※ 個人情報・プライバシーに配慮して実際の相談内容ではありません。法律相談の一例としてご覧ください。
「仕事が終わったらすぐに帰宅したいのに、会社から、仕事後に1時間休んでからタイムカードを押して帰えるように指示されている。」という法律相談について、弁護士が回答していきます。
仕事後に、とくに理由もないのに、不当に待機させることは、違法ではないのでしょうか。
同様の労働問題に、「職場にいったら、まずはタイムカードを押してから1時間待機し、そのあとに仕事をするよう強制されている。」という労働者からのご相談もあり、いずれも「休憩の取り方が違法ではないか?」という重大な問題です。
Q. 休憩のとらせ方が違法ではないですか?
休憩を、仕事が終わってからとるよう強制され、早く家に帰りたいのに、休憩をとってからでないと帰れず、余計に疲れがたまる、という労働者の方からの法律相談のケースをご紹介します。
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- ご相談よろしくお願いします。私は、都内の飲食店に、アルバイト社員として勤務しています。
本部からは、アルバイトのシフトの時間が終わった後、帰宅する前に1時間休憩して帰るように指示をされています。一方で、業務時間中は、まったく休憩をとらせてもらえません。
会社としては、「休憩をとらせてあげている。」という上から目線の態度なのでしょうが、アルバイトとして働く労働者の身としては、仕事が終わったらすぐに家に帰りたいのが本音です。
過酷なシフト、長時間労働は、既にずっと前からなので、業務時間中に休憩がとれなかったり、昼ご飯を食べる時間がなかったりすることはあきらめていましたが、せめて仕事が終わったらすぐに帰宅したいと考えています。
私の要求は、正当なのでしょうか。また、このような、アルバイトのシフトの時間終了後にとらせる休憩は、どのような意味があるのでしょうか。休憩をとらせるとはいえ、不当に長く拘束されたのでは休憩の意味がありませんし、逆効果です。
家に帰らせずに不当に長い時間拘束しておく会社の行為は、違法なのではないでしょうか。違法だとしたら、どのような対応方法、救済があるのかについても相談させてください。
- ご相談よろしくお願いします。私は、都内の飲食店に、アルバイト社員として勤務しています。
A. 労働問題を得意とする弁護士の回答
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ご相談ありがとうございます。東京で労働問題に注力している弁護士が、解説します。
まず、労働基準法という、労働者を保護するための重要な法律において、会社は労働者に対して、一定の時間の休憩を与えなければならないと定められています。
例えば、1日の労働時間が6時間をこえる場合は45分以上、8時間をこえる場合は1時間以上の休憩を与えなければならないと、労働基準法には定められています。
したがって、ご相談のケースでは、まず、あなたの労働時間が、6時間以下であるのか、6時間を超えるのか、8時間を超えるのかによって、場合分けが必要となります。
- 1日の労働時間が6時間以下のケース
- 1日の労働時間が6時間をこえるケース
- 1日の労働時間が8時間をこえるケース
1日の労働時間が6時間以下の場合には、労働基準法のルールにおいては、労働者は休憩をとることができません。
したがって、会社が就業規則などで、特別に休憩をとることを認めている場合以外は、業務時間中に休憩がとれないこと自体は適法であるといえます。
ただし、そうであっても、業務上の必要性が全くないのに、業務時間後に不当に拘束し、その間の賃金も支払われていないとすれば、違法な業務命令にあたる可能性があるといえます。
1日の労働時間が6時間をこえる場合には、労働基準法の定めにしたがえば、労働者は、少なくとも45分以上の休憩をとることができます。
したがって、休憩をとるよう指示されれば、労働者は指示にしたがうこととなるわけですが、労働基準法の定める休憩は、「労働時間の途中」に与えられることになっており、業務終了後に与えられるものではありません。
このことは、業務開始前の待機時間を、「休憩時間である。」と言い張る会社に対しても同じことがいえます。
1日の労働時間が8時間をこえる場合には、労働基準法の規定によれば、労働者は、少なくとも1時間以上の休憩をとることができます。
この場合もさきほどの解説と同様に、休憩時間は、労働時間の途中でとれることになっています。また、休憩時間は、労働者が自由に利用してよい時間ですので、会社で休憩して待機していなければならないわけではありません。
休憩時間中に戻ってこれるのであれば、外出したり、ランチを食べに行ったり、自宅に帰ることも可能です。休憩を自由利用することができないという意味でも、ご相談の休憩の取らせ方は、違法であると考えられます。
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ご相談ありがとうございます。東京で労働問題に注力している弁護士が、解説します。
※ 個人情報・プライバシーに配慮して実際の相談内容ではありません。法律相談の一例としてご覧ください。