ブラックバイトの法律相談が増加しています。ブラック企業は、安価な労働力としてアルバイトを酷使する傾向にあり、若年層や学生を中心にブラックバイト被害が深刻な問題となっています。
ただでさえアルバイトやパートなどの非正規は、正社員より低い労働条件、過酷な労働環境や不当な待遇に苦しめられることが多いですが、ブラックバイトだと更に扱いはひどくなります。ブラックバイトの特徴や事例を理解し、間違って入社しないようにするのが適切な対応策です。ブラックバイトの被害者にならないよう、自己防衛は必須です。
今回は、ブラックバイトの特徴や具体例、対応策を解説します。被害を受けないようブラックバイトを見極め、万が一入社してしまったら労働問題の責任を追及することで対抗しましょう。
- ブラックバイトでは、残業代、不当解雇、パワハラなど多くの問題が起こる
- 飲食店やコンビニなど、ブラックバイトになりやすい業種に注意すべき
- ブラックバイトによくある求人の特徴を知ることで、事前に見極めるのが重要
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ブラックバイトとは
まず、ブラックバイトの意味や背景など、基本的な知識を解説します。
ブラックバイトは、特に若年層や学生など、若者をターゲットにしてきます。自分の応募しようとしている会社や現在の勤務先がブラックバイトではないかどうか、よく注意が必要です。
ブラックバイトの意味
ブラックバイトとは、違法な就労が常態化しているアルバイトのことを指します。ブラックバイトではバイト社員は軽視され、過酷な労働条件、劣悪な労働環境で働かされる結果、残業代やハラスメント、ひいては不当解雇などといった多くの労働問題の被害を受けてしまいます。
ブラックバイトは「被害者がアルバイト」という以外はブラック企業の問題と変わりません。むしろアルバイトだからこそ、正社員より立場が弱く、文句を言いづらく、不当な処遇を我慢して問題を悪化させがちです。このような「バイトの弱さ」に漬け込むブラックバイトは、次の流れで労働者を追い込み、酷使し、そして使い捨てます。
- 良さそうに見える求人で応募を誘う
- 入社してみると求人内容と違う劣悪な労働条件に驚かされる
- 適切な残業代は払われず、安価な人件費で働かされる
- 長時間労働を強要される
- 従順でない素振りを見せるとパワハラを受ける
- 体調を崩すなどして働けなくなったら退職勧奨や解雇で辞めさせる
以上のブラックバイトのやり方は、労働法に違反し、違法であることが明らかです。
「労働問題の種類と解決策」の解説
ブラックバイトが社会問題化した理由と背景
ブラック企業が横行した当初、犠牲になったのは正社員でした。その後、ブラック企業は搾取の矛先をアルバイトへと移し、ブラックバイトの問題となります。日本には終身雇用の慣行があり、長期雇用を前提として年功序列で給与が増えていく変わりに、解雇権濫用法理によって解雇は制限され、正社員は安定した地位を保証されていました。
正社員の保護が厚い結果、企業には「労働者保護が強すぎる」という思いが生まれます。人件費が高く、社員の地位が安定するほど経営に悪影響だと考える発想です。その結果、企業側の解決策として生まれたのが、正社員に比べて保護の薄いバイトやパート、派遣といった非正規社員を酷使し、安価な労働力によって利益を上げる方法、つまり、ブラックバイトです。
ブラックバイトの犠牲になるのは、学生や主婦など、社会経験が少ない弱い人です。そして、そのような立場の弱さが悪用されると、本来注力すべきだった学業や家事、育児といった他の活動にも悪影響が生じて、ダメージは更に拡大してしまいます。
「ブラック企業の特徴と見分け方」の解説
ブラックバイトは違法である
ブラックバイトは、労働者を軽視し、その権利を侵害します。そのため、残業代の未払い、ハラスメント、職場いじめや不当解雇といった労働問題が発生しやすくなっています。そして、これらの問題や、それを防止しないことは、違法であることが明らかです。
終身雇用制は崩壊し、正社員の保護も以前ほどではなくなりました。一方で、働き方は多様化し、「あえてアルバイトの働き方を選ぶ」という人も増えました。このような多様性を尊重し、労働者の権利を守るためにも、ブラックバイトの違法性を理解しなければなりません。
