理不尽な転勤を命じられたとき、「仕事より自分の生活を優先したい」と考えるなら、退職するのも1つの手です。転勤に応じない社員は解雇されるのが原則的な対応である現実を踏まえると、転勤を命じられたことを理由に退職せざるを得ないと決断する方も珍しくありません。
一方で、転勤によって退職を余儀なくされたなら、少しでも不利益のないように進めたいことでしょう。退職の伝え方や進める手順にも多くの注意点があります。少なくとも、失業保険を有利な扱いとするため、会社都合の退職としたいところです。転勤を理由とした退職は自己都合が原則ですが、不当な動機や嫌がらせ、不利益に配慮しない転勤は違法となる可能性があり、会社都合にできる場合もあります。
今回は、転勤を理由に退職する方法と注意点、特に失業保険の扱いについて、労働問題に強い弁護士が解説します。
転勤を理由に退職することができる
結論として、転勤を理由に退職することは可能です。転勤は、しばしば、労働者が退職を考える十分な原因となります。次の理由で、転勤があったことで会社を辞めたいと考える人は多いものです。
- 雇用条件で転勤を予定していない
- 行きたくない田舎への地方転勤となった
- 採用面接で「転勤はない」と言われていた
- マイホームを購入してしまった
- 引っ越し資金が足りない
- 結婚して家庭を築いてしまった
- 子供の環境を変えたくない
- 扶養する配偶者(夫や妻)が難病を抱えている
- 介護の必要な親の近くに住んでいる
そもそも、雇用契約上予定されない方の転勤は、違法の可能性もあります。このとき、転勤を拒否して戦う方法もありますが、「一方的な転勤を命じる企業にこれ以上貢献できない」と考えるなら、転勤をきっかけに会社を辞めるのも1つの選択肢です。
そこではじめに、転勤によって退職を辞めることができる理由について、法的に詳しく解説します。
転勤を断ることはできないのが原則
多くの企業が、ビジネスや経営の必要から従業員に転勤を命じます。新卒で若手の正社員などは、転勤しながら多様な職種を経験し、知識とノウハウを身に着けるのが当然に予定されることも多いです。大企業や公務員など、規模が大きく全国展開する組織では、転勤はキャリアアップの一貫として非常に重要な役割を果たします。
転勤の命令権があるかは、雇用契約書や就業規則に定められています。適法な命令ならば原則として従わねばならず、転勤を断ることはできないのが原則です。「転勤したくないから」というだけで断ってはいけません。そして、転勤の拒否は、業務命令違反であり、懲戒処分を受けるおそれがあるほか、悪質な場合は解雇されてしまいます。
転勤を拒否できる例外的な場合
しかし、転勤を拒否できる例外的な場合も存在します。転勤の命令が違法な場合は、拒否できるのが当然です。
例えば、健康上の理由や家族の介護、子供の問題などといった個人的な事情でも、配慮がなければ労働者の不利益が甘受できないほど大きいときには、転勤は違法となるおそれがあります。また、嫌がらせや辞めさせる目的などといった不当な動機、目的に基づく転勤命令も違法であり、拒否することができます。
「転勤拒否の正当な理由」の解説
退職するのは労働者の自由であり理由は不要
転勤が断れる場面は限定されていますが、退職が許されるかどうかとは別問題です。そして、退職するのは労働者の自由であり、会社を辞めるかどうかについて、それぞれの人が自由に選択できる権利を保障されています。
労働者が自由に退職するのに、理由を会社に説明する必要もありません。したがって、転勤をきっかけに辞めるのだとしても、そのことを会社に知らせる必要もなく、ただ退職したいと伝えるのみで足ります。この場合、会社が同意するなら合意退職となりすぐにでも辞められますが、同意や承諾が得られずとも、退職の意思表示から2週間が経過すれば退職の効果が法的に生じます(民法627条1項)。
「会社の辞め方」の解説
転勤に従うのと退職とどちらがよいかの比較
次に、転勤に従うのと、退職するのとどちらがよいか、考慮すべき要素を比較して説明します。「転勤をしたくないので退職する」と伝えると、転職を引き止めるための条件を交渉してくる会社もありますが、メリットとデメリットを比較し、最終的には自分で選択することを心がけましょう。
転勤で労働条件が良くなるなどプラスがあるか
誰しも現状維持は楽であり、変化を好まないことが多いです。しかし、突然の転勤を命じられたとき、マイナス面のみを強調されると、誤った判断を招くおそれがあります。転勤で労働条件が良くなるなど、プラスの面やメリットも理解しておくことが、転勤に応じるか、それとも退職するかの判断を正しくする秘訣です。
転勤に応じて働き続けるメリットは、例えば次のものがあります。
- 新しいスキルを習得しキャリアアップの機会を得られる
- 出世コースに乗って将来の昇格が期待できる
- 転勤によって待遇がよくなる
- 地方転勤を受け入れることで手当が支給される
- 会社の経済的な援助が受けられる
- 新たな職場で人間関係を築き人脈を拡大できる
- 古い組織をリフレッシュできる
転職活動の難易度は高いか
