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大地震なのに出社命令は違法?災害時の出勤命令に従う必要がある?

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大地震が北大阪で起こったことが、記憶に新しいかと思います。大地震や災害が起こったとき、「仕事どころではない。」、「出社は事実上困難だ。」という方も多いのではないでしょうか。

電車、バスなどの公共交通機関がストップしてしまい、会社に行こうにも行くことができなかったり、会社周辺の被害が著しい場合には、会社に行くと生命が危険だ、という場合もあります。

一方で、労働者は、会社に雇用されて給料を支払ってもらうことによって、会社の命令に従わなければなりません。そこで、大地震などの災害時に出社を命令されたとき、従わなければならないのか?という疑問があることでしょう。

災害時に出勤したことで、ケガをしてしまったり死亡してしまったりすれば、「労災(業務上災害・通勤災害)」であるとして、会社の安全配慮義務違反の責任を追及したいことでしょう。

今回は、大地震などの災害時に行われた出社命令、出勤命令の違法性と、労働者が従う義務があるのかどうかについて、労働問題に強い弁護士が解説します。

1. 災害時の出社命令に従う必要がある?

大地震などの大災害に巻き込まれてしまったとき、通勤中の電車に閉じ込められてしまったり、通勤中の車が渋滞に巻き込まれて動かなかったりすることが多いかと思います。

このように大災害の被害にあってしまったときには、通勤をすることが事実上困難で、出勤命令を受けても従えないことがあります。それでも会社の手記印命令に従わなければならないのでしょうか。

災害時に出勤命令を受けてしまったときの対応について、弁護士が詳しく解説していきます。

1.1. 会社には出社命令する権利がある

まず第一に、会社は、雇用をしている労働者に対して、出社を命じる権利があります。これは、「業務命令権」の一環として行うことができるものです。

「会社は、労働者に出社を命令する権利がある」と、雇用契約書や就業規則に明記していなくても、使用者・労働者という雇用関係にあれば当然に命令できる権利です。

出社を指揮命令することは、雇用関係にともなって当然の権利であって、大地震などの災害時であっても、原則としては異なるところはありません。

例えば、大地震で事務所の書棚が倒壊したり、書類ファイルが散乱したりしてしまえば、大至急片付けを行うために、多くの社員の手助けが必要な場合があります。大地震などの災害時ほど、人手が必要だといえるでしょう。

1.2. 労働者には業務命令に応じる義務がある

労働者は、会社に雇用され、給与を受給することによって、会社の命令に従う必要があります。

そのため、業務命令として会社から出された出社命令、出勤命令には、原則として応じなければならない義務があります。

特に、大災害にあってしまったときには、復旧の必要があります。そのため、会社から出された出社命令に応じて出社し、職場の復旧作業を手伝うこともまた、労働者が会社に対して負う「労務提供義務」の一環です。

出社命令・出勤命令に従う義務があるにもかかわらず、業務命令に違反すれば、会社による注意指導、懲戒処分や、最悪の場合には解雇の対象となるおそれもあります。

1.3. 出社すると生命、身体に危険が及ぶ場合は?

以上の原則に対して、会社から出された出社命令・出勤命令にしたがうと、労働者自身の生命、身体に危険が及ぶことが明らかな場合にまで、労働者は会社の命令に従わなければならないのでしょうか。

地震など、自然災害によって、労働者の生命、身体に危険が及ぶ場合には、例外的に、出社命令・出勤命令に従わなくてもよい場合があります。

労働者として給料をもらっているとはいえ、自分の生命、身体を犠牲にしてまで会社に尽くさなければならない義務までは無いことが、次の章で解説するとおり、裁判例(判例)でも明らかにされています。

2. 災害時の出社命令は違法?適法?判断基準は?

公共交通機関が混乱し、出社を強制されると、労働者の生命、身体に危険が及ぶような場合には、出社を命じる業務命令自体が、違法であると評価される場合もあります。

違法な業務命令であれば、労働者といえども従う必要はありません。

そこで、災害時に出社命令を受けたときには、「その業務命令は違法なのではないか?」と検討する必要があります。災害時の出社命令の違法性について、弁護士が解説します。

2.1. 裁判例の判断基準は?

裁判例(判例)でも、地震などの自然災害のケースではありませんが、労働者の生命、身体に危険が及ぶ可能性が予想される場合、業務命令に従わなくてもよいことが明らかにされています。

次の「電電公社千代田丸事件」で裁判所は、日本と韓国の間の海底ケーブルの修理のため、千代田丸という船舶への乗船を命令されたが、日韓の緊張状態を恐れて乗船拒否をした労働者を解雇した、というケースで、次のように判断しています。

 電電公社千代田丸事件(最高裁昭和43年12月24日判決)

「現実に米海軍艦艇による護衛が付されたこと自体、この危険が単なる想像上のものでないことを端的に物語るものといわなければならず」
「動乱終結後においてなお、この危険が具体的なものとして当事者間に意識されていたからに他ならない、というべき」
「かような危険は、双方がいかに万全の配慮をしたとしても、なお避け難い軍事上のものであつて、海底線敷設船たる千代田丸乗組員の本来予想すべき海上作業に伴う危険の類いではなく、また、その危険の度合いが必ずしも大でないとしても、なお、労働契約の当事者たる千代田丸乗組員において、その意に反して義務の強制を余儀なくされるものとは断じ難い」

つまり、担当する業務において、本来予想された危険を越える危険がある場合には、出社命令・出勤命令などの業務命令が違法となり、拒否しても不利益な処分を下されない、というわけです。

また、そのような危険が具体的に予測することができるかどうかもポイントです。

2.2. 地震のときの出社命令の違法性はどう判断すればよい?

