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残業代請求とは?弁護士が教える残業代請求の全知識まとめ

投稿日:

未払い残業代を、可能な限り多く回収するためには、残業代請求についての知識を理解する必要があります。

残業代請求をするために必要な知識を、労働問題に強い弁護士がまとめました。

正当な労働者の権利である「残業代請求」について、労働者の有利に進め、損をしないため、残業代請求についての基礎知識を理解してください。

目次

1. 残業代請求の方法

残業を毎日長時間しているけれども残業代が支払われない「サービス残業」を強要されている、という労働者も多いのではないでしょうか。

残業代未払、ブラック企業が社会問題化して久しいですが、いまだに、「残業代を支払っていない。」とか、「残業代についての労働法の知識、理解がない。」という問題ある会社は多いくあります。

残業代請求は、労働者としての、当然の権利行使であり、「1日8時間、1週40時間」以上の時間を働いたのであれば、会社に残業代請求ができる可能性があります。

残業代請求をいつ、どのように、どこで行えばよいのかを理解していただき、ブラック企業からの「それでもやはり、残業代は発生しない。支払えない。」という反論に負けないために、残業代請求の基礎知識を弁護士がまとめました。

1.1. 残業代請求を内容証明で行う方法

残業代請求を、内容証明で行う方法は、会社に内容証明郵便によって請求書、通知書を送付して、残業代請求を話し合いによって解決する方法です。

1.2. 残業代請求を労基署(労働基準監督署)に告発する方法

残業代請求が可能であることを示す確かな証拠がある場合には、労働基準監督署(労基署)に相談することで、労基署が会社に指導をしてくれることが期待できます。

労働基準監督署(労基署)に残業代請求の相談をするメリットは、費用がかからないことです。

ただし、最近では、残業代請求については、弁護士なども相談に費用がかからない法律事務所が多いです。

労働基準監督署(労基署)は、労働者個人の味方ではなく、労働基準法(労基法)違反を監督する機関であることから、かならずしもあなただけの味方になってくれるわけではありません。

労働基準監督署(労基署)は、残業代請求を無視する会社に対して訴訟するわけではなく、残業代請求の計算方法は「労基署の考える残業代の金額」といったものであり、より有利な計算ができるかもしれません。

労働基準監督署(労基署)が指摘、是正をうながしたものの、会社がこれに従わずに残業代が支払われない場合、経営者を逮捕、送検してくれたり、「6か月以下の懲役又は30蔓延以下の罰金」(労基法119条)を下してくれることが期待できます。

「労基署に駆け込む」と伝えることで、刑事罰のプレッシャーのもとに、残業代請求を進めるということです。

1.3. 残業代請求を労働局に相談する方法

残業代請求を、労働局に相談することができます。

労働局とは、各都道府県に設置された行政機関であり、労働問題についてのあっせんなどを行ったり、相談窓口を設けたりして、残業代請求をはじめとした労働問題の解決を目指しています。

1.4. 残業代請求を労働組合(ユニオン)と共に戦う方法

残業代請求を、労働組合(ユニオン)と共に戦う方法もあります。労働組合は、憲法、労働組合法という重要な法律で、「労働三権」という権利を認められています。

「労働三権」は、団結権・団体交渉権・団体行動権のことをいい、団体交渉権に基づく団体交渉(団交)によって、会社と残業代請求についての交渉を行うことができます。

1.5. 残業代請求を労働審判で行う方法

残業代請求を、「労働審判」という方法を利用して行うことができます。

「労働審判」とは、不当解雇、残業代請求、セクハラ、パワハラなどの労働問題を、迅速かつ柔軟に解決するための、裁判所の制度です。

「労働審判」では、原則として話し合いを前提とした「調停」が行われ、「調停」における話し合いがまとまらない場合に「労働審判」という裁判所の考えをもらうことができます。

「労働審判」は、3階までの期日で行うこととされており、平均審理期間は70日程度で、残業代請求を早期解決することができます。

残業代請求を「労働審判」の方法によって行うメリットは、早期に一定の解決を得ることができる点にあります。「労働審判」が確定しても残業代を支払わない会社に対しては、差押え(強制執行)ができます。

ただし、残業代請求を認める「労働審判」に、会社が納得しない場合、異議申し立てをされると、訴訟に自動的に移行してしまうというデメリットがあります。

また、「労働審判」における残業代請求では、付加金を獲得することはできず、話し合いによる解決のため、訴訟でもらえる残業代よりは低額にとどまる可能性がある、というデメリットがあります。

1.6. 残業代請求を訴訟(裁判)で行う方法

交渉でも労働審判でも、残業代が支払われない場合には、訴訟(裁判)で残業代請求をする方法があります。つまり、「民事訴訟」で残業代請求する、ということです。

民事訴訟による残業代請求は、「最終手段」であるといえます。判決によって残業代の支払と金額が決まれば、判決に従わない会社に対しては、強制執行をすることができます。

「訴訟(裁判)」で残業代請求をする方法のメリットは、残業代請求の問題について最終的な解決をすることができる、という点です。

また、「訴訟(裁判)」による残業代請求では、残業代を徹底的に、満額回収できるほか、遅延損害金、付加金などを請求することもできます。

「訴訟(裁判)」で残業代請求する方法のデメリットは、残業代を回収するまでに、費用、時間と手間が多くかかる点でしょう。残業代請求の訴訟では、半年から1年程度はかかってしまうことが多いです。

1.7. 訴訟と労働審判の違い

労働審判は、調停をまず先に行い、調停の場での話し合いをするけれども、話し合いが不成立となったときに裁判所の判断をもらうという制度です。

労働審判は、裁判官以外に、労働問題の専門知識を有する労働審判委員が2名(労働者側委員、使用者側委員)加わるので、残業代請求について専門的な判断が望めます。

労働審判に異議がある場合には訴訟に移行しますが、訴訟のほうが労働審判よりも、話し合いによる柔軟な解決がしにくく、より時間と手間がかかります。

1.7. 残業代請求を民事調停で行う方法

残業代請求を、民事調停の方法で行うこともできます。民事調停とは、簡単に言うと、裁判所で行う話し合いです。

ただし、労働審判もまた、調停の機能を一部もっていることから、残業代請求を話し合いで解決したいと考える労働者の方も、民事調停ではなく労働審判を利用すればよいでしょう。

2. 残業代請求の適切なタイミングは?

残業代請求は、いつ、どのタイミングで行うのがよいのでしょうか、という法律相談が多く寄せられます。

せっかく残業代請求をするのであれば、最も労働者にとって有利であって、より多額の残業代を受け取れるタイミングで残業代請求をするようにしましょう。

2.1. 在職中の残業代請求

在職中は、働いている会社に遠慮して、残業代請求をあきらめて泣き寝入りしてしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、在職中であっても、残業代請求は労働者の正当な権利です。

残業して働いたのであれば、在職中に残業代請求しても、責められる筋合いはありません。

2.2. 退職前の残業代請求

退職直前であっても残業代請求をするメリットがあります。

残業代請求の準備のため、証拠収集をしなければなりませんが、労働者の立場で会社内にいなければ、収集できない証拠もあるからです。

就業規則、タイムカードのコピーなど、会社が保管している資料が簡単に入手できる場合には、退職前から、残業代請求の準備をしましょう。

2.3. 残業代請求のための在職中の準備

残業代請求をするためには、労働者側で、残業代請求が発生することと、いくらの残業代が発生するかを立証しなければなりません。

この立証のため、裁判所が重視するのが、残業時間の証拠です。タイムカードが典型的ですが、タイムカードの打刻時間が実際の残業時間と異なる場合、その他の証拠も必要となります。

残業代請求をするのに必要となる書類は、会社が保管していることが多いため、有力な証拠は在職中に準備しておきましょう。

例えば、シフト表、業務日誌、出退勤表、入退室のIDカード記録、パソコンのログ記録、クラウドソフトのデータなどが、考えられます。

ただし、在職中といえども、無理は禁物です。会社に残業代請求が発覚して妨害されたり、解雇されてしまうなどその他のデメリットがないほうがよいです。

難しければ証拠収集も弁護士に任せましょう。

2.4. 退職後の残業代請求

「残業代はたくさん払ってほしいけれども、残業代請求をするのは会社を退職後にしたい」というご相談も多くあります。

退職後であっても、残業代請求することができます。むしろ、このような相談をする方は、早急に退職し、残業代請求ができるように転職活動などをするのがよいでしょう。

退職後であれば、在職中のように「会社に遠慮がある。」、「気まずい」ということもありません。

サービス残業を強要し、残業代を支払わないようなブラック企業に、これ以上尽くす必要はなく、侵害された権利を回復するための残業代請求をすべきです。

退職後の残業代請求を考えるにあたっては、残業代請求の消滅時効(時効)が「2年」であることに注意し、できるだけ早く動きましょう。

既に退職から2年が経過している会社に対する残業代請求を検討されている方は、1か月たてば1か月分ずつ、請求できる残業代が減っていってしまうことをご理解ください。

なお、退職しても支払われていない残業代に対しては、14.6%の遅延損害金を請求することができます(賃金の支払の確保等に関する法律6条1項)。

2.5. 有給休暇(年休)中の残業代請求

退職前に、未消化の有給休暇を消化している最中であれば、残業代請求をしても、気まずい思いをしなくても済むでしょう。

未消化の有給休暇を消化中であれば、既に最終出社日も過ぎているケースが多く、残業代請求の準備をする期間に最適です。

未消化の有給休暇を消化中に残業代請求をすると、退職手続きをスムーズに進めてくれないといった嫌がらせをする会社もありますが、これまた違法となりますから、安心して残業代請求してよいと考えます。

2.6. 辞めた会社に残業代請求できる?

既に退職してしまった会社であっても、残業代請求をすることができます。

前職だけでなく、前々職や、さらにその前に勤務していた会社に対してであっても、辞めた会社にも問題なく残業代請求できます。

ただし、残業代請求の消滅時効(時効)は原則「2年」であることに注意し、辞めた会社に残業代請求するときはできる限りスピーディに動かなければなりません。

2.7. 会社倒産しても残業代請求できる?

会社が倒産してしまった場合には、残業代請求をしても支払元が既にないわけですから、残業代請求をすることができません。

会社が倒産してしまい、労働者に賃金が支払われないときは、「未払賃金立替払制度」によって、独立行政法人の「労働者健康安全機構」が立替払いをしてくれます。

会社が倒産したことによって退職し、職を失ってしまった労働者に対して、一定額の賃金(最大で6か月分の賃金の、8割まで)を、労働者保護のために立て替えて支払ってくれるということです。

残業代も「賃金」ですから、残業代請求についても、残業をした事実が証拠によって証明できれば、「未払賃金立替払制度」によって、救済を受けることができます。

3. 残業代請求はいつする?

残業代請求の適切なタイミングを理解していただいた上で、次に、残業代請求をいつまでにしたらよいのかについて、解説します。

労働基準法(労基法)という重要な法律で、労働者の権利とされている残業代請求ですが、いつまででも可能というわけではありませんから、残業代請求の期限には注意が必要です。

3.1. 残業代請求はいつまでできる?期限は?

残業代請求といえども、いつまででも可能なわけではありません。会社を退職してしばらく経ってから、どうしても会社が許せなくて残業代請求のご相談に来られる方もいますが、残業代請求の期限には注意が必要です。

言い換えると、「残業代請求を、いつまで遡って(さかのぼって)できるのか?」という問題です。

なお、残業代以外の賃金については、通常の賃金は「2年」、退職金は「5年」です。

3.2. 残業代請求の時効は2年?

残業代請求には、「2年」という消滅時効(時効)があります。これは、未払い賃金の消滅時効(時効)と同じです。

残業代請求の「2年」の消滅時効(時効)というのは、「残業代が支払われるはずだった給与支払日から2年間」となります。つまり、その残業代請求が本来可能であった給与日が「残業代請求の時効の起算点」となります。

例えば、2018年6月25日に残業代請求をする場合、2016年6月25日以降に支払われるべき残業代を請求することとなり、2016年6月24日までに支払われるはずであった残業代の請求は消滅時効(時効)によって行うことができません。

せっかく残業代請求をする決断をしたのであれば、できるだけ高額の残業代を回収したいものです。残業代請求に着手するときは、消滅時効(時効)を理解し、スピーディに動きましょう。

3.3. 残業代請求の時効は3年?

例外的に、残業代請求の消滅時効(時効)が「3年」となるケースがあります。これは、残業代請求をする理由が、会社の「不法行為」にある、というケースです。

不法行為とは、違法な行為をして権利を侵害することを指し、ブラック企業など、残業代を支払わない態様の悪質性、違法性が顕著な場合には、残業代請求の時効が「2年」から「3年」に延びるというわけです。

厳密には、この場合には「残業代請求」として請求をするわけではなく、「不法行為を理由とする損害賠償請求」として請求をすることとなります。

「不法行為」の消滅時効(時効)は、「損害及び加害者を知ってから3年」とされています。この場合、残業代を1年分多くもらうことができるのと同じです。

ただし、残業代請求の消滅時効(時効)を「3年」と認めた有名な裁判例があるものの、あくまで例外的なケースであり、「2年」を目安に素早く動くべきです。

3.4. 残業代請求と時効中断

以上「2年」もしくは「3年」と説明した残業代請求の消滅時効(時効)ですが、時効期間が経過してしまう前に、時効の進行をストップさせることもできます。

つまり、適切に手を打っておけば、「会社を退職してから2年経っていた。」という場合であっても、消滅時効(時効)を成立させずに、より高額の残業代請求をすることができます。これが「時効中断」です。

「残業代請求をする」という意思を会社に伝えることが、「残業代請求の時効中断」にあたり、この通知をおこなった日から「6か月」の間、残業代請求の時効は中断します。

残業代請求の意思を会社に伝えた、という事実が、客観的に証明できるように、内容証明郵便によって請求意思を伝えるのが一般的です。

例えば、さきほどの例ですと、2018年6月25日に内容証明郵便が到着すれば、2018年12月25日までは時効がストップし、2年以上の残業代請求をすることができます。

更に、この期間中に、残業代請求の訴訟、労働審判などを裁判所に提起すれば、法的手続きによって争っている期間中は、時効は進行しません。

3.5. 会社が支払ってくれた場合は?

