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セクハラ加害者が、自宅待機命令を受けたら知っておきたい5つのこと

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会社でセクハラをしてしまった労働者の方の中には、長期間の自宅待機を命じられて、不安をお感じの方も多いのではないでしょうか。

自宅待機中にネット検索して、「自宅待機、懲戒処分」といったキーワードが目に付き、パニックを起こしたり、自暴自棄になってしまったりして法律相談に来られる方もいます。

セクハラは明確な違法行為であり、戒められることは当然です。しかし、だからといって会社がセクハラ加害者となった労働者に対し、あまりに不当な取り扱いをすることが正当化されるわけではありません。

気付かぬ間に不当処分で排除されてしまわないためには、セクハラを理由とした自宅待機命令や懲戒処分との関係について、正しい知識を得ておく必要があります。

今回は、セクハラを理由とした自宅待機命令の基礎知識と懲戒処分、その対処法について労働問題に強い弁護士が解説します。

1. セクハラによる自宅待機とは?

会社でセクハラをしてしまった場合、ひとまず自宅待機を命じられるケースが多くあります。

セクハラ加害者に対する自宅待機命令は、会社が労働者に対して行う業務命令の一種です。雇用契約に基づいて命令するものですので、根拠がなくても可能ではありますが、就業規則などに「業務命令」についての根拠があることが一般的です。

自宅待機命令の目的は、再発防止や証拠隠滅など、そのセクハラの事例によってケースバイケースですが、セクハラ加害者となった労働者としては、まずは業務命令に従う必要があります。

1.1. 会社の業務命令権

会社は、労働者との雇用契約に基づいて、会社の事業を円滑かつ適正に遂行するために、個々の労働者を指揮監督する権限を持っています。

その一環として、会社は労働者の業務遂行につき指示を出し、その指示に従わせるための業務命令権を行使することができます。

業務命令の内容に関しては、会社側に広い裁量が与えられていますから、「セクハラを行ってしまった加害者である。」という理由があれば、自宅待機の業務命令は、有効となる場合が多いといえます。

1.2. 根拠規定は不要

セクハラをした際に受ける自宅待機命令は、冒頭で解説しましたように、業務命令の一種です。

雇用契約上の指揮監督権限を基礎とするため、特別の根拠規定は必要としません。ただし、通常は雇用契約書や就業規則に業務命令権が規定されています。

したがって、セクハラに対して自宅待機命令をするときには、会社が特に根拠を明示して行わなかったとしても違法にはなりません。

気になられた労働者の方は一度、お手持ちの雇用契約書や就業規則をチェックしましょう。

 参考 

なお、従業員数が10人を超える職場で働いている場合には、就業規則の作成と届出が労働基準監督署で義務付けられています。

そのような職場で働いていて、就業規則を見たこともないという場合、労働基準法違反の疑いがありますから、会社や直属の上司に、就業規則を見せてもらえるよう伝えてみてください。

1.3. 自宅待機命令に従う必要あり

セクハラを理由とする自宅待機命令は会社の業務命令であり、命令を受けた労働者には命令に従って自宅待機をする義務があります。

自宅待機命令に従わなかった場合は業務命令違反になり、就業規則に「懲戒」についての定めがある場合には、懲戒処分の対象になります。

セクハラに対する懲戒などの制裁(ペナルティ)と、セクハラを理由とする自宅待機命令に違反したことを理由とする制裁(ペナルティ)とは別物ですから、二重に処罰をしたことにはなりません。