あわせて、退職する際のデメリットも理解してください。転勤が嫌だからといって、逃げの姿勢で退職を選ぶのはお勧めできません。転勤をきっかけとして退職をすれば、その後は転職活動をすることになります。転勤を避けるために速やかに退職せざるを得ないとき、在職中の転職活動ができず、再就職の難易度が上がってしまう危険があります。
転勤を我慢して残っておけばよかった、という後悔を残さないためにも、将来の予測を立てておいてください。
退職金や失業保険がいくらもらえるか
最後に、転勤するのでなく、退職する場合のメリットとして、金銭的な利益がどれほどあるかについても検討しておいてください。タイミングによっては、退職することで大きな経済的メリットを得られる可能性もあり、この場合、退職時に受領できる金銭が選択の決め手になる方もいます。
特に検討しておく必要があるのが、退職金と、失業保険です。退職金は、転勤をきっかけにして自分の意に反した時期に辞めざるを得ない方にとって、今後の生活を支える重要な金銭となります。また、失業保険については、会社都合と自己都合とで大きく異なります。転勤による退職の雇用保険上の扱いについては次章「転勤を理由とした退職の失業保険における扱い」で解説します。
「退職金を請求する方法」の解説
転勤を理由とした退職の失業保険における扱い
退職後の生活保障として重要な失業保険。その給付において、自己都合退職か、会社都合退職かによって大きな差異があります。主な違いは給付制限期間(2ヶ月)の有無と支給額の上限であり、基本的に、会社都合の方が労働者に有利です。
退職による不利益を少しでも抑えるため、転勤を理由とした退職の失業保険における扱いをご理解ください。
転勤を理由とした退職は自己都合が原則
転勤を理由とした退職は、自己都合退職が原則です。というのも「転勤したくない」「引っ越ししたくない」といった気持ちから、労働者が自ら退職を言い出す流れになるからです。これに対して、会社都合になる典型例は、解雇、すなわちクビを始めとした、会社からの働きかけのあるケースです。
したがって、転勤に従いたくないので拒否して辞める、という場合、労働者が退職届を出して自主退職することとなり、失業保険においても自己都合の扱いとなるのが基本です。
「会社都合と自己都合の違い」の解説
転勤による退職が会社都合となる要件
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(厚生労働省)によれば、「事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者」の退職は、会社都合として扱われます。そして同基準は、この要件に該当する具体的なケースとして、次の4つの例を定めています。
- 採用時に特定の職種を遂行するために採用されることが労働契約上明示されていた者について、当該職種と別の職種を遂行することとされ、かつ、当該職種の転換に伴い賃金が低下することとなり、職種転換が通知され(職種転換の1年前以内に限る。)、職種転換直後(概ね3か月以内)までに離職した場合が該当します。
- 採用時に特定の職種を遂行することが明示されていなかった者であって一定期間(10年以上)同一の職種に就いていたものについては、職種転換に際し、事業主が十分な教育訓練を行わなかったことにより、労働者が専門の知識に発揮できる機会を失い、新たな職種に適応することが困難なため離職した場合が該当します。
- 労働契約上、勤務場所が特定されていた場合に遠隔地(通常の交通機関を利用して通勤した場合に概ね往復4時間以上要する場合。)に転勤(在籍出向を含む。)を命じられ、これに応じることができないため離職した場合が該当します。
- 権利濫用に当たるような事業主の配転命令がなされた場合
家族的事情(常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等の事情がある場合をいう。)を抱える労働者が、遠隔地に転勤を命ぜられたため離職した場合等が該当します。
したがって、転勤させられる理由を明らかに知るのは難しく、判断に悩むケースは多いものの、転勤が明らかに違法な場合だけでなく、異動や転勤に伴う不利益を緩和する配慮に欠けている場合もまた、会社都合にできる可能性が十分あることが分かります。
したがって、介護の必要な家族をもつ労働者を遠隔地に異動させるなど、労働者の不利益が大きすぎるケース、仕事がない部署に追いやり、無意味なレポートを作らされ罵倒されたケースなどは、失業保険について会社都合にしてもらえないか、よく検討しましょう。
「失業保険をもらう条件と手続き」の解説
転勤による退職が会社都合と判断される具体例
転勤による退職でも、会社都合と判断され、有利な条件で失業保険をもらえる場合もあります。
自己都合扱いされていても、以下の具体例にあてはまる場合は会社都合とするのが正解であり、会社と交渉して離職理由を変更してもらう必要があります。交渉に応じてもらえない場合はハローワークに異議申立てする方法も可能です。
会社都合になる可能性のあるケースについて、具体例で紹介します。
転勤命令が違法な場合
転勤命令が明らかに違法だといえる場合は、その命令によって辞めざるを得なくなってした退職は、会社都合と判断されます。転勤命令が違法な場合とは次の通りです。
- 労働契約によって予定されない場合
