時短勤務は、育児介護休業法の定める、所定労働時間を短縮する制度です。特に育児を理由とするものは、所定労働時間を原則6時間に短縮します。家庭と仕事の両立に必須な時短勤務は、全事業者に法律で義務付けられています。
有能な人を定着させられるメリットもあり、労使双方にとって有益な時短勤務。ですが実際は、せっかく時短で契約してもなお、残業させられるケースがあります。原則6時間の時短勤務も、残業があると8時間のフルタイムと同じ働き方になりかねません。
時短勤務なのだから、残業は断れる?
時短勤務で残業してよい?残業代は?
時短勤務では短時間の労働を約束しており「できれば残業したくない」と考える方も多いもの。そのため、残業が直ちに違法なわけではないが、強制されたなら違法の可能性が高いです。つまり、時短勤務だと、労働者の判断で残業しない選択もできるです。
また、時短勤務も「労働者」には変わりなく、残業代のルールが適用されます。時間外労働、休日労働、深夜労働があれば時短勤務でも残業代がもらえます。このとき、時短勤務の特殊性を加味した、残業代の計算方法を知る必要があります。
今回は、時短勤務と残業の関係について、労働問題に強い弁護士が解説します。
時短勤務の残業に関する法律問題
時短勤務なのに残業があると、育児や介護に支障が出ます。保育園の送迎など、家庭の理由で早上がりを期待したのに、裏切られてしまいます。時短勤務の趣旨からして、対象者は家庭の事情を抱えていることがあり、そもそも所定労働時間を短縮したいわけですから、長時間の残業など想定してはいないのが基本です。
しかし、育児介護休業法の義務付ける時短勤務でも、残業が全く許されないわけではありません。つまり、時短勤務でも、残業は禁止ではなく、違法でもありません。このことから、時短勤務と残業の間には、今回解説するような複雑な法律問題が生じます。
そもそも時短勤務とは(育児介護休業法)
時短勤務とは、働きながら育児、介護をする労働者のために、所定労働時間の短縮を定める法制度であり、育児介護休業法において、全事業者にその整備が義務付けられます。仕事と子育て、介護の両立を支援することは、社員に得なだけでなく、有能なのに家庭の事情で働きづらい社員を助け、定着率を向上させる点で、会社にもメリットがあります。
同制度はワークライフバランスの議論の一環として、2009年より義務化されました。そのため会社は、以下の要件を満たす対象者について、所定労働時間を短縮する措置を講じなければなりません(育児介護休業法23条1項、3項)。
義務付けられる措置と、時短勤務の要件は、次の通りです。
育児を理由とする時短勤務
労働者の申出により、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置(同法施行規則第74条第1項)。
(時短勤務の要件)
- 3歳に満たない子を養育している
- 時短勤務の期間中に育児休業をしていない
- 日々雇い入れられる者でない
- 1日の所定労働時間が6時間を超えている
- 以下のいずれかに該当する労働者について時短勤務の適用除外とする労使協定が締結されていない
(雇用期間が1年未満の労働者、1週間の所定労働日数が2日以下である労働者、業務の性質や業務の実施体制に照らして、所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難な業務に従事している労働者)
介護を理由とする時短勤務
次のいずれかの方法により講じられる措置(規則第74条第3項)。
なお、対象家族1人につき、利用開始日から連続する3年以上の期間で2回以上利用できる。
- 1日の所定労働時間を短縮する措置
- 週または月の所定労働時間を短縮する措置
- 週または月の所定労働日数を短縮する措置
- 労働者が個々に勤務しない日または時間を請求することを認める措置
(時短勤務の要件)
- 要介護状態にある対象家族を介護している
(対象家族:内縁を含む配偶者、父母、子、および配偶者の父母) - 時短勤務の期間中に介護休業をしていない
- 日々雇い入れられる者でない
- 以下のいずれかに該当する労働者について時短勤務を適用除外とする労使協定を締結していない
(雇用された期間が1年未満の労働者、1週間の所定労働日が2日以下の労働者)
法律上の義務ではない時短勤務
なお、法律に義務化された時短勤務のほか、会社独自の制度として所定労働時間を短縮する制度を設ける企業もあります(その場合の要件や措置は、その企業の就業規則などの定めに従います)。
時短勤務と残業・残業代の関係
時短勤務とは、働きながら育児、介護をする労働者のために、所定労働時間の短縮を定める法制度であり、育児介護休業法において、全事業者にその整備が義務付けられます。
- 時短勤務なのに残業させるのは違法?
