労働問題弁護士ガイドとは?

風俗・キャバクラを辞めさせてくれない時、辞め方について弁護士が解説

キャバクラやガールズバーなど水商売、デリヘル、ピンサロ、ソープなど風俗店で働く方へ。
こんな職場にも、労働問題は日常的に起こります。

風俗嬢やキャバクラ嬢でも、労働基準法をはじめとした労働法に保護されます。
労働法の世界では、風俗・キャバクラだからといって特別ではありません。
当然ながら、残業代解雇ハラスメントといった労働問題の起こる危険があるのです。

一方で、風俗やキャバクラでは、労働基準法にうとい経営者も珍しくありません。
最後の手段は、「バックレ」でしょうが、悪質な店だと、なかなか辞めさせてくれないという問題も。
辞めさせてくれない理由に、脅しや暴力、罰金やバンスなど、さまざまな理由のプレッシャーがあります。
こんなとき、辞められない理由ごとに対処が必要です。

今回は、「風俗・キャバクラを辞めさせてくれない」問題と正しい辞め方を、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 風俗・キャバクラでも労働基準法が適用され、「辞めさせてくれない」のは違法
  • 風俗・キャバクラを辞めさせてくれない理由ごとに、正しい法律知識を知る
  • 風俗・キャバクラの退職時に労働問題を清算しないと、退職後に不利益を被る

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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風俗・キャバクラでも労働基準法が適用される

キャバクラ、デリヘル、ソープなど、夜の仕事でも、労働問題が数多く起こります。
労働問題において、労働者を保護する法律は、労働基準法が有名。

風俗やキャバクラで労働者の権利を主張すると、「労働基準法は適用されない」と反論されることがあります。
しかし、風俗やキャバクラでも「労働契約」を結んでいる労働者なら、労働基準法の保護が受けられます。

労働者にあたるケース

風俗・キャバクラでも、労働契約を結んでいるなら、労働法の保護が受けられます。
このとき、長時間労働すれば、残業代がもらえるなど、法律上の手厚い保護があります。

労働基準法をはじめとした労働法により、労働者なら次の保障があります。

  • 決められた時間を超えて働くと、残業代を請求できる
  • 正当な理由なく解雇されない(不当解雇となる)
  • 有給休暇を取得できる
  • 長時間労働が違法となる

風俗・キャバクラでも、正社員として労働契約を締結する人は多くいます。
また、臨時で少し働いているだけでも、アルバイトとして労働契約が結ばれています。

これらは、いずれも労働契約であることに変わりなく、労働基準法にいう「労働者」にあたります。

雇用契約書がなくても、労働法の保護は受けられます。
詳しくは、次に解説しています。

労働者にあたらないケース

風俗・キャバクラで働く人のなかには、労働契約ではない人もいます。

その法的性質は「請負契約」であり、いわゆるフリーランスの個人事業主という扱い。
例えば、「店は箱を提供しているだけ、あとは自由恋愛」というような建前があるケースです。

請負契約だと、労働基準法は適用されず、労働法の保護は受けられません。
そのため、残業代は請求できず、不当解雇のルールも適用されません。

しかし、たとえ労働契約でなくても、労働問題は起こります。
請負契約だとしても、「風俗・キャバクラを辞めさせてくれない」というのは問題です。
むしろ、請負契約のフリーランスなら、対等な立場であり、いつでも自由に辞められるのが原則。

また、請負契約だとしても、職場環境が劣悪であれば安全配慮義務違反を理由に慰謝料を請求できますし、ハラスメントの問題も同じように起きます。

なお、風俗・キャバクラで働く人が、雇用か請負かは、実質で判断されます。
形式上は請負でも、指揮命令されているなら労働者と評価される可能性あり。

  • 自由出勤
  • 時間的な裁量がある
  • 店は場所を提供するだけで、自由恋愛

など、風俗・キャバクラではフリーランスに近い部分も多いもの。
それでもなお、労働者としての保護を受けるべきケースでは、雇用と評価されます。

個人事業主の解雇について、次の解説をご覧ください。

風俗・キャバクラを辞めさせてくれない時の対応

次に、風俗・キャバクラでよく起こる労働問題、「辞めさせてくれない」問題の対処法を解説します。
以下では、辞められない理由ごとに説明していきます。

労働者なら「退職の自由」があります。
風俗・キャバクラでも当然に、自由に辞められます。
また、労働者でなく、請負契約で働く個人事業主でも、辞めるのは自由なはず。

辞めさせないプレッシャーはいずれも労働法違反で、違法行為。
悪質なときには、法的手段を講じることができるのは当然です。

しかし、風俗・キャバクラという夜の世界特有のプレッシャーをかけられることがあります。
そのため「辞めさせてくれない」問題の対処法は、サラリーマンとは違った対応が必要。

