SEのブラック残業はとても有名です。
IT企業は、ベンチャー、中小企業が中心。
労働法を守りきれないブラック企業の割合が、どうしても多くなってしまいます。
IT企業、IT会社では、SEの労働時間は、売上に直結します。
SEが手を動かせば動かすほど、売り上げが上がり、会社が儲かるからです。
しかし、違法残業によってSEが酷使されれば、心身は疲弊します。
SEの過労死がよくニュースになることからもわかるでしょう。
SEは、サービス残業、違法残業がとても多く、危険な状態にある業種なのです。
IT会社には、独特の雰囲気があります。
自由な雰囲気に流されると、「いつでも出社・退社してよい」というのが、「いつでも仕事しなければならない」に置き換わってしまいます。
ブラック企業に使い倒されると、うつ病にかかり、労災となります。
その前に残業代を請求し、ブラック企業に立ち向かわなければなりません。
今回は、IT企業ではたらくSEの違法な長時間労働、残業を、労働問題に強い弁護士が解説します。
- SE(システムエンジニア)でも、決められた時間を超えて働けば残業となる
- SEほど、裁量労働制などを悪用し、残業代が払われていないことがある
- 違法に残業代が払われないなら、SEといえど、残業代請求することができる
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IT業界の残業について、次に解説します。
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【残業代とは】
【労働時間とは】
【残業の証拠】
【残業代の相談窓口】
【残業代請求の方法】
★ ベンチャーの労働問題まとめ
SEの違法残業は深刻な問題
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SE、すなわち、システムエンジニアの長時間労働、未払い残業代の法律相談は、とても多いです。
情報技術が進化し、SEの需要は減りません。
その分だけ、SEの抱えている労働問題も、なかなか解消されないのです。
SEの典型的な労働相談には、残業代に加えて、次の例がよくあります。
- 仕事が単調で、まったく面白みがない。
- 外出できず、からだが痛い(腰痛、頭痛など)。
- パソコンの画面を見続け、眼精疲労になった。
- キーボードを打ち続け、腱鞘炎になった。
- 給料が非常に安い。
SEの仕事は、IT企業の中でも、特に単調になりがちです。
そして、単純作業で面白みがなく、営業職のように外にも出ないもの。
ますます、社内にこもりきりとなり、会社の言うなりに残業を継続しがちです。
以上の通り、劣悪なSEの労働環境も、大きな問題です。
そして、会社が上げている利益に比べれば、安月給な人も多いです。
低い給料を補うために残業し、残業代で生計を立てるSEも少なくありません。
さらにブラックなIT企業だと、正当な残業代が全額払われるわけでもありません。
SEの労働力を酷使し、正当な対価を払わないブラック企業には、残業代請求を検討してください。
SEの労働問題は、弁護士に相談できます。
労働問題に強い弁護士の選び方は、次に解説します。
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SEの残業代が問題となるケース
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なぜこれほどまでにSEの残業代がよく問題となるのでしょうか。
SEの担当する業務の性質、内容が、残業をさらに増やしている側面があります。
「SEなのだから残業は当然」と考えてSEになった人も多くいるでしょう。
しかし、このような気持ちでは、残業を強制されるSEの典型例だといえます。
- 納期に間に合わせるため、直前は徹夜の残業が必要。
- 「SEは、慣習としてサービス残業が必須」という業界の風潮がある。
- 担当プロジェクトが終了しても、忙しい部署の応援に回される。
- 深夜の労働時間はそもそも把握されていない。
- 「自由出勤」のため、そもそも出社事態が把握されていない。
- リモートワークで、いつでも仕事しなければならない。
- 他の社員に「お付き合い残業」しないとパワハラの対象となる。
- 残業しないと「スキル不足」と評価される。
逆に、会社からも「SEになるなら、残業があるのは当然だろう」と反論を受けることも。
しかし、残業代は、業種によって決められたルールではないので、この考え方は誤りです。
確かに、労働契約上、残業命令をする根拠があることは多いでしょう。
それは、SEでなくても同じです。
根拠があってもなお、違法な残業命令には従う必要はありません。
残業代が払われないなら、残業をした分の正当な対価が払われず、違法な残業となります。
なお、残業代が払われたとしても、無制限に残業を命じられるわけでもありません。
これもまた、SEでも同様です。
長時間の残業で心身を壊し、病気になれば、安全配慮義務違反に基づく慰謝料を請求できます。
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裁量労働制のSEも残業代を請求できる
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SEとして働く労働者は、「裁量労働制」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
裁量労働制は、SEの残業代を払わない理由として悪用される、有名な制度だからです。
しかし、裁量労働制は、正しく使えば、決して残業代を減らす制度にはなりません。
むしろ、自由な働き方ができるようになり、労働時間は減ることもあります。
ブラック企業の「SEは裁量労働制だから、残業代を払わない」という甘い考えは間違いです。
裁量労働制といわれたSEが、残業代を請求できるのか、解説します。
そもそもSEに裁量労働制が適用される?
