納期や締め切りが近いと、つい仕事が長引きがちです。
急な発注増や緊急対応で仕事が終わらないと、終電を逃してしまうケースもあるでしょう。
仕事で終電に間に合わないときも、労働者は損しないよう対応すべきです。
残業で終電を逃すと、翌日に疲れを残さぬよう、余計な出費がかさむかもしれません。
タクシー帰りやホテルへの宿泊といった出費は、会社負担になるでしょうか。
さらに、ブラック企業だと、会社に泊まり込んで残業しなければならないことも。
会社の経費として処理できないなら、少しでも出費を減らしたいでしょう。
しかし、そんな劣悪な環境で残業を強要されるのは、違法の疑いがあります。
今回は、仕事で終電を逃してしまった労働者が知るべき知識を、労働問題に強い弁護士が解説します。
- 終電を超える残業では、費用負担、残業代請求、残業の拒否などさまざまな労働問題がある
- 終電後のタクシー代、ホテル宿泊費は自己負担が原則だが、会社のルールによる
- 終電を理由に、残業を拒否できる可能性は高い(残業代が払われないならなおさら違法)
\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/
【残業代とは】
【労働時間とは】
【残業の証拠】
【残業代の相談窓口】
【残業代請求の方法】
仕事で終電に間に合わない時、検討すべきこと
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/09/money-coin.jpg)
仕事をしていると、どうしても終電を逃してしまうことがあります。
誰しも、1度くらいは経験があるのではないでしょうか。
こんな日常のなかにも、さまざまな労働問題が潜んでいます。
仕事で終電に間に合わないとき、考えるべきポイントは次のものです。
- 終電後のタクシー代は会社に請求できる?
- 終電後のホテル宿泊代は会社に請求できる?
- 会社に泊まり込むのは違法?
- 終電を理由に残業を断れる?
さらに、終電を逃すほど仕事をしていると、残業が生じている可能性は相当高いです。
しかも、深夜残業でしょう。
深夜残業は、午後10時〜午前5時までの労働について通常の給料の1.5倍の割増賃金をもらえます。
本来もらえるはずの残業代が払われていないなら、違法なブラック企業で間違いありません。
未払いの残業代を請求することが、今後のあまりに遅い残業を止めるきっかけになります。
残業代請求に強い弁護士への無料相談は、次に解説しています。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2016/08/keisan-300x169.jpg)
終電後のタクシー代は会社に請求できる?
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/09/tokei.jpg)
仕事で終電に間に合わなくなり、タクシーで帰宅せざるをえないことがあります。
労働者にとっては痛い出費ですが、会社の経費として負担してもらえないのでしょうか。
ここでは、終電後の仕事によってかかったタクシー代を会社に請求できるのか、解説します。
労働基準法に定めのない費用は、自己負担が原則
タクシー代は、仕事で終電を逃したという理由でも、自己負担が原則です。
実際にも、会社には言えず、自分で払っている人も多いでしょう。
終電を超えた深夜残業が強要されるブラックな会社だと特に、経費精算を言い出しづらいはずです。
労働基準法にも、タクシー代その他の経費支出について、法律上のルールはありません。
したがって、「労働者が請求できる」という根拠がない以上、自己負担なのが法律上の原則です。
会社のルールで支給されることもある
法律の原則だと支給されないタクシー代。
しかし、仕事で終電に間に合わないのにタクシー代が自腹では、頑張って働く人も減るでしょう。
そのため、やる気のある労働者への報いとして、タクシー代を払うルールとしている会社もあります。
タクシー代、宿泊費などの経費のルールは、就業規則、賃金規程に記載されます。
どのようなルールにするか、法律に定めがないのであくまで会社の判断です。
支給条件や時間、金額の上限や割合を定める例が多いため、勤務先の規程を確認してください。
また、規程に定めていなくても、個別の約束でタクシー代をもらえることもあります。
深夜残業を命じる際に「本日のタクシー代は払う」と社長が約束する例がこれにあたります。
就業規則と雇用契約書が違うとき、次の解説をご覧ください。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/01/hatena-hikaku-300x169.jpg)
終電後のホテル宿泊代は会社に請求できる?
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2018/03/ie.jpg)
終電に間に合わず、ホテルに宿泊するという選択肢もまた同じこと。
出費の痛さはタクシー代以上ですが、労働基準法に定めのない費用は、会社に請求できないのが原則です。
会社が労働者に払う義務のあるもの、つまり給料などは、労働基準法に定められています。
労働基準法は、労使関係のルールのなかでも、最低限度を決める法律だからです。
そのため、ここに定められていない費用を払う義務は、会社にはありません。
なお、後から会社に請求しようと考えるなら、できるだけ出費は減らしておきましょう。
会社の近くに住んでいるなど、タクシー代のほうが安いケースでは注意を要します。
あえてタクシーを使わずホテルに宿泊すると、会社に恩情を与えてもらいづらくなります。
宿泊代の金額も、可能なかぎり安いホテルを選ぶほうが、会社に払ってもらえる可能性を上げられます。
終電後に会社に泊まり込むのは違法?