会社が残業代請求に応じて、もしくは自ら進んで残業代を支払ってくれたときには、残業代請求の消滅時効(時効)は関係ありません。

つまり、残業代請求が、たとえ退職後10年経ってから行われたとしても、会社が支払ってくれるのであれば、残業代を獲得することができるわけです。

とはいえ、退職から時間が経てばたつほど、会社も残業代請求に応じられない事情が増えるでしょうし、証拠もなくなってしまいますので、できるだけ早いに越したことはありません。

残業代請求に対して、会社が残業代を承認した場合には、そこで消滅時効(時効)の進行は止まります。

4. 残業代請求の交渉の流れ

残業代請求を、弁護士に依頼して交渉によって進める方法について、解説します。

残業代請求が可能である、とわかった労働者の方は、実際に会社から未払残業代を支払ってもらうための、交渉手続の流れについて、理解してください。

残業代請求の流れは、「内容証明郵便を送付する」→「交渉・示談」→「労働審判・訴訟」という流れとなります。

交渉によって和解(示談)できる可能性もあり、その場合のほうが多くの残業代を回収できる場合もありますから、労働審判・訴訟の前に交渉を試してみるのが、より良い残業代請求の流れといえます。

4.1. 残業代請求を弁護士に相談する流れ

残業代請求を弁護士に相談するには、まず、手元にある証拠となりそうな資料をすべて集めて、初回相談の予約をしましょう。

「何が残業代請求の証拠として役立つか。」を理解するには、残業代請求の裁判の経験がなければなりませんが、今ある物を持参するのがよいでしょう。

残業代請求の計算は、専門家である弁護士の方が早いでしょう。できる限り有利に計算してもらえるよう、正確な事実を伝えましょう。

初回相談の結果、依頼していただける場合には、弁護士から費用の説明を明確に受け、委任契約書を締結します。

残業代請求を得意とする法律事務所の中でも、費用体系の明確な、明朗会計の弁護士に依頼しましょう。

4.2. 残業代請求するための証拠収集、準備

まずは、残業代請求の交渉を会社との間で進める前に、労働者側で入手できる証拠は、あらかじめ準備しておきましょう。

残業代請求前の証拠収集、証拠の準備が、最も重要といっても過言ではありません。

ブラック企業の中には、残業代請求の交渉を開始してから証拠を集めようとしても、証拠を出してくれなかったり、証拠を捨ててしまったり、改ざんしてしまったりする悪質な会社もあります。

タイムカードや雇用契約書、給与明細や就業規則など、会社に依頼しなくても入手可能な証拠も多くあるはずです。ただ、証拠収集にこだわるあまり、残業代請求が遅れるのもいけません。

残業代請求をする前にどの程度の証拠を準備すべきか、証拠を収集すべきかにお悩みの方は、この時点から、弁護士などの専門家に相談とスムーズです。

4.3. 残業代請求の通知書を内容証明郵便で送る

まずは、残業代を支払ってもらえるよう、会社との間で交渉をするのが、残業代請求のスタートです。

残業代請求の交渉の開始は、通知書を内容証明郵便で送ることで始まります。

口頭や電話、メール、LINEなどでの残業代請求も有効ではありますが、会社がこれを無視した場合に、証拠に残りづらくなってしまいます。

残業代請求を、内容証明郵便で通知書を送ることによって開始することで、たとえブラック企業であっても、後の訴訟のことなどを考え、誠意をもって対応してくれることが期待できます。

残業代請求の内容証明郵便をもらいなれていて、「びっくりして払ってくれる」効果が期待できないとしても、「2年」の消滅時効(時効)を中断する効果があります。

4.4. 残業代請求の内容証明の文面の書き方

内容証明郵便とは、郵便の内容(文面)を、郵便局が証明してくれる制度のことをいいます。

内容証明郵便を送付して残業代請求をすることによって、内容証明郵便を受領した会社が「残業代請求などされていない。」など、裁判において不合理な反論をすることを避けることができます。

残業代請求の内容証明の文面には、次のことを書きましょう。以下、残業代請求の内容証明の文面の書き方について解説します。

  • 内容証明のタイトル
    :「請求書」、「通知書」など、残業代請求であることを示すタイトルとします。
  • 宛先の会社名、住所
  • 作成年月日
    :時効中断のために、残業代請求をした日付がわかるように記載します。
  • 労働者の立場
    :入社日、退社日、所属、役職など、残業代請求された会社があなたを特定できるように記載します。
  • 残業した労働時間(残業時間)
    :残業代請求の金額を計算するため、何時間残業したかを記載します。
  • 請求する残業代の金額、支払方法・支払期限
    :残業代の金額を計算し、あわせて支払方法(銀行の口座番号など)、支払期限を記載します。
  • 支払われなかった場合の対応
    :残業代を早く支払ってもらうため、支払期限までに支払われなかった場合に労働審判や訴訟を行うことを記載します。
  • 労働者、代理人の氏名、住所
    :あなた自身の氏名、住所、もしくは、代理人の氏名、住所を記載します。

残業代請求のとき重要な資料となる、残業代の金額を計算したエクセル表や、残業時間の証拠となるタイムカードは、内容証明郵便には同封することができません。

そのため内容証明郵便で残業代請求をするとともに、普通郵便(書留・レターパックなど)によって、残業代の計算方法がわかるエクセル表や、労働時間の証拠となるタイムカードなどを印刷して送付します。

4.5. 残業代請求の書式・ひな形は?

4.6. 残業代請求を交渉する

内容証明郵便を送って残業代請求をし、これに会社が対応してくれると、残業代請求の交渉がスタートします。

残業代請求の交渉は、会社の社長、担当者、もしくは、会社の代理人の弁護士との間で行います。

会社に弁護士がついた場合には、弁護士間で、面談、電話、FAXなどの方法によって、複数回話し合いを行い、残業代請求の交渉を進めていきます。

4.7. 残業代請求を和解(示談)する

残業代請求の交渉をおこなった結果、会社側の譲歩によって、納得のいく金額の残業代がもらえることとなったら、和解(示談)をします。

残業代請求の結果、和解(示談)をするときは、それ以上に、過去の残業代については請求できなくなります。

「清算条項」という、「今後、会社と労働者との間には、一切の債権債務がないことを確認する」という条項を、和解書(示談書・合意書)で確認するからです。

したがって、残業代請求について、請求額満額を獲得することができず、労働者側でもある程度譲歩することとなってしまう場合には、和解で終わるのか、それとも労働審判・訴訟を行うのか、慎重に損得(メリット・デメリット)を検討しましょう。

4.8. 残業代請求の合意書案(和解書案)を提案する

残業代請求の結果、和解(示談)をするときは、その内容を書面にして、会社と労働者との間で合意書(示談書)をかわします。

合意内容を書面にすることによって、残業代の支払を確実にすることが、労働者側の主な目的です。

まずは、労働者側から、決まった内容を合意書案(和解書案)にして、会社に提案します。

残業代請求の合意書案(和解書案)は、シンプルな内容でよいでしょう。

会社が提案してきた合意書案(和解書案)が複雑でわかりづらいとき、会社に有利な条項が含まれている可能性があります。できる限り簡潔な内容となるよう、合意書案(和解書案)の修正を提案しましょう。

4.9. 残業代請求の合意書(和解書)を作成する

合意書案(和解書案)の提案、修正が一段落したら、会社、労働者がお互いに署名押印をして、残業代請求の合意書(和解書)を作成、締結します。

一般的に、会社は、社判を押して、代表印を押印することが多いです。「記名捺印」といいます。

労働者側では、労働者自身が署名押印する場合には、手書きで氏名を記載して、印鑑を押しましょう。

残業代請求の合意書(和解書)に押す印鑑は、必ずしも「実印」でなくてもよく、印鑑証明書も不要です。ただし、シャチハタの場合には、変形してしまったり、偽造が容易であったりするため、避けるべきとされています。

4.10. 残業代請求の誓約書は必要?

残業代請求の結果、会社に在職しつづける場合には、違法な長時間労働や、違法な残業代の未払が、これ以上横行しないよう誓約してもらう必要があります。

残業代請求の終了時に、あらためて「誓約書」を記載してもらうケースは稀ですが、今後も在職し続けるのであれば、合意書(和解書)の内容に、その内容を記載してもらうとよいでしょう。

今後は、労働基準法(労基法)にしたがって、適切な計算方法で算出した残業代を支払ってもらうことを、必ず約束してもらいましょう。

4.11. 残業代請求の和解金を受け取る

残業代請求の和解書(合意書)で定めた期限になったら、残業代や和解金を受け取ります。

残業代請求をする残業代の金額が高額であればあるほど、すぐに支払ってもらうというのは、会社の資金繰りからしても苦しい場合があります。

残業代請求をした残業代や和解金の受け取り方法としては、労働者の指定する銀行口座へ振込してもらう方法が一般的です。

4.12. 残業代請求の和解金・解決金の相場は?

残業代請求をした結果、残業代がすべて認められるわけではない場合、多くの場合には、もらえるお金は「解決金」、「和解金」といった名称であることが一般的です。

つまり、残業代請求の結果「解決金」、「和解金」をもらう場合とは、会社が譲歩するのはもちろんですが、労働者もまた、一定の譲歩をしており、残業代請求の請求額満額ではないことが多いです。

では、残業代請求の和解金・解決金の相場がどの程度かというと、ケースバイケースと言わざるを得ません。

1つの目安があるとすれば、弁護士に依頼して労働審判、訴訟をした場合に、弁護士費用、日当、裁判所への実費などとしてかかる費用分程度は、交渉がまとまるのであれば譲歩してもよいでしょう。

5. 残業代請求の裁判の流れ

会社と話し合って正当な残業代を払ってもらおうとしても、残業代について理解しながら悪意をもって支払わないブラック企業の場合、話し合いだけでの解決(和解・示談)は困難です。

話し合いが平行線の場合、残業代請求の訴訟を提起する必要があります。

「なんとか話し合いで解決したい。」という法律相談をする労働者の中には、「裁判になると多額の費用がかかるのではないか。」、「裁判は大変過ぎる。裁判まで大ごとにはしたくない。」という誤解があります。

残業代請求の裁判について、かかる費用を理解していただき、残業代請求という正当な権利の行使のためには、裁判は決して「やりすぎ」ではないことを理解しましょう。

5.1. 残業代請求の管轄は?

残業代請求の管轄は、会社の所在地を管轄する裁判所で行うのが原則です。

「会社の本店所在地」だけでなく、「会社の営業所の所在地」でもよいこととなっていますので、全国に支店がある会社や、全国転勤していた労働者の場合、自分の働いていた職場の場所を管轄する裁判所で、残業代請求をすることができます。

ただし、残業代請求を労働審判で行う場合には、管轄に注意が必要です。

労働審判を行うことのできる裁判所は、裁判所の本庁が原則であり、徐々に拡大しているものの労働審判を行うことのできる裁判所の支部は限定されているからです。

5.2. 残業代請求の裁判費用は?

残業代請求の訴訟を起こそうという場合、裁判費用はそれほど高額にはなりません。

まず、残業代請求の弁護士費用は、今回の解説にもあるとおり、「相談料無料」、「着手金無料」、「成功報酬制(完全成功報酬制)」の法律事務所を選べば、安く済みます。

残業代請求のとき、裁判所に支払う実費(裁判費用)は、大きくわけて「郵便切手代」と「印紙代」に分かれます。

「印紙代」については、次のとおり、裁判所のホームページをご覧ください。請求額に比例して印紙代が高くなっていきますので、印紙代がもったいない場合には、認められそうな残業代金額をしっかり理解して残業代請求しましょう。

東京地方裁判所のホームページ(印紙代)

「郵便切手代(郵券代)」については、裁判所によって異なるケースがありますが、東京で残業代請求を行う方は、東京地方裁判所の次の基準を参考にしてください。

5.3. 残業代請求の訴状は?

残業代請求の訴状は、残業代の計算方法がメインとなります。

残業代請求が労働審判ではなく、訴訟でなければ解決できないケースでは、「労働者の主張する時間が『労働時間』にあたるかどうか」や、管理監督者性、固定残業の有効性など、難しい論点を含んでいることがあります。

ただ、残業代請求の訴状の段階で、すべての論点について完璧に記載しなければならないわけではありません。

特に、消滅時効(時効)の中断期間(6か月)の間に訴訟を提起しなければならない場合などは、まずは請求金額を明らかにして、残業代請求の訴状を提出することを優先しましょう。

5.4. 残業代請求の訴訟は取り下げられる?

残業代請求の訴訟は、途中で取り下げることもできます。労働審判も同様に、取り下げることができます。

残業代請求の訴訟、労働審判を取り下げるには、裁判所に取下書を提出します。

例えば、残業代請求の訴訟に踏み切った結果、会社が残業代の未払を認めて、自発的に残業代を支払ってくれる場合、残業代請求の訴訟を取り下げることとなります。

また、残業代請求の訴訟の中で、和解が成立することもあります。

いずれにせよ、残業代請求が話し合いで終わらない場合には、ひとまず訴訟を提起したとしても、後から取り下げることもできます。手続がはじまった後の取下げは、会社の同意が必要となりますが、取下げに同意しないケースはきわめて少ないです。

5.5. 残業代請求の判決は?

残業代請求の訴訟中に、和解が成立したり、会社の譲歩が見られたりといったことがなければ、裁判所に判決を下してもらいます。

残業代請求をして、判決まで下される段階となれば、会社の不誠実さが顕著であると、未払残業代の元本、遅延損害金のほか、付加金を認めてもらえる可能性もあります。

残業代請求をして、残業代を支払う旨の会社への命令が判決によってなされたら、会社、もしくは、会社の代理人の弁護士に連絡して、支払方法、支払時期(時期によっては遅延損害金額の計算)を伝えます。

5.6. 残業代請求の判決があっても未払いとなったら?

訴訟に勝ち(勝訴)、残業代を支払わせるという判決を勝ち取ったとしても、ブラック企業の中には、裁判所の判決にすらしたがわない会社もあります。

残業代請求をして勝ったのに残業代が支払われなければ、更に次の方法を行うことができます。

残業代請求訴訟の判決をもとに、会社の財産を差し押さえることができます。「強制執行」といいます。

「強制執行」では、会社の財産を差し押さえることができ、例えば、会社の預貯金口座に入っている預貯金、会社の所有する不動産、車両、取引先への債権などの差押えが可能です。

会社が、正常な事業活動を行っていれば、差し押さえる財産が一切ない、というケースはあまりなく、強制執行のプレッシャーによって、残業代請求を実現することができます。

6. 残業代請求にかかる期間は?