裁量労働制の適用の対象となる労働者は、労働基準法によって限定的に定められます。
強い効果を生むからこそ、労働者を保護する必要があるためです。
SEが該当する可能性があるのは、「情報処理システムの分析又は設計の業務」という類型の業務です。
労働基準法38条の3
使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、労働者を第一号に掲げる業務に就かせたときは、当該労働者は、厚生労働省令で定めるところにより、第二号に掲げる時間労働したものとみなす。
一 業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(以下この条において「対象業務」という。)
二 対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間
三 対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと。
四 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
五 対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
六 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
② 前条第三項の規定は、前項の協定について準用する。
労働基準法(e-Gov法令検索)
第労働基準法施行規則24条の2の2
法第三十八条の三第一項の規定は、法第四章の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定について適用する。
② 法第三十八条の三第一項第一号の厚生労働省令で定める業務は、次のとおりとする。
一 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
二 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。)の分析又は設計の業務
三 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第二十八号に規定する放送番組(以下「放送番組」という。)の制作のための取材若しくは編集の業務
四 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
五 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
六 前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務
……(中略)……
労働基準法施行規則(e-Gov法令検索)
具体的には、「情報処理システムの分析又は設計の業務」は、次のように説明されます。
つまり、一定以上の高度な専門性ある業務に限られているのです。
- ニーズの把握、ユーザーの業務分析等に基づいた最適な業務処理方法の決定及びその方法に適合する機種の選定
- 入出力設計、処理手順の設計等アプリケーション・システムの設計、機械構成 の細部の決定、ソフトウェアの決定等
- システム稼働後のシステムの評価、問 題点の発見、その解決のための改善等の業務
これらの業務だと、ある程度の裁量を労働者に認めなければ、業務遂行が難しいからです。
したがって、裁量労働制が適用されるSEは、限られています。
職種が「SE」だからといって、すべての人が裁量労働制になるわけではありません。
プログラマは裁量労働制の対象ではない
裁量労働制を使えるのは、コンピュータ(PC)を活用してする仕事のなかでも、高度な職種。
他方で、プログラマは裁量労働制の対象にならないとされます。
つまり、プログラマは、残業させた分だけ残業代を払わなければなりません。
プログラマで、裁量労働制を理由に残業代が払われていない人は、未払いの残業代を請求できます。
例えば、社内のSEがすべて裁量労働制なら、そもそも違法性があると疑うべきです。
社内の仕事がすべて高度に専門性があるとは言いづらいからです。
行政の指針では、裁量労働制の対象となる職種かは、「常態として従事していたか」で判断します。
例えば、営業もプログラマもするSEの場合、高度な専門的業務に、常態として従事していたかどうかによって、残業代が生じるかどうかが区別されます。
裁量労働制の対象となる業務を常にしていたのでなければ、残業代請求できるのです。
