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セクハラの加害者になってしまったら、注意すべき5つのポイント

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運営元:弁護士法人浅野総合法律事務所

セクハラをしてはいけないのは当然ですが、万が一セクハラの加害者になってしまった労働者の方へ向けて、対応策をまとめておきます。

人事部から呼び出しを受け、「あなたにセクハラをされたという社員がいる。」と告げられたとき、突然のことに冷静になれないのではないでしょうか。

セクハラ加害者側にも様々な理由があり、「一時の感情に任せて血迷ってセクハラを犯してしまった。」、「ついお酒の勢いでセクハラを犯してしまった。」、「相手にも好意があると思った。」など、様々な法律相談を受けることがあります。セクハラ加害者側にも言い分は多々あることと思いますが、十分な反省が必要です。

一方で、「セクハラをされた!」とセクハラ加害者との疑いをかけられているけれども、実際のところはセクハラにあたる行為を一切していない、いわゆる「冤罪(えん罪)」のケースもあります。

完全に無罪ではなくても、実際に行われたセクハラ発言、セクハラ行為について、セクハラの被害者と加害者とで、証言が大きく異なることもよくあります。

そこで今回は、セクハラ加害者側の立場で、セクハラ加害者の疑いをかけられたときの適切に対応と、今後どのような流れが予想されるかについて、労働問題に強い弁護士が解説します。

「セクハラ加害者」の法律知識まとめ

「セクハラになるかどうか」を判断する

まず、「セクハラだ!」と言われ、セクハラ加害者の疑いをかけられた場合に、「自分の行った発言、行為が、実際にセクハラにあたるのかどうか。」という点についてきちんと判断しなければなりません。

次に、セクハラにあたるとしても「どの程度の重さのセクハラなのか。」という点も問題になります。会社からの処分が、そのセクハラの重さに応じた妥当なものかが問題になるからです。

セクハラをしていなかったり、とても軽いセクハラにすぎなかったりといったケースにもかかわらず、「懲戒解雇」のようにセクハラ加害者に大きな不利益を与える厳しい処分をすることは、無効となるケースもあります。セクハラが悪いことであるのは当然ですが、「罰」は、その「罪」の内容に応じた適切なものでなければ無効です。

悪気なく、セクハラだとは思わずにセクハラの加害者となってしまったという場合もあります。「これまで行ってきた行為はセクハラだったのだ。」と自覚し、理解したセクハラ加害者の方は、しっかり反省し、謝罪をすべきでしょう。

どのような発言・行為がセクハラに当たるかについては、次の解説で詳しくまとめています。

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セクハラ加害者となったときの、今後の流れ

セクハラの加害者となった場合、一番不安なのが、「今後どうなってしまうのだろう。」という点ではないでしょうか。セクハラ加害者として調査対象となった場合でも、すぐに処分が決定するのではなく、長期間にわたって事情聴取や調査が行われることも多く、不安が募ります。

セクハラ加害者となった労働者の方からの相談でも、今後の流れについての法律相談は、非常に多くあります。

セクハラ加害者となったとき、通常よくある流れについて、弁護士が解説していきます。

セクハラ事実の調査

まず、セクハラ被害者から、セクハラの報告があったときは、会社は、セクハラがあったのかどうかについて、事実の調査を行います。

このとき、セクハラ被害者の話を聞くとともに、セクハラ加害者の話も聞きます。被害者だけの一方的な話をもとに、セクハラ加害者に対して厳しい処分を下すとすれば、その処分は、違法、無効な処分となる可能性が高いといえます。

特に、セクハラ被害者とセクハラ加害者とで、当時の記憶が大きく異なるときには、セクハラ加害者側に対しても、複数回の聴取が行われることがあります。

もし、セクハラ加害者となってしまい、自分の言い分を会社がまったく聞かずに、懲戒解雇などの厳しい処分となった場合には、労働問題に強い弁護士へ、お早目に法律相談ください。

「会社は被害者側の言い分しか信用していない。」、「このままでは不利な処分が下ってしまうのではないか。」と疑問、不安を感じる場合には、早めの対処が必要です。セクハラ加害者に反論の機会が多くは与えられないこともあるため、適切な反論をするためには、セクハラ加害者側も適切な行動をとらなければなりません。

セクハラ加害者に対する懲戒処分

会社が、セクハラ加害者に対して懲戒処分をする場合には、会社内で決められた懲戒処分のための手続きを行わなければなりません。

セクハラ加害者に対して、どのような手続で、どのような処分をするかは、通常、就業規則などの会社規程に定められていますので、確認してみてください。

なお、10人以上の労働者のはたらく事業所では、就業規則を労働者に周知しなければなりません。「適切な手続をとらなければ、懲戒処分を下すことができない。」ということは、たとえセクハラ加害者であったとしても変わりありません。