「残業代請求には手間と時間がかかるが、それに見合ったお金は手に入らないのではないか。」という心配を、法律相談で聞くことがあります。

確かに残業代請求には一定の期間がかかりますが、「見合ったお金は手に入らないのでは?」という心配は、残業代請求についての理解に欠けると言わざるを得ません。

残業代請求にかかる期間を、その解決順序(証拠収集、交渉、労働審判、裁判)の段階にわけて、弁護士が解説します。

6.1. 残業代請求の解決期間

残業代請求は、弁護士に依頼すると、一般的に、(1)証拠収集、(2)内容証明郵便・交渉・和解(示談)、(3)労働審判、(4)訴訟(裁判)という順序で進んでいきます。

残業代請求にかかる解決期間は、依頼者である労働者のご希望、求める金額や、会社がどれだけ誠実に対応してくれるかによって異なります。

できるだけ早く解決するために大事なことは、ブラック企業の不誠実、悪質な対応にまどわされないことです。

一般的な解決期間で終了できるよう、残業代請求の流れを順序良く進めていきましょう。

6.2. 残業代請求の証拠収集にかかる期間

残業代請求を開始する場合には、まず証拠収集をする必要があります。

残業代請求の証拠収集にかかる期間には、相場はありません。じっくり証拠収集して進めたいところではありますが、遅くなればなるほど、消滅時効(時効)がきてしまい、請求できる残業代が少なくなってしまいます。

弁護士に依頼するなどして、裁判所で認めてもらえる程度に必要十分な証拠を、素早く集めていきましょう。

6.3. 残業代請求の交渉にかかる期間

残業代請求の交渉にかかる期間は、具体的な状況によってさまざまではありますが、通常1か月~2か月程度が一般的です。

逆に、この程度の期間を超えて、半年、1年などと交渉が続くようであれば、合意できる可能性が低く、早めに労働審判、訴訟に進むべきです。

残業代請求の交渉にかかる期間を短くするためにも、労働審判、訴訟に進む可能性が高いことを、会社に対して強く伝えていきます。

6.4. 残業代請求の労働審判にかかる期間

残業代請求の労働審判にかかる期間は、おおむね2か月~3か月程度です。

労働審判の平均審理期間は、統計上70日程度といわれています。

残業代請求を労働審判で行う場合、労働審判は原則として3回までの期日で行うことから、解決までにかかる期間がとても長くなる、ということはありません。

労働審判の期日は、1回~3回行われ、労働者も出席する必要があります。労働審判に対して会社が異議を出すと、訴訟になり解決までの期間が長引きますが、統計上、8割程度は労働審判までで解決しています。

6.5. 残業代請求の裁判(訴訟)にかかる期間

残業代請求を裁判(訴訟)で行う場合に、解決までにかかる期間は、ある程度長いことを覚悟しなければなりません。

残業代請求の裁判(訴訟)の期間が長引く原因は、訴訟で残業時間を確定するためには、お互いに訴状・答弁書・準備書面などの書面と、証拠を交互に出し合い、期日が進んでいくからです。

裁判(訴訟)の期日は、月1回程度しか行われないため、解決までには期間がかかります。

ただし、残業代請求の裁判(訴訟)の途中で、会社との間で和解(示談)ができる場合には、その時点で解決しますので、かかる期間を短縮することができます。

残業代請求を裁判(訴訟)で行う場合には、弁護士に依頼すれば、労働者自身が毎回出頭する必要はありません。期間がかかってでも徹底的に回収したいという方は、訴訟(裁判)で戦うのがよいでしょう。

7. 業種・職種ごとの残業代請求

残業代請求をするとき、その業種、職種、雇用体系などによって、注意すべきポイントがあります。

特に、飲食店の店長(マネージャー)、運送会社のドライバー(運転手)、美容室の美容師、外回り営業マンなどは、未払残業代が発生している可能性が高いです。

これらの残業代未払が頻発する業種の場合、「損しない」残業代請求のために労働法の専門知識が必要な場合があります。

7.1. 飲食店の残業代請求

飲食店の仕事は、仲間でわいわいできる楽しいイメージもありますが、長時間労働が多く、未払残業代が放置されている業界であるといえます。

未払いの残業代がある場合には、残業代請求するのがよいでしょう。ワンオペなど、長時間労働、労災、安全配慮義務違反の温床でもあります。

特に、飲食店では、経費削減のために人件費を抑制しようという考えの経営者が多いため、労働者に対してサービス残業を強要している飲食店は少なくありません。

そもそも飲食店でアルバイトなどで働いている方は、基本給自体がそれほど高くない場合も多く、固定残業手当などをもらっている場合、よく計算してみると最低賃金以下であった、というケースもあります。

「飲食店業界の闇」ともいうのでしょうか、残業代請求によって、労働者の正当な権利を主張し、残業代を獲得しましょう。

7.2. 運送業(ドライバー)の残業代請求

運送業、運送会社には、労働基準法(労基法)違反となっている会社が多くあります。そのため、ドライバー(運転手)は、過酷な労働環境に悩まされ、法律相談に来られる方が多いです。

特に、運送業、運送会社では、違法な長時間労働が横行しており、残業代請求ができることが多くあります。

例えば、早朝から深夜まで、休憩なく長距離を運転しなければならない長距離トラックの運転手(ドライバー)、一日中シフトにしたがって運転しなければならないバスの運転手(ドライバー)など、残業代請求できる業種といえます。

運転手の残業代請求では、次のような、残業代請求の中でも難しい法律上の論点とされるものがあり、会社も強く反論してくることが予想されます。

  • 荷物を積む時間が、「休憩時間」として残業代請求の対象ではないと反論される。
  • 「荷待ち時間」が残業代請求の対象となる「労働時間」ではないと反論される。
  • 歩合給だから残業代請求はできないと反論される。
  • 「車両使用代」、「修理代」などが残業代から自動的に引かれている。

残業代請求を成功させるために、弁護士の助けが必要な業種といえるでしょう。

運送業、運送会社ではたらくドライバー(運転手)を長時間労働から守るためには、残業代請求によって、長時間労働を抑制する必要があります。

ドライバー(運転手)の場合、残業代請求のときの証拠として、タイムカードのほか、運転日報、運行記録、デジタルタコグラフ、ドライブレコーダーなどが役立ちます。

7.3. 美容師(美容室)の残業代請求

尭司やエステティシャン、スタイリスト、ネイリストなど、美に携わる業種は、非常に華やかですが、その裏方は過酷な労働で支えられています。

美容業界、特に美容師(美容室)では、違法な長時間労働があり、残業代請求ができる場合があります。

特に、美容師は、修行時代が長く、「見習いだから仕方ない。」といった理由で遅くまで美容室に残ってサービス残業をすることが多くあります。

美容師として覚える仕事は、非常に多いわけですが、修行だからといって残業代請求ができないわけでは決してありません。

店の営業時間中、お客様と接客することだけが業務ではなく、店の閉店後のカット練習などが残業時間となるケースも多くあります。

7.4. 病院の残業代請求

病院に勤務する医師もまた、サービス残業の多い業種であり、残業代請求が可能です。

一般的に、医師というと高年収で恵まれた仕事、というイメージがあるかもしれませんが、過酷な勤務、夜間当直、急患への対応、夜勤など、労働問題が多く存在します。

特に、宿直勤務、当直勤務によって生じる仮眠時間が、労働時間として残業代請求ができるのではないか、という点については、労働実態を正しく判断してもらうため、専門家である弁護士に相談するとよいでしょう。

病院ではたらく医師であるからといって特別ではなく、労働者である限り労働基準法(労基法)の保護を受け、残業代請求ができます。

病院ではたらく看護師(看護士)もまた、労働時間が不規則であり、長時間労働となりやすく、残業代請求をすることを検討すべき業種です。

7.5. SE(エンジニア)の残業代請求

IT業界ではたらいているシステムエンジニア(SE)、プログラマも、未払残業代が発生しやすく、残業問題が多くあります。

「IT土方」という言葉がはやったように、一見クリエイティブな仕事に見せながら、実態は長時間労働で利益を稼ぐ、というビジネスモデルが散見されます。

また、SE(エンジニア)やプログラマは、そもそも人手不足であり、たくさん働かなければ仕事が終わらない、という会社もあります。

「裁量労働制」を言い訳にして労働者からの残業代請求を回避しながら、実際には裁量のない労働をさせていることもありますが、SE(エンジニア)だからといって裁量労働制の対象にできるわけではなく、一定の裁量ある高度な仕事をしている必要があります。

業界の性質上、業務の締め切り(期限)、納期がタイトなこともあり、残業しなければ終わらないが、残業代を支払うとトラブル対応が不十分になる、という悪循環もあります。

7.6. 店長の残業代請求

「店長」の残業代では、「店長が管理監督者かどうか。」という点が問題となります。

「管理監督者」であると、労働時間についての労働基準法(労基法)のルールが適用されないため、残業代が発生しないからです。

管理監督者とは、労働基準法(労基法)において、極めて限定された地位の労働者を指すものとされていますが、「店長」はこれにあたるのでしょうか。

「店長が管理監督者かどうか。」の問題は、一律に決めることはできず、その労働者に与えられた経営・人事などについての権限、業務に関する裁量、時間的・場所的拘束があるかどうかなどの実質によって判断する必要があります。

飲食店の店長が管理監督者かどうかが争いになった有名な「マクドナルド事件」では、経営者と一体的な立場にあるなど、高度なポジションが予定されています。

このことからもわかるとおり、「店長」という役職が与えられていたとしても、「管理職」と会社内で呼ばれていたとしても、実態を判断すると「管理監督者」ではなく残業代請求は可能、というケースが多いので、あきらめる必要はありません。

7.7. 営業職の残業代請求

数ある業種の中でも、営業職はとくに、未払残業の問題が発生しやすいといえます。

まず、「営業手当」によって、固定的に残業代が支払われているから残業代は不要だ、と考えている会社が多いことが1つの理由です。

しかし、固定残業代を有効に支払うためには、基本給と区別され、何時間分かが明確になってなければいけません。このことは営業職に払われる営業手当も同様です。

更に、営業手当が固定残業代として有効だったとしても、これを越えて残業が発生する場合には、差額の残業代を支払う必要があり、払われていなければ残業代請求できます。

営業職の中でも、外回りの営業マンの場合には、残業時間を管理できないため「事業場外みなし労働時間制」が採用されていることがあります。

しかし、「事業場外みなし労働時間制」の有効要件は非常に厳しく、スマホ、クラウドサービス等の文明の利器により、労働時間を把握しづらいことは少なくなりました。

労働時間が把握できる営業職には、たとえ外回りの営業マンでも「事業場外みなし労働時間制」が無効となり、残業代請求ができます。

7.8. 警備員の残業代請求

警備員は、残業請求の問題の発生しやすい業種の1つです。

特に、夜勤の警備員の場合には、仮眠時間が多く発生することから、警備員の仮眠時間が、残業代の発生する「労働時間」にあたるかどうか、という難しい問題点について理解しなければなりません。

「労働時間」とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいうところ、夜勤の警備員が、仮眠時間に睡眠しかしていない場合、「労働時間」とはならない可能性もあるからです。

一方で、夜勤の途中に、警備員が仮眠をすることができるとしても、その間も緊急の場合には見回りを行ったり、業務を行ったりしなければならない場合には、警備員の仮眠時間もまた、残業代請求のできる「労働時間」となる場合もあります。

7.9. アルバイトの残業代請求

残業代請求は、正社員だけの権利ではありません。アルバイトやパートでも、労働者の権利である残業代請求をすることができます。

雇用形態は多様化しており、みなが正社員を目指す時代ではなくなりました。雇用契約を結んでいれば、その雇用形態がアルバイト、パートでも、残業代請求をしましょう。

アルバイト、パートの残業代請求の計算方法は、もとが時給であれば、その時給に「1.25倍~1.5倍」の割増率をかけ、残業時間をかけるだけです。

アルバイト、パートの残業代請求の場合、それほど多くの時間の残業を命じられることは少ないかもしれません。始業前の準備時間、終業後の片づけ時間なども、分単位で計算して残業代請求しましょう。

7.10. 派遣の残業代請求

派遣社員であっても、残業代請求をすることができます。派遣社員の方も、未払いの残業代を獲得するため、法律相談ください。

派遣社員は、派遣先との関係では雇用関係がありませんが、派遣元との関係では雇用関係にある労働者であり、労働基準法(労基法)が適用されます。したがって、労働者の権利である残業代請求ができます。

残業代請求をしたい派遣社員の方で、派遣先、派遣元のいずれに請求したらよいかわからない労働者の方は、弁護士に法律相談ください。

派遣先における残業が長時間となり、体調を崩してしまいそうなときは、残業代請求するとともに、派遣元の担当者に相談するとよいでしょう。

7.11. 請負の残業代請求

残業代請求というと、会社に雇用されている労働者のもの、という理解が一般的です。残業代請求の根拠が、労働者保護を目的とする労働基準法(労基法)だからです。

しかし、多様化する働き方の中で、正社員として雇用される人ばかりでなく、業務委託契約、請負契約、外注ではたら個人事業主(フリーランス)も増えています。

これらの請負などの人の中には、実際には「請負」ではなく「雇用」の状態であり、残業代請求をすべき方も少なくありません。

請負契約であれば残業代請求はできないわけですが、ブラック企業の中には、あえて残業代請求を逃れようとして実際には請負ではない「偽装請負」の状態としていることもあるからです。

実際には雇用であるにもかかわらず、請負として残業代請求を回避する「偽装請負」は違法であり、許されません。このような場合、請負であっても残業代請求が可能です。

請負契約の方が残業代請求をしようとすると、会社が「請負」として扱っていることから、労働時間の管理がされておらず、残業時間の把握に苦労することがあります。

請負契約であるけれども「偽装請負かも?」、「残業代請求したい!」という方は、残業代請求前に、念入りに証拠収集しておきましょう。

8. 残業代請求の計算方法は?金額はいくら?

「未払の残業代が発生しているのではないか?」「タダ働きなのではないか?」と疑問、不安をお感じの労働者の方にとって、「では、結局残業代請求できる金額はいくらなの?」というのが一番の疑問でしょう。

そもそも請求できる残業代が発生していないとか、ごく少額の残業代しかないといったケースでは、残業代請求をするだけ時間と手間の無駄になってしまうからです。

でも、ご安心ください。

労働基準法(労基法)に従って計算すれば、相当な額の残業代を損している労働者は多く、弁護士費用も安価におさえられますので、適切な計算方法で算出すれば、「残業代請求すべき!」という結論になるでしょう。

8.1. 残業代請求の相場は?

