MENU
浅野 英之
弁護士
弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

→労働問題弁護士ガイドとは
★ 労働問題を弁護士に相談する流れは?

10時間労働の場合、休憩時間は何時間必要?1時間で足りる?2時間休憩でないと違法?

1日10時間労働を指示された場合、休憩が少ないと辛く感じる人も多いでしょう。

労働基準法上、法定労働時間の上限は「1日8時間」とされますが、残業があると1日の労働時間がこれより長くなることもあります。この場合、働く時間の長さに応じて休憩時間も増やしてほしいと考えるのは自然であり、以下のような不安を抱く人も少なくありません。

相談者

10時間労働に対して1時間の休憩で足りるのか

相談者

2時間休憩を取らせるのは違法ではないのか?

今回は、労働基準法のルールをもとに、10時間労働に必要な休憩時間と、違法となるケース・ならないケースについて、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 10時間労働の場合、休憩時間は最低1時間必要となる
  • 36協定がない、実際は休憩が取得できないといった場合は違法となる
  • 10時間労働は未払い残業代が生じやすいので、弁護士に確認すべき

\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/

目次(クリックで移動)
解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

\相談ご予約受付中です/

労働問題に関する相談は、弁護士が詳しくお聞きします。

ご相談の予約は、お気軽にお問い合わせください。

10時間労働の休憩時間は最低1時間必要

はじめに、10時間労働に必要な休憩時間について解説します。

結論、1日10時間の労働がある場合、法律上必要となる休憩時間は少なくとも1時間です。労働基準法34条は、労働時間が8時間を超える場合、1時間以上の休憩を与える義務があると定めています。「10時間働いて、休憩1時間で足りる?」「2時間休憩がないと違法では?」といった相談を受けることがありますが、1時間確保されていれば休憩のルールとしては問題ありません。

労働基準法における休憩時間のルール

労働基準法34条では、労働者の心身の負担を軽減するため、休憩時間のルールを定めます。

労働基準法34条(休憩)

使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

労働基準法(e-Gov法令検索)

したがって、このルールに従えば、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が必要です。

休憩時間には、①業務から完全に解放されている、②労働者が自由に利用できる、③労働時間の途中に一斉に付与する、といった原則があります。一見すると簡単なルールに見えますが、実務では正しく守られていないケースも少なくありません。

休憩時間の規定はあくまで最低基準であり、下回る会社には「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の刑罰が科されます(労働基準法119条)。就業規則や雇用契約に定めたとしても、労働基準法に反する内容は無効となるので注意が必要です。

休憩時間30分は短い?」の解説

労働時間が8時間を超える場合は1時間の休憩が必要(10時間でも同様)

労働時間が8時間を超える場合、少なくとも1時間の休憩が必要と解説しました。

「10時間労働」というのも、「8時間超」であることに変わりはないので、最低1時間の休憩が必要となります。労働基準法上は、労働時間が長くなったからといって、休憩時間が比例して増えるわけではありません。10時間労働だからといって8時間労働の場合よりも長い休憩が必要なわけではなく、このことは、9時間労働でも、11時間や12時間の労働でも同様です。

ただし、勤務時間が長くなり、拘束が長時間になるほど、社員の疲れは蓄積し、心身の負担も大きくなります。休憩のルールの観点からは適法でも、長時間労働が常態化して心身に不調を来した場合には、安全配慮義務違反の責任が生じる可能性があります。

安全配慮義務違反」の解説

10時間労働の職場で、2時間の休憩が設定される理由

10時間労働の職場で、会社が2時間の休憩を設定しているケースがあります。

これは、以下のような会社側の判断や業務の性質が理由となっています。

1日10時間拘束すると、法定労働時間である「1日8時間、1週40時間」を超えるため、残業代(時間外割増賃金)が必要となります。そのため、会社によっては残業代を抑えるために、休憩時間を2時間設けることがあります。

10時間拘束するとしても、途中で2時間の休憩を取るようにすれば、実労働時間は1日8時間以内であり、残業代を払わなくてもよくなるからです。

例えば、飲食業では、開店・閉店時刻付近に作業が必要となるのに対し、来店が少ない時間帯を「中休み」として長めの休憩を設ける運用がよく見られます。その他、運送業や建設業などでも、同様の業界慣行が取られる例があります。