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セクハラ加害者の懲戒解雇

会社が、労働者に対して下す「罰」を意味する懲戒処分の中でも、最も重い処分であり、労働者に対する不利益が大きいのが、懲戒解雇です。

セクハラ加害者に対して、会社が懲戒解雇をすることがありますが、懲戒解雇という重い処分を選ぶためには、それ相応の、重度のセクハラ行為が存在しなければなりません。

懲戒処分の場合、適正な手続をとらなければ裁判などで無効とされるおそれがありますが、特に、懲戒解雇の場合には、弁明の機会を設けたり、懲戒委員会を開くなど、会社で決められた手続きを適切に行ってもらう必要があります。

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セクハラ加害者に対する退職勧奨

セクハラの加害者となってしまったとき、そのセクハラがそれほど重いものではなく、懲戒解雇とまではならなかったとしても、会社を去らざるを得ないケースもあります。

というのも、セクハラの加害者となってしまい、セクハラ行為が真実であれば、会社にいづらいことが多いからです。

そのため、セクハラ加害者に対して、会社が、退職を勧めてくる場合があります。これを「退職勧奨」といいます。

退職勧奨に同意して合意退職となれば、「懲戒解雇」という最悪の事態は避けられますが、セクハラの事実を争うことはできなくなります。退職勧奨に応じて退職するかどうかは、たとえセクハラの加害者であっても、慎重に検討してください。

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セクハラ加害者がしておくべきことは?

気の迷いか、お酒のせいか、恋愛感情の勘違いか、セクハラ加害者の理由がいずれであっても、セクハラは決して許されることではありません。

セクハラを行ってしまったということが事実なのであれば、セクハラ加害者は、十分に反省し、謝罪すべきです。

セクハラ加害者となってしまった労働者の方が、事前に自分で行っておくべきことについて、弁護士がまとめました。セクハラ加害者の方が弁護士に法律相談するときの参考にしてみてください。

記憶を鮮明にする

セクハラ加害者のよくある言い分の1つに、「当時のことは記憶にない。」というものがあります。その原因は、長期間の経過であったり、お酒によるものであったりなど、さまざまです。

しかし、「憶えていない」ことほど怖いことはありません。

セクハラ被害者が、自分の被害状況を鮮明に憶えており、会社にセクハラの告発をしたとき、加害者側が何も憶えていないのでは、セクハラ被害者の言い分だけが通り、厳しい処分が下されてしまってもしかたありません。

そのため、セクハラ加害者としては、少しでも早く、少しでも鮮明かつ具体的に、「セクハラがあった。」と言われている日の当時の記憶を思い出さなければなりません。

弁護士は、よくあるセクハラ被害について多くの相談を受けていることから、適切な質疑応答を行うことにより、セクハラ行為当時の記憶を思い出す手助けをすることができます。思い出したことは、忘れないうちに、すぐに時系列のメモを作成しておきましょう。

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反省・謝罪

セクハラ加害者となってしまい、被害者が訴えているセクハラの事実がすべて真実なのであれば、十分に反省し、謝罪をすべきです。

ただし、セクハラ加害者とセクハラ被害者との人間関係は、「今まで通り」というわけにはいかないのは当然のことです。

セクハラ加害者の判断によって、「これくらいはいいだろう。」という気持ちから、対面での謝罪を希望したり、LINEや電話を繰り返したりすれば、更なるセクハラ被害を招くおそれがあります。

弁護士に寄せられる法律相談の中でも、「セクハラ被害者に謝罪をしたい。」という相談の真意は、「直接謝罪をすれば許してもらえるのではないか。」、「少しでも有利な行動をして、厳しい処分を逃れたい。」という、「セクハラ加害者本意」というべき考え方が裏に見えてしまうことも少なくありません。

そのため、セクハラ加害者となってしまった場合であっても、謝罪をするときは、会社の指示に従うとか、弁護士を同席させるなど、細心の注意が必要となります。

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移動・配置転換・転勤を申し出る

行ってしまったセクハラ行為が、懲戒解雇などとはならない程度のものであったとしても、セクハラ被害者と接触し続けることはオススメできません。

というのも、再度セクハラ加害者となってしまうおそれがあるからです。自分ではそのつもりがなくても、一度セクハラ加害者になってしまえば、次少しでも怪しい行為をすれば、またセクハラの責任を問われやすくなります。

そこで、セクハラ加害者としては、会社に他にも事業所や部署がある場合には、みずから配置転換を申し出ることが考えられます。

会社側としても、懲戒解雇とするほどではない軽度のセクハラに対して、異動、配置転換、転勤など、「反省の現れ」ともいうべき処分を申し出るセクハラ加害者に対しては、これ以上に厳しい処分を躊躇する場合もあります。

セクハラ加害者がしてはいけないことは?