2. セクハラで自宅待機になるケースとその理由

セクハラをして、会社から自宅待機命令を下されるケースとしては、次のようなものがあります。

何ら合理的な理由もなく業務命令をすることは違法となりますが、「セクハラの加害者である。」ということは、自宅待機命令を下す大きな理由となります。

そこで、セクハラを行ってしまった加害者の方が、自宅待機命令となってしまうケースとその理由について、弁護士が解説します。

2.1. セクハラ再発防止のための自宅待機命令

セクハラをした労働者がセクハラの常習犯である場合や、本人に加害者意識がない場合には、処分を考えている間に新たなセクハラ被害者を生む可能性があります。

そのため、セクハラ加害者を一旦自宅待機にすることで、これ以上のセクハラ被害者を増やさず、継続的なストーカー的セクハラ行為を起こささないようにする必要があります。

2.2. セクハラ被害者への配慮のための自宅待機命令

セクハラの内容が悪質であり、被害の程度が酷いケースでは、被害者が深く傷つき、加害者労働者を被害者と同じ職場に居させるのが適当でない場合があります。

そのようなケースでは、被害者への配慮として、加害者労働者を自宅待機させ、被害者と距離を置かせることがあります。

セクハラ被害者とセクハラ加害者とが、同じ職場で働いている場合などで、これ以上一緒に働かせておくことができない場合に、セクハラ被害者の側が我慢を強いられることは適切ではなく、セクハラ加害者の側が自宅待機する、ということです。

2.3. 証拠隠滅の防止のための自宅待機命令

セクハラ加害者の多くは、自分の罪を認めようとしません。

自分の罪を認めないセクハラ加害者を職場に残しておけば、目撃者に圧力をかけたり、セクハラメールを削除するなどして、セクハラの証拠を隠滅されてしまい、正確な事実関係の把握が困難になる場合があります。

そのため、加害者労働者がセクハラの事実を否定している場合など、証拠隠滅のおそれが高いときには加害者労働者を自宅待機させることがあります。

証拠隠滅を防止するための自宅待機命令の場合には、調査が完了するまで自宅待機としておく必要がありますが、会社もまた、調査を早く終わらせるために、迅速に対応しなければなりません。

3. 自宅待機中に賃金は発生する?

セクハラ加害者といえども、労働者であり、労働をして賃金(給与)を得ていることには変わりありません。無収入になってしまえば、生活の糧を失うこととなります。

セクハラという違法行為をしてしまった場合には、自宅待機命令中は、賃金が発生しないのでしょうか。

3.1. 賃金は労務の対価

労働者が会社から受け取る賃金は、日常の労務の対価として支払われるものであり、労働者が労務に従事しなかった場合、会社は賃金を支払う必要がありません。

このことを、労働法の専門用語で、「ノーワークノーペイの原則」といいます。

3.2. 自宅待機も労務?

自宅待機命令を受けている間は、普段の業務を行うことができません。そのため、一見すると賃金は発生しないようにも見えます。

しかし、懲戒処分の一種である出勤停止とは異なり、自宅待機中には、むしろ賃金が発生するのが原則です。

自宅待機命令は業務命令であり、労働者は「自宅で待機する」という労務に従事していることになるからです。

3.3. 出勤停止の場合、賃金が発生しない

一方、労働者が会社から出勤停止処分(懲戒処分)を受けた場合には、出勤停止中の賃金は発生しません。

セクハラを理由として、実際に懲戒処分を下され、その処分内容が出勤停止であった場合、「会社に行くことができない。」という点では自宅待機命令と同じですが、出勤停止の場合には賃金(給料)は発生しないこととなります。

出勤停止は懲戒処分の一種であり、労働者の非違行為に対する「制裁」として課されるものです。自宅待機とは異なり、労務ではないため、「ノーワーク・ノーペイ」原則が適用され、賃金が発生しないのです。

3.4. 自宅待機でも賃金が発生しないケース

ただし、会社が自宅待機を命じた場合でも、自宅待機中の賃金が発生しない場合があります。

自宅待機命令を受ける原因がセクハラ加害者である労働者の側にある場合には、会社はやむを得ず自宅待機を命じなければならない状況にあります。

例えば、さきほど解説した「証拠隠滅の防止」が必要なケースがこれに当たります。このように、自宅待機をせざるを得ない理由がある場合には、自宅待機期間中の賃金が発生しない場合があります。

4. 自宅待機命令の効力を争える?