まず、残業代請求をすべき未払の残業代が発生しているかどうかは、自分が「1日8時間、1週40時間」を越えて働いているかどうかを検討することによって、ある程度明らかになります。

ざっくりと残業代請求の相場を知っていただくためには、「始業時刻以前」、「定時以降」、「休日」の労働については残業代が発生する、と考えて、おおざっぱな計算をしてみるのがよいでしょう。

ただ、残業代請求にしっかりとした相場はありません。労働基準法にしたがって正確に計算すると、会社と労働者の労働条件や、労働者の実際の労働時間によって、残業代請求の相場は人によって大きくことなるからです。

ブラック企業からの「残業代請求とはいえ、相場はこんなもんだから・・・。」という脅しに、屈せず、労働基準法(労基法)にしたがった計算方法を理解しましょう。

8.2. 労働基準法(労基法)に従った残業代請求の計算

残業代請求をするとき、労働基準法(労基法)にしたがった計算方法は、労働基準法(労基法)に次ぎのとおり定められています。

 労働基準法(労基法)32条
  1. 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
  2. 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

法律にさだめられた労働時間に基づいて、残業代が発生する労働時間とは、次の労働時間をいいます。

  • 法定時間外残業
    :「1日8時間、1週40時間」を超える残業時間のことをいいます。残業代請求をすることで、「25%」の残業代(割増賃金)を獲得できます。
  • 法定時間内残業(所定時間外残業)
    :「1日8時間、1週40時間」を越えないけれども会社の定めた労働時間を超える残業時間をいいます。会社のルールによって割増賃金(残業代)を支払うこととなっている場合には、その金額を回収できます。
  • 深夜残業
    :「午後10時以降、午前5時以前」の残業時間のことをいいます。残業代請求をすることで、法定時間外残業とは別に「25%」の残業代(割増賃金)を獲得できます。
  • 休日労働
    :「週1日、もしくは、4週4日」の法定休日に労働する時間のことをいいます。残業代請求をすることで、法廷時間外残業とは別に「35%」の残業代(割増賃金)を回収できます。

この労働基準法(労基法)にしたがった残業代請求の計算は、非常に強い効果をもちます。

つまり、労働基準法(労基法)に違反して残業代を払わないと言い張る会社に対しても、労働基準法(労基法)にしたがって計算した残業代を請求することができます。

8.3. 残業代請求の計算方法まとめ

労働基準法(労基法)で定められた残業代の計算方法は、次のとおりです。

  • 残業代 = 残業時間 × 1時間あたりの基礎賃金 × 割増率

以下では、この計算式のうち「基礎賃金」、「割増率」について、弁護士が詳しく解説します。

8.3. 残業代請求の基礎賃金の計算方法

残業代請求の計算方法のうち、「基礎賃金」とは、簡単にいうと、「残業1時間につき、いくらを支払うべきか。」ということです。

いわゆる「時給」のことだと考えて頂くとわかりやすいでしょう。

1時間あたりの「基礎賃金」すなわち「時給」を計算して、通常の時給に対して「割増率」をかけて、労働時間数をかけることで、残業代請求をすることでもらえる金額が明らかになります。

基礎賃金と、手当の扱い

月給のときの基礎賃金の計算方法

月給制の場合には、残業代請求の「基礎賃金」は、月ごとに支給されている賃金額を、1か月の平均所定労働時間で割って計算します。

日給のときの基礎賃金の計算方法

時給のときの基礎賃金の計算方法

8.4. 残業代請求の割増率の計算方法

残業代請求の計算方法にいう「割増率」とは、どのような時間に残業をしたかによって変わる、通常の賃金よりも多めにもらえる残業代の割合のことをいいます。

つまり、いつ残業するか、どれくらい残業するかによって、通常の賃金よりも残業代がどれほど多くもらえるかが変わる、ということです。

割増率は、大きくわけて、「時間外労働(残業60時間以内)」、「時間外労働(残業60時間を超える)」、「深夜残業」、「休日残業」によって変わります。

時間外労働の割増率の計算方法

時間外労働、つまり、「1日8時間、1週40時間」を超える残業についての割増率は、「1.25倍」とされています。

ただし、これを越えなくても、会社の定めた労働時間(所定労働時間)を超える場合に、一定の割増率をかけることができると、就業規則で定めている会社もあります。

また、残業時間が60時間を超える場合の時間外労働の割増率は、「1.5倍」となります。

現在では、この60時間を超える残業の割増率は、一定以上の規模の会社にしか適用されないという「猶予措置」がありますが、法改正ですべての会社に適用されることが予定されています。

休日の割増率の計算方法

休日の残業代請求の割増率は、「1.35倍」とされています。

ただし、労働基準法(労基法)によると「1週1日」の休日があればよいとされています。

そのため、「週休2日制」の場合には、法定休日の労働については「1.35倍」ですが、それ以外の休日労働の割増率は「1.25倍」となります。

深夜の割増率の計算方法

深夜労働(午後10時から午前5時までの労働)についての割増率は、「1.25倍」とされています。

時間外労働であり、かつ、深夜労働の場合には、その2つの割増率が加算されて「1.5倍」となります。

8.5. 歩合給のときの残業代請求の計算方法

歩合給制とは、売上や業績などに連動して賃金の金額さだめられる給与体系のことをいいます。

例えば、「売上の●%」とか、「契約1件とってくるごとに、●万円の給与」といった定め方が、歩合給の典型例です。出来高払い、インセンティブ給など、会社によって名称が異なります。

歩合給の場合には、労働基準法の「出来高払制の保障給与」のルールによって、労働者は会社から、一定額の賃金を保障してもらうことができます。労働基準法(労基法)の条項は次の通りです。

 労働基準法27条(出来高払制の保障給) 

出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

つまり、売上がないからといって給与をゼロにするような、いわゆる「完全歩合」は違法です。

歩合給制をとる会社では、「歩合給に残業代が含まれている。」と会社が反論してくることがありますが、歩合給が払われていても残業代請求は可能です。

歩合給の場合に、残業代請求するときの計算方法が異なりますので注意が必要です。具体的には、残業代請求の基礎賃金の計算が、「歩合給の総額」を、総労働時間で割って計算することとなります。

歩合給と固定給が混在している場合には、それぞれについて基礎賃金を計算し、合算して残業代請求します。

8.6. 変形労働時間制の残業代請求の計算方法

変形労働時間制とは、「1日8時間、1週40時間」という、残業代が発生する下限の労働時間を変形させる制度のことをいいます。

つまり、一定の決められた期間内に、平均して「1週間40時間」を越えて働かなければ残業代が発生しないようにするルールのことです。

「1週間40時間」を超える場合もあるけれども、一定の期間を通して考えると、逆に暇で1週間の労働時間が極端に少ないこともある、という「繁閑の差」の激しい業種で採用されることが多い制度です。

変形労働時間の場合、残業代請求の計算方法が、通常とは少し異なります。ただ、残業代が発生しなくなるわけではないので「変形労働時間制だから支払わない。」という会社の反論を受けても、あきらめる必要はありません。

変形労働時間制を採用するためには、労働者保護のため、労働基準法(労基法)で、労使協定の締結などかなり厳しい要件が定められています。まずは、有効な変形労働時間制であるかどうかの確認が必要です。

8.7. 残業代請求の計算書はエクセルで行う

残業代請求をするとき、残業代の計算をする際にお勧めなのが、エクセルです。

エクセルとは、表計算ソフトであり、残業代請求のときの計算書のように、複雑な計算を行うのに役立ちます。

弁護士もまた、残業代請求の計算書を作成する際には、エクセルを利用します。

残業代請求をよく取り扱っている弁護士であれば、既に数式が入力されたエクセルが用意されています。

8.8. 残業代請求の遅延損害金の計算方法

未払いの残業代がある場合には、残業代請求のときに、残業代自体とあわせて「遅延損害金」を請求できます。

遅延損害金とは、残業代の支払が遅れたことに伴って発生する金銭です。

残業代請求の遅延損害金の利率は、在職期間中は「年6%」、退職後は「年14.6%」とされており、それぞれ、その残業代が支払われるべきであった日から進行します。

例えば、2016年6月25日支払日(2016年5月労働分)の残業代は、2016年6月25日から、最終的に支払われる日まで、上記利率による遅延損害金を請求できます。

8.9. 残業代請求の付加金の計算方法

会社が残業代を支払わない場合であって、その態様が悪質な場合には、残業代請求とあわせて付加金の請求を行うことができます。

付加金は、会社が悪質な労働基準法違反(労基法違反)を行ったとき、労働者の不利益が大きいときなどに発生する金銭です。

残業代請求の付加金は、残業代と同額を限度とされており、簡単にいうと、「最大で残業代が2倍になる。」のと同じ効果があります。

ただし、残業代請求の付加金は、裁判所が決めるものですので、悪質性、不利益の程度によって付加金が発生するかどうかは裁判(訴訟)で決まります。

労働審判では、付加金をもらうことはできませんが、付加金もまた2年間の除斥期間によってなくなってしまうため、訴訟に移行する場合にそなえて、念のため労働審判の申立書でも、残業代請求とあわせて付加金を請求します。

9. 残業代請求と不法行為の慰謝料

残業代請求について、未払い賃金請求事件と考えると、消滅時効(時効)は「2年」です。

しかし、例外的に、不法行為の損害賠償請求をして、消滅時効(時効)「3年」分の残業代をもらうのと同じことが可能な場合があります。

例外的にではありますが、会社の残業代未払の態様があまりに悪質な場合には、残業代請求と同時に、もしくは、残業代請求に代えて、損害賠償請求をすることが検討されます。

また、残業代請求をしなければ、サービス残業が横行するようなブラック企業では、セクハラやパラハラ、長時間労働による安全配慮義務違反など、会社から慰謝料を支払ってもらうべき労働問題が蔓延しているケースもあります。

10. 残業代請求の証拠

残業代請求をするためには、証拠が必要です。残業代請求を、労働者に有利に、より高く獲得するためには、必要な証拠を理解し、請求前にしっかり準備することが重要です。

10.1. 残業代請求の必要書類は?

残業代請求の必要書類には、大きく分けて、「労働者の収入を証明するための証拠」、「残業時間を証明するための証拠」があります。

特に、残業時間を証明するための証拠を、確実に取得するために、残業代請求に必要な証拠の集め方、労働時間の記録の仕方について理解しておきましょう。

10.2. 残業代請求とタイムカード

残業代請求をするとき、最も重要な証拠は、「タイムカード」です。残業の労働時間(残業時間)を証明するために、最も適切なのが「タイムカード」だからです。

タイムカードは、労働審判や裁判(訴訟)で残業代請求をするとき、非常に重要視されており、特段の事情がなければ、タイムカードの打刻通りに働いていたと裁判官に考えてもらえます。

タイムカードが、残業代請求をする残業時間を正確に示していることを確実なものとするためには、タイムカードのコピーを正確に写しとることが重要です。

承認印やサインなどがあれば、なお役立ちます。

万が一、タイムカードの打刻忘れ、打刻間違いがある場合には、残業代請求をするときに重要な証拠として見てもらえるよう、手書きでも記載し直し、上司の承認印をもらっておくとよいでしょう。

10.3. 残業代請求と給与明細

残業代請求をするときに、残業時間を証明するタイムカードと並んで重要なのが、労働者の収入を示す証拠です。残業代の基礎単価を計算する必要があるからです。

労働者の収入を証明する証拠としては、就業規則、賃金規程、労働条件通知書、雇用契約書(労働契約書)などがありますが、最も入手しやすいのが給与明細ではないでしょうか。

給与明細は毎月もらえるのが通常であることから、ここに残業代を支払っている記載がないときは、給与明細を証拠の1つとして残業代請求をするのがよいでしょう。

10.4. 残業代請求と就業規則

残業代請求をするとき、就業規則も重要な証拠となります。就業規則が手に入る労働者の方は、残業代請求前に入手しておきましょう。

就業規則は、労働者であれば周知されており、入手できるのが当然の資料です。就業規則を見ることができない、という会社は、違法なブラック企業の可能性があります。

残業代請求をしなければならない、未払残業代がある会社ほど、就業規則は入手しづらいおそれがあります。

そのため、就業規則は、証拠としては重要であるものの、残業代請求をする前に、事前に入手しておかなければならないわけではありません。

10.5. タイムカードがないときの残業代請求は?

残業代未払の違法性が大きい会社ほど、タイムカードがそもそも存在しない、ということが多くあります。

タイムカードがないと残業代請求できないとすれば、タイムカードすらない違法な会社ほど、残業代請求から逃げられるわけですが、そうはいきません。タイムカードがなくても、残業代請求をあきらめてはいけません。

タイムカードは存在するものの、定時で打刻を強制するなど、実際の残業時間を正確に表していない会社もあります。この場合でも、残業代請求は可能です。

会社が、タイムカードなどの適切な方法で残業時間を管理、把握してくれない場合には、労働者側で、その他の方法で残業代請求の証拠を確保する必要があります。

会社がタイムカードなどを正しく準備しないことが問題なわけですから、労働者側で準備する残業代請求の証拠は、「これでは証拠として不十分かも。」という程度のものでも、あきらめず残業代請求すべきです。

10.6. 会社の準備した書類(業務日報、日誌など)は残業代請求の証拠になる?

残業代をもらうことは労働者の権利です。そのため、残業代を支払う前提となる、残業時間の管理は、本来会社がすべきものです。

会社がしっかりと残業時間を管理していれば、万が一残業代に未払いがあっても、残業代請求のときの証拠は、すべて会社が保管しているものを開示してもらえば足りるといえます。

会社が準備している書類のうち、残業時間を証明するための証拠として、業務日報、日誌、運行記録、残業申請書、業務命令書などがあります。

10.7. メールは残業代請求の証拠になる?

タイムカードはおろか、出勤簿や日報、残業許可申請書など、書面による証拠がまったくない会社であっても、残業代請求を諦めるのはまだ早いでしょう。

データ形式で保存されているものの中に、残業代請求の証拠となるものがあります。業務を内容とするメールが、その典型例です。

業務に関するメールを送っていた時間を見れば、「その時間にはまだ残業をしていた。」という意味で、残業時間の証拠となります。

したがって、業務を内容とするメールも、残業代請求のときの証拠になります。ただし、断片的にしかメールが存在しない場合、その間の時間は残業時間であることが証明できないおそれがあります。

会社に遅くまで残ってサービス残業を強要されているときは、会社のパソコンから、業務を内容とするメールを送信しておくことで、残業代請求の証拠を確保しましょう。

10.8. メモは残業代請求の証拠になる?