→ 時短勤務だからといって残業が即違法ではないが、法定労働時間または36協定の上限を超える残業、免除を請求した時短勤務者の残業、残業代を払わないサービス残業は違法。 - 時短勤務だとどこからが残業時間になる?
→ 短縮後の所定労働時間を超えるすべての時間が、残業時間となる。 - 時短勤務で残業したときの残業代の計算方法
→ 通常のフルタイム正社員の計算方法と、計算式は同じ。ただし、所定時間外残業(法定時間内残業)と法定時間外残業を別々に算出する必要がある。 - 時短勤務者が残業を避けたいときの対処法
→ 残業免除の請求をすることで残業は不要となる。また、違法なサービス残業が横行する場合、きちんと残業代を請求すること。一人で戦うのが難しく、不当な扱いを受けたなら弁護士に相談する。
次章以降で、それぞれ詳しく解説します。
時短勤務なのに残業させるのは違法?
結論として、時短勤務で残業させるのも違法ではありません。
時短勤務はあくまで所定労働時間を短くする効果があるだけで、その前後の残業についてまで規制してはいないからです。とはいえ、育児や介護との両立を目的とした時短勤務者の残業は多くなりすぎない方がよいのは当然で、なかには「超勤は不当だ」と感じる人もいるでしょう。そのため、時短勤務者の残業には、法律による制限があります。
そこで次に、時短勤務の残業がどんな場合に違法なのかを解説します。
なお、違法な残業命令ならば、断ることができます。
「違法な残業の断り方」の解説
法定労働時間または36協定の上限を超える残業は違法
時短でなくても違法な残業は、当然ながら時短勤務者にとっても違法です。
法律上、原則として「1日8時間、1週40時間」の法定労働時間を超えた残業は違法で(労働基準法第32条)、36協定を締結した場合に限り例外的に、その限度時間の範囲内で適法となるに過ぎません。したがって、時短勤務であってもなくても、次の残業は違法です。
- 36協定を結ばずに、法定労働時間を超える残業をさせるのは違法
- 締結した36協定に違反する残業は違法
- 36協定の上限(限度時間)を超える定めをした36協定は違法
時短勤務者でも、36協定の上限規制は当然に適用されるので、会社が36協定に定められる残業時間は、原則として「月45時間、年360時間」が上限です。
免除を請求した時短勤務者に残業させるのは違法
育児介護休業法は、労働者の請求によって、残業を免除する制度を設けています。要件を満たす社員が免除の請求をしたのに、残業を強制するのは違法です。具体的には、次の3つの残業免除の請求が認められます。
- 所定外労働の制限(育児介護休業法16条の8)
所定労働時間を超える労働をさせないよう請求できる
(要件)
・3歳に満たない子を養育する労働者
・要介護状態にある対象家族を介護している労働者
(労使協定によって除外される労働者)
・雇用期間が1年未満の労働者
・週の所定労働日数が2日以下の労働者
・日々雇い入れられる者
・配偶者が専業主婦(主夫)や育児休業中である労働者 - 時間外労働の制限(同法17条)
月24時間、年150時間を超えて労働時間を延長させないよう請求できる
(要件)
・小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
・要介護状態にある対象家族を介護している労働者
(労使協定によって除外される労働者)
・雇用期間が1年未満の労働者
・週の所定労働日数が2日以下の労働者
・日々雇い入れられる者
・配偶者が専業主婦(主夫)や育児休業中である労働者 - 深夜業の制限(同法19条)
深夜労働(午後10時から午前5時までの労働)をさせないよう請求できる
(要件)
・小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
・要介護状態にある対象家族を介護している労働者
(労使協定によって除外される労働者)
・雇用期間が1年未満の労働者