セクハラを理由とする自宅待機命令が、会社による業務命令の一種であることを理解していただければ、不当な業務命令であれば、争いたいと考える労働者の方も少なくないことでしょう。

セクハラは明らかに違法行為であり、セクハラをしたことは十分に反省すべきではあるものの、自宅待機命令の効力を争いたいと考える場合には、次のような手順で検討を進めてください。

4.1. 業務命令権の濫用は違法

会社側には、業務命令権を行使するに当たって、非常に広い裁量が認められています。通常、「セクハラを行った。」のであれば、再発の危険、証拠隠滅の危険があるほうが通常であり、自宅待機命令もやむを得ない場合が多いでしょう。

しかし、業務命令の内容に正当性がない場合や、労働者に対して不相当に過大な負担を課す場合には、業務命令権の濫用に当たり、その業務命令は違法になります。

そのため、軽度のセクハラに対して、長期間の自宅待機を命じるような業務命令は、権利濫用として違法、無効となる可能性もあります。

4.2. 労働審判で争う方法

権限を濫用した違法な業務命令を下された場合、労働者はその命令に従う必要がありません。

違法な業務命令に従わなかった結果、不利益な処分を受けた場合には、労働審判を利用して業務命令の違法性や処分の効力を争うことができます。

違法な業務命令に従わなかった結果、不当解雇されてしまった場合には、「地位確認請求」という請求を労働審判で行うことによって、不当解雇の無効を主張することができます。

4.3. 正当な理由と相当性が必要

会社の業務命令が適法であるためには、次の2つの要件が必要となります。

  1. 業務命令に正当な理由があり
  2. 業務命令の内容が社会通念に照らし相当であること

ただし、セクハラをして自宅待機命令になった場合には、再発防止や被害者への配慮、証拠隠滅防止など、①業務命令に正当な理由が認められやすいといえます。

したがって、セクハラを理由に自宅待機を命じられている場合には、自宅待機命令の期間が②社会通念に照らし相当といえるかどうかが争いのポイントになります。

4.4. 適正な自宅待機の期間とは?

セクハラを理由とした自宅待機は、通常、懲戒処分の前段階として行われます。どのような懲戒処分が適正かを判断するために、セクハラの被害状況などの調査を目的として自宅待機を命じるのが通常です。

調査が完了するまでの間は、再発防止や被害者への配慮、証拠隠滅防止のために、加害者労働者を職場から引き離す必要があるので、数日間、あるいは数週間、自宅待機を命じることは社会通念に照らして相当といえるでしょう。

現実には、自宅待機期間を1~2周間と定めている会社が多いようです。

しかし、ヒアリングや懲戒処分の内容を決める審議が完了しており、自宅待機を継続する必要がないにもかかわらず、自宅待機が解除されない場合は、社会通念上相当な範囲を逸脱した違法な業務命令になると考えてよいでしょう。

4.5. 長期の自宅待機=違法ではない

自宅待機の業務命令が、「社会通念上不相当」であれば違法、無効であると判断されやすくなりますが、セクハラを理由とした長期の自宅待機命令が、かならずしも違法性が強いとは言い切れません。

ヒアリングや審議にかかる時間は、そのセクハラの事案によって異なるからです。自宅待機の期間が数ヶ月に及ぶからといって、必ずしも違法な業務命令になるとは限らないので注意が必要です。

長期間の自宅待機命令の違法性が気になる労働者の方は、弁護士に法律相談ください。

 例 

例えば、航空会社の整備士が勤務中に飲酒をして自宅待機を命じられた事案では、自宅待機の期間が7ヶ月に及び、待機命令は違法と判断されましたが、整備士の弁解内容を明確にするための期間として、約3ヶ月間の自宅待機は違法とされていません。

5. セクハラ自宅待機の後の懲戒処分

ここまでは、セクハラを理由とする自宅待機の法律上の意味や取扱い、自宅待機命令を受けてしまった場合の対処法について、弁護士が解説してきました。

セクハラを理由とした自宅待機は、懲戒処分を下す前提として、事実関係の調査や審議のために命じられることが多く、自宅待機が解除された後は、何らかの懲戒処分が下される可能性が高い、といえます。