残業代請求をするとき、手書きのメモ程度でも、重要な証拠となることがあります。

メモしか残業時間の証拠がない、という場合、手書きであるからといって捨ててしまっては、残業時間を立証する証拠がなくなってしまいます。

むしろ、残業代請求を検討していて、会社が何も残業時間の証拠を保管しておらず、パソコンのログ、タコグラフなど客観的な証拠も残りにくい仕事の場合には、しっかりメモをすることで、証拠として使えるメモを残すことが重要となります。

10.9. 手帳は残業代請求の証拠になる?

労働者自身の手帳は、残業代請求をするときの重要な証拠となります。

手帳には、労働者自身の業務についてのスケジュールが記載されているからです。

手帳を、残業代請求のときにより価値の高い証拠とするためには、一度にまとめて記載するのではなく、日々の予定をその都度書き留めておくようにします。

手帳をまとめてつけると、「残業代請求をするときに労働者側に有利になるよう記載したのではないか?」と裁判所に疑われてしまい、残業代請求の証拠としての重要度が低下してしまうおそれがあるからです。

10.10. アプリは残業代請求の証拠になる?

アプリで記録した残業時間もまた、残業代請求のとき有力な証拠となります。

最近では、GPSと連動して、残業時間とともに、その時間にどこにいたかを証明するスマホアプリもあります。多くアプリは、アプリ利用は無料です。

アプリだけだと、タイムカードの打刻と同様、「その時間に押しただけで、仕事をしていなかったのではないか。」といわれるおそれもありますが、GPSで職場にいることがわかれば、仕事(残業)をしていた有力な証拠となるでしょう。

最近では、会社側もまた、労働時間を正確に把握するために、タイムーカードの代わりにクラウドサービスを利用していることがあります。

この場合、会社のシステム上にあるデータや、クラウドサービスのデータが、残業代請求のときに重要な証拠となります。

10.11. 手書きの資料は残業代請求の証拠になる?

手書きの資料であっても、残業代請求の証拠になります。

会社の上司や社長が書いた残業指示書、業務命令書などは、たとえ手書きであっても証拠になりますから、残業代請求をするのであればきちんと保管しておきましょう。

労働者が手書きで作成した資料であっても、残業代請求の証拠になります。

手書きの資料は、いつ書いた書面であるかが不明確になりやすいため、残業代請求の証拠として活用できるように、写真などをとっておくのがよいでしょう。

例えば、深夜遅くの時間に電話を受け、残業を行わなければならなかったときは、電話内容を正確に記載したメモを残しておくことによって、残業代請求の証拠とすることができます。

10.12. パソコンのログイン・ログアウトの履歴も残業代請求の証拠になる?

会社のパソコンを貸与され、会社のパソコンで仕事をしている場合には、仕事に使っているパソコンのログイン・ログアウトの記録もまた、残業代請求のときに、残業時間を証明する重要な証拠となります。

会社のパソコンを使用しているということは、その時間も残業をしていると考えられるからです。

まだ労働者として在籍していて、会社のパソコンを触れる状態の場合には、残業代請求のために、すぐにログ記録を入手するようにしてください。

個人のノートパソコンなどで仕事をしている場合、パソコンにログインしているからといって仕事をしているとは限らないため、パソコンのログ記録は参考程度にしかなりません。

ただし、会社のパソコンでネットサーフィンをしたり、アダルトサイトに接続したりなど、残業以外のことをしている場合には、残業代請求をすることで、悪事がバレてしまうおそれもあります。

10.13. 時計の写真は残業代請求の証拠になる?

会社がタイムカードも用意しておらず、仕事がパソコンを使う仕事でもない、という場合、「会社にいること」を証明するものとして、「時計の写真」がよくあげられます。

時計の写真をとっておくことも、残業代請求の証拠収集になります。

会社の時計と、その時計が指し示している時刻を写真におさめておくことによって、その時間には少なくとも、会社にいたことが証明できるというわけです。

会社の時計をいつ撮影したかがわかるように、必ず自分の顔も一緒に入るように撮影し、その写真のプロパティに、写真の撮影日が記録されているかどうか、確認しておきましょう。

会社の時計の写真は、残業代請求をするにあたって、あくまでも「その時間に会社にいたこと」の証拠になるだけであって、「仕事をしていたこと」の証拠としては少し不十分かもしれません。

ただ、本来であれば、タイムカードを設置したり、目視したりといった方法で、会社が残業時間を管理すべきなのであって、証拠が不十分であるとしても、残業代請求のために時計の写真をとっておくべきでしょう。

10.14. 証拠がないときの残業代請求は?

ここまで解説してきた証拠がいずれも存在しない場合であっても、残業代請求をすることを決めた以上、徹底的に証拠を準備していくのがよいでしょう。

客観的な証拠が一切ない場合であっても、自分で手帳などに労働時間を記録することによって、残業代請求のときに証拠として活用することができます。

つまり、労働者自身で用意した日記、手帳、スケジュール帳を、残業時間の証拠として活用するということです。

労働者の努力によっても残業代請求の証拠が不十分である場合とは、多くは、会社に問題があり、会社が適切な残業時間の管理をしていない場合です。

ただし、残業代請求の証拠が少なければ少ないほど、実際に行った残業時間を「1分1秒あまさず請求」できるわけではありません。「1円残らず回収したい」と思うなら、残業代請求の証拠収集は徹底的に行ってください。

11. 残業代請求のデメリットは?

残業代請求に、デメリットはあるのでしょうか。

残業代請求を行うことには、少なくとも労働者側にはデメリットはあまり存在しません。

むしろ、今まで労働法にしたがえば支払われるべきであった残業代をもらうことができる、という大きなメリットがあります。

残業代請求をするとき、残業代の計算方法が難しかったり、会社が反論してきたときに労働審判や訴訟で争わなければならなかったりといったデメリットは、残業代請求を得意とする弁護士に依頼することで、デメリットを減らすことができます。

11.1. 残業代請求すると報復、嫌がらせされる?

残業代請求をすると報復されるのではないか、とご不安を感じる労働者のご相談も多くあります。

残業代請求をしなければ残業代が支払われないブラック企業では、社長がワンマンであって、社内でパワハラを繰り返していることも多くあります。

日ごろから暴行を受けたり、怒鳴られたり、嫌がらせをされている労働者の方からすれば、残業代請求をしたら、報復、仕返しを受けるかも、と考えるのもやむを得ないことです。

残業代請求に対する報復、仕返しが、解雇、減給、懲戒処分などの社内のルールによるものである場合には、争うべき労働問題が1つ増えることになります。

残業代請求をすると生命に危険が及ぶことが明らかだ、というような危険なケースでは、まずは休職をし、もしくは、退職をして、残業代請求をする方法もあります。

11.2. 残業代請求は気まずい?

「残業代請求は裏切りではないか。」という会社の経営者(社長)がいます。

「残業代請求などしなくても、十分に労働者にやさしくしてきたのに。」という気持ちが裏にあるのでしょう。

残業代請求は、裏切りではありません。「やさしさ」は、労働者目線で考えなければならず、社長が一方的に考えた「やさしさ」は、むしろ「有難迷惑」の場合もあります。

残業代請求は、労働者に認められた権利であり、社長が一方的に考えた「やさしさ」、「恩情」を受けていたとしても、「裏切り」ではありません。

11.3. 残業代請求は裏切り?

「残業代請求は裏切りではないか。」という会社の経営者(社長)がいます。

「残業代請求などしなくても、十分に労働者にやさしくしてきたのに。」という気持ちが裏にあるのでしょう。残業代請求のデメリットではありません。

残業代請求は、裏切りではありません。「やさしさ」は、労働者目線で考えなければならず、社長が一方的に考えた「やさしさ」は、むしろ「有難迷惑」の場合もあります。

残業代請求は、労働者に認められた権利であり、社長が一方的に考えた「やさしさ」、「恩情」を受けていたとしても、「裏切り」ではありません。

11.4. 残業代請求すると解雇(クビ)?

残業代請求をしようとしている労働者に対して、「残業代請求をすると、解雇するぞ。」と脅す会社があります。明示的でなくても、黙示に「解雇」を示唆することも脅しです。

会社に勤務したままでも残業代請求はできるのであって、「残業代請求するなら辞めなければならない。」というのは間違いです。デメリットと感じることはありません。

「残業代請求」という、正当な権利行使を理由として、「解雇」とすることは、違法な「不当解雇」であり、無効です。

「残業代請求をすると、解雇する。」と言われたときは、解雇理由が「残業代請求」にあるという許されない事態であることを証拠に残すため、解雇理由を書面で出してもらうようにしましょう。

11.5. 残業代請求は詐欺?

「残業代請求をするなんて詐欺だ」と主張する会社があります。労働者からの法律相談でも、少なからず聞く反論です。

結論から申しますと、当然のことですが、残業代請求は「詐欺」ではありません。

「詐欺」とは、だまして金銭をとることをいいますが、残業代請求はこれにあたらないことが明らかです。

「残業代請求は詐欺だ」と反論する会社の経営者の言い分としては、「残業代は支払わないとあらかじめ合意していたのに(残業代請求をするなんて詐欺だ)」というわけです。

しかしそもそもの前提として、「残業代請求はしない。」「残業代は払わない」という合意をすることは、労働基準法(労基法)に違反し、無効です。

更に、「残業代請求は詐欺だ」という言い分の背景には、「残業をしているなんて知らなかったのに(残業代請求をするなんて詐欺だ)」という言い分が隠れていることがあります。

しかし、残業時間を管理することは会社の責務ですから、あえて労働者が残業した事実を故意に隠そうとしたのでもない限り、「残業していたことを知らなかった」こと自体が、会社の問題です。

11.6. 残業代請求は再就職・転職に不利?

「残業代請求はあきらめて、次の就職先に集中したほうがよい。」という意見も聞きますが、次の仕事(再就職・転職)と、前職の残業代請求とは無関係です。

弁護士に依頼して、労働者自身の負担を軽くして残業代請求をすることができる以上、次の仕事も集中して行い、正当な残業代請求も行うのが正解でしょう。

12. 残業代請求のリスクは?

残業代請求をお考えの労働者の方にとって、ご不安ごとは、「残業代請求にはリスクがあるのではないか。」という点でしょう。

結論から申しますと、「全くリスクはない。」と言い切ることはできないですが、残業代請求の労働者側のリスクはとても小さいです。

むじろ、労働法によって確実に発生する残業代を支払わない会社側にこそ、残業代請求のリスクを感じて頂きたいものです。

残業代請求を、弁護士に依頼して行ったにもかかわらず、「全く残業代が得られなかった。」となると、時間と手間、費用が無駄になるリスクはありますが、法律相談でしっかり事情聴取をして進めれば、そのようなリスクは事前に回避できます。

そこで、残業代請求を検討されている労働者の方が、「リスク」と感じてご相談される事項にしたがって、残業代請求のリスクが低いことを弁護士が解説します。

12.1. 残業代請求しても減額される?

残業代請求をしても、会社からの反論によって減額されてしまうこともあります。

労働者側で残業代請求をするときは、可能な限り、最大限、労働者に有利な計算方法で算出しますから、その金額より減額されるリスクがあります。

「減額されてしまう。」という残業代請求のリスクを回避するためには、残業時間の証拠を、徹底的に収集することが有用です。

また、「残業代が減額されてしまう」というリスクがあってもいいように、遅延損害金など、付随的なお金もしっかり請求するとよいでしょう。

12.2. 残業代請求に対する会社の反論パターンは?

残業代請求を行うと、会社側から出てくる反論は、ある程度パターンがあります。

会社側からよくある、残業代請求に対する反論パターンを知っておくことによって、あらかじめ、自分のケースでありそうな反論を予想することができます。

  • 残業代は、既に手当として支払っている。
  • 残業代は、既に基本給に含めて支払っている。
  • 残業代は、管理監督者なのでそもそも発生しない。

そもそも残業時間自体を偽ったり、証拠を偽造したり、「うちの会社では残業代は払わないルールだ!」といったブラック企業を除けば、以上の3つの反論が非常によくあるものです。

12.3. 残業代請求が違法になる場合は?

「残業代請求が違法になるのでは?」という不安、心配を抱く必要はなく、そのようなリスクはありません。

むしろ、残業を命令したにもかかわらず残業代を支払わない会社が「違法」なのですから、気にする必要がないのは当然です。

残業代請求が違法になるリスクがあるのは、例えば、残業代請求にともなって社長を殴る、社長に怒鳴る、など、必要以上に、会社に迷惑をかけるケースです。

残業代を支払うのは当然ですが、必要以上に過度な迷惑をかけると、労働者側が違法になるリスクは確かにあります。

残業代請求をするにしても、極力、感情的にはならず、淡々と請求するのがよいでしょう。

12.4. 残業代請求は会社への脅迫?

残業代請求をすると、会社から「脅迫しているのか!」と怒られるケースがあります。

しかし、残業代請求は脅迫ではなく、正当な権利行使です。この「残業代請求=脅迫」とする会社の考えは誤りです。

脅迫とは、簡単にいうと「脅してお金を請求すること」をいいますが、残業代請求は、暴力や脅迫を伴うものでは一切ありません。

また、正当に、お金をもらう権利がある場合、脅迫にはそもそもあたりませんから、残業代請求が会社に対する脅迫にならないのは当然です。

12.5. 残業代請求すると評価が悪くなる?

「残業代請求すると評価が悪くなるのでは?」というリスクを不安に思われる労働者のご相談もあります。

残業代請求は、労働基準法(労基法)に求められた権利であり、労働者として最低限の権利です。

したがって、残業代を請求したからと言って、評価が低くなるリスクはありません。

「残業をしないと終わらせられないとは、能力の低いやつだ。」と言われるとしたら、まずは、その業務が本当に定時で終わる業務なのかどうか、リスクの検証が必要となります。

12.6. 残業代請求するなんて非常識?

ブラック企業の中には、「残業代を払わないのは当然」と考えている会社もあり、「残業代請求をするなんて非常識だ。」と社長から怒られてしまう会社もあります。

しかし、残業代請求は、全く非常識ではなく、会社の考えが誤りです。

「残業代請求=非常識」と反論してくるケースの典型は、例えば「新入社員で修業期間であった。」、「能力もないのに働かせてやっている。」など、労働者の能力を理由としてくる場合があります。

しかし「あまり会社に貢献できていなかった。」と泣き寝入りする必要はありません。

残業代請求は、「残業をして、労働時間が一定程度を超えたこと」によって発生するのであり、「会社の納得する成果を出したこと」によって発生するわけではないからです。

13. 残業代請求と税金の関係は?