・週の所定労働日数が2日以下の労働者
・日々雇い入れられる者
・所定労働時間の全部が深夜にある労働者
・深夜に保育または介護のできるなどの条件を満たす16歳以上の同居家族のいる労働者
※ なお、各請求は「事業の正常な運営を妨げる場合」は認められない。
以上の残業免除の要件は、時短勤務の要件を満たす労働者ならば該当するようになっています。なお、残業免除の請求は、要件を満たす限り、時短勤務者でなくても請求できます。
「残業代請求に強い弁護士への無料相談」の解説
残業代を払わないサービス残業は違法
時短勤務であっても、残業したなら残業代が生じます。そのため、残業代を払わないサービス残業が違法なのは通常の社員と変わりません。「時短勤務だと残業代を請求できない」という理解は誤りなのでご注意ください。
ただし、時短勤務だと特に、残業代を払おうとしない会社側が次の主張をしてきます。よく理解し、徹底的に反論するのが大切です。
- 黙示の残業命令
終業後の残業が黙認されている場合、明示的な命令がなくても残業代が生じる。時短で終業が早いと、残業しても他の人の定時と同じころの帰社となり、残業していたことが黙って見逃されがちなので注意を要する。 - 持ち帰り残業
時短勤務でも育児と両立するために、仕事を持ち帰って家事の合間に終わらせた場合、残業代が生じる。
これらの問題はむしろ、時短勤務であるがゆえに「他の社員に迷惑をかけた」と後ろめたさをおぼえ、時短勤務者の方であきらめてしまうケースもあります。
「サービス残業の違法性」「サービス残業の黙認」の解説
時短勤務だとどこからが残業時間になる?
時短勤務だと、どこからが残業になるのでしょうか。まず前提として、「残業」は次の2種類があり、区別が必要です。
- 法定時間外残業
「1日8時間、1週40時間」の法定労働時間を超える労働
→ 通常の賃金を25%割増した残業代を払う必要あり。 - 所定時間外残業(法定時間内残業)
労使の契約によって定めた所定労働時間を超える労働
→ 通常の賃金と同額を払うのでよい(割増賃金の支払い義務は法律上はない)。ただし、労働契約で、通常の賃金以上の金額を払う約束をしたならそれに従う(例:所定時間外残業にも25%割増した残業代を払うと定める企業もある)。
所定労働時間は、法定労働時間を超えることはできません。例えば、1日に7時間30分の労働としたとき、7時間30分を超えて8時間までの労働が「所定時間外残業(法定時間外残業)」、8時間を超える労働が「法定時間外残業」です。
この他に、休日労働、深夜労働にも残業代が払われます。
時短勤務の残業時間は、短縮後の所定労働時間(1日6時間)を超える分です。なお、短縮前(フルタイム勤務時)の所定労働時間(1日7時間30分、1日8時間など)は、時短勤務の開始後に残業時間を算出する上では無関係であり、あくまで短縮後の所定労働時間を超えた時間はすべて残業時間になります。
そして、時短勤務の残業時間は、所定労働時間が6時間に短縮されたなら、所定時間外残業(法定時間内残業/1日6時間を超えて8時間までの労働)と法定時間外残業(1日8時間を超える労働)が混在し、そのことが時短勤務の残業代の計算を複雑にしています。
「労働時間の定義」の解説
時短勤務の残業代の計算方法
時短勤務でも、必ずしも残業は違法ではありません。そのため、残業を命じられる場合もあるし、業務の都合で自ら残業する人もいます。ただ、残業代なしのサービス残業が違法なのは、時短勤務でも変わらないので、残業した分の対価は、必ず受け取るべきです。
このとき、時短勤務でも、残業代の計算式そのものはフルタイム勤務の人と同じです。
- 残業代 = 基礎単価(基礎賃金/月平均所定労働時間) × 割増率 × 残業時間
時短勤務の残業代でも、基礎賃金、月平均所定労働時間数、割増率、残業時間の考え方は通常と同じです。
(※ 詳しい解説は下記リンク先参照)