裁量労働制の運用は適切か
裁量労働制の適用を受けそうな業務をしている方も、あきらめる必要はありません。
裁量労働制の運用が適切でなければ、やはり違法であり、無効となるケースがあるからです。
裁量労働制は、残業代をなくす強い効果があるため、高いハードルが設定されています。
悪用され、残業代が不当に払われなくなる危険を回避するためです。
そのため、「情報処理システムの分析又は設計の業務」を行う者であって、裁量労働制を適用される可能性があっても、「適切に運用されているか?」という点を検討しなければなりません。
裁量労働制を適切に運用するには、次の要件が必要です。
裁量労働制の要件を満たさないなら、仮に専門性、裁量制の高いSEであっても、残業代を請求できます。
違法な裁量労働制への対応は、次に解説します。
裁量労働制のSEでも残業代はある
裁量労働制は、あくまでも「労働時間」についての特別なルールです。
その意味は、「何時から何時まで働いたとみなす」という制度。
みなされた労働時間が8時間を越えれば、やはり残業代が生じます。
つまり、「裁量労働制だから、必ず残業代が発生しない」というのも誤りなのです。
裁量労働制だと反論されてもなお、残業代を計算し、請求を検討してください。
また、裁量労働制でも、休日手当、深夜手当など、その他の残業代が発生する可能性もあります。
残業代の正しい計算方法は、次に解説します。
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SEの残業代を減らすブラックIT企業の言い分に「NO!」
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SEとしてIT企業で働くと、労働法の知識が欠けてしまいがちです。
法律を理解すれば「絶対におかしい」とわかるルールも、社内の慣習としてまかり通るからです。
ブラックな会社ほど、SEの残業代をできるだけ減らし、タダ働きで酷使しようとします。
会社にとって有利で、かつ、間違った言い分を、労働者に押し付けます。
いざ残業代請求を思い立っても、ブラック企業の言い分が頭にこびりついて離れない方に向けて、ブラック企業の言い分に「NO!」と言うための法律知識を説明します。
たくさんサービス残業しないと評価されない
残業代をもらえないサービス残業は違法です。
サービス残業をなくす一番良い方法は、定時で帰り、残業しないこと。
しかし、言うほど簡単ではありません。ための一番よい方法は、定時で帰ることですが、言うほど簡単ではありません。
ブラック企業のSEが残業をなくせないのは、「評価が下がるから」というのが1つの理由
逆にいえば、たくさんサービス残業するほど、会社の評価が良くなるのです。
上司や同僚も、早く帰るSEには「能力不足」「スキル不足」などパワハラすることも。
とはいえ、成果さえ上がっていれば、本当は帰宅してよいはずです。
成果が同じなら、むしろ労働時間が少ないほうが優秀なのは当然。
残業代が払われない会社では、こんな当然の論理も通じないのです。
離職率が高い
違法なサービス残業が横行する会社では、SEの離職率は高い傾向にあります。
どれだけ長く働いても報われないのだから、当然でしょう。
こんな会社では、「優秀なSEほど早く辞める」といっても過言ではありません。
現在勤務する会社がブラックだと明らかなら、SEとしても長く居座る必要はありません。
得られるスキルがもうないなら、新天地で活躍するほうがあなたのため。
速やかに転職を検討してください。
在職中にはしづらかった残業代請求も、退職時こそまさにそのタイミング。
証拠集めは、退職前から準備しておくようにしましょう。
裁判で勝つための証拠集めは、次に解説します。
残業代がないと長時間労働が回避できない
「成果主義」という言葉を武器に、SEの残業代を払わない会社がよくあります。
確かに、「成果主義」には大きなメリットがあります。
会社からすれば「成果を出さなければ給料は払えない」という考えでしょう。
しかし、労働には法律に定められたルールがあります。
SEの残業代を減らす方法が、「成果主義」にのっとった適切なものであればよいですが、そうでない場合も多くあります。
管理監督者、年俸制など、SEの残業代を減らすのに悪用される制度があります。
しかし、これらの制度もまた、違法となる場合が多いです。
詳しくは、次の解説をご覧ください。
SEの残業代請求が認められた裁判例