残業代請求をして、獲得した残業代にも、税金がかかります。

残業代とは、残業をした時間に応じて支払われる給与ですから、適切な給与支払日までにしはらわれなくても、受け取ったときに所得税が課税されるというわけです。受け取る時期よって非課税になれば、労働者に過剰なメリットとなります。

残業代請求を行った結果、交渉・労働審判・訴訟などで和解をし、「解決金」や「退職金」という名目でもらった場合、その実質がどのようなものであるかによって、税金がかかるかどうかが変わってきます。

退職金として支払われる場合、退職所得控除がつかえれば、かかる所得税を減らすことができますが、「解決金」や「和解金」の実質が残業代であることが明らかな場合には、退職所得扱いすることは難しい場合もあります。

残業代請求を解決したときの課税関係は、思いのほか難しいこともありますので、交渉を担当してもらった弁護士や、お近くの税理士にご相談することをお勧めします。

14. 残業代請求はこんなケースでもできる!

「こんなケースでは残業代請求はできないのでは?」と、自分のケースが特殊であり、一般的な労働者の権利である残業代請求をあきらめている労働者も、よく法律相談に来られます。

結論からいいますと、残業代請求を最初からあきらめざるをえないケースというのは、とても少ないといえます。

管理職、みなし労働時間制のように、一般的には「残業代請求が発生しないようにする方法」とされている方法であったり、「懲戒解雇」など労働者側に責任があり、負い目があったりする場合であっても、残業代請求が可能なケースは少なくありません。

「残業代請求は、こんなケースでもできる!」という知識について、弁護士が解説します。

14.1. 懲戒解雇でも残業代請求できる!

会社から懲戒解雇を受けても、残業代請求をすることができます。懲戒解雇となると、退職金が不支給となり、もらえる金額が少なくなることが予想されます。

懲戒解雇とは、企業秩序違反に対する制裁を意味する解雇であって、懲戒解雇となるケースでは会社は労働者側になにかしらの責任追及をしたいと考えていることでしょう。

労働者側のミスであったり、故意の問題行為が理由であって懲戒解雇された場合でも、残業代請求は無関係ですので、行うことができます。

労働者側のミスや業務上横領、ハラスメントなどの問題行為が理由で、会社が労働者に損害賠償請求をするとき、少しでも支払い額を減らすためには、残業代請求で対抗するのが有効です。

むしろ、多額の残業代請求が可能なほどに、違法な長時間労働が日常化していた場合、労働者のミスもまた、長時間労働の強要が理由である、という反論も考えられます。

14.2. 不当解雇されても残業代請求できる!

解雇をされても、残業代請求をすることができます。

労働者の能力、勤務態度などを理由とする「普通解雇」、労働者の問題行為を理由とする「懲戒解雇」、「諭旨解雇」、会社側の事情を理由とする「整理解雇」のいずれでも変わりません。

そして、解雇が「合理的な理由」を欠いたり、「社会通念上の相当性」を欠いたりして「不当解雇」となる場合でも、残業代請求をすることができます。

むしろ、残業代請求をするとき、解雇が不当だと考えるのであれば「不当解雇は無効である。」という争いも同時に行うのがよいでしょう。

不当解雇の争いによって、解雇が撤回されて在職するのであれば、今後も残業代が支払われないと困りますので、残業代請求を合わせて行うことになります。

一方、不当解雇の争いを、退職を前提とした金銭解決で終了する場合でも、少しでも多くの解決金をもらうために、残業代請求をあわせて行うのがよいでしょう。

14.3. 36協定(三六協定)がなくても残業代請求できる!

残業代請求をするとき、必ず見ておきたい資料が「36協定(サブロク協定)」です。

「36協定(サブロク協定)」は、会社が、労働者代表の意見を聞いて作成する、命令できる残業時間の上限を定める労使協定です。

「36協定(サブロク協定)」に定められた上限時間を超えて残業を命令された場合や、「36協定(サブロク協定)」がそもそもない場合、残業命令自体が違法となり、会社には刑事罰が科せられます。

「36協定(サブロク協定)」の限度を定める行政通達によれば「1か月に45時間」が、原則的な残業の上限となります。

ただし、ブラック企業ほど「36協定(サブロク協定)」がない会社も少なくありませんが、残業代請求自体は、「36協定(サブロク協定)」がなくても可能です。

「36協定(サブロク協定)」の上限時間を超える違法な残業が命令されたとしても、実際に残業しているのであれば、残業代請求をして、その時間分の残業代を支払ってもらうことができます。

14.4. 年俸制でも残業代請求できる!

「年俸制であるから、残業代請求はできない。」という考え方は間違いです。

年俸制とは、あくまでも、収入を年単位で計算し、改定する、といった程度の意味しかなく、残業代請求を不可能にする効果は、年俸制にはまったくありません。

「年俸制であるから、残業代請求は不可能なのではないか。」という誤った法律相談が生まれる原因はどこにあるのでしょうか。

それは、「年俸制」が、固定残業代やみなし労働時間制など、他の制度と併用されることで、結果的に残業代請求のできない労働者を生んでいるためでしょう。

したがって、「年俸制」であることだけで残業代請求をあきらめる必要は全くなく、その他の制度によって残業代請求ができなくならないかを検討するだけでよいといえます。

14.5. 偽装請負でも残業代請求できる!

請負契約で働いている人は、本来であれば、残業代請求ができないのが原則です。

残業代は、あくまでも、労働時間によって管理される労働者を保護するものであって、請負であれば、「いつ仕事をするか。」は、請負で働く人の自由だからです。

しかし、「偽装請負」、つまり、本当は請負ではないのに、請負契約を結ばされている労働者であれば、残業代請求をすることができます。

「偽装請負」だと、形式的には請負契約を結んでいるものの、実際には始業時刻・終業時刻が決まっていたり、仕事のやり方について細かく指示されたりすることになります。

このような働き方の「偽装請負」であれば、会社にさからえず に長時間労働となってしまい、メンタルヘルスになったり過労死、過労自殺などのリスクもありますから、残業代請求によってブラック企業と戦う必要があります。

14.6. 固定残業代があっても残業代請求!

固定残業代が支払われている労働者であっても、残業代請求が可能なケースがあります。

固定残業代が十分でなかったり、そもそも固定残業代の運用が不適切であって無効となったりする場合には、獲得できる残業代請求の金額は、かなり高額となる場合もあります。

固定残業代とは、残業代として会社が支払うべき金額のうちの一部を、あらかじめ固定額で支払う制度です。例えば「基本給●●円のうち、●●円は、●時間分の残業代とする。」といった定め方です。

固定残業代が支払われていても、この固定残業代として支払われた金額を超える金額については、残業代請求することができます。

例えば、雇用契約書、労働条件通知書、就業規則などに、「基本給30万円のうち、10万円を20時間分の残業代として支払う。」と書かれており、仮にこの制度が有効だったとしても、20時間を超えて残業すれば残業代請求できます。

更には、次の要件を満たさない場合には、固定残業代が無効となり、固定残業代として支払われていたと会社が主張する残業の分も含めて、残業代請求をすることができます。

  • 基本給や手当のうち、残業代として支払われている部分が、通常の賃金と明確に区分されている。
  • 残業代として支払われている金額が、何時間分の残業代に充当されているかが明確に示されている。

ブラック企業の中には、「固定残業代を払うことで、残業代請求をなくすことができる。」と間違って理解している会社もあるため、「固定残業代制度が無効ではないか?」と疑問を持つようにしましょう。

14.7. 裁量労働制でも残業代請求できる!

職種、業種、雇用形態によっては、残業時間を会社が把握することが難しい、といったケースがあり、この場合に会社が導入するのが「裁量労働制」です。

裁量労働制には、「企画業務型」と「専門業務型」がありますが、いずれも、労働時間についての特別なルールにより、一定の時間だけ働いたと「みなす」制度です。

裁量労働制であるといわれたからといって、残業代請求を諦める必要はありません。裁量労働制でも、次の場合は残業代が発生するからです。

  • 深夜労働、休日勤務をした場合
  • 裁量労働制のみなし時間が「1日8時間、1週40時間」を超える場合
  • 裁量労働制が無効の場合

特に、「裁量労働制にして残業代請求を免れよう」と考えているブラック企業の場合、実際には裁量がなかったり、裁量労働制の有効要件を満たしていなかったりして、裁量労働制が無効の場合あります。

14.8. みなし労働時間制でも残業代請求できる!

みなし労働時間制の適用される労働者であっても、残業代請求ができるケースがあります。

みなし労働時間制の対象であっても、みなし労働時間が「1日8時間、1週40時間」を超える場合には、こえた労働時間については、残業代請求をすることができます。

また、みなし労働時間制によって残業代請求を逃れようと考えながら、みなし労働時間制を正しく運用できておらず、その結果、みなし労働時間制が無効であって残業代請求をすべきケースもあります。

みなし労働時間制とは、ある程度労働者に、労働時間の裁量をあたえたほうがよい職種、社員に対して、実際に働いた労働時間にかかわらず、一定の労働時間だけ働いたものと「みなす」制度のことをいいます。

デザイナーやエンジニアなど、高度な専門性を持つ労働者に採用される「専門業務型裁量労働制」、「企画業務型裁量労働制」と、、営業マンなど労働時間を把握しづらい労働者に採用される「事業場外みなし労働時間制」があります。

しかし、労働時間の裁量が実際にはない、「裁量のない裁量労働制」になっていたり、労働時間を把握できるのに「事業場外みなし労働時間制」をとっていたりする場合、不適切な運用といわざるをえません。

みなし労働時間制の不適切な運用のケースでは、「1日8時間、1週40時間」を越えて残業をしなければならなかった方は、残業代請求をすべきといえます。

14.9. 管理職でも残業代請求できる!

管理職であっても、残業代請求をすることが可能なケースも多くあります。

残業代請求ができない管理職は、正しくは「管理監督者」といい、労働基準法(労基法)の解釈で、非常に限定されています。

労働基準法(労基法)では、残業代請求は労働者の権利であって、残業代請求の権利がない「管理監督者」は、非常に限定されているとお考え下さい。

会社内では「管理職」と呼ばれ、会社からは「管理職だから残業代請求はできない。」といわれているけれども、実際は労働基準法(労基法)の「管理監督者」ではない労働者のことを「名ばかり管理職」といいます。

「名ばかり管理職」の方は、残業代を支払ってもらえないのは不当な扱いですから、早急に残業代請求することをお勧めします。これは、「部長」「課長」などの会社内でしか通用しない呼び名、役職とは関係ありません。

次のような方は、「名ばかり管理職」である可能性が高く、残業代請求をすべきです。

  • 始業・終業時刻を指示され、タイムカードを打刻しており、遅刻・欠勤すると賃金が控除される。
  • 役職者だが、業務上の権限は平社員と全く変わらない。
  • 平社員の基本給に残業代を加算すると、自分の給与よりも高額になる。

14.10. 会社ルール・業界慣習で払われなくれも残業代請求できる!

会社や業界、業種によっては、「うちの会社では残業代請求はできない。」、「この業界では残業代は払わないことになっている。」と、会社や社長からいわれることがあります。

しかし、残業代請求に関するルールで最も重要な労働基準法(労基法)は「強行法規」といって、これに反するルールを決めても無効となり、労働基準法(労基法)にもとづいた残業代請求をすることができます。

「うちの会社は労働基準法(労基法)を守らない。」ということは、労働者を雇っている限り不可能です。

「労働条件通知書」、「雇用契約書」、「就業規則」などはすべて、労働基準法(労基法)に定められた残業代請求のルールよりも「下位」にあり、労働基準法(労基法)に違反する残業代請求のルールを定めることはできません。

したがって、会社ルール・業界慣習で払われない労働者の方も、残業代請求をすることができます。

14.11. 残業許可制でも残業代請求できる!

会社が、できるだけ残業代の支払を減らそうとして、「残業許可制」をとっているケースがあります。

残業について、事前、もしくは事後すみやかに、会社に許可をとらなければ残業をは認めず、残業代は払わない、というルールです。

残業許可制だと、許可を得ていない残業には残業代が発生しないのが原則ですが、それでも残業代請求が可能な場合があります。

残業許可制の運用がきちんとなされておらず、実際には許可をしないけれども残業が強要されていた、黙示的に残業が命令されていたというケースでは、残業代請求が可能です。

14.12. 「残業禁止命令」でも残業代請求できる!

会社が残業代の負担を減らす対策として「残業禁止命令」を出していることがあります。

例えば「●時以降の残業は一切認めない。」というルールを周知するケースです。

残業禁止命令を会社が発した場合であっても、実際には残業がなくならない、という場合には、残業代請求をすべきです。

残業禁止命令を会社が発しても残業がなくならない場合とは、会社が、黙示に残業を指示しているか、少なくとも発生した残業を放置している場合が多いと考えられるからです。

残業禁止命令がなされていたとしても、やむを得ず、残業をせざるを得ない、と感じたら、残業代請求をあきらめる必要はありません。

15. 会社の反論別、残業代請求で必ず支払ってもらうポイント

残業代請求をするとき、請求する残業代を必ず支払ってもらうためには、会社の反論を理解しておく必要があります。

以下に解説する会社の反論は、いずれも認められないものであるか、苦し紛れの反論なわけですが、残業代請求に必ず応じてもらうためには、その対応策を知らなければなりません。

間違っても、会社の反論をそのまま鵜呑みにして、残業代請求の攻め手を緩めてはなりません。

15.1. 残業代請求を無視されたら?

残業代請求をしても、ブラック企業の中には、対応をせずに無視してくる会社もあります。

会社に無視されたからといって、残業代請求を取り下げる必要はありません。

むしろ、反論があるなら正確な法律知識に基づいて堂々と反論すればよいのであって、残業代請求を無視する会社には、むしろ負い目があるのかもしれないと邪推してしまいます。

ただ、残業代請求は、あくまでも話し合いからスタートしていますから、会社が無視を続け、不誠実な対応をするなら、これ以上話し合いで残業代請求を続けることは困難です。

無視されている間に残業代請求の消滅時効(時効)がきてしまわないよう、請求から「6か月以内」には、労働審判、訴訟など法的手続きによる残業代請求に移行しましょう。

15.2. 残業代請求を拒否されたら?

会社が、労働者の残業代請求を拒否する理由に、「残業時間の切り捨て」の問題があります。

つまり、会社独自のルールで、一定の時間以下の残業時間は切り捨てて処理する、ということです。

これによって、一定の単位未満の残業代が発生しないことから、「1日15分ずつ」など短い残業時間しかない場合、残業代請求を拒否する、というわけです。

しかし、この会社の考えは誤りで、残業時間は1分単位で計算しなればならないこととされています。「週」や「月」ごとに集計して四捨五入などの処理をすることも許されません。

行政通達において、「1か月の総労働時間」について、最低15分単位で切り捨て、切り上げの処理をすることは許されます。

ただ、この残業代請求に関する行政通達も、あくまでも1か月単位の処理を認めるのみで、1日単位ではありませんし、「切り捨て」だけでなく「切り上げ」についても定めています。

15.3. 残業代請求を相殺するといわれたら?

