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浅野 英之
弁護士
弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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週6日勤務は違法?違法なケースときついときの対処法について解説

週6日勤務で働く人のなかには、つらいと感じる労働者もいることでしょう。
「週6勤務」となると、逆に、休みは週1日しかありません。

実際、シフト制の業態やパートのなかには、週6日勤務している人もいます。
繁忙期だと、土曜出勤をやむを得ず命じられるケースもあります。

相談者

周りは土日休みなのに、自分だけ土曜出勤

相談者

シフトがきつくて休みがなく損した気分…

しかし、週6日勤務そのものは、労働基準法に違反しません。
つまり、週6日働かされたとしても、それだけで違法にはなりません。
これは、法律上、休日は「1週1日または4週4日」あればよいとされるからです。

とはいえ、週6日の労働を命じ、労働者を馬車馬のごとく働かせるのは不当です。
あまりにきつい労働はおかしい可能性があり、少なくとも残業代を請求すべき
です。
ブラック企業は人件費をできるだけ抑えるため、週6日勤務だとしても割増賃金を払いません。

今回は、週6日勤務が違法となるケースや、その際の対処法を、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 週6日勤務は、裏返しとして週1日の休みがとれるので、労働基準法には違反しない
  • 週6日勤務で、休日が少なすぎたり、残業代が未払いだったりすると違法なケースがある
  • 週6日勤務がきついなら、逃げ出すために、法的責任を追及してから退職する

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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週6日勤務の実態

週6日勤務とは、その名の通り、1週間に6日の労働日がある制度のことです。

ただ、一言で「週6日勤務」といっても、その実態は業界や業種によって様々です。
まず、週6日勤務の仕事で気になるポイントを解説します。

週6日勤務のメリット

週6日勤務は、労働者にとって、次のメリットがあります。

  • 適切に残業代が払われれば、たくさん働いた分だけ収入が増える
  • 1週間の労働日が増える一方、1日の労働時間が短くなり、早く帰宅できる
    (育児や介護との両立ができる)
  • 仕事を覚えるのが早くなり、能力が向上する

※ 週6日勤務を、適切に運用しようとするなら、週の労働日を6日にしてもなお「1週40時間」の法定労働時間を超えて働かせないようにするために、1日の労働時間が短く設定されることとなります。

※ そうでなければ、1日8時間で週6日働かせれば、1週の労働時間は48時間(8時間×6日)となり、「1週40時間」の枠をはみ出た8時間分については残業代を請求することができます。

したがって、適切な週6日勤務の制度ならば、1日の労働時間が短くなったり、残業代によって収入が増えたりといったメリットを享受できます。

週6日勤務を採用する会社のなかには、「働きがい」「高収入」を謳うケースもあります。
完全週休2日制の会社に比べ、成長しやすく、仕事中心の生活をしたい人向けといえます。

ただし、給料の高さで安易に選んではなりません。
給料が高くても、その分仕事が大変だと、体を壊し、長くは働けないこともあります。

また、毎月払われる給料だけでなく、賞与や退職金、福利厚生も加味して比較すべきです。

週6日勤務のデメリット

一方で、週6日勤務は、労働者に次のデメリットがあります。

  • ブラック企業の違法な週6日勤務だと、たくさん働いても収入は増えない
  • 休日が1日しかないため旅行の計画などが立てづらい
  • 収入が増えてお金が貯まっても、使う時間がない

※ 週6日勤務だと、完全週休2日制に比べて、労働日が多くなるのは当然で、自ずと、労働がきついと感じる方が多いです。

※ また、週6日勤務のメリットが活かせるのは、あくまで適法に運用されている会社の話であり、労働者を軽視するブラック企業だと、制度そのものが違法で、週6なのに収入が増えない例もあります。

バイトやシフト制社員など、正社員でないと、特にひどい扱いを受けがちです。
週6日も働いた上、残業が生じ、その残業代すら払われないのではきついのも当然。
毎日、働き詰めだと、このまま人生が終わってしまうのではという徒労感に襲われるでしょう。
当然、仕事のモチベーションも下がってしまいます。

過労死ライン(月80時間残業)を超えても我慢して働く方もいますが、違法な状態に慣れてしまうのは危険です。

労災についての弁護士への相談は、次の解説をご覧ください。

週6日勤務の年間休日日数は?

