

3.3. 民事責任

労働災害(労災)が会社側の過失によって発生した場合には、安全配慮義務違反か、不法行為に基づいて、労働者に対する損害賠償責任を負うことになります。

また、労災認定が下りれば、労働基準法に基づいて災害の補償を行う義務も発生します。

3.4. 社会的責任

機械の整備や労働時間の管理体制がずさんだったために、労働災害(労災)が起きた場合、事実が報道されると、会社に対する信用は大きく傷付きます。

労働災害(労災)の発生がおおやけになると、会社はこのような不利益を受けることになるため、責任を負いたくないブラック企業は「労災隠し」をしたがるのです。

3.5. メリット制による不利益

会社の「労災隠し」を助長させるもう一つの原因は「メリット制」にあります。「メリット制」とは、政府が会社の支払う保険料の増減について定めた制度です。

会社は、労働者を労災保険に加入させるために雇用している労働者の保険料を負担していますが、「メリット制」では、会社内の労働災害(労災)が少なければ、保険料の負担を減らしてもらえます。

「メリット制」は、本来、会社が労働災害(労災)の防止措置を講じるように促す目的で作られました。

しかし、実際には、制度を逆手にとって保険料の負担割合を減らしたいブラック企業の「労災隠し」を助長してしまっています。

4. 労災保険を利用しないデメリット

労災に遭ってしまったのに労災保険を使わない労働者の中には、「労災保険を利用しない方が得だから。」「会社が責任もって面倒を見るから。」といった会社の甘い言葉を信じている方もいるのではないでしょうか。

しかし、会社の口車に乗って、「労災隠し」に加担してしまった場合、本来受けられるはずの救済手段の多くを利用できなくなってしまいます。

「労災隠し」をされて労災保険を利用しなかった場合に、実際にどのようなデメリットがあるのかを、弁護士が解説します。

4.1. 生活費補償や遺族補償が受けられない

労働災害(労災)が発生したとき、各地域の労基署に申請して労災認定を受けることができれば、労災保険法に基づく給付を受けることができます。

生活費や治療費、死亡してしまった労働者の遺族に対する金銭補償など、様々な給付制度が設けられており、労災被害によって働くことができない労働者やその家族の生活の支えになります。

しかし、「労災隠し」を受け入れて労災認定を申請せず、労災保険を利用しない場合には、これらの給付を受けることができず、諸々の出費が自腹になります。

4.2. 医療費も有料になる

労災保険を利用すれば、治療費は労災保険によって負担してもらうことができます。また、長期の休業や後遺障害については、労災保険だけではなく、会社から補償金を受け取ることも可能です。

しかし、「労災隠し」によって、労災認定を申請せず、労災保険を利用しない場合には、医療費も当然自腹で支払わなければなりません。

労働災害(労災)によって負ったケガの程度が酷い場合には、長期の入院費や手術代など、高額の医療費を全額負担しなければなりません。

4.3. 会社の補償が続くとは限らない

「労災隠し」のケースの中には、会社が生活費や治療費を負担するといって、労災認定を申請させないケースがあります。

しかし、所詮は口約束であり、会社が最後まで費用を負担してくれるとは限りません。労働基準法に基づかない私的な補償の約束を信用してはいけません。

4.4. 解雇されるおそれがある

重度のケガで働けなくなった場合でも、労災認定を受けていれば、会社は解雇できなくなります。労働基準法には、次のとおり、労災で療養している期間中の解雇禁止が定められているからです。

労働基準法19条1項

使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間・・・は、解雇してはならない。

しかし、労災認定を受けていなければ、上記の解雇制限は適用されず、就労の困難を理由に解雇されてしまうおそれがあります。

労災隠しをされて補償を受けられず、その上に労災の事実を隠したまま「不当解雇」されてしまったのでは、「泣きっ面に蜂」ですが、労災隠しに加担してしまったという後ろめたい気持ちが残ることでしょう。

5. 健康保険の利用はマズイ?

ここまでの解説の中で、医療費が全額負担になる、という部分に「あれ?」と感じた方もいるのではないでしょうか。

日本では国民皆保険制度が採用されており、会社が加入している健康保険か国民健康保険のどちらかを利用すれば医療費を全額負担しなくてもいいはずです。

しかし、ここには、実は大きな落とし穴があります。会社の指示に従って、安易に健康保険を利用しようとすると、思わぬ不利益を受けてしまう可能性もあります。

そこで、以下では、労働災害(労災)と健康保険の関係について、弁護士が解説します。

5.1. 健康保険の仕組み

日本人であれば、通常は、会社が加入する健康保険か、国民健康保険のどちらかを利用することができます。

健康保険法(国民健康保険法)では、「療養の給付」という給付制度が設けられており、医療機関を利用する人が負担する医療費は一部の例外を除いて3割だけで済みます(高齢者は負担割合がさらに低くなることがあります)。

残りの7割の医療費は、国か地域ごとの健康保険組合が医療機関に支払うことになります。

5.2. 労災には保険が下りない!?