過去には「アルバイトは正社員になれない人が就く仕事」「学生や主婦など他に活動のある人がする仕事」とされた時代もありました。そうすると、たとえ軽視されても、その労働者にとってのバイトの価値がさほど高くないと、争わずに逃げてしまう人もいました。しかし現在はそうではありません。むしろ、ワークライフバランスや家庭の事情など、様々な理由であえてアルバイトを選択する人が増えた結果、ブラックバイトの問題は更に深刻さを増しています。
「労働問題に強い弁護士の選び方」の解説
ブラックバイトの特徴とよくある労働問題
次に、ブラックバイトの特徴について詳しく解説します。
ブラックバイトの特徴と、よく起こる労働問題を知れば、どのような仕事がブラックバイトなのかを理解し、あらかじめ回避することができます。
過剰な労働時間
違法な長時間労働や過剰労働が常態となっているのが、ブラックバイトの特徴です。
労働基準法では「1日8時間、1週40時間」の法定労働時間を超えて働かせることは許されず、例外的に36協定を締結し、残業代を支払った場合に残業させられるに過ぎません。バイトの社員には他にもすべきことがあり、決められた時間を超えて働くのが難しい人もいます。しかし、ブラックバイトは労働者の事情に配慮なく、長時間労働や深夜、休日の労働、無理なシフトを強要してきます。
このような傾向は、飲食店やコンビニなど、アルバイトにもかかわらず責任ある立場を任されやすい職種で顕著です。
休憩時間についての不当な扱い
労働基準法34条は、6時間を超えて働いた場合は45分以上、8時間を超えて働いた場合は60分以上の休憩を取得させる義務を定めます。しかし、ブラックバイトでは、法律で定められた休憩時間が与えられていなかったり、休憩中にも業務を指示され、十分な休憩を与えられなかったりといった特徴があります。
また、無理なシフトを強要された結果、シフト中に休憩がほとんどなかったり、終業時刻から次のシフトの開始までに休息を取れなかったりするのもブラックバイトの特徴です。
「休憩時間を取れなかった場合の対処法」の解説
低賃金や給料の未払い
最低賃金を下回る給料しか支払わないブラックバイトもありますが、最低賃金法違反であり、違法な扱いです。
明らかに最低賃金未満の低い給料は、求人の段階で回避できるでしょうが、ブラックバイトの手法は巧妙化しています。例えば、固定残業代やみなし残業を駆使して給料を高めに見せたり、違法なサービス残業を強要して対価なしに働かせようとしたり、最低賃金が上がっているのに昇給しなかったりといった手段で、低賃金での労働をせざるを得ない状況に追い込んできます。
給料が全く払われなかったり、遅れてしか支払われなかったりするケースもあります。
「基本給が低いことの違法性」「給料未払いの相談先」の解説
残業代の未払い(サービス残業)
ブラックバイトでは、残業代が正しく支払われないケースがあります。
アルバイトであっても、決められた時間を超えて働けば労働基準法にしたがった残業代を受け取れます。バイトだと、終業時刻に帰宅して残業代をもらわない人も多いですが、「アルバイトには残業代が発生しない」というのは誤った考え方です。アルバイトだからという理由で残業代を払わず、サービス残業させようとする会社は、ブラックバイトで間違いありません。
「残業代請求に強い弁護士に無料相談する方法」の解説
不当な労働契約の内容
ブラックバイトでは、不当な契約内容を押し付けられることもしばしばです。給与面だけでなく、労働基準法で義務付けられた休憩や休日、有給休暇といった労働者の権利が明らかにされていなかったり、いつ働き、いつ休めるかが曖昧だったりすると、正当な権利が守られません。
不当な労働契約のよくある例が、雇用契約に加入してもらえないケースです。アルバイトでも、週20時間以上働く場合は加入させる義務があり、雇用保険の未加入は違法です。
ブラックバイトの最悪のケースでは、そもそも雇用契約書すら存在せず、自身の労働契約の内容を全く確認することができないという人もいます。
「雇用契約書がもらえない場合の対処法」の解説
無理なシフト組みや急なシフト変更
学生や主婦のバイトなど、本業の合間を縫って空き時間で就労している人も多くいます。しかし、ブラックバイトは、個人の事情に関係なく無理なシフトを組んで酷使してきます。柔軟な調整を求めても、自社の利益を優先し、労働者には配慮しません。
シフトは本来、労使で話し合って合意で決めるものですが、ブラックバイトは一方的なシフトを押し付けます。最悪は、本業に影響するなど、労働者のダメージは深刻です。
一旦組んだシフトを急に変更するのもブラックバイトにありがちな問題です。一度合意したシフトを一方的には変えられませんが、ブラックバイトでは前日に突然指示されるなど、会社の都合で突然にシフトが変更されます。逆に、必要な人員が足りているとして、元々約束したシフトだけ働かせてもらえないケースもあります。