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SEとしてブラック企業に働いていると、社内の雰囲気に毒されてしまうでしょう。
「SEでも残業代請求できる」とは考えてもなかったことかもしれません。
しかし実際は、SEによる残業代請求のケースは、増加しています。
そのなかで、裁判例でも、SEの残業代請求の認められた事例は多くあります。
例えば、エーディーディー事件(京都地裁平成23年10月31日判決)。
この裁判例では、SEとして勤務する社員が、退職後に、裁量労働制が適用されないと主張して1600万円もの残業代を請求し、そのうち1000万円以上の残業代請求が認められたものです。
裁判所は、SEの残業代が認められる理由について、次のように判断しています。
プログラミングについては、その性質上、裁量性の高い業務ではないので、専門業務型裁量労働制の対象業務に含まれないと解される。営業が専門業務型裁量労働制に含まれないことはもちろんである。
……(中略)……本来プログラムの分析又は設計業務について裁量労働制が許容されるのは、システム設計というものが、システム全体を設計する技術者にとって、どこから手をつけ、どのように進行させるのかにつき裁量性が認められるからであると解される。
しかるに、A社は、下請であるXに対し、システム設計の一部しか発注していないのであり、しかもその業務につきかなりタイトな納期を設定していたことからすると、下請にて業務に従事する者にとっては、裁量労働制が適用されるべき業務遂行の裁量性はかなりなくなっていたということができる。
また、Y社において、Xに対し専門業務型裁量労働制に含まれないプログラミング業務につき未達が生じるほどのノルマを課していたことは、Xがそれを損害として請求していることからも明らかである。さらに、Xは、部長からA社の業務の掘り起こしをするように指示を受けて、A社を訪問し、もっと発注してほしいという依頼をしており、営業活動にも従事していたということができる。
以上からすると、Xが行っていた業務は、労働基準法38条の3、同法施行規則24条の2の2第2項2号にいう「情報処理システムの分析又は設計の業務」であったということはできず、専門業務型裁量労働制の要件を満たしていると認めることはできない。
エーディーディー事件(京都地裁平成23年10月31日判決)
ちなみに、この裁判例では、多額の残業代が認められただけでなく、労災も認められました。
裁量労働制が無効となり、長時間の労働の結果として病気になれば、それは会社の責任といえるからです。
労災についての弁護士への相談は、次に解説します。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/05/joseibengoshi-300x169.jpg)
SEの残業代を請求する具体的な方法
![残業代請求の流れ](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2022/08/zangyoudaiseikyuunagare.jpg)
以上の解説で、「未払いの残業代がありそうだ」と思ったSEは、残業代請求を検討してください。
実際にSEが、残業代請求するときの具体的な方法について解説します。
SEの場合でも、残業代請求の方法は、一般のものと変わりありません。
ただ、ブラックなIT企業に勤めるSEの方は、特に注意を要するポイントがあります。
まずは証拠収集からスタート
残業代を請求しようとするSEは、まずは証拠収集から始めてください。
証拠がないのに残業代請求してしまうと、ブラック企業からの反論に対抗できません。
労働審判や訴訟でも、証拠が大きな武器になります。
SEの場合にも、集めるべき証拠は、通常の労働者と変わりはありません。
ただ、ブラックな会社だと、そもそも会社が労働時間を把握していないことがあります。
なので、SEは、自分で残業の証明資料を入手せねばなりません。
SEの場合、仕事中はずっとパソコンの前にいて作業をしているでしょう。
業務で使用しているPCのログ履歴が入手できれば、残業時間を証明することができます。
残業の証拠となる資料は、次に解説します。
内容証明でSEの残業代を請求
証拠収集が完了したら、いよいよ会社に対し、残業代を請求します。
まずは、残業代を適切に計算し、内容証明を送るようにしてください。
内容証明は、請求日を証拠に残せるので、残業代の時効をストップさせるのにも役立ちます。
交渉で解決ができるトラブルなら、1ヶ月ほどのうちには残業代を払ってもらえるでしょう。