しかし、この健康保険制度は、実はいつでも利用できるわけではありません。他の給付制度でまかなえるときには、健康保険が利用できない仕組みになっているのです。

例えば、健康保険法55条1項には、次のような規定があります。

健康保険法55条1項

被保険者に係る療養の給付・・・は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法・・・の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。

つまり、労災認定が下りるケースでは、労災保険法だけが適用され、健康保険を利用することはできないのです。

5.3. 治療費が自己負担になる!?

健康保険を利用できなければ、医療費は全額自己負担になります。

労災保険によって医療費を国に負担してもらわない限り、自分で医療費を支払わなければならず、通院で健康保険証を病院に提示しても診察代が控除されません。

5.4. 適切な治療が受けられない

また、いきなり全額負担と言われても、患者の側に高額な医療費を全額支払える用意がない、という場合がほとんどです。

医療機関もそのことを分かっているため、「このケガは労災なのでは?」と疑われる場合に、健康保険を使わせてもらえず、適切な治療が受けられなくなってしまうケースも残念ながらあります。

このように、「労災隠し」を受け入れてしまうと、予想もしなかった不利益を受けることになるので注意が必要です。

6. 「労災隠し」をされてしまったら?

ここまでお読み頂ければ、「労災隠し」の被害者となってしまったとしても、「労災隠し」が違法であり、会社の言うことに従う必要はないことは、十分ご理解頂けたことでしょう。

そこで、「労災隠し」によって労働者側が被る不利益を理解していただいた上で、いざブラック企業に「労災隠し」をされてしまったとき、労働者側としてどのように対応したらよいのかについて、弁護士が解説します。

6.1. すぐ労災申請すること

「労災隠し」をされてしまった場合や、「労災隠し」をされそうなときには、迷わず、すぐに労災申請をしましょう。

ケガや障害、死亡事故について労災認定が下りさせすれば、労災保険法に基づく給付や、会社からの災害補償金を受け取ることができます。

きちんとした証拠が残っていれば、あとからでも労災申請は可能です。「やられた!!」と思って泣き寝入りをする必要はありません。

まずは、とにかく労災申請をして、労災認定を勝ち取りましょう。労災申請は、会社が協力的ではない場合には、労働者だけでも行うことができます。

6.2. 会社の承諾は不要

「労災隠し」をするブラック企業では、会社から「今回は労災は下りない。」などといって、会社から労災申請をしないように迫られることがよくあります。

しかし、労災認定をするのは各地域の労基署長であり、会社には「労災かどうか」を決める権限はありません。

労災申請にあたって会社の承諾を得る必要は全くありませんから、会社から「労災ではない。」「申請しても協力しない。」などと強要されても労災申請をするようにしましょう。

6.3. 不当処分は取り消せる

「労災隠し」によって労災申請をさせずに、就労困難等を理由として解雇することは、労働基準法19条1項の解雇制限を潜脱する違法行為です。

また、労災申請したことを理由に出勤停止や減額、降格などの処分をすることは、合理的な理由を欠き、違法になります。

これらの不当処分を会社から下された場合には、労働審判や民事裁判で処分を取り消させることができます。

6.4. 損害賠償請求が可能

更に、違法な「労災隠し」によって労災保険の給付を受けられなかったときには、その給付分の損害賠償を会社に請求することができます。

労災申請ができず、健康保険も利用できないために治療が長引き、治療費や後遺障害などの損害が拡大した場合には、その拡大損害の賠償も請求できます。

治療期間が長期化や後遺障害が生じるケースでは、そのことによって労働者が受ける精神的苦痛に対する慰謝料も請求することが可能です。

労災申請や処分の取り消し、損害賠償請求には、高度な法律知識が必要になりますが、労働問題に強い弁護士に相談すれば、難しい手続について弁護士のトータルサポートを受けるができます。

7. まとめ

今回は、「労災隠し」の危険と、その対処法について弁護士が解説しました。労災隠しは違法行為であり、会社の強要に従うことなく労災保険を利用できることをご理解ください。

繰り返しになりますが、ブラック企業の口車に乗って「労災隠し」をされてしまうと、労働者の側が多くの不利益を受けることになるので、注意が必要です。

「労災隠し」をされてしまい、労災保険がもらえずにお困りの方や、不当処分にお困りの方は労働問題に強い弁護士にお早めに法律相談ください。

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