週6日勤務すると、週5日勤務の人よりも休日が減るのは当然です。
そうなると、気になるのが、年間休日のことでしょう。
損しないためにも、休日数が少なすぎないか、確認しておいてください。

厚生労働省の調査によれば、労働者1人の年間休日日数の平均は115.3日とされます。
(引用:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」
一方、週6日勤務で単純計算した場合には、年間休日数はおよそ52日(=365日÷7)。
「週6日勤務で、1ヶ月に何日働くか」は、逆算して365日から年間休日数を引けば算出できます。

これに祝日や夏季休暇を合わせても、年間休日数は60日~80日程度しかないでしょう。
平均的な休日数の資料と比較すれば、週6日勤務の休日がどれだけ少ないか一目瞭然です。

年間休日が少ない場合の対処法についても参考にしてください。

週6日勤務そのものは違法ではない

週6日勤務そのものは、違法ではありません。

週6日働くということは、裏を返せば、週に1日の休日があるということ。
休日は労働基準法で規制され、「1週1日または4週4日」を与えるのがルールです(労働基準法35条)。

労働基準法35条(休日)

1. 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。

2. 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

労働基準法(e-Gov法令検索)

そのため、週6日勤務ならば、週1日は休ませるべきとする労働基準法には反しません。
このことは、正社員の週6勤務の場合はもちろん、バイトやパート、派遣など非正規社員でも同じです。

さらに、法律は、休日を日曜日とすることを求めていません。
土日休みの会社員を想像すると、「少なくとも日曜日は休み」と考えるかもしれません。
しかし、この考えはあくまで、官公庁の休みやキリスト教の安息日が影響した世間のイメージに過ぎません。
1週間のうちのいずれの曜日を休みにするかは、労使の契約で決まるものであり、日曜休みでなくても法律上は全く問題ありません(週によって休日とする曜日の割り振りが異なるという定め方も可能です)。

そのため、週6日勤務の翌週に、休みなく6連勤(つまり12連勤)という働き方もありえます。
国民の祝日を休日としなければならないわけでもないので、週6勤務かつ祝日なしという働き方も違法ではありません。

労働問題に強い弁護士の選び方は、次に解説しています。

週6日勤務が違法になるケース

次に、週6日勤務が違法となる典型的なケースについて、例を挙げて解説します。

週6日勤務は適法な制度だと解説しました。
しかし、これはあくまで、会社が労働法をきちんと守った場合のこと。
働き方によっては、週6日勤務が違法となるケースも多々あります。

36協定なしに残業させられたケース

週6日勤務とはいえ、いくらでも働かせ続けられるわけではありません。
労働基準法は、「1日8時間、1週40時間」を超えて働かせるのを原則違法と定めます。
例外的に、この上限を超えて働かせるには、労働基準法36条に基づく労使協定(いわゆる「36協定」)を締結し、所轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があります。

したがって、週6日勤務、かつ、36協定なしのとき、残業させれば違法になります。
「1週1日または4週4日」の法定休日に労働を命じるのも、休日労働となるため36協定を要します。

なお、36協定の限度時間を超えて働かせるのも違法です。
36協定に定める残業時間には、労働基準法において「月45時間、年360時間」を原則とした上限が設定されており、過度な長時間労働が禁止されています。

36協定なしの違法残業について、次の解説をご覧ください。

適切な残業代が払われないケース

週6日勤務そのものは適法でも、正しい残業代が払われないなら違法です。
残業代の請求は労働者の権利であり、残業代を払うのは会社の義務です。
特に、週6日勤務で労働者を酷使しようとする会社ほど、残業代の未払いがよく生じます。

週6日勤務の場合には、あわせて次の配慮をしなければ残業が生じます。

  • 「1日8時間」を超えないようにする
  • 「1週40時間」を超えないようにする。
    6日勤務なら、1日あたりの労働時間を6.6時間(=40時間÷6日)までに抑える
  • 「1週1日または4週4日」の休日を確保する
  • 深夜労働(午後10時から午前5時まで)が生じないよう配慮する

例えば、週6日勤務で、毎日8時間働いた場合、1週間の合計労働時間は48時間になります。
すると、「1週40時間」を超えた分の8時間は、残業となり、残業代を受け取ることができます。

残業代の計算方法について、次に詳しく解説します。

合意なく労働日を増やすケース

一度定めた労働条件を、労働者の合意なく変更することも困難です。
入社時は週5日と説明しながら、後に週6日勤務に変更するのも、違法の可能性が高いです。
約束していたバイトのシフトを勝手に変更するのも同じく違法の疑いがあります。

例外的に、就業規則を不利益に変更する方法による場合も、合理性を必要とします(労働契約法10条)。
したがって、労働者の合意なく労働日を勝手に増やすことはできないのが原則です。

労働条件の不利益変更についての解説も参考にしてください。

安全配慮義務違反の過剰労働があるケース

週6日勤務とすることにより、労働者の負担は高まるケースが多いでしょう。
このとき、労働者が心身の健康を崩してしまえば、会社の配慮不足であり、違法です。
労働条件として週6日勤務が許されるとしても、それによって労働者を酷使するのは許されません。