残業代請求の内容証明による通知書は、次に解説します。
労働審判でSEの残業代を請求
交渉による解決が難しいSEの方は、労働審判を申し立てましょう。
SEの残業代を労働審判で請求する場合、事前に証拠をどれだけ収集できたかが勝負の分かれ目。
ブラック企業が労働法の知識をあまりもっていないときも、労働審判を早めにしておきましょう。
明らかに違法な残業代未払いなら、労働審判委員会が説得してくれると期待できます。
裁判でSEの残業代を請求
交渉、労働審判でもSEの残業代トラブルが解決しないなら、最後は訴訟しかありません。
つまり、裁判でSEの残業代請求を解決することを目指します。
SEの残業代未払いの問題は、全社的な問題となることが多いです。
裁量労働制や年俸制、管理監督者など、組織のとる制度そのものに問題がある場合が多いからです。
会社として、組織的な残業代未払いがあるとき、1人のSEとの和解は、他にも波及します。
なので、ブラック企業も徹底抗戦してきて、裁判でないと解決できないケースもあります。
労働問題の解決方法は、次の解説をご覧ください。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2018/04/soudan-4-300x169.jpg)
(体験談)デスマーチ必須のブラック企業に入社したSEの残業代請求
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/06/yubisasu.jpg)
入社1年目に内定をもらったIT企業が、非常にブラック企業でした。
SEは「危険、キツい、帰れない」の「3K」業務。
噂は聞いていたが、まさか自分が被害にあうとは思わず、安易に入社したのが運のツキ。
内定がなかなか決まらず焦っていたのでしょう。
離職率が高く、人材不足に悩むブラック企業の罠にはまってしまいました。
入社早々から、研修という名のデスマーチ。
文系出身なので周りより時間がかかり、課題が終わらず居残り作業せざるをえません。
「能力不足」が理由の研修は、残業なはずなのに残業代は払われません。
「少しは残業代をもらえないか」と質問したら、すごい剣幕で怒鳴られました。
これを機に私は「無能」「ITスキルのない役立たず」とレッテルを貼られ干され始めます。
「残業代を請求するなんて……」と白い目で見られ、1年目の評価は「最低」でした。
まさに、SEの違法な残業代未払いの典型的なケースです。
金銭的に損しているのはもちろんですが、SEの頑張りを無にするようなパワハラも併発。
「デスマーチ(死の行進)」の名のとおりの長時間労働に、苦しんだのではないでしょうか。
新卒一年目は、能力面で優れているわけではなく、教育、指導に時間を要するのは当然です。
しかし、業務を遂行する能力を身につけるための教育・研修の時間は「労働時間」。
ボランティアでやっているわけではないですから、給料、残業代が払われるべきです。
新卒でブラック企業に入社してしまった方の対応は、次に解説します。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/04/josei-tsurai-300x169.jpg)
まとめ
![弁護士法人浅野総合法律事務所](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2022/03/asanosougou-zentai.jpg)
今回は、SEの違法な残業の実態と、残業代請求について解説しました。
「SEの慣習だから……」「裁量労働制だから……」「年俸制だから……」など。
ブラック企業は、いろいろな理由でSEの残業代を節約し、サービス残業で酷使してきます。
会社の雰囲気や、評価を気にして、思うように残業代を請求できないSEも、少なくありません。
しかし、SEとして十分なスキルがあれば、会社に迎合する必要はありません。
まずは、弁護士に相談し、SEならではの残業代請求の知識を理解するようにしてください。
- SE(システムエンジニア)でも、決められた時間を超えて働けば残業となる
- SEほど、裁量労働制などを悪用し、残業代が払われていないことがある
- 違法に残業代が払われないなら、SEといえど、残業代請求することができる
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【残業代とは】
【労働時間とは】
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