ときに、店側が荒っぽい手段に出ることもあり、適切な対処をしなければ危険も多いものです。

脅迫・強要で辞めさせてくれない時の対応

風俗・キャバクラでは、「辞めたい」と伝えると脅されるケースがあります。
脅迫、強要で辞めさせないのは違法なのは当然。
しかし、夜の世界では、恐怖を感じて脅しに屈してしまうケースが多いです。

風俗・キャバクラを辞めさせないための脅迫に、次のプレッシャーがよく使われます。

  • 風俗・キャバクラで働いていたことを学校にバラす
  • 風俗・キャバクラで働いていたことを親にバラす
  • 店を辞めても、ホームページや広告の顔写真を消さない
  • バックに反社がいるとにおわせる
  • 辞めようとすると、怖い人が出てくる

家族や職場に内緒で風俗をしている人、隠れて借金を返すために風俗でバイトしている人などにとって、こんなプレッシャーはとても恐ろしく、脅しに屈してしまいがちです。

なお、キャバクラでの副業がバレたときの対処法は、次に解説します。

しかし、脅迫や強要して、強制的に働かせるのは労働基準法で禁止された違法行為です。
労働基準法5条は、次のとおり強制労働を禁止しています。

労働基準法5条(強制労働の禁止)

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

労働基準法(e-Gov法令検索)

強制労働の禁止に違反すると、「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」の刑罰が下されます(労働基準法117条)。

前科となる違法性の強い行為ですから、脅されたことの証拠を集めておきましょう。
脅迫され、強制的に働かされた証拠を示せれば、労働基準監督署に告発し、動いてもらえます。
風俗・キャバクラにおける脅迫、強要の多くは、LINEや電話で行われるため、スマホのスクリーンショットや、会話の録音などが重要な証拠になります。

証拠集めには、パワハラを録音する方法が参考になります。

罰金で辞めさせてくれない時の対応

キャバクラ、デリヘル、ソープなど、夜の仕事の多くは、罰金が定められています。
当欠や遅刻、風紀、ノルマ未達など、さまざまな理由で、罰金を払わされることがあります。
円満に働くため、ルールに従って我慢している方も多いでしょう。

しかし、店を辞める覚悟ができたなら、罰金を理由に辞めさせてくれなくても、負けてはいけません。
風俗・キャバクラ当然のように払わされる罰金ですが、法律上は違法だからです。
労働基準法16条は、労働者にあらかじめ罰金を定めておくことを禁止しています。

労働基準法16条(賠償予定の禁止)

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法(e-Gov法令検索)

賠償予定の禁止に違反すると、「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の刑罰が下されます(労働基準法119条)。

罰金を恐れて、風俗・キャバクラを辞めないのは、違法な脅しに屈するに等しいもの。
罰金や違約金を請求するといわれても、気にせずやめれば、店側はあなたに請求し続けられません。

また、風俗・キャバクラのなかには、罰金を給料から差し引いて払わせる店もあります。
店を辞めると、罰金が引かれて最後の給料がなくなってしまうことも。
しかし、労働基準法24条は、労働者の同意なく給料から相殺、控除するのを禁止しています。
風俗・キャバクラにありがちな「罰金が勝手に給料から引かれていた」という扱いもまた違法なのです。

退職時の罰金、違約金について労働者の責任を追及してくる店もあります。

業務上のミスで損害賠償請求されたときの対応は、次に解説しています。

バンス(借金)で辞めさせてくれない時の対応

風俗・キャバクラで働く方のなかには、店に借金があることもあります。
いわゆる「バンス」といわれる前借り金です。
入店時に、支度金を貸してもらったケースなどもあります。