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2022/05/nayamu.jpg)
終電を逃してしまった場合、会社に泊まり込むというのも1つの手です。
実際、「忙しい時期は家には帰れない」という人もいるでしょう。
タクシーを使ったりホテルに泊まったりするより、費用も安上がりです。
しかし、会社に泊まり込んでの残業は、労働者としても相当な無理をしているでしょう。
そのため、この解決法には、多くの労働問題が潜んでいます。
健康被害が生じる
まず、会社に泊まり込むと、健康被害が生じやすくなってしまいます。
忙しい時期に泊まり込むと、どうしても仕事を離れられず、結局朝方まで働いてしまうことも。
それでも翌日も仕事をせねばならず、心身が休まらず疲労が残ってしまいます。
このとき、残業時間そのものは、終電後しばらくで終えても、それ以上に大きなストレスです。
残業時間を把握しづらい
そして、終電で帰れず会社に泊まり込みになると、残業時間も把握しづらくなります。
帰れずにオフィスにいた時間のすべてが残業時間とは思えません。
しかし一方で、すべてが睡眠時間に充てられ、労働時間がまったくないのも不当な評価でしょう。
要は、会社に泊まり込んで働くと、何時までが「労働時間」と評価できるのか曖昧になってしまいます。
「労働時間」と評価されなければ、深夜手当をはじめ残業代は払われません。
結果的に、実際に労働していた時間より短く算出され、損してしまいます。
労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれた時間」。
泊まり込んで働いた時間も、明示ないし黙示の指示によるものなら「労働時間」です。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2022/07/sunadokei-1-300x169.jpg)
終電を理由に残業を断れる?
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2018/04/tokei.jpg)
終電に間に合わなくなってまで、自発的に働きたいという人はいないでしょう。
そこで次に、終電を理由に残業を断れるかどうかについて解説します。
終電後の残業は断れる
残業は、業務命令ですが、正当な理由があれば断れます。
終電の後も残業するよう命じることには、よほどの事情のないかぎり、正当な理由はありません。
まして、タクシー代やホテル宿泊代の補填など、配慮がなければなおさら拒否できます。
なお、法律の最低限の保護しか与えない会社では、労働者にしわよせがきます。
こんなブラックな会社で働いている自覚があるなら、無駄な出費を避ける努力はしておきましょう。
労働時間の調整を意識し、残業しても終電までには終わらせるに越したことはありません。
違法な残業命令の断り方は、次に解説しています。
残業代は必ず請求する
もちろん、終電過ぎまで仕事をすれば、その時間分の残業代が発生します。
特に、深夜残業(午後10時〜午前5時の残業)は、通常の給料の「1.5倍」をもらえます。
通常の残業が「1.25倍」の割増率なのに対し、労働者のストレスを加味して保護が厚くなっているのです。
残業代を受けとれるのは、労働者の権利です。
タクシー代やホテル宿泊費と違い、労働基準法上の権利なので、会社のルールによらず必ずもらえます。
「自発的に残って働いているから残業ではない」といった悪質な反論を許してはいけません。
なお、残業代はあくまで、労働時間の対価です。
仮にタクシー代やホテル宿泊費が払われたとしても、残業代の代わりにならないことに注意が必要です。
残業代の正しい計算方法は、次の解説をご覧ください。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2016/08/tokeijikan-300x169.jpg)
終電を超える残業が続くなら、弁護士に相談ください
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/07/businessman-book.jpg)
ここまでの対策を実践すれば、会社にとってもデメリットを理解してもらえます。
労働者に終電を逃させるほど残業させれば、会社にも不利益があると知らしめられます。
しかし、それでもなお、深夜残業の強要が止まらないこともあります。
終電を超えるほどの残業が、連日続くようであれば、それは会社の問題といわざるをえません。
残業が月80時間以上だと「過労死ライン」といわれます。
これを超えて働き、万一倒れたら、過労死として労災認定される可能性が高いです。
心身が悲鳴をあげる前に、弁護士に相談ください。
納期や締め切りがあるとき、お客様を相手にする仕事だと、労働時間を調整しづらいことがあります。
たまの繁忙期に、終電を逃し、タクシー帰りがあってもしかたありません。
しかし、ストレスのため込みが続けば、過労死の危険があると理解してください。
メンタルケアは、自己管理が大切で、危機に陥る前に自制しなければなりません。
弁護士は、労働審判や裁判など、法的な救済手段を活用できます。
労災の慰謝料請求、残業代請求などについて、アドバイスし、サポートできます。
![](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2017/10/keisan-300x169.jpg)
まとめ
![弁護士法人浅野総合法律事務所](https://roudou-bengoshi.com/wp-content/uploads/2022/03/asanosougou-zentai.jpg)
今回は、終電を逃した労働者の知っておきたい知識を解説しました。
追加の出費の扱いや労災、残業代など、終電に間に合わなかっただけで、さまざまな労働問題が絡みます。
終電に乗れない長時間労働が何日も続くと、健康被害が出て労災の犠牲になってしまうことも。
こうなると、タクシー代や宿泊費など、お金の問題だけではなくなる危険もあります。
終電を逃してまで働いて、お金も健康も失ったのでは良いことは1つもありません。
職場での働き方に疑問があるときや、現に過労にお悩みのとき、ぜひ弁護士に相談ください。
- 終電を超える残業では、費用負担、残業代請求、残業の拒否などさまざまな労働問題がある
- 終電後のタクシー代、ホテル宿泊費は自己負担が原則だが、会社のルールによる
- 終電を理由に、残業を拒否できる可能性は高い(残業代が払われないならなおさら違法)
\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/
【残業代とは】
【労働時間とは】
【残業の証拠】
【残業代の相談窓口】
【残業代請求の方法】