残業代請求に対する会社の反論としてよくあるのが、過去の労働者のミス、事故などを理由に会社から労働者に請求できる金銭と「相殺」する、という反論です。

「相殺」とは、お互いに金銭請求をする権利があるときに、お互いの同額(対等額といいます)について、消滅させることをいいます。「お互い様だからトントンにしよう」というわけです。

しかし、仮に、会社から労働者に対して何かしらの債権が発生していたとしても、残業代請求と相殺をするためには、労働者が真意から同意をする必要があります。

同意がなければ、残業代請求は賃金であり、相殺は許されません。

「労働者が真意から『相殺』に同意する」とは、脅迫や暴行、脅しなどがあってはいけませんし、だまして同意をとってもいけません。このような同意は、ないと考えるのが通常でしょう。

また、「入社時に、『相殺する』と就業規則、誓約書に書いてある。」という会社からの反論もあり得ますが、残業代請求と相殺するための同意は、あらかじめとることは許されません。

15.4. 残業代請求に対し、逆に損害賠償請求するといわれたら?

残業代請求に対して、何らかの債権で相殺することは難しいことをご理解いただけたでしょうが、過去のミス、事故などを理由に損害賠償請求されたときはどうでしょうか。

過去に労働者がミスを犯したり、事故を起こしたりしたことが事実であったとしても、そのすべての責任を労働者が負わなければならないわけではありません。

会社は、労働者のミスや事故を防ぐことができたケースが多く、その責任は会社にもあるからです。

「残業代請求を続けるなら、損害賠償請求をするぞ。」という脅しも、仮に損害賠償請求をしても認められる可能性が低いのであれば、恐れるに足りません。

15.5. 残業代請求に対し、倒産するといわれたら?

残業代請求をした相手の会社が、「残業代を払うと倒産する。」と反論してくることがありますが、リスクを感じることはありません。

万が一にも残業代請求によって会社が倒産してしまっても、「独立行政法人労働者健康安全機構(旧称: 独立行政法人労働者健康福祉機構)」が行う「未払賃金の立替払事業」を利用することで、一定額の回収が可能なケースがあります。

また、会社が「残業代を払うと倒産する」といっていても、実際にはそれほど経営状況、資金繰りが悪化しておらず、単なる脅しの可能性も大いにあります。

残業代請求をする労働者側としては、「倒産する。」と言われても、「倒産したら考えればよい。」のであって、残業代請求をやめる理由にはなりません。

15.6. 残業代請求しても「払えない」といわれたら?

残業代請求は、労働者に適法に認められた権利であるのに対し、「払えない」というのは、会社側の事情に過ぎません。

会社側の事情によって「払えない」場合であっても、残業代は支払わなければならないことが、労働基準法(労基法)で決められています。

特に、経営状態や資金繰りを理由とする会社がありますが、残業代を支払わずに働かせることは、違法である分だけ会社は人件費を節約できます。

違法な方法によって人件費を節約しなければ成り立たない経営状態、資金繰り自体が、会社の問題点であるといえるでしょう。

経営が苦しいので、残業代請求をしても残業代は「払えない」という会社の言い訳、説明に配慮する必要はありません。

15.7. 残業代請求しても「払わない」という合意があったといわれたら?

会社からの反論でよく相談があるのが、「残業代は支払わない」という労使間の合意があった、というパターンです。

実際、書面などで、「残業代を払わない」と直接合意していたり、固定残業などを有効とするために「これ以上の残業代は払わない」と書かれているケースもあります。

しかし、労働基準法(労基法)は重要な法律であり、労働者の権利である残業代請求をあらかじめ放棄することは許されません。

そもそも、「残業代を払わない」という合意は、労働基準法(労基法)違反であり、無効です。

既に発生した残業代を放棄させるために「残業代を払わない」という内容の合意を結ぶ場合であっても、労働者が心から同意していた場合でなければ、合意は無効です。残業代請求を検討しているのであれば、真意の合意があったとはいえないでしょう。

15.8. 残業代請求に対して不正な残業隠しで反論されたら?

不正な残業隠しに対しては、労働者側でもしっかり証拠を収集していくことで対抗することとなります。不正な残業隠しによる反論が予想される場合、証拠収集をより完璧にする必要があります。

会社からよくある反論のうち、不正な残業隠しとなるのは、次のような反論です。

  • タイムカードを定時で打刻させ、その後居残り残業させる。
  • 定時で会社から帰らせ、自宅で持ち帰り残業を強要する。
  • 残業禁止といいながら、実際には黙示の命令で残業をさせている。
  • 定時以降残っていても、社長や上司が勝手にタイムカードを打刻する。

15.9. 残業代請求に対して「働いていなかった」といわれたら?

残業代請求に対する会社の反論として、「働いていなかった(労働していなかった)」という反論があります。労働者の主張する時間は「労働時間」ではない、というわけです。

残業代は、残業して労働をすることによって発生します。

労働者が会社にいたとしても、会社の仕事をしておらず、遊んでいたり、だらだらしていたりするだけであれば、残業代は発生しません。

そもそも労働していなかった、さぼっていた、食事をしていた、という会社の反論です。

会社の反論に理由があり、証拠もあれば、その時間分の残業代請求は認められません。

ただ、タイムカード等、会社が時間把握を行っている証拠がしっかりとそろっていれば、労働をしていたものと推認されますので、会社がこのような反論をしてきた場合には「仕事をしていなかった」ことの証拠を強く求めていきます。

15.10. 残業代請求に対して「労働時間ではない」といわれたら?

さぼっていたわけではないけれども、残業代の発生する「労働時間」ではないという場合があります。

休憩時間、手待ち時間、仮眠時間、着替え時間、持ち帰り残業時間などが、「労働時間」となるかが争いとなります。

労働法の裁判例において、「労働時間」とは、「会社の指揮命令下に置かれていた時間」であるとされ、会社の指揮命令下になければ、労働時間ではありません。

そのため、会社として「その時間の労働は指示していない。」という反論が出てくるわけです。

ただ、労働時間であるかどうかを決める会社の指揮命令には、明示の指揮命令だけでなく黙示の指揮命令も含まれます。

16. 残業代請求で後悔しないポイント

残業代請求を、人生で何度も繰り返し行う、という労働者はきわめて少ないでしょう。

残業代請求をするときは、人生で一度きりの勝負だと思って、後悔しないような残業代請求をすべきです。

会社との間で、合意書(和解書)を締結してしまった後では、「実はもう少し残業代をもらえたのに・・・。」と後から気づいて後悔しても、追加で請求することはできないケースが多いでしょう。

残業代請求で後悔しないためのポイントについて、弁護士が解説します。

16.1. 残業代請求しても退職金はもらえる?

「残業代請求」と「退職金」は別物です。したがって、残業代請求をして残業代をもらうことができたとしても、退職金は、これとは別にもらうことができます。

残業代請求の解決の際に、合意書(和解書)を締結する時には、「残業代・退職金をまとめて『解決金』としてもらったら、実際には両方もらうより安かった。」という後悔のないよう計算しなければなりません。

特に、残業代請求をしてから退職をしたり、退職直後に残業代請求をする場合には、会社が全ての労働問題を一括解決しようとして、上記のように「残業代と退職金とを合わせて●●円支払います。」という提案をしてくることが多く、注意が必要です。

また、残業代請求をすることは労働者の正当な権利ですから、残業代請求をしたことを理由に懲戒解雇をし、退職金を不支給、減額とする、という処分も違法であり、無効です。

16.2. 残業代請求を放棄してしまったら?

残業代請求を、事前に放棄することはできません。入社時の誓約書などに「残業代は1円も請求しません。」と書いてあり、署名押印をしてしまったとしても、残業代請求できます。

「賃金全額払いの原則」というルールが労働基準法(労基法)に定められており、残業代を含めた賃金について、会社は労働者に、その全額を支払わなければなりません。

「放棄したのだから残業代請求はできない。」と考えて残業代請求をせずに期間が経過し、消滅時効(時効)となって後悔しないようにしましょう。

残業代がいったん発生した後は、発生した残業代を放棄することで、残業代請求ができなくなってしまうことがあります。

しかし、発生した残業代の放棄も、労働者保護の観点から、裁判所ではその有効性が厳しく審査されます。

残業代請求の放棄は、労働者が真意で行わなければならないとされています。真意で放棄していない限り、後悔しないよう、早めに残業代請求しておくべきです。

少なくとも、次の3つの条件を満たしているような残業代請求の放棄でない限り、残業代請求の放棄は無効の可能性が高いとお考え下さい。

  • 労働者側に、残業代請求を放棄するだけのメリットや動機があること
    例:会社に対して有効な借入があり、これと相殺することで債務が減少する。
  • 労働者の生活が苦しくならないこと
  • 残業代請求の放棄が、書面によってなされていること

16.3. 休憩時間中の残業代請求も行うこと!

休憩時間中であっても、労働を強制されていた場合には、残業代請求をすることができます。

休憩時間中であっても残業代請求できる場合とは、例えば次のようなケースです。

  • 事務職で、休憩時間に設定されている時間も、電話がかかってきたら対応しなければならない。
  • 飲食店で、休憩時間中に仕込み、まかない作りなどをする必要があった。
  • 休憩時間は、就業規則・雇用契約書・労働条件通知書には書いてあるが、実際にはとれない。

残業代の請求できる「労働時間」とは、裁判例で、使用者の指揮命令下に置かれている時間とされています。

休憩時間が、労働基準法(労基法)の定めどおり、労働者が自由に利用できる状態であれば、休憩時間中は残業代請求はできませんが、自由に利用できない状態である場合、「休憩時間」ではなく「労働時間」であるといってよいでしょう。

なお、「休憩時間中の残業代請求」ができるかどうかをしっかり検討していただくことは当然ですが、逆に「残業時間中に休憩とみなされる時間がなかったか」についても、会社の反論がありえますので、検討しておいてください。

16.4. 遅刻した分の残業代請求も行うこと!

未払残業代の請求についての法律相談のなかで、「遅刻の取扱い」についての相談が多くあります。

残業代請求をするとき、遅刻した時間についてどのように取り扱って残業代を計算したらよいか、という問題です。

「ノーワークノーペイの原則」というルールがあり、働いていない時間についての賃金は支払われないのが原則ですので、遅刻をした場合、その分の賃金は払われないのが原則です。

したがって、残業代請求の際、原則として、遅刻した時間分を除いて残業代を算出することとなります。

ただ、「ノーワーク・ノーペイの原則」はあくまで「原則」であり、「例外」もあります。

例えば、会社が、すべての従業員に対して、遅刻をしても一律に給与を控除しない、という制度をとっていた場合には、遅刻をしたとしても、労働時間を減らすことなく残業代請求をすることができます。

会社が遅刻についてどのような取り扱いとしているかは、就業規則、賃金規程、雇用契約書(労働契約書)、労働条件通知書などを、残業代請求する前にご確認ください。

16.5. 残業代請求だけでなく未払い賃金に注意すること!

「残業代」は、「未払い賃金」の一種ですが、未払い賃金は、残業代ばかりではありません。

「残業代請求」という言葉にひっぱられて、その他にも未払賃金があることを見過ごして後悔することのないよう、その他の未払い賃金も検討しておきましょう。

例えば、残業代請求以外の未払い賃金として、手当の未払い、基本給の最低賃金法違反、退職金の未払いなどが考えられます。

17. 残業代請求で失敗しない注意点

残業代請求をすることを決めた労働者の方に向けて、残業代請求で失敗しないために、よくつまづきやすい注意点を、弁護士がまとめました。

残業代請求で失敗しないために、注意点をよく理解してください。

17.1. 残業代請求でトラブルにならないようにする

残業代請求が原因で、他のトラブル、労働問題が起きてしまうことを回避しなければなりません。

残業代請求で失敗しないためには、できるだけ、会社との労働問題、労働トラブルが、紛争拡大しないよう注意しましょう。

残業代請求は、労働者の当然の権利ですから、会社の対応が不誠実であり、誠意を感じない場合には、その他の労働問題も争ってよいでしょう。

しかし、労働問題を拡大しなくても、まずは残業代請求だけを行い、適正な残業代をもらいたいだけ、という場合には、トラブルを大きくしすぎないような残業代請求をすることが重要となります。

17.2. 残業代請求の得意な法律事務所に依頼する

残業代請求で失敗しないための注意点の2つ目は、残業代請求の得意な法律事務所、残業代請求の得意な弁護士に依頼することです。

ひとくちに「弁護士」といっても、弁護士の業務は多くあり、残業代請求を得意としていない弁護士もいます。「労働問題」にかぎっても、残業代請求だけでなく、不当解雇、パワハラ、セクハラ、労災、過労死など多くの問題があります。

残業代請求で失敗しないため、残業代請求の得意な法律事務所を見分けるポイントは、法律事務所の、残業代請求に関する相談数、解決数、実績を聞くとよいでしょう。

また、法律事務所に複数の弁護士がいる場合には、担当となった弁護士が残業代請求を得意としているかどうか、残業代請求の基礎知識について、法律相談時に確認することで、判断することができます。

この先一緒に戦っていくに備えて、残業代請求を失敗しないためには、弁護士との「相性」も重要ですので、法律知識の豊富さだけでなく、対応の丁寧さ、丁寧な説明をしてくれるかも見極めておきましょう。

17.3. 残業代請求の裁判例・判例を理解する

残業代請求で失敗しないためには、残業代請求の裁判例、判例を知っておく必要があります。

残業代請求の際に、請求できる残業代は労働基準法(労基法)にもとづいて計算しますが、労働基準法(労基法)にはあくまでも一般的なルールしか書いてありません。

特に、次のような点は、労働基準法(労基法)の解釈や、実際の労働実態に即して、裁判所の判断をした、残業代請求に関する過去の判例、裁判例を理解することが、残業代請求で失敗しない注意点です。

  • どのような時間が労働時間にあたるか。
    例)手待ち時間、休憩時間、持ち帰り残業時間、荷受け時間など、「労働時間」についての裁判例・判例
  • 残業代の支払われない人ではないかどうか。
    例)管理監督者性、名ばかり管理職、事業場外みなし労働時間制の有効性に関する裁判例・判例
  • 既に残業代が支払済ではないかどうか。
    例)固定残業代(みなし残業代制度・定額残業代制度)の有効性についての判例・裁判例

17.4. 最低賃金を意識して残業代請求する

「最低賃金」とは、労働者保護のために「最低賃金法(最賃法)」という法律で定められた、給料の下限のことをいいます。

労働者が、人間らしい生活を送れるよう、労働者が安すぎる賃金で酷使されないように作られた制度のことをいいます。

残業代請求をするときに、未払残業代にばかり目が行き、実は基本給が最低賃金を下回っていた、という違法を見逃して、失敗してしまうケースがあります。

特に、固定残業代(みなし残業代・定額残業代制度)が支払われている場合に、総額を見ると最低賃金を上回っているためにごまかされて、得られるはずの給与を得られない失敗ケースがあります。

つまり、固定残業代(みなし残業代・定額残業代制度)の場合、残業代に充当されるべき金額として支払われている金額を引くと、最低賃金を下回っているという場合には、残業代請求と合わせて、最低賃金との差額も請求することができます。

最低賃金は毎年、「中央最低賃金審議会」によって審議され、その後、各都道府県の「地方最低賃金審議委員会」で審議されて決定されます。したがって、最低賃金は都市ごとに異なり都心部ほど高くなります。

最低賃金には、地域別最低賃金(業種にかかわらず、その都道府県で働く人の最低賃金)と、特定最低賃金(特に高い賃金をあたえられるべき特定の産業に設定された最低賃金)とがあり、いずれか高い方を超える賃金をもらう権利が、労働者にはあります。

残業代請求で失敗しないため、「そもそも最低賃金が支払われているか。」を確認するためには、月にもらっている総額のうち、いくらが残業代で、いくらがそれ以外の通常の賃金かを、労働者が明確に知る必要があります。

残業代請求で失敗しないために、自分の給料が最低賃金を越えているかどうか不安な方は、一度弁護士に法律相談ください。

18. 残業代請求を自分でやる!やり方は?