社長

バンスをすべて返済しないと辞めさせない

社長

借金を返さず辞めたら、ひどいことになる

こんな脅しを受けることも。
入店時に多額のバンスがあったり、店の寮に住んでいたりすると、辞めると生活できない方もいます。

しかし、バンスがあっても風俗・キャバクラを退職することは可能です。
強制労働は禁止されており、借金を条件に退職を拒むことはできないからです。
そして、退職するときに、前借金を給料から相殺するのは、労働基準法で禁止されています。

労働基準法17条(前借金相殺の禁止)

使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

労働基準法(e-Gov法令検索)

「辞めるなら一括返済するように」など、無理な返済を強いるのも違法。
したがって、無理に返す必要はなく、退職してからゆっくりと返済すればOKです。

労働基準法に違反するこれらの脅迫には、「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」という刑罰が下されます(労働基準法119条)。

退職すると伝えたら不利益な扱いを受けるとき、次の解説をご覧ください。

風俗・キャバクラの辞め方

風俗・キャバクラを辞めさせてくれないとき、その理由が何であれ違法の可能性は高いもの。
脅しに屈せず、辞める覚悟は強く持ちましょう。

辞めたいなら、店の許可をとる必要はなく、自主的に辞めてよいです。
少しでもトラブルを減らすには、メールやLINEで、辞めることを伝えておいたほうがよいでしょう。

風俗やキャバクラ、水商売を辞めるとき、送るべきメールの文例は、例えば次のようなものです。

店長へ

お疲れ様です。

健康状態が悪化してしまい、これ以上働くことが難しくなってしまいました。
つきましては、今月XX日をもって、一身上の都合で退職いたします。

最後の給料については、指定口座に振り込んでおいてください。
短い間でしたが、お世話になりました。

各自の状況や、退職理由にあわせて修正してみてください。

法律のルールでは、2週間前に意思表示すれば退職できます。

退職届の書き方、出し方は、次の解説をご覧ください。

しかし、風俗・キャバクラのなかには、まだ荒っぽい文化が根強く残ります。
夜の世界から足を洗いたいのに、違法な脅しを受けるなら、労働基準監督署の助けを借りるのも有効。
労働基準監督署は、会社の違法を監督する、警察と同じ機能を持っているからです。

風俗・キャバクラを辞めさせてくれないなら、労働基準監督署に相談し、警告を発してもらう方法があります。

どうしても辞められなくてバックレるとき、次の解説を参考にしてください。

風俗・キャバクラを辞める時の注意点

無事に、風俗・キャバクラを辞められることになっても、退職後も、労働問題は山積み。
辞める際きちんと配慮しないと、退職後に大きなリスクとなってあらわれることもあります。

次に、風俗・キャバクラを辞めるときに注意しておきたいポイントを解説します。

最後の給料を必ずもらう

風俗・キャバクラで、バックレに近い辞め方をすると、最後の給料がもらえないケースがあります。
店からの給料を現金払いしてもらっていると、給料を取りにいけず放置している方もいます。
なかには、最後の給料を取りに来させるのを口実に脅す、悪質な店もあります。

しかし、働いた分の給料は、必ずもらわなければなりません。
法律上、退職時に請求すれば7日以内に給料を払ってもらえるという定めがあります(労働基準法23条)。
つまり、給料日を待たなくても、退職するならすぐに給料を請求できるのです。

直接取りに行くのに抵抗があるなら、口座振込にするよう連絡するか、弁護士に依頼するのがよいでしょう。
弁護士に、内容証明で未払いの給料を請求してもらうことで、スピーディに払ってもらうことができます。

退職時、未払いの給料があるときの対処法は、次の解説が参考になります。

写真や在籍情報など、個人情報を消してもらう

風俗・キャバクラでは、店にとっては女性がたくさん在籍していることがとても重要。
店を辞めたのにサイトに写真が掲載されていたり、在籍情報が消されていなかったりするケースがあります。

モザイクやぼかしが入っていたり偽名だったりしても、個人情報。
風俗・キャバクラで働いた事実は、高度なプライバシー上の秘密
にあたります。
インターネット上では、情報は拡散されやすく、スピーディに対処する必要があります。