「休日出勤を断る方法」の解説
不当なノルマや重い責任を強要される
ブラックバイトのなかには、バイトには負わせるべきでない重い責任を押し付けるケースがあります。その最たる例が、高すぎるノルマです。ブラックバイトは、無理なノルマを課し、達成できない場合にペナルティがあったり、能力不足だと評価されて解雇されてしまったりします。
低賃金で、労働時間の短いアルバイトなのに、処遇は低いのに責任は正社員と同等に扱い、重い責任を押し付けようとするのがブラックバイトです。「バイトが店長の飲食店」というのが典型例です。同じ責任、業務を行うならば、同程度の賃金が保障されるべきであり、同一労働同一賃金の観点からも大きな問題です。
「ノルマ未達を理由とする解雇」「能力不足を理由とする解雇」の解説
パワハラやセクハラでバイトの人格を否定する
ブラックバイトでは、パワハラ発言、セクハラ発言が日常化しています。バイトを軽視しているために、正社員からひどい発言を浴びせられる場合のほか、疲弊したバイトを早く辞めさせようとして暴言罵倒を繰り返すケースもあります。
アルバイトに対して、上司である正社員から理不尽な要求や暴言、性的な言動がなされ、人格を否定されたならば、違法なブラックバイトで間違いありません。
「パワハラの相談先」「セクハラの相談窓口」の解説
アルバイトを辞めさせてくれない
ブラックバイトの犠牲になると、違法な労働は強制的に続きます。ブラックバイトを悪用する会社ほど、新たな人手の確保は難しく、人手不足に陥りがちです。そのため、一度抱えた人員は辞めさせてくれないので、ブラックバイトに入社すると辞められなくなってしまいます。
本来、労働者には退職の自由があり、法的には辞めることは可能なのですが、最低限の人員を酷使しようとするブラックバイトは、様々な手口で退職を拒否しようとします。「バイトを辞めたら損害賠償請求すると脅された」「代わりのバイトを見つけるまで辞めさせないと言われた」といったケースは、ブラックバイトの典型例です。
「会社の辞め方」の解説
退職強要や解雇で辞めさせられる
最後に、ブラックバイトの最終手段が、解雇です。ブラックバイトの犠牲になると、劣悪な労働環境で酷使され、労働者は疲弊します。いつまでも我慢できる人は少なく、いずれかの段階では辞めるしかありませんが、会社にとって都合のよい時期に辞めてもらい、人件費を節約するために、ブラックバイトは平気で解雇をしてきます。
解雇には厳しい制限があり、正当な解雇理由がない限り、違法な不当解雇として無効になりますが、ブラックバイトはそのようなことは気にせず、会社にとって不要だと考える従業員は、速やかに辞めさせようとしてきます。
「不当解雇に強い弁護士への相談方法」の解説
ブラックバイトの相談先
次に、ブラックバイトだったときの相談先について解説します。
ブラックバイトに入社し、放置していると不利益が拡大してしまいます。適切な相談先に連絡することで、労働条件の改善やブラックバイトへの責任追及を通じて、法的な保護を受けられます。
店長などの責任者
ブラックバイトの問題が店舗内で解決できるなら、店長に相談しましょう。例えば、シフトの調整や労働時間、休憩など、店長の裁量の範囲で配慮してもらえる可能性があります。店長が加害者のハラスメントなどの場合は、エリア責任者や人事部、会社の社長に相談するのも有効です。
ただ、店長も経営側の立場でブラックバイトに加担していたり、会社ぐるみでブラックバイトを容認していたりするケースでは、社内の相談では解決することができません。
「ブラック上司の特徴と対策」の解説
労働基準監督署
ブラックバイトの問題は、労働基準監督署に相談するのも有効です。労働基準監督署は、労働基準法などの法令を遵守させるために企業を監督する行政機関であり、ブラックバイトの問題のなかでも、給料や残業代の未払い、長時間労働による過労といったトラブルなら、企業に助言指導、是正勧告をして改善を働きかけてくれることが期待できます。
「労働基準監督署への通報」「労基署が動かないときの対処法」の解説
大学内の学生相談窓口
大学生や専門学生の場合に、学校の紹介などでブラックバイトに遭遇してしまったら、学内の相談窓口にも連絡しておきましょう。問題あるブラックバイトを行う会社が、学内でこれ以上求人することをストップさせ、新たな犠牲者を減らすことができます。
ハローワーク
