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警備員の「仮眠」を「労働時間」と認め、会社に180万円の支払を命じた裁判例

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千葉地裁は、平成27年5月17日、イオンの関連会社で警備員の仕事をしていた男性の訴えに応じて、会社に対して180万円の支払を命じました。

この裁判では、警備員として勤務する中で、宿直として仮眠している時間が「労働時間」にあたるかが争われ、労働者側の主張を認めて、「仮眠」を「労働時間」と認める判断をしました。

その結果、支払われていなかった「仮眠」時間分の賃金として、180万円の支払を会社に命じたというわけです。

会社はこの判決にしたがって、全従業員およそ2000人と退職者を対象として、未払い残業代が存在しないかどうか、再調査を行う方針であるとのことです。

今回は、この裁判例で問題となった「警備員の仮眠」が、「労働時間」にあたるかどうかについて、労働問題に強い弁護士が解説します。

1. 「仮眠=労働時間」は当然?

警備員の勤務によくある、宿直中の仮眠については、今回の裁判例のように「労働時間」と認められる場合と、認められない場合とがあり、ケースバイケースの判断が必要です。

そのため、「仮眠=労働時間」と認められるための基準を、今回の解説を参考に、きちんと理解してください。

一般的に、警備員の仮眠時間が「労働時間」と認められるのには、どのような条件、基準があるのでしょうか、弁護士が解説します。

2. 仮眠が「労働時間」と認められる基準

一般的に、警備員の仮眠が「労働時間」と認められるかどうかの基準を示した上で、なぜ今回の裁判例で、イオン関連会社の社員の「仮眠」が「労働時間」と認められたかについて解説していきます。

2.1. 業務から解放されているかどうか

警備員の「仮眠」が、業務から完全に開放されていれば、それは「休憩時間」であり、「労働時間」ではありません。つまり、賃金の支払いを受けることもできません。

しかし、「休憩時間」は自由利用が原則とされており、会社の秩序を乱すなどの一定の行為を除いては、「労働者が何をしていてもよい時間」でなければなりません。

これに対し、警備員という仕事の場合、「仮眠」とはいっても、異常事態、緊急事態の場合には、すぐに対応できるようにしておく必要があるケースがほとんどです。

2.2. 「指揮命令下」にあるかどうか

一般的に、過去の裁判例においても、「労働時間」にあたるかどうかは、会社の「指揮命令下」に労働者が置かれているかどうかによって判断するという基準が示されています。

そして、明示的に業務命令がされている場合に限らず、黙示の業務命令がある場合であっても「指揮命令下」に置かれていると評価できる場合があります。

「仮眠」や「休憩」が、「指揮命令下」にはないと言うためには、労働者が、業務から完全に開放されていなければなりません。

2.3. 裁判例の判断

今回解説する、千葉地裁平成29年5月17日判決のケースでは、ここまでの一般的な基準にしたがって、原告となった警備員の、宿直中の「仮眠」を、「労働時間」であると判断しました。

報道内容によれば、原告の主張として「業務から解放されていなかった」ことの理由として、仮眠時間でも制服を脱がず、異常があればすぐに対応できる状態での「仮眠」であったことが主張されています。

そして、このように、何かあれば仕事に戻らなければならない状態での待機は、過去の裁判例でも「労働時間」にあたると判断されています。

3. 「労働時間」と認められると?

警備員の「仮眠」をしていた時間が「労働時間」と認められると、その分の賃金の支払を受けることができます。

警備会社が、その「仮眠」の時間を「労働時間」と認めず、賃金(給与)を支払っていなかったケースが少なくないからです。

この「仮眠」時間が、午後10時~午前5時の間に行われている場合には、「深夜労働」として、通常の賃金の1.25倍の、いわゆる「深夜手当(深夜割増賃金)」を得ることができます。

さらには、「仮眠」時間を合わせて、「1日8時間、1週40時間」という法定労働時間を超えていれば、残業代を得ることもできます。

4. まとめ

今回解説しました、千葉地裁平成29年5月17日判決では、警備員の仮眠について、「労働時間」にあたるとして、未払い賃金(残業代)として180万円の支払を命じました。

そして、この「仮眠」、「労働時間」の考え方は、警備員だけでなく、トラックドライバーや看護士など、夜勤、当直、宿直のある仕事のすべてにあてはまります。

「仮眠」、「休憩」などの名称でありながら、実質は業務を義務付けられている労働者の方は、残業代の請求が可能なケースがあります。

会社に対する残業代請求をお考えの労働者の方は、労働問題に強い弁護士へ、お気軽に法律相談ください。

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