ブラック企業が問題になって久しいですが、最近は「ブラック上司」という言葉も登場しました。
会社全体に労働問題が広がっているなら、ブラック企業で間違いないでしょう。入社すると、未払い残業代、不当解雇、ハラスメントなどの多くの被害を受けてしまいます。一方で、全社的な問題ではない場合、つまり「会社そのものは問題ないが、一人の上司の行動が、労働者に大きな被害を生じさせている」というケースもあります。
このように悪質な言動をする上司のことを、ブラック上司と呼びます。ブラック上司は、ブラック企業内部にはたくさん存在しますが、ホワイト企業にいることもあります。不運にもブラック上司の部下になってしまったら、被害を拡大させないよう早急に対処しなければなりません。
今回は、職場にはびこるブラック上司の特徴と対策について解説します。
- ブラック上司になりがちな人には特徴があり、その多くはパワハラ気質
- ブラック上司の部下になってしまったら、同僚や会社と協力して対策を講じる
- ホワイト企業でもブラック上司がいるが、会社が対処してくれれば問題ない
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ブラック上司とは
ブラック上司とは、悪質な労働問題を引き起こす上司のことです。「ブラック企業の個人版」と考えてもらえればわかりやすいでしょう。
ブラック企業は、全社的な労働問題があるにもかかわらず、適切な対応をせずに放置し、労働者を苦しめます。このとき、会社と個人という力関係の差によって、労働者は大きな被害を受けてしまいます。
ブラック上司は「個人」ですが、その被害は決して侮れません。むしろ、ブラック上司の直属の部下になってしまうと、逃げ道がありません。業務時間中はもちろん、プライベートまで侵食される悪質なパワハラの犠牲になるおそれがあります。
ブラック上司は、社内でも問題視されていることも少なくありません。「パワハラの多い部長の下では誰も働きたくない」と噂になっているケースが典型例です。
一方で、ブラック上司は、上司として、職場における優越的な立場をフル活用してきます。ブラック上司の多くは、苛烈な努力によって仕事で成果を出しているなど、周囲が文句を言いづらい状況を作り上げていることもあります。ブラック上司によるハラスメントの犠牲になった部下からすれば、このような状況がますます我慢を生み、状況を悪化させてしまいます。
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ブラック上司によくある特徴
次に、ブラック上司によくある特徴について解説します。自分の上司が、以下の条件に当てはまるときには、部下の立場で我慢しすぎないようにしてください。
責任をとらない
ブラック上司は、総じて無責任です。自分の言動に責任を持たないのは当然で、部下のやったことの責任など全くとりません。責任転嫁こそブラック上司の得意技。「部下のミスは部下の責任」、そして「上司のミスも部下の責任」というように嫌なことばかり押し付けてきます。
責任をとらないかと思えば、手柄は横取りしてきます。「部下の手柄は上司のもの」というわけです。リスクとリターンのバランスが大切ですが、ブラック上司には常識が通用しません。
良い上司なら、指導、教育をして「部下のミスも自分の責任」とかばってくれるでしょう。上司は、部下に対する監督責任があり、仕事のミスは部下だけの責任ではないはず。ですが、ブラック上司は責任転嫁の際すら「お前に任せたのに」などパワハラ的な発言で追い込んできます。
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自分は楽をしたい
ブラック上司の部下になると、長時間労働となる傾向にあります。残業代がもらえる会社ならよいですが、ブラック企業だと残業代も未払いになってしまいます。一方で、ブラック上司の考え方は「部下が忙しくても、自分は楽をしたい」というものです。
上司が、部下と一緒に残業して頑張ってくれればやる気も出るでしょう。しかし、ブラック上司は、部下に任せて早々に帰宅してしまいます。飲み会にいってしまうブラック上司を尻目に仕事にいそしむ部下も多いものです。
その結果、部下ばかりが、うつ病や適応障害、過労死の危険にさらされます。部下の健康を気遣わないのもまた、ブラック上司の典型的な特徴です。
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抽象的な指示ばかりで改善策がない
ブラック上司は、きちんと指導しようともしません。抽象的な指示や、感情的な対応は、部下にとって正確に把握するのは難しいことでしょう。本来ならば、具体的にわかりやすく指示するのが上司の責任のはずです。
具体的な改善策なく、感情のまま当たり散らずのは、ブラック上司の典型的な特徴です。ブラック上司は、気に入らないことがあるとすぐキレます。しかし、改善策を示そうとはしません。改善策をたずねようものなら「自分で考えろ」と部下のせいにするパワハラぶりです。
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人格否定をする
ブラック上司によくある特徴が、パワハラが多いこと。特に、ブラック上司の注意指導の方法、叱り方には、問題がたくさんあります。
正しい上司の役目は、部下を育てることですが、ブラック上司は勘違いし、偉そうで横柄に振る舞い、部下を叱ります。このような発想だと、人格否定をして、必要以上のプレッシャーを部下に与えます。上司という立場は会社に与えられただけですが、自分が偉くなったと感じるのでしょう。
ミスは誰しもありますし、部下が上司より能力が低いのはしかたないこと。部下のミスを、全社員でつるしあげ、大声で怒鳴るといったやり方が、ブラック上司の特徴です。
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根性論・精神論を語る
ブラック上司の特徴として、根性論や精神論を語りがちです。このようなブラック上司の部下になると、正当な評価を受けられません。いまだ「長時間残業する部下は偉い」という発想のブラック上司もいますが、時代遅れでしょう。昭和時代に多かった「熱血系パワハラ上司」のイメージです。