自宅待機で職場から引き離されたことで、「既に処罰を受けたと言えるのでは?」と疑問にお感じの方もいらっしゃるかも知れません。

そこで最後に、自宅待機命令と懲戒処分との関係について、弁護士が解説します。

5.1. セクハラに下される懲戒処分の種類

一口に懲戒処分といっても、その内容や処分の重さは様々です。会社の就業規則に定められている一般的な懲戒処分の種類としては、次のようなものが挙げられます。

 セクハラに下される懲戒処分の具体例 
  • 戒告・けん責
    戒告、けん責は、将来同じ問題行動を繰り返さないように、厳重注意によって労働者を戒める処分です。口頭で行う場合が戒告、始末書を提出させる場合がけん責です。懲戒処分の中では最も軽い処分となります。
  • 減給
    減給は、文字通り賃金を減らす処分です。
  • 出勤停止
    出勤停止は、労働者が会社に出勤するのを禁止する処分です。出勤停止中、労働者は労務を提供できないため、「ノーワークノーペイの原則」が適用されて賃金が発生しません。
  • 降格
    降格は、対象となる労働者の職場内における役職などのランクを下げる処分です。

    部長から課長への降格、課長から平社員への降格など、それまでに積んできたキャリアが失われることになります。大抵の会社は役職に応じて賃金が高くなるため、降格処分は無期限の減給処分ともいえます。

  • 諭旨退職
    諭旨退職とは、本来であれば懲戒解雇となる問題を起こした場合に、会社側の配慮によって退職届の提出を認め、自己都合退職扱いにする処分です。

    会社が指定した期間内に退職届を提出しない場合は懲戒解雇になります。退職金を受け取ることができるため、懲戒解雇よりは軽い処分といえます。

  • 懲戒解雇
    懲戒解雇は、対象労働者との雇用契約を会社が一方的に解消する処分です。
  • 懲戒処分の中では最も重い処分であり、労働者にとってはその後の再就職にも影響する厳しい処分だといえます。諭旨退職と異なり、退職金も支給されないのが通例です。

このような懲戒処分の一般論を理解していただいた上で、セクハラに下される懲戒処分の程度は、そのセクハラの違法性、重大性、継続性などに応じてケースバイケースといえます。

5.2. 二重処罰にならない?

憲法では、同一の犯罪について二重に処罰してはならない、という「一事不再理」の原則が定められています。これと同様に、一つの行為について二重に懲戒処分をすることは違法です(二重処罰の禁止)。

セクハラを理由として自宅待機命令を受けた後に、同じセクハラを理由に懲戒処分とされることは、一見すると二重処罰の禁止に反するようにも思えます。

しかし、自宅待機命令は業務命令の一種であり、「制裁」を目的とした懲戒処分ではないため、会社が労働者のある行為に対して、自宅待機命令後に懲戒処分を下したとしても二重処罰にはならず、違法ではありません。

5.3. セクハラは懲戒解雇になりやすい?

セクハラで自宅待機になったら懲戒解雇されてしまう、という誤解をされている労働者の方も多いようですが、自宅待機命令を下されたからといって、その後の懲戒処分が懲戒解雇処分であるとは限りません。

会社の懲戒権は、労働者に対して不利益をもたらすため、労働契約法15条、16条によって厳しく制限されています。

労働契約法15条

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

労働契約法16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

セクハラ行為が強制わいせつ罪のような犯罪に当たるような重度のケースは別として、軽微なセクハラについていきなり懲戒解雇とすることは許されない場合も多くあります。不相応な厳しい処分を受けたときは、労働審判で処分の効力を争うことができます。

セクハラに対する処分の程度を判断するには、労働問題についての知識と経験が必要となりますので、処分内容が厳しすぎるのではないか、とお感じになった方は、労働問題に強い弁護士に法律相談ください。

6. まとめ

今回は、セクハラを理由とした自宅待機命令にまつわる基本知識と懲戒処分との関係、およびその対処法について弁護士が解説しました。

セクハラをしてしまったこと自体は大いに反省するべきですが、だからといって不当な取り扱いを受けるいわれはありません。会社の下した自宅待機命令や、これに続く懲戒処分が適切なものかどうか、検討してみてください。

セクハラを理由とした自宅待機命令や懲戒処分についてお困りの労働者の方は、労働問題に強い弁護士に、お早目に法律相談ください。

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