ただし、時短勤務の残業代の算出では、所定労働時間を原則6時間に短縮するため、6時間を超えて8時間まで労働をしたときの「所定時間外残業(法定時間内残業)」と、8時間を超える労働「法定時間外残業」が混在し、それぞれ計算方法が違うため、分けて計算する必要があります(これに対し、1日8時間労働の正社員には「所定時間外残業(法定時間内残業)」は生じず、「法定時間外残業」のみとなります)。
時短勤務の残業代について、具体例で解説します。
基本給が月25万円、育児を理由とした時短勤務で1日6時間労働の社員。
月平均所定労働時間は130.257…(=(365日/7日×30時間÷12ヶ月))となり、残業代の基礎賃金25万円をこれで割った結果、1時間あたりの残業代の基礎単価は1919円となります。
所定時間外労働(法定時間内残業)が10時間、法定時間外残業が5時間のケースだと、残業代計算の具体例は、次の通りです。
- 所定時間外労働(法定時間内残業)
1919円 × 10時間 = 1万9190円 - 法定時間外労働
1919円 × 1.25 × 6時間= 1万4393円 - 残業代の合計
3万3583円(= 1万9190円 + 1万4393円)
なお、時短勤務に変更した際、今後の残業が予定されないことから固定残業代やみなし残業などの費目がカットされることがあり、その場合、いざどうしても生じてしまった残業代が未払いである可能性は非常に高いといえます。
「残業代の計算方法」の解説
時短勤務者が残業を避けたいときの対処法
時短勤務なのに残業が多いと、「残業を回避したい」という不満を感じるでしょう。最後に、時短勤務者が残業を避けたいときの対処法を解説します。
残業免除を請求する
前章で、残業免除を請求した場合は、時短勤務者の残業は違法だと解説しました。つまり、残業をしたくない時短勤務者は、残業免除を請求するのが最適です。
この請求は、育児介護休業法の要件を満たす場合に、同法に定めた方法で行います。請求すれば残業禁止の効果が生じ、会社の承認は不要です。
請求は、1ヶ月以上1年以内の期間を定め、開始と終了の予定日を明らかにし、開始予定日の1ヶ月前までにする必要があります(同法第16条の8第2項、第16条の9第1項)。回数制限はなく、何度でも利用できます。
「残業を免除してほしい」という請求は勇気がいりますが、過度に不安がる必要はありません。
免除の請求をすると会社の評価が低下しないか心配
業務が多忙なので、他の社員に迷惑をかけてしまう
このような心配を、相談時にお聞きすることがあります。まず、免除を請求したことを理由にした、解雇や降格、減給といった不利益な取扱いは、法律で厳しく禁止されます(育児介護休業法16条の10)。そして、育児介護休業法の違反には、厚生労働大臣による助言、指導、勧告のほか、上記に違反する不利益な扱いがあると、企業名公表の対象にもなります(同法56条、56条の2)。
育児介護休業法は、残業免除の実効性を確保すべく、違反には厳しい制裁を設けているのです。
残業代を請求する
時短勤務なら、残業免除を申請できるとはいえ、デメリットもあります。社内の人間関係を崩し、配慮が不足すれば、働きづらくなる危険もあるからです。
残業せざるを得ないなら、せめて残業代は請求しましょう。
時短勤務者に残業をさせる会社には、残業代を払わず「安く働かせよう」という不当な動機をもつ会社もありますが、この場合には、残業代を請求すれば、残業命令が止む可能性があります。
残業代の時効は3年ですから、速やかな請求が求められます。この期間内であれば、時短勤務する前に発生したものも、一緒に請求できます。まず内容証明で残業代の請求書を送って交渉し、決裂したら労働審判による残業代請求、そして、訴訟など裁判手続きに移行します。
勤務の融通を利かせてもらっていても、未払いの残業代をあきらめる理由にはなりません。なお、時短勤務であっても、残業代の請求を認めさせるのに残業の証拠は欠かせません。
「残業代の請求書の書き方」の解説
会社に配慮を求める