セクハラ加害者となってしまった場合には、絶対にしてはいけないことが多くあります。

今から解説する「セクハラ加害者がしてはいけないこと」の中には、行ってしまうと、より重い責任を追及されるおそれのあるものもありますので、十分注意が必要です。セクハラを行っただけでなく、事後の対応が不適切、不誠実だと、更に自分の立場を危うくするおそれがあります。

知らずについ行ってしまっているセクハラ加害者の方もいるようですが、セクハラ二次被害を招くことにもなりかねません。

セクハラ被害者に対して報復する

当然ですが、セクハラ被害者の方に対して、報復行為をしてはいけません。当たり前のことのように聞こえますが、セクハラ加害者が無意識に行う発言・行為が、セクハラ被害者にとっては、非常に大きな精神的ストレスを与えることもあります。

例えば、次のような行為は、セクハラ被害者に対する報復にあたり、それ自体があらたなセクハラ行為となります。

たとえば…

  • セクハラ加害者となった上司が、セクハラ被害を訴えた部下の評価を下げる。
  • セクハラ加害者が、セクハラ被害を訴えたことについて社内で悪くいう。
  • セクハラ加害者が、セクハラ被害者を集団で無視する。

また、これらの新たなセクハラ行為は、セクハラ被害者に対する場合だけでなく、目撃者や、セクハラ行為を告発した人に対して行われる場合にも、パワハラとして違法行為になるおそれの高いものです。

当事者間で直接話し合う

セクハラ加害者の気持ちからすると、「話し合えばなんとか解決するのではないか。」、「セクハラ被害者は、本当はそこまで嫌な思いはしていないのではないか。」、「会社からセクハラ被害を申告するようそそのかされたのではないか。」などと、いろいろな想像を巡らせてしまいがちです。

特に、突然社長や人事部から呼び出され、セクハラの疑いをかけられると、当事者同士が話さないよう強く注意されたり、自宅待機命令を下されたりすることが多いため、ついよからぬことを想像してしまいがちです。

しかし、セクハラ加害者が、自分自身で、セクハラ被害者との間で話し合おうとすることは、非常に問題ある行為です。

というのも、セクハラ加害者のこれらの気持ちに反して、実際にはセクハラ被害者は非常に辛い思いをしているケースがほとんどだからです。

目撃者や同僚への事実確認

セクハラ行為が行われていると申告された現場に居合わせた同僚や目撃者に対し、事実確認をすることも、慎重になった方がよいでしょう。

セクハラ加害者の立場になると、「見ていた人が証言してくれれば助かるのではないか。」、「同じ男性であれば、協力してくれるのではないか。」などといった考えを抱く方もいるでしょう。

しかし、セクハラ加害者として指摘をされた頃には、既に会社も、目撃者や、居合わせた同僚などには、既に事情聴取をしている場合が多いといえます。

社員であれば、会社と敵対してまでセクハラ加害者に協力してくれることが、それほど期待できないでしょう。中には、昔の恩義や情で、会社の処分方針について情報を漏らしてくれる人がいるかもしれませんが、セクハラ加害者が今後の有利な立場を築くためには、あまりにも不十分です。

セクハラが冤罪(えん罪)のときの対応策

ここまでの解説は、いずれも、セクハラ加害者の疑いをかけられ、かつ、セクハラ行為が真実であったときの対応策です。

これに対して、「セクハラだ!」と被害を訴えられているものの、実際には、自分はセクハラとなる行為を行ったことは一切ないという場合もあります。これを「セクハラ冤罪(えん罪)」といいます。

セクハラが冤罪(えん罪)の場合の対応策は、別の解説にまとめておりますので、ポイントだけ解説していきます。詳しくは、下記の解説をご覧ください。

ココがポイント

  • 被害を訴えられているセクハラ行為の内容を確認する。
  • セクハラ行為の内容と、自身の記憶とを照らし合わせる。
  • 自分からセクハラ行為を認める発言はしない。
  • 会社の判断が「懲戒解雇」など厳しいものである場合、労働審判や裁判で争う。
チェック
「セクハラだ!」と冤罪の疑いをかけられたらすべき対応策

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「セクハラ問題」は弁護士にお任せください!

今回は、セクハラ加害者となってしまったときに「どのような流れになるか」を説明し、セクハラ加害者がやった方がよいこと、やってはいけないことなど、対応策について解説しました。

セクハラ加害者となってしまい、セクハラ行為が事実であるときは、これ以上の二次被害を防ぎながら対応しなければなりませんから、慎重な対応が必要です。会社からの厳しい処分が予想される場合には、早めに準備し、きちんと反論することで、妥当な処分まで引き下げるよう、戦っていく必要があります。

「セクハラだ!」と言われてしまってから驚かないよう、常日頃から「セクハラに当たる行為」についてしっかり理解することが重要ですが、いざ自分がセクハラ加害者となってしまったら、弁護士に法律相談してみてください。

「セクハラ加害者」の法律知識まとめ

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弁護士浅野英之(弁護士法人浅野総合法律事務所 代表)

弁護士浅野英之(弁護士法人浅野総合法律事務所 代表)

弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区銀座)の代表弁護士(第一東京弁護士会所属)。 不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、近年ニュースでも多く報道される労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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