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違法な「労災隠し」への対策は?|犯罪?刑事罰の対象?

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労災隠し、という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。労災隠しとは、文字通り、「労災」であるにもかかわらず、これを会社が隠すことをいいます。

労災隠しが、問題視されているとおり、労災隠しが問題なのは当然ですが、いざ自分が労災隠しによって不利益を受けてしまったとき、労働者としては、労災隠しの方法によって、適切な対策をとっていく必要があります。

労災隠しが違法であることを知り、ブラック企業による労災隠しに対抗するため、まずは労災隠しの基礎知識を理解していただく必要があります。労災にあってしまった労働者は、適切な救済を受けることができることを理解しましょう。

そこで今回は、労災隠しが犯罪であることについて、また、どのような刑事罰の対象となるのかについて、労働問題に強い弁護士が解説します。

1. 労災隠しとは?

そもそも、労災隠しには、どのような方法があるのでしょうか。労災隠しは、なぜ起こってしまうのでしょうか。

労災隠しとは、業務災害が起こったにもかかわらず、会社が適切な届出を行わないことによって、業務災害が起こったことを隠すことをいいます。

まずは、基本的な用語である「労災」、「業務災害」、「労働者死傷病報告」について理解してください。

1.1. 労災とは?

労災とは、労働者が、業務に起因して、ケガをしてしまったり、病気になってしまったりすることをいいます。業務に起因して傷病を負うことを「業務災害」といいます。

業務に起因しているかどうかは、必ずしも業務中であるとか、会社の敷地内で起こっているという場合であるといった場合に限りません。

労災であるかどうか、業務災害であるかどうかは、労働者が負った傷病が、業務に内在している危険が現実化したものであるかどうかによって、労災の認定をする労基署が判断をします。

1.2. 死傷病報告とは?

労働者が労災(業務災害)にあってしまった場合には、会社は、その業務災害の状況、被害の内容などについて、所轄の労働基準監督署長に届出をしなければならないことが、労働安全衛生法と規則によって決まっています。

この事業主が行わなければならない義務のある報告が、「労働者死傷病報告」です。

この「労働者死傷病報告」を正しく行うことは、労災状況を、労働法を会社が守っているかどうかを監督する労働基準監督署に届け出て、安全な職場であるかどうかを監督してもらうために重要なものです。

1.3. 労災隠しとは?

ここまでお読みいただければ、労災・業務災害が起こったときには、会社は死傷病報告によって労基署にその事実、内容を報告しなければならず、死傷病報告を正しく行わなければ、労基署に対して労災を隠していることになる、と理解いただけるでしょう。

つまり、労災と評価できる業務災害が起こっているにもかかわらず、死傷病報告を提出しなかったり、死傷病報告に虚偽の内容を記載して出したりすることで、労災についての会社の責任を隠すことが、「労災隠し」なのです。

2. 労災隠しに対する刑事罰は?

以上のとおり、労災隠しとは、労災が起こっているのに労基署に正しく報告しないことにより、労基署の監督を免れようとする、正しくない行いであることはご理解いただけたことでしょう。

労災隠しは、労働安全衛生法の「労働者死傷病報告」を出さなければならない義務違反であり、これにより労働安全衛生法にしたがって「50万円以下の罰金」という処分にあたります。

この「50万円以下の罰金」という労災隠しに対する処分は、「刑事罰」です。

つまり、単にお金を支払えばよい、というものではなく、理論上は、逃げれば逮捕されることもありますし、刑事罰が科されれば前科になる、ということです。

なお、労災は業務災害と通勤災害とがありますが、「通勤災害」(通勤途中の災害)については「死傷病報告」の届け出義務がないため、「労災隠し」はありません。

3. 労災隠しにあたるケースの例

労災隠しが行われると、労働者にとって、大きな不利益があります。というのも、労災保険からの給付を正しく受けられなくなってしまうからです。

そして、労災死亡事故が起こった場合には、その不利益は、労働者の遺族にも降りかかります。労働者の遺族としては、家族が亡くなってしまったのに、会社の都合で、労災保険からの遺族給付などが受けられなくなってしまいます。

そこで、労災隠しの被害にあわないよう、また、労災隠しにあってしまったときに「労災隠しでは?」と気づけるよう、労災隠しにあたるケースの例、労災隠しの手口について、弁護士がまとめます。

