新卒で入社すると、はじめての経験ばかりで右も左もわからないでしょう。
新入社員は上司の指示、命令を鵜呑みにしがちですが、なかには違法なものもあります。
つまり、パワハラ的な強要にあたるケースです。
よく聞くのが「新入社員は朝早く出社しろ」という言葉。
確かに、早く仕事を覚え、活躍できるに越したことはありません。
しかし「新入社員だから」という理由だけで早く来させるのは、違法のおそれがあります。
新入社員でも残業代は生じますから、未払いならばなおさら違法です。
理不尽だと感じるなら、パワハラにあたる可能性もあります。
新入社員は労働時間が長くなりがちで、会社としても健康には特に配慮を要します。
にもかかわらず、早朝労働を強要する会社は、ブラック企業です。
今回は、「新入社員は朝早く出社しろ」という命令が、違法なパワハラや、残業の強要にあたるかについて、労働問題に強い弁護士が解説します。
- 「新入社員は朝早く出社しろ」は、パワハラまたは残業代未払いで違法となる可能性大
- 違法な業務命令なら、新入社員だからといって従う必要はない
- 決められた業務時間より早く出社して働いたら、残業代を請求できる
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★残業代の法律解説まとめ
【残業代とは】
【労働時間とは】
【残業の証拠】
【残業代の相談窓口】
【残業代請求の方法】
★パワハラの法律解説まとめ
【パワハラの基本】
【パワハラの証拠】
【さまざまな種類のパワハラ】
- ブラック上司にありがちなパワハラ
- 資格ハラスメント
- 時短ハラスメント
- パタハラ
- 仕事を与えないパワハラ
- 仕事を押し付けられる
- ソーハラ
- 逆パワハラ
- 離席回数の制限
- 大学内のアカハラ
- 職場いじめ
- 職場での無視
- ケアハラ
【ケース別パワハラの対応】
【パワハラの相談】
【加害者側の対応】
「新入社員は朝早く出社しろ」という発言について
「新入社員は朝早く出社しろ」という発言は、よくあります。
このような発言がよくされるのには、会社側に大きな理由があります。
つまり、新入社員が早朝に出社することには、会社にとってメリットがあるのです。
発言の裏にある意図が、次のようなものなら、必ずしも違法ではありません。
- 早く仕事をおぼえて、一人で活躍してほしい
- 上司の指示なく仕事ができるようになってほしい
- 仕事に対し、十分なやる気を見せてほしい
新入社員のうちは、「上司の命令をすべて聞くべき」という心がけもとても良いでしょう。
しかし、相手がブラック企業だと話は別。
このような姿勢が悪用され、パワハラの餌食になってしまいます。
新入社員を使い倒す会社が「朝早く出社しろ」と命じるとき、発言内容が同じでも背景の意図は、もっと悪質。
- 早朝に出社し、給料や残業代なしに働いてほしい
- 他の社員のやりたくない仕事(掃除、鍵当番など)をしてほしい
- きついノルマや納期(締め切り)で追い込みたい
素直で世間知らずな新入社員のうちに教育し、ブラックな扱いも当たり前だと受け入れさせようとします。
早朝出社を強要する発言が「誰の利益のためなのか」をよく検討しなければなりません。
労働トラブルは、弁護士に相談できます。
労働問題に強い弁護士の選び方は、次に解説しています。
早朝出社の命令がパワハラなら、従う必要はない
パワハラとなる違法な命令を繰り返す会社だと、すべての命令を聞いては疲弊します。
精神的、肉体的なダメージが積み重なる前に、パワハラは拒否せねばなりません。
「朝早く出社しろ」という言葉もまた、パワハラに利用されます。
新入社員への早朝出社の強要が、違法なハラスメントなのは、次の例です。
適切な業務命令か、違法なパワハラかは、慎重に判断すべき行動すべきです。
新入社員ほど妄信的に従いがちですが、貢献や成果がなくても違法なパワハラは許されません。
違法なパワハラで、うつ病や適応障害などの精神疾患になったら、慰謝料を請求できます。
新入社員で、パワハラの判断が一人では難しいとき、ぜひ弁護士に相談ください。
★パワハラの法律解説まとめ
【パワハラの基本】
【パワハラの証拠】
【さまざまな種類のパワハラ】
- ブラック上司にありがちなパワハラ
- 資格ハラスメント
- 時短ハラスメント
- パタハラ
- 仕事を与えないパワハラ
- 仕事を押し付けられる
- ソーハラ
- 逆パワハラ
- 離席回数の制限
- 大学内のアカハラ
- 職場いじめ
- 職場での無視
- ケアハラ
【ケース別パワハラの対応】
【パワハラの相談】
【加害者側の対応】
必要性なく早く出社させる場合
まず、業務上の必要がなければ、業務命令といえど違法です。
仕事で必要でないのに、「新入社員だから」というだけで毎日早朝出社させるのはパワハラの疑いあり。
正しくは、仕事が終わらない場合など、多忙な時期に限定して早朝出社を命じるべき。
そして、それほど必要性が高いなら、新入社員に限らず、上司も早く出るべきです。
精神論・根性論を押し付ける場合
無意味な早朝出社を命じられる理由には、精神論や根性論のケースがあります。
しかし、新入社員への精神論、根性論の押し付けは、パワハラの典型です。
新入社員といえど、「やる気」「姿勢」といった抽象的な評価軸はふさわしくありません。
能力や成果など、客観的に見える形での評価でなければ、パワハラになってしまうからです。
パワハラ的な発言を受けたら、必ず録音し、証拠に残してください。
少しの遅れに厳しく注意する場合