このような職場だと、10時間の労働を毎日行わせてしまうと安全配慮義務違反となるおそれがあるため、労働者の健康への悪影響を避けるためにも、休憩を長めに取り、負担を軽減しようとする対応は適切だといえます。

ただし、「10時間拘束、2時間休憩」というのは、休憩のルールとしては適法で、残業代も生じないとしても、「職場に10時間いなければならない」という負担は相当重く、これによって健康を害した場合には、やはり安全配慮義務違反となるおそれがあります。

サービス残業は違法」の解説

10時間労働そのものは違法ではないが、不適切なケースはある

1日10時間働くこと自体は直ちに違法とはなりません。前述の通り、労働時間が10時間であっても、法定の休憩として1時間が確保されていれば、休憩時間のルールにも違反しません。

しかし、時間数が適法だったとしても、休憩が形式だけになっていたり、長時間の拘束が常態化していたりすると、労働者の心身に過度な負担がかかってしまいます。そのような状況下だと、社員の健康や安全は損なわれる危険があります。

「10時間労働が法的に問題かどうか」は、単に労働時間の長さと休憩の問題だけでなく、次章に解説するように、36協定の有無や休憩の取り方の実態、残業代の支払状況などを総合的に確認しておく必要があります。

労働基準法違反」の解説

10時間労働が法律違反となるケース

次に、10時間労働が法律違反となるケースについて解説します。

前章の通り、10時間労働そのものは違法ではないものの、労働基準法をはじめとした労働関係法令におけるルールを遵守していないと、違法となるケースがあります。労働者側でも、不利益を被らないように自ら確認しておく姿勢が重要です。

36協定を締結していない場合

36協定を結ばずに残業をさせることは違法です。

労働基準法は、原則として法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超える労働を禁止しています。その例外として、10時間労働のように、法定労働時間を超える勤務を命じる場合、会社はあらかじめ36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出なければなりません。

36協定に定める時間外労働には上限があり、原則として月45時間、年360時間を超えることができません(特別条項付きの36協定による例外あり)。

36協定の上限(限度時間)」の解説

休憩時間を適切に取得できない場合

形式上は1時間の休憩が設けられていても、実態として十分に取得できていない場合には、労働基準法違反となる可能性があります。

例えば、休憩中にも業務指示を受けたり、電話やメール対応を求められたり、すぐに業務へ戻れるように待機を命じられている状況では、労働から完全に解放されているとはいえません。

また、休憩を分割して与えること自体は認められていますが、1回あたりの休憩時間が極端に短い場合には、心身を十分に休められず、休憩の趣旨に反します。

休憩時間を取れなかった場合」の解説

10時間労働で1時間休憩なら残業代が必要

10時間労働の特徴として、会社の意図とは異なり、残業代の未払いが生じやすい点があります。

1日8時間を超えて働いた時間は時間外労働(残業)となり、残業代の支払いを要します。10時間労働で休憩が1時間の場合、実労働時間は9時間となり、1時間分の残業代が発生します。

ここで重要なのは、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」を指すということです。表向きは「休憩」とされても、実際は業務を指示されたり、接客や電話の対応が必要なのに黙認されていたりする場合、その時間は労働時間と評価される可能性があります。実際には休憩が取れていないまま働き続けているケースも少なくありません。

労働時間の定義」の解説

長時間労働が常態化している場合

繁忙期などで一時的に労働時間が長くなるのはやむを得ない場面もあります。

しかし、毎日のように10時間労働が続く状況は注意が必要です。長時間労働が常態化すると、疲れが十分に回復しないまま業務を続けることになり、過労や健康被害のリスクが高まります。このような状態が続いた結果、心身に不調を来した場合には、労災として認定されたり、会社に安全配慮義務違反の責任が生じたりする可能性もあります。

長時間労働による弊害は、労働基準監督署の指導や是正勧告の対象となることもあるので、労働者として辛く感じるなら、申告するのも一つの手です。

長時間労働の問題と対策」の解説

10時間労働で休憩が不足して「きつい」と感じたときの対処法は?