残業代請求について、その手続きや流れ、プロセス、やり方を解説してきましたが、ここまで説明してきた残業代請求は、自分でやることも可能です。

残業代請求は、労働基準法(労基法)に定められた労働者の権利ですから、労働者自身で、自分の手で実現することができるというわけです。

残業代請求を求める通知書を作成し、内容証明郵便で会社に送ることも、労働審判も、労働裁判(訴訟)も、いずれも労働者だけで自分でやることができます。

残業代請求は、自分でやれば、費用は、内容証明郵便の代金や裁判所に支払う実費(印紙・郵便切手代)など、最低限で済みます。

19. 残業代請求をどこに相談する?

残業代請求を、専門家に相談するとき、どこに相談したらよいのかについて、解説していきます。当法律事務所にも、たくさんの残業代請求の法律相談が寄せられています。

残業代請求を専門家に任せれば、会社と直接やりとりしなければならない精神的負担(ストレス)が減ります。

残業代請求の労働審判、訴訟(裁判)を行って経験・回収実績の豊富な弁護士に依頼することによって、自分でやるよりも有利な計算方法で、より高額の残業代請求をすることができます。

19.1. 残業代請求は弁護士に相談する!

残業代請求を相談するのに、最も適切な専門家は、「弁護士」です。つまり、残業代請求をお考えの労働者の方は、労働問題を扱う法律事務所に相談しましょう。

弁護士は、残業代請求をするための方法である、交渉、労働審判、訴訟について、すべてあなた(労働者)の代理人として行動し、あなた(労働者)の代わりに残業代請求を進めてくれます。

弁護士に代理人として残業代請求を任せれば、よほどのことでない限り、あなた(労働者)の手間をわずらわせることなく残業代をスムーズに回収することができます。

残業代請求の中には、ケースによっては、労働基準法(労基法)などの法律についての、専門的な知識が必要となる場合もありますが、弁護士なら、残業代請求の法律知識を十分に持っています。

19.2. 残業代請求に強い東京の弁護士は?

残業代請求を、東京の弁護士に依頼する場合、「残業代請求 弁護士 東京」、「残業代 弁護士 東京」などと、インターネットで検索してみてください。

残業代請求に強い東京の弁護士を、インターネットで検索する方法のほか、知人、友人に紹介を頼む方法もありますが、労働問題は秘密であることが多く、喜んで紹介してくれる人は少ないかもしれません。

少なくとも、「自分で残業代請求してみたけど、この弁護士は良かったよ。」と紹介してくれることは難しいことでしょう。

あなた(労働者)としても、残業代請求は当然の権利なわけですが、人間関係のある友人、知人に、残業代請求に強い弁護士の紹介を頼むことは難しい場合もあります。

19.3. 残業代請求を税理士に相談しない

残業代請求を専門的に取り扱う専門家の中には、弁護士以外に「税理士」がいます。つまり、税理士の中でも、残業代請求を仕事にしている人がいます。

しかし、残業代請求をまかせる際には、税理士と弁護士とでは、得意分野が異なることを理解しましょう。税理士の得意分野は、税金問題(税務問題)です。

税理士は、税金の専門家であって、残業代請求をふくめた労働問題の専門家ではありません。また、弁護士とは違い、交渉を専門的に行う仕事ではありません。

仮に、「残業代請求専門」、「残業代請求が得意」という税理士がいたとしても、残業代請求を税理士に依頼すべきではありません。

19.4. 残業代請求を司法書士に相談しない

残業代請求を専門的に仕事としている専門家には、弁護士以外に「司法書士」がいます。つまり、司法書士の中にも、残業代請求を専門とする人もいます。

ただし、残業代請求を依頼しようとするときには、司法書士は、弁護士とは得意分野が違うことに注意が必要です。

司法書士は、残業代請求のうち、請求金額が140万円以下の問題について、あなた(労働者)を代理して会社に請求することができます。

これは、簡易裁判所で請求できる上限金額と同じです。司法書士の中でも、「認定司法書士」であれば、残業代請求のうち、簡易裁判所で請求できる140万円以下のものについて、代理人として訴訟をしてもらえます。

司法書士に残業代請求を依頼するデメリットとしては、140万円を越える残業代請求については、代理して行ってもらうことができないこと、労働審判を代理人として行ってもらうことができないことなどです。

「できれば安く済ませたい。」、「費用を格安でやってほしい。」という方で、司法書士に残業代請求を頼む方もいるでしょうが、より多くの残業代を請求するためには、弁護士への法律相談をお勧めします。

19.5. 残業代請求を社労士に相談しない

残業代請求を得意としている専門家には、弁護士のほかに「社労士(社会保険労務士)」がいます。つまり、社労士の中にも、残業代請求をする方がいます。

とはいえ、残業代請求をする際の、弁護士と社労士の違いについて、正確な理解をしておかなければなりません。

社会保険労務士(社労士)は、労働問題の専門家ですが、多くの社労士は、会社(特に中小企業)の労務・総務の手続を専門的に行っています。

そのため、残業代請求を、「労働者側の立場で」、「労働者の味方となって」専門的に取り扱っていて、かつ、多くの残業代回収実績があるという社会保険労務士(社労士)は、少ないです。

社会保険労務士(社労士)であれば、知識として残業代請求の基本は当然知っているでしょうが、残業代をたくさん回収した実績がないおそれがあるということです。

19.6. 残業代請求を行政書士に相談しない

残業代請求の業務を取り扱っている専門家には、弁護士の他に「行政書士」がいます。つまり、行政書士にも、残業代請求をお願いできます。

行政書士は、依頼者に代わって行政に提出する書面など、書面の作成を代行することが業務です。

行政書士の中には、内容証明郵便を作成することを業務としている方がおり、その一環として、残業代請求の内容証明作成を依頼することができます。

行政書士には、残業代請求の訴訟、労働審判などで、あなた(労働者)を代理する権限はありません。また、内容証明郵便を出すことはできても、交渉を代わりに行うことができません。

残業代請求の書面だけ書いてもらい、格安で済ませたい、という場合であれば、行政書士に残業代請求の依頼をできますが、残業代を多く回収した実績があるかどうか、依頼前に検討しなければなりません。

20. 残業代請求の得意な弁護士に相談するには?

残業代請求をするとき、弁護士に依頼すれば、労働者自身が資料を集めたり、書類を作成したり、会社と直接交渉したりする手間が省けます。

弁護士に依頼した後は、弁護士があなた(労働者)の代理人として示談交渉、和解合意、書面作成を行うからです。依頼者である労働者のやるべきことは、弁護士の質問に答え、弁護士と相談するだけです。

残業代請求の得意な弁護士に、労働問題を相談するときに注意すべきポイントについて、弁護士がまとめました。

20.1. 残業代請求の得意な弁護士の費用は?

残業代請求の得意な弁護士に、残業代請求を依頼するときにかかる費用は、大きく分けて(1)相談料、(2)着手金、(3)報酬金の三種類です。

これ以外に実費がかかることがあります。

残業代請求を弁護士に依頼するときには、かかる費用と、残業代の回収見込みをしっかり確認してから契約するようにしましょう。

20.2. 残業代請求の得意な弁護士の着手金は?

着手金とは、弁護士に依頼するときに支払う弁護士費用のことをいいます。

残業代請求を行うとき、昔の日弁連の基準によれば、着手金は「請求額の8%」(300万円までの請求の場合)とされていました。

例えば、300万円の残業代請求をしたければ、残業代を受け取れなくても、事前に24万円(300万円×8%)を払わなければならないということです。

しかし、労働者の権利を正当に守るために、残業代請求については、着手金を無料としている法律事務所も多くあります。

20.3. 残業代請求の得意な弁護士の報酬金は?

報酬金とは、弁護士に依頼して事件が終了したときに、成功の度合いに応じて支払う弁護士費用のことをいいます。

残業代請求を依頼した場合、昔の日弁連の基準にしたがうと、報酬金は「回収額の16%」(300万円までの請求の場合)となります。

着手金無料など、着手金を安く設定している法律事務所は、報酬金の割合が高めに設定されていることが多いです。

報酬金も含めて、残業代請求が成功した場合の手取り額を比較するのがよいでしょう。

20.4. 成功報酬制で残業代請求をする弁護士

残業代請求を得意としている法律事務所の中には、「成功報酬制」を採用している弁護士もいます。

「成功報酬制」とは、着手金が安く(もしくは無料で)、成功報酬が多め、という弁護士の費用体系のことをいいます。

「成功報酬制」の場合、成功してはじめて弁護士費用がかかることから、残業代請求の結果残業代がもらえないこととなってしまったときに、労働者に生じる損害が少なくて済みます。

「完全成功報酬制」の弁護士であれば、相談料、着手金が無料(0円)であるのはもちろんのこと、残業代請求にかかる実費(郵便代金など)もかからない法律事務所もあります。

「残業代請求 成功報酬制 東京」といったキーワードで、インターネット検索をするとよいでしょう。

20.5. 着手金無料で残業代請求をする弁護士

残業代請求を取り扱っている法律事務所の中には、「着手金無料」という費用体系の弁護士もいます。

着手金という、弁護士が依頼内容に着手する際の費用がかからないということです。多くは、その分、依頼内容の終了時に発生する報酬金が少し高めに設定されています。

着手金無料であれば、残業代が支払われていなかったことによって手持ち資金の少ない労働者の方でも、安心して残業代請求をご依頼頂くことができます。

「残業代請求 着手金無料 東京」といったキーワードで、着手金無料で残業代請求をサポートしてくれる弁護士を探してみてください。

20.6. 残業代請求を無料相談できる弁護士

「残業代請求が得意」、「残業代請求専門」とうたっていても、実際に残業代請求の知識がどの程度あるかは、弁護士に面談して、わからないことを質問してみなければわかりません。

残業代請求についての知識が十分であっても、依頼をする場合、「相性」も大切にしたほうがよいでしょう。

残業代請求についての知識、経験が十分にあるかどうかは、面談で確認をすべきです。この際、相談料がかかる弁護士もいますが、残業代請求の場合には、相談料無料(無料相談)の弁護士もいます。

「残業代請求 弁護士 無料相談」といった検索キーワードで、グーグル検索で、残業代請求を無料相談できる弁護士を探すことができます。

21. 労働問題に強い弁護士に残業代請求を依頼するメリット

残業代請求を、弁護士に依頼するかどうかをお迷いの方に向けて、残業代請求を労働問題に強い弁護士に依頼した場合のメリットをまとめておきます。

21.1. 支払ってもらえる残業代の金額が上がる

労働問題に強い弁護士は、労働に関する法律の専門家です。この解説にまとめてある残業代請求の基礎知識を、当然理解しています。

残業代請求の計算方法を、業種・雇用形態にしたがって有利に考え、会社の反論にも負けないためには、労働問題についての知識・経験が必要です。

素人である労働者が自身で残業代請求をするより、詳しい知識・経験をもとに弁護士が残業代請求をするほうが、支払ってもらえる残業代の金額は上がります。

21.2. 残業代請求の解決までの期間が早い

労働問題に強い弁護士は、法的な交渉の進み方を知っています。残業代請求の交渉を短期間で進め、できるだけ早めに残業代を支払ってもらう方法を理解しています。

素人である労働者が、自分の手で残業代請求をして交渉するよりも、トラブルの交渉に慣れた弁護士が交渉することで、早めに残業代を払ってもらうことができます。

21.3. 和解交渉・示談の手間がかからない

労働者が自分で和解交渉、示談をする場合には、会社や、会社の指定する場所に出向いたり、自分で書面を作成したりしなければなりません。

労働問題に強い弁護士は、残業代請求をよく行っており、書面作成に時間をさほど要しません。

和解交渉、示談にも、弁護士があなた(労働者)の代わりに出向きますので、ご自分で足を運ぶ必要はありません。

21.4. 法的手続(労働審判・訴訟)を短期間で進められる

残業代請求が、話し合いではまとまらないときには、法的手続(労働審判・訴訟)を行うことが必要です。

労働問題に強い弁護士は、残業代請求の労働審判、労働訴訟(裁判)をよく行っていますので、法的手続に必要となる申立書・訴状などを素早く作成できます。

弁護士との打ち合わせをする以外には、労働審判の場合には、1~3回、裁判所に出席するだけで済みますし、訴訟の場合には、基本的に出頭は弁護士が行い、労働者の出頭は不要です。

22. まとめ

今回は、残業代請求をお考えの労働者の方に向けて、残業代請求のために必要な知識を、弁護士がまとめました。

「正当な残業代が支払われていないのではないか?」と疑問、不安をお持ちの方、「残業代を全額支払ってほしい。」とお悩みの方は、労働問題に強い弁護士まで、お早めに法律相談ください。

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