「新入社員を教育する」など、早朝出社の目的は正しくても、厳しすぎるとパワハラになります。
精神論、根性論の先行する会社では、少しの遅れでも厳しく注意するケースがあります。
「新入社員の分際で、上司より早く来ないのはけしからん」といった叱責の例です。
しかし、あまりに理不尽な叱り方は、パワハラになって当然。
たとえ早朝出社に一定の合理性があれど、次のような注意は違法です。
- 早く出社しなかった新入社員を「問題社員」扱いする
- 早く出社しなかったのを理由に暴言を吐き、罵倒する
- 出社の遅かった新入社員の評価を下げる
- 出社の遅かった新入社員の名前を発表する
そもそも、始業時刻にさえ間に合えば、遅刻ではありません。
早出残業もまた、命令が適切にされれば有効ですが、残業代を払わないサービス早出は違法です。
嫌がらせ的に早朝出社させる場合
業務命令も、その目的が嫌がらせならば、違法なハラスメントです。
その典型が、「問題社員というレッテルを貼った社員のみ、早朝出社を命じる」という例です。
適法な業務命令は、平等で、公平でなければなりません。
新入社員全員が早く出社させられるなら、「教育」「訓練」の側面もあるでしょう。
しかし、狙い撃ち的に早く出社させ、負担をかけようとするのは嫌がらせです。
自分だけが早く出社するよう命じられたときには、特に、業務上の必要性があるか、よく検討してください。
業務以外の目的でする早出の命令は、違法なパワハラです。
労働問題の疑問は、弁護士の無料相談で解消できます。
朝早く出社すれば残業になる
残業は、法律用語では「時間外労働」と呼びます。
その名のとおり「時間外」ならば、終業後だけでなく始業前も、残業にあたります。
したがって、朝早く出社し、労働したなら、その時間は残業になります。
終業時刻後に居残って仕事をするのが残業にあたるのは、会社も周知の事実。
しかし、そのことを悪用し、「新入社員だから早く出社しろ」と命じられるとき、違法なパワハラから逃れるためにも「始業前の朝の労働もまた、残業になる」という基本を理解しておきましょう。
このとき「1日8時間、1週40時間」の法定労働時間を超える労働について、労働基準法は、通常の給料の1.25倍の割増賃金(いわゆる残業代)を払うことを、会社に義務付けています。
なお、新入社員で、始業時刻すら不明なときは、雇用契約書か就業規則を確認してください。
労働時間がわからないなど、大切な労働条件の説明がないなら、それだけで違法です。
新入社員が自発的に早く出社しても、働いたなら残業になる可能性が高いです。
仕事量や期限などの関係で早く出ざるをえないなら、会社が黙認していたといえるからです。
新入社員の仕事の進みが遅いのは当然。
「押し付けるだけ押し付けて残業させない」は違法です。
新入社員に早朝に労働するよう強要し、残業代を払わない会社は、違法なブラック企業でしょう。
残業が未払いなら、まずは弁護士に相談ください。
新入社員でも「無償奉仕」「修行」は不要
以上のとおり、早朝労働するときは、たとえ新入社員でも違法の可能性を念頭に置くべきです。
パワハラにあたらないか慎重にチェックし、たとえパワハラでなくても残業代を受けとれます。
早い出社を断ったり、その分の残業代を請求したりすると、上司から目をつけられることがあります。
「新入社員のくせに生意気だ」「まだ貢献していないし教えてもらう立場なのに」など、もっともらしい注意指導を受けてしまうケースもあります。
しかし、新入社員だからといって、「無償奉仕」「修行」を強要されるわけはありません。
「新入社員だから修行しないと」というのは、新入社員が自発的に考えるべきこと。
会社から押し付けられるものではありません。
古い体質の会社では、新入社員に雑用が押し付けられていることもあります。
早朝の社内清掃、お茶くみ、デスクふき掃除、鍵の開け締め(鍵当番)、調整の準備など……
ある程度の雑用をこなすのは、しかたないケースもあります。
しかし、それらはいずれも業務であり、新入社員のやることだからと軽んじられるのはおかしなこと。
当然ながら「使用者の指揮命令下に置かれる」と考えられ、労働時間であり残業代が生じます。
残業代請求では、「労働時間」の定義を知る必要があります。
まとめ
今回は、新入社員が受けがちな、違法な処遇について解説しました。
新入社員ではじめての経験ばかりだと、自分の扱いが違法かどうかすら判断つかないでしょう。
本解説を参考に、パワハラや残業代未払いなど、労働法違反を避けなければなりません。
「新入社員は朝早く出社しろ」というのは、精神論、根性論であり、あまり合理性はありません。
まして、残業代を未払いのまま、サービス残業を強要するのは、たとえ新入社員でも違法。
「まだ会社に貢献できていないから」と遠慮する必要はありません。
仕事の内容や成果にかかわらず、たとえ早朝であっても、長く働けば残業代を請求できます。
- 「新入社員は朝早く出社しろ」は、パワハラまたは残業代未払いで違法となる可能性大
- 違法な業務命令なら、新入社員だからといって従う必要はない
- 決められた業務時間より早く出社して働いたら、残業代を請求できる
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【さまざまな種類のパワハラ】
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- 仕事を押し付けられる
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