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残業代

「名ばかり取締役」は、未払い残業代を請求すべき!

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関西の進学塾で、大半のスタッフを「取締役」とすることによって、残業代を支払わなかったとして、未払い残業代を請求された事件がニュースになっています。

報道によれば、登記簿上、この進学塾の「取締役」は400人にも及び、残業代を回避するためという悪質な意図が明らかです。裁判所は、労働者であると認定し、合計1200万円の支払いを命じました。

「取締役」であると、なぜ残業代を支払ってもらえないのでしょうか。また、「名ばかり取締役」として残業代を請求するためには、どうしたらよいのでしょうか。

今回は、「名ばかり取締役」が未払い残業代を請求する方法について、労働問題に強い弁護士が解説します。

1. 「全員取締役」はOK?

会社のメンバーを、すべて「取締役」にすることは可能かどうか、という質問に対しては、結論からいうと、「可能」ということになります。

「取締役」というのは、会社(株主)から、「経営」を委任されている役員のことをいいますが、会社の経営上必要であれば、すべてのメンバーを「取締役」とすることを禁止する法律はありません。

会社法でも、取締役の人数について、上限の規制はありませんし、「社長の1人会社」もある以上、「全員取締役」も全く問題ありません。

 参考 

以上の、問題のない「全員取締役」のケースと比較して、今回の件が問題となったのは、明らかに不自然な取締役への選任があったからです。

取締役としての実態がないにもかかわらず、いわゆる「名ばかり取締役」を増やし、残業代、休日手当などの支払いを逃れることは、労働法違反であって、許されません。

2. 取締役が残業代を請求できない理由

「取締役(役員)」は、どれだけ長時間はたらいたとしても、会社に対して、残業代を請求することができません。

そこで次に、なぜ「取締役(役員)」であると、残業代を請求することができないのかについて、弁護士がくわしく解説します。

2.1. 「雇用」でなく「委任」

「取締役(役員)」と会社との関係は、「委任契約」であるとされています。つまり、取締役は、会社から、「経営」についての委託を受けているにすぎm千

「取締役(役員)」は、会社との間で委任契約を締結しているのであって、個人事業主やフリーランスと同じ立場にあり、雇用契約を結んでいる「労働者」ではないからです。

2.2. 労基法の対象にならない

残業代は、専門用語では「割増賃金」といい、法律的な根拠は、「労働基準法」にあります。

労働基準法で、労働時間に対して残業代を支払ってもらうことができるのは、あくまでも労基法の対象となる「労働者」に限られており、「取締役(役員)」は対象になりません。

2.3. 時間管理をする経営側である

残業代を支払ってもらえる労働者とは、会社から、労働時間を管理される立場にあります。そのため、働いた時間に相当する「残業代」を支払ってもらえるわけです。

これに対して、「取締役(役員)」は、経営側の立場にあり、労働者の労働時間を管理、把握する立場ですから、時間によって管理されてはおらず、残業代を請求することはできません。

2.4. 「執行役員」の扱い

「役員」と呼ばれる中にも、登記簿上の役員(取締役)ではない、「執行役員」という役職も存在します。

「執行役員」は、取締役ではなく労働者の一種であり、会社に「雇用」されています。したがって、「執行役員」は、「管理監督者(管理職)」にあたらない限り、残業代請求をすることができます。

3. 名ばかり取締役は残業代請求できる!

肩書が「取締役(役員)」であっても、実態は「労働者」であるという場合には、労働基準法にしたがって、未払い残業代を請求することができます。

残業代を請求できる「労働者」にあたるかどうかは、「取締役(役員)」という肩書、名称などの形式ではなく、労働実態によって判断されるからです。

そこで、どのようなケースで、残業代請求ができる、いわゆる「名ばかり取締役」にあたるのか、その判断要素について、弁護士が解説していきます。

3.1. 取締役になった経緯

「取締役(役員)」に就任した経緯が、会社法にしたがって適切に行われていなければ、「名ばかり取締役」といえる可能性が高くなります。

すなわち、株主総会の決議にしたがって取締役に選任され、登記簿上に、「取締役」として登記されていなければ、会社内で「役員」と呼ばれていたとしても、「名ばかり取締役」といえるケースも少なくありません。

3.2. 経営に関する権利があるか

「取締役(役員)」は、会社(株主)から、「経営」についての委託を受けているため、人事権、業務命令権を有しており、また、取締役会を開催して、会社の重要事項を決めることができます。

肩書が「取締役」であっても、取締役に会社法で認められているこれらの権限が与えられていない場合には、「名ばかり取締役」ではないか、疑うべきです。

3.3. 時間的な裁量があるか

取締役の「委任契約」と、労働者の「雇用契約」との違いは、労働時間を管理され、労働時間に対して対価を支払われているかどうか、という点にあります。

したがって、名称は「取締役」であっても、時間的な裁量が全くなく、出勤、退勤時間や欠勤について、厳しく管理されている場合には、「名ばかり取締役」として残業代請求が可能なケースにあたるといってよいでしょう。