労働者の育児、介護に配慮をするのは、会社の負う安全配慮義務の一環だといえます。たとえ時短勤務の残業が違法でなく、残業免除請求の要件に厳密にいえばあてはまっていなかったとしても、家庭の事情と仕事の両立が、労働者の心身の健康を害しないよう、会社はよく配慮しなければなりません。
したがって、法律の要件はともかくとして、辛いならば配慮してもらえるよう使用者に強く求めるべきです。また、社内の制度や、契約内容となる就業規則、育児介護規程は、労働者に周知すべきものです。社内の取り扱いがわからないとき、遠慮なく聞き、必要な資料を開示するよう求めましょう。
弁護士に相談する
一方で時短勤務でも残業は違法でなく、他方で残業の免除申請など、労働時間の長さに配慮をするよう会社に要求する方法も与えられており、時短勤務者の立場でどのように振る舞うのがよいか、判断に迷うことがあります。
時短勤務でありながら残業命令に対抗したり、残業を免除するよう申請したり、更には未払いの残業代を請求したりといった対策は、労働者一人では難しいことも多いです。そんなときは、専門知識を有する弁護士に相談するのが有益です。
残業の免除申請は、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当しないようにするなど、法的な考慮を要します。労使の意見が対立すると、更に大きなトラブルに繋がりかねません。
「労働問題に強い弁護士の選び方」の解説
時短勤務と残業の問題はマタハラにつながる危険がある
時短勤務者に残業させるのは、必ずしも違法ではないものの、法定労働時間または36協定の上限(限度時間)を超える場合や、免除申請をしたのに残業を強要するのは違法になります。そして、違法な残業命令は拒否することができます。
会社は、免除の申請を受けたならば応じる義務があります。時短勤務者は自分で残業をコントロールできるので「残業が多すぎる」と感じるなら、違法な扱いを受けている可能性が濃厚です。
断ってもなお残業を命じてきたり、残業せざるを得ないほど多くの業務を押し付けてきたりする問題のある会社だと、関連する他の労働問題も、同時に生じている可能性が高いもの。
その典型例が、マタハラに関するトラブルです。
時短勤務なのに違法な残業を命じられるということは、その会社は社員の家庭生活への配慮に欠けるということを意味します。プライベートの侵害は、パワハラの一種で、許されることではありません。
そして、それが妊娠や出産、育児といったセンシティブな問題への嫌悪を理由としている場合、悪質なマタハラ(マタニティハラスメント)につながる危険な状態です。
(参考:マタハラの慰謝料の相場)
また、時短勤務は、法律に義務付けられたもので、労働者の正当な権利です。時短勤務者を差別したり、時短であることを理由に不利益な取り扱いをしたりするのもまた違法であり、許されないハラスメントだといえます。
「パワハラの相談窓口」の解説
まとめ
今回は、時短勤務と残業の関係について、法的な知識を解説しました。
短い時間の労働に限定しようと時短勤務にしても、残業が多いと目的は果たせません。時短勤務で働く人は、育児や介護など家庭の事情を抱える方です。会社としても、できるだけ時短勤務の趣旨に沿うよう、配慮せねばなりません。通常の社員に安全配慮義務を負うのは当然、時短ならなおさらライフイベントを考慮すべきです。
ただし、時短勤務であっても、残業が禁止なわけではありません。そのため、時短勤務で残業させられたからとて、直ちに違法とはなりません。時短なのに残業を命じられ、応じられないなら速やかに断ってください。時短で働く方には残業を断ることが認められ、免除を求めても残業を強制されるなら違法です(免除の請求は、育児介護休業法の定める方法とルールで進めます)。
なお、時短勤務でもサービス残業は違法であり、残業したいならばすることもできます。そして、残業した場合は、働いた分の残業手当はもらえます。
【残業代とは】
【労働時間とは】
【残業の証拠】
【残業代の相談窓口】
【残業代請求の方法】