【労災隠し①】死傷病報告を届け出ない

労災隠しの最もよくある事例が、労災死亡事故が起こったにもかかわらず、そのことを隠蔽するために、死傷病報告を労基署に提出しない、という場合です。

死傷病報告を届出しなければ、労働基準監督署としては、労災事故があったことを把握することができず、職場の安全性、健全性について、重点的に監督することもできません。

また、労災保険料負担を増加させる「メリット制」によって労災保険料を多く負担させたり、重大な事故の場合には公共工事の指名停止処分にしたりなど、制裁(ペナルティ)を課すこともできなくなってしまいます。

【労災隠し②】死傷病報告に嘘の事実を書く

労災隠しの次の事例が、死傷病報告に、労災の事故状況について嘘の事実を記載して報告する、という例です。

会社としても、真実を記載することによって会社の杜撰な安全管理が明らかになると、労基署から行政指導を受けたり、公共工事の入札資格停止をされたりなど、制裁(ペナルティ)を受けることが怖いためです。

しかし、労災事故の発生状況を正しく届け出なければ、労基署に正しい監督をしてもらい、十分な労災事故の再発防止策を指導してもらうこともできませんから、違法な「労災隠し」であることが明らかです。

労働者(および遺族)としては、労災保険の補償を受けること自体はできますが、再発が防止されない危険な職場で働き続けることとなり、不利益であることは明らかです。

4. 労災隠しによる労働者側のデメリット

労災隠しの被害に実際にあってしまったとき、すなわち、労災事故、業務災害にあったにもかかわらず、会社が正しく死傷病報告をしてくれないときには、労働者にとっては次のようなデメリットがあります。

労災隠しによる労働者側のデメリットが非常に大きいことをご理解いただき、会社にいかに恩義を感じていても、勤続年数の長い方であっても、「労災隠しは、違法であり、刑事罰の対象となる。」ということを思い出してください。

【労災隠しのデメリット①】労災保険による補償が受けられない

業務災害にあってしまった労働者が、労災保険から補償を受けられる理由は、2つあります。

本来であれば、会社が労働者に対して、安全配慮義務違反による損害を賠償すべきではあるものの、会社による救済では、労働者の保護が不十分な点がありうるからです。

  • 会社の経済状態にかかわらず、労災保険からの補償を受けることができる。
  • 会社が責任を否定しても、業務に起因していれば補償を受けることができる。

また、補償の内容についても、健康保険によりも手厚い給付を受けることができます。

したがって、会社に労災隠しをされてしまうと、労働者側としては、本来であれば受けられるはずだった労災保険による給付を受けることができなくなってしまうのです。

【労災隠しのデメリット②】再発防止策がとられない

さきほど解説した労災隠しの手口のうち、特に2つ目の、死傷病報告自体はするものの、労災事故の発生状況について虚偽の報告をするという労災隠しが行われた場合、再発防止策が十分にとられないことが多いです。

というのも、労災隠しのうち、虚偽報告が行われるケースとは、実際に起こった業務災害を、できるだけ軽く、できるだけ会社の責任とはならないよう書き換える、ということになります。

そうすると、会社としては労災、業務災害ではあるとしても、さほど重大な事故が起こったのではない、と主張することになりますから、甘い考えで、ことさらに再発防止策をとらないおそれがあります。

今後もその会社に働き続ける労働者であれば、労災が起こったにもかかわらず再発防止策がとられていない危険な職場で、働き続けなければならなくなるという大きなデメリットがあります。

5. 労災隠しが起こってしまう理由は?

では、労働者側、労働者の遺族にとってみれば、十分な補償を受けることができなくなってしまうという不利益、デメリットしかない労災隠しですが、なぜ労災隠しが起こってしまうでしょうか。

労災隠しが起こってしまう理由は、次のように労災事故を隠しておいた方が、短期的に見れば、会社にメリットがあるように思えてしまうからです。

ただし、労災隠しは、違法な犯罪であり、刑事罰の対象となる行為であることは、既に説明した通りです。労災隠しは、会社にとっても、メリットのない行為であり、「ブラック企業」として信用を貶めることでしょう。

【労災隠しの理由①】労災保険のメリット制

労災保険の保険料は、起きた労災事故が多いほど、保険料負担が増加する、いわゆる「メリット制」が採用されています。

そのため、会社で業務災害、労災事故が起こってしまうと、労災保険料が高額化してしまうこととなります。これが、労災隠しの起こる理由の1つ目です。

つまり、労災保険のメリット制において、高額の保険料を求められないようにするために、会社は労災隠しを行うわけです。

【労災隠しの理由②】公共工事についての処分

特に労災事故が起こりやすい業種に、「建設業」が挙げられます。

建設業を営む建設会社の中には、国・地方公共団体から公共工事を受注している会社もありますが、労災事故が起こったことによって、発注者である国・地方公共団体から、入札資格停止処分などの制裁(ペナルティ)が科せられるおそれがあります。