退店したにもかかわらず写真を使いまわし続けるのは違法です。
あなたの肖像権、プライバシー権などの法的権利を侵害しているからです。
風俗・キャバクラに交渉して削除してもらえないなら、弁護士に、内容証明で警告書を送ってもらう手が有効です。

店長・オーナーからのセクハラ・肉体関係の強要

風俗・キャバクラで働くと、店長やオーナー、スタッフからセクハラを受けることがあります。
性を売りにしている商売のため、肉体関係や性交渉の強要を、より強く受けてしまいがち。

退職したも肉体関係の強要が続いたり、店の関係者がストーカーになったりする例もあります。
男女関係が原因でつけまわすのは、ストーカー行為として違法、ストーカー規制法で禁止されます。
風俗・キャバクラを退職してもこんな問題が続くとき、弁護士とともに警察に相談し、対処してもらいましょう。

風俗・キャバクラで起こるその他の労働問題

最後に、風俗・キャバクラで起こる、その他の労働問題について解説します。

風俗・キャバクラの残業代請求

風俗・キャバクラで働く労働者も、他の業種と同じく残業代を請求できます。
決められた時間を超えて働けば残業代が生じるのは、業種にかかわらず同じことだからです。

残業代は、原則として「1日8時間、1週40時間」を超えて働くと発生します。
風俗・キャバクラだと、労働時間の多くが、深夜労働(午後10時〜午前5時の労働)になるでしょう。
このとき、時間外労働で、かつ深夜労働だと、通常の賃金の1.5倍以上の割増賃金が請求できます。

「風俗・キャバクラを辞めさせてくれない」問題に対処するときにも、未払いとなっている残業代を請求することが店へのプレッシャーとなり、円満な退職に繋げられるケースもあります。

風俗・キャバクラの勤務は、夜間だったり不規則だったりしがち。
心身を壊しやすいため、長時間労働による健康被害には特に注意を要します。

残業代の正しい計算方法は、次に解説しています。

風俗・キャバクラの求人詐欺

求人詐欺とは、求人や採用のとき伝えられた労働条件と、実情が異なっていることで起こる労働問題。
求人詐欺は、労働契約を結ぶ労働契約のときはもちろん、請負契約でも起こります。

労働基準法では、入社時に労働条件を示さなければならないとされます(労働基準法15条)。
この定めに違反すれば、労働契約を解約できます。
このことは、風俗・キャバクラでも、当然にあてはまります。

キャバクラや、ソープ、デリヘルなど、風俗や水商売では、求人詐欺が起こりやすい傾向にあります。
すべてではありませんが、派手な求人でだまして入店させようとする悪質な店は多い
からです。

次のような求人募集をする風俗・キャバクラは、求人詐欺の疑いがあります。

  • 他店と比べて収入が高すぎる
  • 高額の保証給を約束している
  • たくさん稼げると強調している
  • 罰金やペナルティなどマイナス面が明らかでない
  • 残業代の有無、金額が書かれていない
  • 労働時間が曖昧にされている

求人詐欺で、労働条件が悪いと分かったら、そんな店で働くのはやめ、すぐ退職しましょう。
求人詐欺が証明できれば、当初約束した条件で、働いた分の給料を請求できます。

労働問題の種類と、その解決方法は、次の解説をご覧ください。

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、労働問題の起こりやすい風俗・キャバクラの勤務と、その対応について解説しました。

すべてとはいいませんが、風俗業界では、労働基準法が軽視されがちです。
なかでも「風俗を辞めさせてくれない」という悩みは、違法な扱いを受けていることが明らか。
こんなケースでは、在職中だけでなく、退職後もなお労働問題の犠牲になるおそれがあります。
弁護士に相談すれば、トラブルなく円満に、風俗・キャバクラから足を洗えます。

風俗店で働き、労働者としての正当な権利を侵害されているとき、弁護士にお早めに相談ください。

この解説のポイント
  • 風俗・キャバクラでも労働基準法が適用され、「辞めさせてくれない」のは違法
  • 風俗・キャバクラを辞めさせてくれない理由ごとに、正しい法律知識を知る
  • 風俗・キャバクラの退職時に労働問題を清算しないと、退職後に不利益を被る

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