地震などの大災害は、出社すれば、例えば次のように、生命、身体に危険が及ぶことが具体的に予想することができます。

  • 倒壊した建物のガレキが頭上から降ってくる。
  • 割れた窓ガラスが降ってくる。
  • 倒壊した建物に押しつぶされ、身動きが取れなくなる。
  • 地震を原因とした火災に巻き込まれる。

そしてこの地震などの自然災害による危険は、防ぐことのできないものですから、生命、身体に危険があるのであれば、出社命令・出勤命令に応じなくてよいケースもあると考えてよいでしょう。

3. 災害時の出社命令に事実上従うことが不可能なときは?

交通機関がストップしてしまった状況かでの出勤は難しい方がほとんどでしょうが、このように出社命令に従うことが事実上不可能な場合には、労働者としては、どのように対応するのが適切なのでしょうか。

地震などの災害に遭遇した際の、労働者の状況に応じて、適切な対応を検討していきます。

重要なことは、ここまで解説してきた通り、会社の上司が、「何がなんでも出勤しろ。」、「できるだけ注意して出社は必ずするように。」と強要してきても、その業務命令の違法性を適切に判断し、従うかどうかを判断することです。

3.1. 途中帰宅する

通勤の途中で地震などの自然災害にあってしまったとき、電車に乗る前などであれば、公共交通機関の混乱により、これ以上通勤を続けるよりは、自宅に帰宅するほうが適切なケースがあります。

つまり、「途中帰宅」をするということです。

今回の解説にもあるとおり、会社から、出社命令・出勤命令を受けていても、通勤手段がなく通勤が不可能な場合や、通勤を続けると生命、身体に危険が及ぶことが予測される場合、「途中帰宅」が適切な対応です。

3.2. 自宅待機する

地震などの災害を原因として、途中帰宅した場合、その後は自宅待機をしておくのが適切な対応である場合が多いでしょう。

情報を的確に把握し、状況によっては、危険がなくなれば出社命令、出勤命令に応じるべき場合もあります。

ただし、地震にともなう津波、建物の倒壊、火災など、二次災害が予想される場合には、避難所などへ避難することが適切であり、必ずしも自宅に待機していなければならないわけではありません。

3.3. 欠勤する

大地震など、被害の大きい自然災害の場合、数日の間欠勤すべき場合があります。

欠勤をする場合には、今回の解説にもあるとおり「ノーワークノーペイ」が原則です。念のため、会社が休業となるのはどうか、会社への問い合わせを行っておくのがよいでしょう。

3.4. 有給休暇を利用する

最後に、地震などの災害によって、出勤、出社が困難な場合に、有給休暇を取得する、という方法があります。

有給休暇は、どのような理由であっても取得する権利がありますから、地震などの災害によって、会社が出社を命じても出社が困難である、という場合でも、有給休暇を取得することができます。

ただし、会社が災害に見舞われて混乱状態にあることに配慮した連絡をすべきです。お互いの状況に配慮した有給休暇の取得のしかたを心掛けましょう。

4. 災害時の出社命令は安全配慮義務違反?

会社は、労働者の生命、身体の安全に配慮しなければなりません。これを安全配慮義務違反といいます。労働契約法では、次のとおり、会社に安全配慮義務があることを定めています。

 労働契約法5条 

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

したがって、地震などの災害が起こった際に、出社、出勤させると労働者の生命、身体に危険が予想されるにもかかわらず、出社命令、出勤命令をした会社に対しては、安全配慮義務違反の責任を追及することができます。

会社の安全配慮義務違反によってケガをしてしまったり、最悪のケースで死亡してしまったりしたとき、具体的には、次のような損害が考えられます。

  • 治療費・通院交通費
  • 休業損害
  • 慰謝料(通院慰謝料、後遺障害慰謝料、遺族の慰謝料)

地震などの自然災害は、注意をしても避けることはできませんので、会社が行うべき「安全配慮義務」の内容としては、地震に備えた予防措置や、地震が発生した場合の事後対応が重要であると考えるべきです。

特に、今回のテーマである出社命令・出勤命令と関連しては、会社が適切な情報収集を徹底し、状況把握に努め、労働者の生命・身体に危険を及ぼさないような業務命令を出さなければなりません。

5. 災害時は出社命令に従わなくても給与はもらえる?

「ノーワークノーペイの原則」という、労働問題の分野における重要な原則があります。つまり、働かなければ給与をもらうことはできない、という意味です。

地震など、自然災害が原因であっても、この「ノーワークノーペイの原則」があてはまります。したがって、地震などの出社することができないやむを得ない理由があったとしても、出社して働いていない以上、給与ももらえない、というわけです。

これに対して、働けないことの理由が、会社側にある場合には、給与をもらうことができるケースもあります。

地震などの自然災害にあってしまったものの、十分に復旧が進み、危険なく働くことができるにもかかわらず、「仕事がない。」等の理由で会社が出社を拒否するような場合、働けない理由が会社にあると判断されるケースがあります。

このような場合には、地震などの災害時であることとは別に、働けない理由が会社にあることから、労働をしていなくても給与を請求することができる場合があります。

6. まとめ

地震などの大災害のときに、会社から出社命令・出勤命令を下されてしまったときは、まずは自分の生命、身体が危険にさらされることはないかどうかを、重要な判断基準として行動してください。

自分の生命、身体に危険が及ぶ可能性があるのではないか、と考える場合、その危険が具体的に予測できるときには、出社・出勤を命じる業務命令自体が違法であり、従う必要がないケースもあるからです。

むしろ、このような混乱した状況で、出社・出勤を強要する会社は、安全配慮義務違反の責任を負うおそれがあります。

会社の安全配慮義務違反が疑われるケースや、違法な業務命令に違反したことを理由に解雇された労働者の方は、労働問題に強い弁護士に、お早めに法律相談ください。

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