同様に、ハローワークにおける求人に応募してブラックバイトに遭遇したなら、ハローワークにも連絡しておきましょう。ブラックバイトについて助言を得られるほか、求人内容とは異なる労働条件であったり、違法な労働環境を強要したりする会社に対しては、ハローワークでの求人をさせないようにすることがあります。
労働組合(ユニオン)
労働組合に加入している場合は、団体交渉を通じて労働環境の改善を図ることができます。労働組合は、個人での交渉が難しい場合に、労働者の権利を守るためのサポートをしてくれます。
アルバイトだと社内の労組に加入できないケースもありますが、社外の合同労組(ユニオン)に相談することで力になってもらいましょう。「ブラックバイトユニオン」のように、ブラックバイト問題に注力する労働組合も存在しています。
「労働組合がない会社での相談先」の解説
弁護士
ブラックバイトの問題は、弁護士に相談すれば、最も解決力の高いサポートを得られます。後述「ブラックバイトの対処法」のように、ブラックバイトの被害を少しでも回復するために、残業代や慰謝料を請求したり、損害賠償請求をしたり、退職代行を任せたりするならば、弁護士が最適です。
労働問題に精通した弁護士なら、法的な対応を必要とする特に深刻なトラブルについて、労働者の味方になって活動することができます。
「労働問題を弁護士に無料相談する方法」の解説
ブラックバイトの見分け方
ブラックバイトを事前に見分けることは、悪質な労働トラブルに巻き込まれないために非常に重要です。以下に、ブラックバイトを見分けるためのポイントを解説します。
ブラックバイトになりやすい業種や業界を知る
ブラックバイトの問題は、特定の業種や業界で特によく発生します。
ブラックバイトになりやすいのは、いわゆる「労働集約型」の業種です。以下の職種でブラックバイトが生じやすいのは、バイトを酷使して人件費を節約し、労働者にしわ寄せがいくほどに企業の利益が短期的に上がる傾向にあるからです。
飲食店のバイト
飲食店では、人件費カットが起こりやすく、バイトを中心に回る店舗が多いため、ブラックバイトが発生しやすい傾向にあります。個人経営の飲食店など、小規模な会社が多く、労働法の知識がないことも、飲食店がブラックバイトを生む要因となっています。
「飲食店の残業代」の解説
コンビニのバイト
コンビニでは、労働集約であるのは当然ながら、24時間営業の店舗が多いため、深夜労働が欠かせないものとなっています。コンビニ店員の多くはアルバイトでまかなわれ、長時間労働に加えて深夜労働によって酷使するのが、コンビニのブラックバイトの特徴です。
運送業のバイト
運送業は肉体労働であり、ドライバーの人手が不足しがちであるため、ブラックバイトになりやすい傾向があります。作業スケジュールがタイトで、肉体的に追い詰められやすく、荒っぽい言葉でハラスメントを受けるというエピソードをよく聞くのも特徴です。
「運送業の残業代」の解説
ブラックバイトの求人の特徴を知る
ブラックバイトの求人には特徴があります。求人の段階でブラックバイトにありがちな内容を知り、入社前に回避するのがポイントです。ただ、ブラックバイトだとバレると求人が集まらないので巧妙に隠そうとしますから、慎重に吟味してください。
- 極端に時給が高い
- 甘い誘い文句が並んでいる
例:「未経験歓迎」「簡単な作業で高収入」など - 労働条件が曖昧である
例:求人票に具体的な労働条件の記載がない、口頭でしか通知がないなど - 試用期間の扱いが悪い
例:試用期間が長すぎる、試用期間と本採用後の格差が大きいなど - 労働条件以外のメリットが強調される
例:「明るく元気な職場」「楽しい職場」など
面接でブラックバイトを見極める
求人の次に、見分けられるタイミングが採用面接です。ブラックバイトの場合、面接も特徴的です。次のような採用面接だった場合はブラックバイトを疑いましょう。
- 過度な圧迫面接、高圧的な態度
- 精神論や根性論を押し付けられる
- 面接時の質問を受け付けない、曖昧に答えてはぐらかされる
面接時に圧力を感じたり、不自然な要求をされたり、違和感を感じたりした場合、入社は取りやめるべきです。面接官の発言をよく聞いて、例えば「辞めるのは許さない」「シフトは絶対」といった不適切な言葉が出た場合には、警戒してください。
離職率や職場環境、雰囲気など、質問に回答するとブラックバイトだとバレてしまう質問には、本当にブラックバイトな会社は答えないでしょう。にこやかに対応しても、肝心の労働条件や疑問点などに正面から回答しない場合、ブラックバイトの危険があります。
「圧迫面接の違法性」の解説
先輩や友人の口コミを参考にする