次に、10時間労働で休憩が不足しているときの対処法について解説します。

労働基準法はあくまで最低限のルールなので、実際の負担感や心身への影響にまで配慮しているわけではありません。そのため、必ずしも法違反でなくても、業務内容や職場の運用次第では限界を感じる労働者もいます。

「違法でないなら我慢するしかない」と諦めてはいけません。辛いと感じたときは、自分を守るために行動することが大切です。

STEP

勤務時間や業務内容を記録しておく

負担を感じる場合に重要なのは、実際の労働時間や業務内容を記録することです。記録があれば、労働の長さや休憩不足について客観的に示せるからです。

感覚的に「きつい」と感じても、記録がなければ、会社の相談窓口、弁護士や労働基準監督署、労働組合といった外部機関に相談する際、説得的な説明ができなくなってしまいます。例えば、タイムカードや勤怠システムの履歴に加え、PCのログや手書きのメモといった資料を集めておきましょう。

休憩が取れないことの証拠」の解説

STEP

信頼できる上司や人事に相談する

状況を整理したら、信頼できる上司や人事部へ相談するのが有効な対処法です。

社内で改善できるなら、外部に相談する前に問題を解決できます。相談する際は、就業規則や雇用契約の内容と、勤務の実態が一致しているかを確認することが重要です。「きつい」「限界だ」といった感情論ではなくなく、何時から何時まで働いているのか、休憩が取れていない時間帯があるのかといった事実を具体的に示しましょう。

労働時間そのものがすぐに変わらなくても、業務の割り振りや休憩の取り方など、現場の運用面で配慮してもらえるケースもあります。

就業規則の変更は勝手にできる?」の解説

STEP

労働基準監督署などの外部機関に助けを求める

社内で相談しても改善が見られない場合は、労働基準監督署などの外部機関に助けを求めることも検討しましょう。

労働基準監督署は、労働基準法をはじめとした労働関係法令が守られているかを監督する行政機関であり、労働者からの相談を受け付けています。相談は匿名でも可能であり、会社に知られずに現状を伝えることができる点が特徴です。

すぐに立ち入り調査が行われるとは限りませんが、相談内容によっては会社に対する指導につながるケースもあります。

労働基準監督署への通報」の解説

STEP

弁護士に依頼して残業代を請求する

未払いの残業代がある場合、弁護士に依頼して請求するのが最善です。

労働者からの申告がないことを前提に、サービス残業として賃金を支払わない会社は少なくありません。弁護士に相談すれば、法律や裁判例の知識を踏まえ、残業代がいくら請求できるかを具体的に判断してもらえます。交渉を依頼すれば、会社とのやり取りを自分で行う必要がなくなり、精神的な負担を軽減できる点もメリットです。

未払い残業代を請求する際には、勤務時間や業務内容を示す証拠が重要になります。どのような資料が証拠となるかや、その集め方を確認しておきましょう。

残業代請求に強い弁護士に無料相談する方法」の解説

STEP

労働環境を改善するために転職を検討する

最後に、労働環境や働き方を見直すことも重要です。

10時間労働が当たり前になっている職場では、短期的には対応できたとしても、長期的には心身への負担が大きくなりやすく、働き続けることによるリスクが高まります。

長時間労働が常態化した環境では、仕事のパフォーマンスや健康に悪影響が生じ、思うようにキャリアを積めないことも多いものです。長く安定して活躍したいなら、労働環境の改善を目的として転職を検討することも、現実的な選択肢の一つです。

長時間労働の相談窓口」の解説

10時間労働に関するよくある質問

最後に、10時間労働に関するよくある質問に回答しておきます。

基本的な知識を押さえておくことで、会社の説明が正しいかどうかを判断しやすくなります。

正社員なら10時間労働は普通のこと?

労働基準法のルールは、正社員であるか、契約社員やパートなどの非正規であるかといった雇用形態で変わるものではなく、全ての労働者に共通のものです。

「普通」「当たり前」「甘え」といった企業風土や業界慣習に流されることなく、法律に基づいて判断すべきです。むしろ、「正社員だから10時間働くのは普通だ」と言った発言は、違法なサービス残業の強要やパワハラに繋がる危険もあります。

サービス残業の黙認」の解説

バイトでも10時間労働のケースはある?