中には、「取締役(役員)」と呼ばれているけれども、一般社員と同様にタイムカードを打刻している、という例もあり、残業代請求をすべき場合も少なくありません。

3.4. 経営に関する業務を行っているか

業務の内容が、経営に関する業務であるか、それとも現場作業的なものであるかも、「名ばかり取締役」にあたるかどうかの判断に大きく影響します。

「取締役」とは名ばかりで、実際には経営に関する業務を行っておらず、雇用されている社員と同じ業務しかない場合、「名ばかり取締役」として残業代を請求すべきケースにあたります。

3.5. 指揮命令を受けているか

取締役は「委任契約」である以上、業務の個別具体的な方法、進め方にまで、指揮命令を受けていると、「名ばかり取締役」と判断される可能性が高まります。

業務について、指揮命令を受けると、時間的、場所的な裁量が失われやすく、残業代を請求できる「名ばかり取締役」であると判断されやすいからです。

3.6. 対価の性質と金額

取締役であれば、業務の対価は、「委任契約」に基づく「報酬」として受け取ります。これに対して、労働者であれば、「雇用契約」に基づく「賃金」となります。

したがって、業務の対価がいずれの性質であるかは、「名ばかり取締役」であるかどうかに影響してきます。雇用保険などが控除されているかどうかも重要です。

更に、「名ばかり取締役」であるかを判断するに際して、実態として「取締役」にふさわしい額の「報酬」を得ているかどうかも考慮されます。

4. 「名ばかり取締役」は残業代請求ができる!

以上のとおり、「取締役」や「監査役」として登記をされた場合、いわゆる「役員」の場合には、残業代が出ないのが原則です。

労働基準法(労基法)という、残業代請求の根拠となる法律が、「雇用契約」を結んでいる労働者にしか適用されないからです。「役員」はむしろ、会社と対等の立場で「委任契約」を締結していることから、労基法が適用されません。

しかし、役員の中でも、その実態をよく見れば、労基法で保護すべき弱い地位にある「労働者」と何ら変わらない「名ばかり取締役」も多くいるということであり、この場合、実質で判断されることとなっています。

すなわち、実質、実態が、「労働者」であれば、形式上、登記簿上に役員(取締役)として登記されていたとしても、残業代を請求することができるということです。

4.1. 「名ばかり取締役」の裁判例

実際に、「名ばかり取締役」であることが認められ、登記簿上は役員となっている者であっても会社に対しての「残業代請求」を認めた裁判例があります(東京地裁平成24年5月16日判決など)。

「名ばかり取締役」であることを認めた裁判例では、その判断基準として、次の要素をあげて、総合考慮によって判断しています。

 「名ばかり取締役」の判断基準 
  • 取締役になった経緯
    :取締役に適法に選任されるためには、会社法に従って、株主総会の決議を経て、役員であることを登記している必要があります。会社法にしたがった適正な手続がとられていない場合「名ばかり取締役」と判断されやすくなります。
  • 業務執行権限の有無
    :取締役は、取締役会に出席し、会社の経営に関する重要事項について、決定したり監督したりする職務を行います。経営に関する権限が全く与えられていない場合、「名ばかり取締役」と判断されやすくなります。
  • 拘束性の有無
    :取締役と会社との関係は「委任契約」ですから、始業・終業時刻や休憩時間について、細かく指示をし、管理をすることはその性質に反します。
  • 業務内容
    :経営に関する権限(業務執行権限)を有しているかだけでなく、その業務内容が、現場の事務作業など、雇用されている労働者と類似している場合には、「名ばかり取締役」と判断されやすくなります。
  • 業務に対する対価の性質及び金額
    :対価の名目は、雇用されている労働者の場合「給与」であり、取締役(役員)の場合には「報酬」となります。その他、税金や社会保険の扱いについても考慮要素となります。

4.2. 「管理職」に注意

最後に、以上の裁判例にしめされた考慮要素を参考にして、「名ばかり取締役」と判断されると考えられ、残業代請求をしようという場合であっても、管理監督者(管理職)にあたらないかどうかに注意しましょう。

労働基準法(労基法)の適用される労働者であっても、管理監督者(管理職)である場合には、深夜残業以外の残業代は支払われないからです。

ただし、「名ばかり管理職」といって、会社内では管理職として扱われているものの、実態は「管理監督者」に相当する実質を有していないといった場合には、残業代請求できる場合も少なくありません。

例えば、「課長以上は管理職であり、残業代は出ない。」というルールを会社が定めていても、部長の言う通りに働かなければならず、何ら平社員とかわらない安月給の課長は、「名ばかり管理職」となり、残業代請求ができる可能性が高いといえます。

5. まとめ

今回は、取締役に選任されている場合であっても、「名ばかり取締役」にあたる場合には、残業代請求をすべきであることについて、弁護士が解説しました。

特に、出勤、退勤時刻を厳しく制限され、業務について具体的な指揮命令を受け続けている場合には、労働時間(残業時間)に応じた残業代を請求できる場合があります。

未払い残業代を請求することを検討している労働者の方は、労働問題に強い弁護士に、お早めにご相談ください。

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