入社前にブラックバイトに気付くために、友人や先輩のアドバイスも参考にしましょう。学生バイトでは特に、先輩や友人の話を聞いてバイトの評判を調査します。先輩の働いたことのある職場なら、経験や雰囲気を聞いて、ブラックバイトを避けることができます。
アルバイト経験者が口コミを投稿しているサイトやSNSで、企業の評判を調べるのも有効です。労働環境や待遇について悪評の多い企業は、ブラックバイトの可能性があるので避けるべきです。
「入った会社がブラックだった場合の辞め方」の解説
雇用契約書を必ず確認する
最後に、雇用契約書を必ず確認しましょう。入社時には、会社は労働者に対して、給料や労働時間をはじめとした重要な労働条件について書面で通知する義務があります(労働基準法15条、労働基準法施行規則5条)。そのため、入社するまで労働条件がわからないのは違法です。
ブラックバイトに入社してしまうと大きな不利益を被るため、契約内容をよくチェックし、本解説「ブラックバイトの特徴とよくある労働問題」のような問題がないか、最低賃金を上回っているか、勤務時間や休憩時間が適切かといった観点について、サインをする前に必ず確認してください。
「就業規則と雇用契約書が違う時の優先順位」の解説
ブラックバイトの対処法
しっかり見極めたつもりでも、残念ながら、入社してはじめてブラックバイトだと気付くケースもあります。最後に、ブラックバイトへの正しい対処法を理解しておいてください。
労働問題の記録を残す
まず、ブラックバイトで労働問題の犠牲になってしまったら、その記録を残すようにしてください。労働時間が長すぎる、賃金が安すぎる、本来すべき業務ではないものを指示された、社長や上司からハラスメント発言をされたといったトラブルを、できるだけ詳細に記録しましょう。
これらの記録は、ブラックバイトを酷使する会社と争う際、証拠として重要です。ブラックバイトで起こる問題はいずれも違法であり、その責任を会社に追及することで被害を回復する必要があります。
労働条件の改善を要求する
次に、ブラックバイトの問題が軽微である場合など、まだバイトを継続したい場合には、労働条件の改善を会社に要求することが考えられます。法律違反である点について、本解説を参考にして冷静に、かつ具体的に指摘することで、企業側にもリスクを感じさせることができます。
なお、後に紛争となった場合に備え、交渉の経緯についても記録を残しておきましょう。
職場を離れて新しい仕事を探す
最後に、ブラックバイトで状況も改善されない場合は、退職を検討するのも選択肢の一つです。精神的にも肉体的にも、限界が来てしまう前に決断すべきです。また、賃金や残業代に未払いがある場合には、そのまま我慢して働き続けることは金銭的にも損してしまいます。
ブラックバイトで働く人がいなければ、安価なバイトを酷使して利益を出すビジネスモデルは崩壊します。そのため、ブラックバイトに対抗する最善の策といってよいでしょう。アルバイトでも、雇用期間の定めがなければ、2週間前に申し出れば退職することができます(民法627条1項)。
また、雇用期間に定めのあるバイトも多くありますが、この場合には、やむを得ない事由があれば、期間の途中でも直ちに退職することができます(民法628条)。ブラックバイトであり、違法な労働問題が多くあるときは、そのことが退職の「やむを得ない事由」に該当すると考えられます。
「退職届の書き方と出し方」の解説
まとめ
今回は、ブラックバイトの特徴や対処法について解説しました。
ブラックバイトは、過酷な労働条件、不当な待遇を強いるアルバイトであり、特に学生や若年層が被害に遭いやすいため、注意が必要です。ブラックバイトを避けるには、求人情報や面接の対応をよく観察し、労働契約書を確認するなど、入社前に注意深くチェックすることが重要です。
また、ブラックバイトだと気付いたら、被害を最小限に抑えるためにすぐ辞めることが重要です。あわせて、受けた被害を回復するため、残業代や慰謝料などの請求も検討しましょう。「アルバイトだと保護されないのではないか」と泣き寝入りしてはいけません。一人で戦うのが難しい場合には、自分の権利を守り、安心して働くためにも、弁護士に相談ください。
- ブラックバイトでは、残業代、不当解雇、パワハラなど多くの労働問題が起こる
- 飲食店やコンビニなど、ブラックバイトになりやすい業種に注意すべき
- ブラックバイトによくある求人の特徴を知ることで、事前に見極めるのが重要
\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/