そして、公共工事による売り上げの比率が高い会社ほど、このことは非常に深刻です。この点が、労災隠しの起こってしまう理由の2つ目です。

【労災隠しの理由③】元請からの受注回避

労災事故があった会社に、仕事を依頼したくないと考えるのは、国・地方公共団体などの公共工事の発注者だけではありません。

私企業であっても、できるだけ労災事故、業務災害を起こさない、安全な会社に依頼したいと思うのが当然であり、建設業の重層的な下請関係の中、労災事故が発覚してしまうと、元請から受注を回避されてしまうおそれがあります。

対外的な会社の評判、信用、企業イメージを損なわないようにしたい、というのが、労災隠しの起こってしまう理由の3つ目です。

特に、重層的な下請関係が一般的な建設業においては、労働者が元請会社、下請会社のいずれに雇用されているかがあいまいなこともあり、労災事故の責任を押し付け合った結果、労災が明らかにならず労災隠しをされてしまう、というケースもあります。

【労災隠しの理由④】社長・上司の責任回避

労災隠しが起こってしまう理由の最後は、対内的に、会社内でも「隠蔽したい」という動機がはたらいてしまうことです。

つまり、会社で働く上司は、労災事故、業務災害が起こってしまうと、「監督不行き届きである。」ということで、更に上司や社長から、責任追及を受けたり、注意指導されたり、評価が下がったりしてしまう可能性があるからです。

会社全体として労災隠しを行おうという意図がなかったとしても、監督者が上司に報告しなかったことによって起こってしまう労災隠しもあるということです。

6. 労災隠しの被害にあったときの対応

最後に、残念ながら、労災隠しの被害にあってしまったときの対応について、弁護士が解説します。

ここまでの解説でご理解いただけましたとおり、労災隠しは、会社の一方的な都合によって行われるものであって、労災隠しの被害にあってしまった労働者にとっては、デメリットばかりです。

労災隠しは、被害者の訴えによって明らかになることも多いので、労災保険による適切な補償を受けられていないのではないか、再発防止措置が図られていないのではないか、と不安を感じた場合には、行動を起こすようにしてください。

【労災隠しの対応①】労基署に相談する

労災隠しが行われてしまうと、業務災害にあってしまった労働者の方はもちろん、万が一にも死亡事故となってしまった場合には、労働者の遺族の方にも、大きな不利益となります。

そのため、労基署(労働基準監督署)でも、労災隠しに対しては厳しい対応をしており、違法であり、刑事罰の対象となる犯罪行為であることを前提として、多くの総研事例があります。

つまり、労災隠しの問題については、所轄の労基署に相談することによって、会社が不誠実な対応をすれば積極的に事件化し、捜査、送検してもらうことが期待できます。

【労災隠しの対応②】弁護士に相談する

労災隠しの問題について、労基署に相談して送検してもらい、刑事罰を科することに成功したとしても、金銭的な補償を受けられるわけでは、必ずしもありません。

労災保険で補償されるのは、あくまでも、会社が労災事故について労働者に対して負っている責任の一部であって、不足する分については、安全配慮義務違反を理由として、慰謝料など損害賠償請求をする必要があります。

そのため、労災隠しによって労働者、遺族の方が被った不利益を解消し、適切な補償を受けるために、労働問題に強い弁護士にご相談ください。

【労災隠しの対応③】労働審判・訴訟による責任追及

労災隠しを行うような会社は、「ブラック企業」といっても差し支えないでしょう。

労災隠しを行うブラック企業であると、業務災害を起こしてしまったことについて、会社に安全配慮義務違反・職場環境配慮義務違反などの責任があり、慰謝料などを支払わなければならないとしても、話し合いで円満にまとまることは、むしろ少ないかもしれません。

労災隠しの責任を会社に追及するために、労働審判、訴訟などの法的手続きによって、適切な補償が受けられるようにする必要があります。

7. まとめ

今回は、労災隠しについて、労働者側のデメリット、会社側が労災隠しを行ってしまう理由、労災隠しにあってしまったときの対策・対応など、労災隠しの知識について、弁護士が解説しました。

労災隠しは、労働者やその遺族に対して大きな不利益がありますが、会社としては労災を隠したほうが短期的にはメリットがある、と思ってしまうこともあり、なかなかなくなりません。

労災隠しの被害にあった方の申出によって労災隠しが明らかになり、責任追及が可能となるケースも少なくありませんので、労働問題に強い弁護士に、お早めに法律相談ください。

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