労働基準法の労働時間や休憩、残業に関するルールは、正社員か非正規かによって区別されません。そのため、アルバイトでも10時間働くこと自体は可能です。ただし、1日8時間を超えて働けば、たとえバイトでも残業代が発生します。

アルバイトや派遣社員の場合、「人手不足だから」「短期だから」といった理由で、残業代の支払いが軽視されやすいため、十分な注意が必要です。

アルバイトを掛け持ちしている場合、複数の職場を合計すると、結果的に1日の拘束時間が非常に長くなるケースもあります。

10時間のうち2時間の休憩を取れば法律上は残業が発生しませんが、職場に拘束される時間は長くなり、プライベートの時間が削られます。状況によっては睡眠時間を削らざるを得ないおそれもあり、心身への負担が大きくなります。

飲食店などでは、来店が少ない時間帯に長めの休憩を設け、拘束時間が長くなるケースも少なくありません。このような働き方は、残業代を含めた給料の支払いを抑えたいという会社側の都合によるものです。

アルバイトであっても、拘束時間や生活への影響を含め、無理のない働き方かどうかを冷静に判断してください。

アルバイトなのに異動・転勤を命じられたら」の解説

10時間労働で休憩が1時間半の場合は?

10時間労働で、休憩1時間半の設定ならば、労働基準法上は適法です。

法律上は、8時間を超える労働であれば1時間の休憩で足りるため、1時間半の休憩自体は問題ありません。この場合、1日8時間を超えた部分(30分)は残業に該当し、残業代を請求できます。

仮眠時間は労働時間にあたる?」の解説

11時間労働や12時間労働の場合の休憩時間は何時間必要?

11時間労働や12時間労働でも、休憩時間のルールは10時間労働と同じです。

労働基準法は、労働時間が8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければならないと定めるので、11時間や12時間働く場合でも、最低限必要な休憩は1時間です。

ただし、労働時間が長くなるほど時間外労働(1日8時間を超える残業)が増えるため、残業代の金額は大きくなります。また、長時間労働が続けば、心身の健康に悪影響を及ぼす危険が高まるため、労働者の健康への配慮は欠かせません。

過労死ライン」の解説

週休3日制なら10時間労働でも問題ない?

週休の日数に関わらず、1日の労働時間が8時間を超えれば残業代が生じます。

一方で、変形労働時間制を採用する会社では、例外的な扱いとなります。変形労働時間制には、1週間単位・1ヶ月単位・1年単位などの種類があり、適切に運用されていれば、特定の日に10時間働かせても残業代が発生しないことがあります。

例えば、月単位の変形労働時間制だと、閑散期の労働時間が短ければ、繁忙期の労働時間が8時間を超えても、残業代が生じない扱いも可能です。

変形労働時間制」の解説

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、「10時間労働」と休憩時間の関係について、法的な観点から解説しました。

10時間働いた場合に、労働基準法で必要とされる休憩時間は最低1時間であり、これは「8時間を超える労働」のケースと同じです。「2時間休憩を取らなければ違法」というルールはないものの、10時間拘束されているのに休憩が2時間を下回ると、残業代が生じることとなります。

また、休憩を取れていない、休憩中にも業務をしているといった場合、違法な長時間労働を強制されるおそれがあります。長時間の拘束が常態化すると、労働者に深刻な影響を及ぼします。

1時間の休憩が取れていて必ずしも違法ではなくても、「毎日10時間働き続けるのはきつい…」と感じるなら、早めに職場に相談して安全配慮義務を遵守してもらいましょう。また、違法な未払いがある場合には残業代を請求して、自分の身を守る必要があります。

この解説のポイント
  • 10時間労働の場合、休憩時間は最低1時間必要となる
  • 36協定がない、実際は休憩が取得できないといった場合は違法となる
  • 10時間労働は未払い残業代が生じやすいので、弁護士に確認すべき

\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/

目次(クリックで移動)