会社は、労働者に対して安全配慮義務を負います。
労働者が、健康で安全に働ける職場となるよう、配慮しなければなりません。
週6日勤務とする場合、残業が増えないようにしたり、前日の終業時刻と翌日の始業時刻が近くなりすぎないようにしたりといった、労働者への配慮が特に必要となります。

安全配慮義務に違反する労働によって、うつ病、適応障害などの精神疾患にかかってしまったとき、会社に慰謝料その他の損害賠償を請求することができます。

労災について弁護士に相談すべきケースは、次に解説します。

週6日勤務がきついときの対処法

最後に、週6日勤務がきついとき、労働者が知るべき対処法を解説します。

週6勤務がきついとき、無理して我慢する必要はありません。
違和感を覚えたら、すぐに逃げ出してもよいのです。
特に、前章で解説の通り、週6日勤務が違法となるケースは、会社と争うべきです。

未払いの残業代を請求する

週6日勤務できついのに、働いた分の給料すら払われないと、労働が余計に嫌になるでしょう。
この際の対策として、会社にきちんと残業代を請求していく姿勢が大切です。

残業代請求は、自分一人でもできますが、弁護士に依頼して請求すればより確実です。
弁護士に任せれば、内容証明を送付してプレッシャーをかけることができたり、労働審判、訴訟を活用して、損せず残業代を獲得することができます。

特に、週6日勤務で、休みが1日しかないとき、残業代請求の手間はできるかぎり減らすべきです。

前章でも解説の通り、週に6日働くこととなると、1日の労働時間が6.6時間を超えれば、1週40時間を超えて働き、残業代が生じている可能性があります。

残業代請求に強い弁護士への無料相談は、次の解説をご覧ください。

有給休暇を取得する

有給休暇を取得すれば、週6日勤務のつらさを一時的に和らげることができます。

有給休暇は、労働者の心身の疲労回復やリフレッシュのために設けられた法的制度。
労働基準法において一定期間以上貢献した人の権利として定められています。

有給休暇がまだ残っていれば、週6日勤務のなかでも連休を取得することができます。

有給休暇を取得する方法は、次に解説します。

業務量を調整してもらう

週6日勤務がつらいと感じる要因が、業務量の多さにあるならば、調整をお願いしましょう。
このとき、会社は、安全配慮義務の観点から、業務量を減らすよう検討せねばなりません。

週6日勤務だと、週の法定労働時間を超えないよう、1日の労働時間が短いことがあります。
このとき、時間内に終わりきらない量の仕事を割り振られるのは、不当です。
また、自分の能力や適性からして、週6日勤務が合わないなら、別の部署への異動を願い出る方法もあります。

退職する

週6日勤務が向いていないなら、退職し、転職することも検討してください。
週5日勤務でも、十分な成長が期待できる良い会社はたくさんあります。

違法な週6日勤務を強いる悪質な会社では、退職が新たなトラブルの火種となることも……。
しつこい引き止めに遭ったり退職が決まったら突然ハラスメントの標的にされたりするケースでは、円満に退職するためにも、弁護士に相談するのが有益です。

なお、転職先が、違法に労働日を増やすような会社でないかどうか、入社時に必ず、完全週休2日制が守られているか、休日出勤がどの程度の頻度で発生するのかを確認しましょう。

会社を辞めたいのに辞められない時、次の解説をご覧ください。

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、きつい週6日勤務を余儀なくされたときの対処法を解説しました。

週6日勤務そのものは違法ではありません。
労働基準法における「1週1日または4週4日」の休日の定めには違反しないからです。
とはいえ、週6日の勤務だと、残業が発生する可能性が高まります。
すると、週6日勤務における労働者の負担を考えない会社では、違法な残業代未払いが生じます。

長時間の過酷な労働に耐えてしまうと、たった週1日の休みも、寝るだけで終わってしまうでしょう。
労働者の精神と身体を徐々に蝕み、転職活動をする気力すら削がれてしまいます。
少しでもつらいと感じるなら、週6日勤務を命じるのは安全配慮義務に違反している疑いもあります。
体調を崩してしまう前に弁護士に相談し、対処する必要があります。

この解説のポイント
  • 週6日勤務は、裏返しとして週1日の休みがとれるので、労働基準法には違反しない
  • 週6日勤務で、休日が少なすぎたり、残業代が未払いだったりすると違法なケースがある
  • 週6日勤務がきついなら、逃げ出すために、法的責任を追及してから退職する

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