ブラック上司は、残業や、休日労働を美徳と考えています。反面、「成果も出していないのに残業代を請求するなんておかしい」という発想です。すなわち、ブラック上司の部下になると、サービス残業を強要されてしまうのです。
終わるはずもない仕事を与え、努力で乗り切るよう指示をするのも、ブラック上司の典型です。ブラック上司の期待に応えると、したくないサービス残業をし、健康を崩しかねません。
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ブラック上司の対策
ブラック上司が部下をいじめる方法は、非常に巧妙です。正しい対策を知らないと、ブラック上司につぶされてしまうでしょう。以下では、ブラック上司に巻き込まれてしまいそうな部下がすべき対策について解説します。
上司の問題行為の証拠を集める
ブラック上司の部下に対する教育や指導は、間違った方法でされることが多いです。「厳しい指導」は「愛のムチ」かもしれませんが、パワハラは許されません。
ブラック上司の言動に、違法性があるとき、その証拠を集めておいてください。いざ、ブラック上司の責任を追及したり、会社に対策を求めるなら、証拠が大切です。ブラック上司は、社内で重宝されたり活躍する「稼ぎ頭」だったりするケースも多いもの。証拠がないと、会社はあなたの被害に対応してくれません。
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同僚の協力を得る
ブラック上司は、社内でも嫌われているかもしれません。起こす問題以上の成果を出していて、普段は会社から注意されていないこともあります。しかし、明らかに違法な問題を起こせば、黙っているわけにいかないでしょう。
ブラック上司のパワハラ被害が、自分以外にも及んでいるなら、協力がもらえるかもしれません。同僚の協力を得ることが、ブラック上司への対策となります。労働審判や裁判で証言してもらうといった場面はもちろんですが、そこまで発展しなくても、ブラック上司がこれ以上調子に乗らないよう牽制することができます。
業務時間を明確に切り分ける
ブラック上司に叱られ続けると、責任感の強い部下ほど長時間労働しがちです。明らかに終わらない量の業務を押し付けられても、なんとかしようとしてしまいます。
しかし、ブラック上司の対策をしたいなら、業務時間の切り分けはとても大切。ブラック上司は辛いけれど、退職するほどではないなら、関わりはせめて業務時間だけにしましょう。従い続けるとプライベートがなくなってしまいます。
「残業は偉い」という発想に迎合せず、仕事を早く終え、ブラック上司のいる職場から立ち去るのです。なかには、24時間、部下を監視するような上司もいます。休日、深夜など、業務時間外であろうとかまわず電話、メールやLINEしてくるブラック上司も。しかし、業務時間外なら連絡を無視し、心の整理をせねばブラック上司の相手はもちません。
ブラック上司の相手をする時間は、残業代の発生する「労働時間」に該当する可能性が高いです。
「労働時間の定義」の解説
ブラック上司が理由で退職する前に、会社に相談すべき
ブラック上司に悩まされると、すぐにでも退職して逃げたいと思う方も多いでしょう。しかし、ブラック上司が理由でも、すぐ退職するのはまだ早いです。退職する前に、会社にきちんと報告し、対策をお願いすべきだからです。
会社がすぐ対応してくれるなら、少なくともブラック企業ではなかったということ。社会には、至るところに「合わない人」がいます。ブラック上司の問題は、あなたとの相性の問題の可能性もあります。その上司だけが問題社員なら、むしろあなたが救われ、問題ある上司を追放すべき。会社が正しく対応してくれるのを期待しましょう。
このとき、異動による解決もあり得ます。あなたが異動を希望すれば、そのような対策もありえますし、ブラック上司に、同部署の誰しもが悩まされていたのであれば、その上司が異動させられたり、降格されたり役職を解かれたりといった対処法もありえます。会社に説得的に説明するにも、ブラック上司の問題行為の証拠は忘れず入手してください。
「裁判で勝つ方法」の解説
ホワイト企業にもブラック上司は存在する
ブラック上司は、どんな企業にも生息しています。
ブラック企業にブラック上司が多いのは当然で、それは会社が対策せず放置するからです。しかし、ホワイト企業にも、ブラック上司は存在します。どんなに有名な大企業でも、問題ある上司は一定数いるのです。
ホワイト企業に入社できたのに、ブラック上司の部下になったら、不運といわざるをえません。部下は、上司を選べません。人材の配置は、会社の命令によって決まるものだからです。しかし、社内がホワイトなのに上司がブラックだったら、ただちに異議を述べましょう。会社に報告すれば、ホワイト企業ほど、きちんと対処してくれます。
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まとめ
今回は、ブラック上司の特徴と対処法について解説しました。
ブラック上司の下で働く労働者にとっては、特徴をよく理解し、早めに気付くことが大切です。そして、自分の上役がブラック上司にあてはまるときにはすぐ逃げるようにしましょう。
あわせて、ブラック上司の犠牲にならないよう、事前の対策も理解しましょう。ブラック上司の違法な言動を発見したら、すぐに指摘して会社に申し出るのが適切な対処法です。ブラック上司につらく当たられると、うつ病、適応障害などの精神疾患になるおそれもあり、早めの対応が必須です。
ブラック上司の被害が辛いときは、早めに弁護士に相談してください。また、逆に、自分がブラック上司の疑いがあるときにも、日頃の言動を振り返るためのアドバイスが可能です。
- ブラック上司になりがちな人には特徴があり、その多くはパワハラ気質
- ブラック上司の部下になってしまったら、同僚や会社と協力して対策を講じる
- ホワイト企業でもブラック上司がいるが、会社が対処してくれれば問題ない
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