例:そもそも転勤なしの労働契約の社員の転勤、家庭の事情から転勤しないことを特別に約束していた社員の転勤、入社時の約束と異なる場合など - 業務上の必要性のない場合
- 不当な動機や目的のある場合
例:辞めさせることを目的とした転勤、反組合的な意図のある転勤など - 通常甘受すべき程度を著しく超える不利益のある場合
例:育児や介護の必要性が高度な社員の転勤など
なお、違法な転勤命令は、あきらめて退職する前に、まずは拒否する方法を試してください。転勤命令の裏に会社を辞めさせようという意図があったとしても、通常その意図は隠されているため、転勤を命じられたら慎重に対応する必要があります。
「違法な転勤命令を拒否する方法」の解説
退職勧奨があった場合
転勤を命じられると同時に退職勧奨があり、それに従って辞める場合には、会社都合の退職となります。例えば、「転勤を命じるが、応じられないなら会社を辞めてほしい」と告げられるケースです。なお、「会社を辞めないなら遠方にとばす」といった処分は、不当な命令の可能性が高いです。
形式的には退職勧奨の形をとり、任意の退職を促していても、実際は選択の余地がなく、違法な退職強要になってしまっているなら違法です。特に、転勤と組み合わせて退職勧奨の働きかけをされると、事実上応じざるを得ないプレッシャーを感じる方も少なくありません。退職させる目的で、あえて窓際に追いやるような転勤は、その後にした退職が会社都合になる可能性が高いのです。
「退職勧奨されたときの対応」の解説
入社当初の約束と異なるケース
会社は、労働者を雇用するときは入社時に労働条件を示す必要があり、就労場所の重要性から、書面で明示する必要があります(労働基準法15条、労働基準法施行規則5条)。そのため、入社当初に転勤を予定していなかったり、少なくとも転勤の可能性を示さなかった場合は、後に転勤を命じると入社当初の約束に反することとなります。
この場合、入社当初の労働条件と異なってしまう転勤命令を受けての退職は、会社都合と判断され、失業保険で有利な扱いを受けることができます。
「口頭の雇用契約」の解説
パワハラをともなうケース
転勤そのものが明らかに違法とまでは言い切れずとも、理不尽だと感じるとき、それはハラスメントに該当する可能性があります。セクハラやパワハラなど、ハラスメントを伴う場合、直接の理由は転勤に応じられないことだったとしても、会社都合の退職となる可能性があります。
転勤をはじめとした異動や配置転換は、「人材の有効活用」という正当な目的があるからこそ許されるもの、目的を仮装し、転勤するとこれまでの長年の知識経験を生かせず、居心地も悪いといった場合には、ハラスメントでないかどうか、よくご検討ください。暴力や脅迫など身体的行為のある典型的なパワハラだけでなく、転勤の場合にありがちな、過小な仕事しかあたえない、職場いじめで人間関係からはずす、といった行為もハラスメントにあたり、問題のある行為です。
「パワハラの相談窓口」の解説
減給をともなうケース
減給を伴う転勤の場合にも、その後の退職が会社都合となる可能性があります。
異動や転勤で、担当する職務が変化したり、転勤先に同じ役職がなくて降格処分とされたりすると、単に働く場所が変わるだけでなく、仕事の内容も大きく変化し、給料を下げられるケースがあります。このとき85%以下の賃金に下げられたことを理由とする退職は、異動や転勤とは無関係に、会社都合の扱いを受けられます。
なお、一方的な減給は違法な場合もあるので、給料を下げられて納得いかないときは弁護士にご相談ください。
「減給の違法性」の解説
転勤を理由に退職する際の注意点
次に、転勤を理由に退職する際の注意点について解説します。
転勤による不利益を最小限に抑える努力をする
まず、転勤に応じかどうか迷う場合に、転勤による不利益を最小限に抑える努力をあらかじめしておくべきです。予想外の転勤の辞令に遭ったとき、その不利益を大きく評価しすぎると判断を誤る危険がありますが、前章「転勤に従うのと退職とどちらがよいかの比較」の通り、転勤にも一定のメリットはあります。
少なくとも、転勤に応じるなら転勤先での挨拶をしっかりとし、働きやすい職場環境を整える努力を労働者側でもすべき。また、内示や辞令の出るタイミングが会社ごとに予想できるなら、予測される将来の転勤を考慮にいれたライフプランを計画的に進めるのもよいでしょう。例えば、4月に内示が出て6月に辞令があるという決まりの会社で、マイホームを買うなら念のため夏以降にすべきです。
退職理由の伝え方に注意する
転勤を断って辞めるにしても、退職を伝える方法や、その際の退職理由の伝え方には十分な注意を払うようにしてください。転勤に応じず辞める場合にも、会社と戦う意思まではないのであれば、円満に退社する方がダメージが少ないからです。
退職理由をあらかじめ伝えるメールや退職届の例文は、次の書き方を参考にしてください。感情的にならず、感謝を述べながら、一方で、退職の意思については確定的に伝えるのがポイントです。
件名: 退職のご挨拶とお礼
いつも大変お世話になっております。XX部の◯◯です。
私事で恐縮ですが、この度の転勤に応じることができないと判断しましたので、誠に残念ながら20XX年XX月XX年日をもって退職することを決断いたしました。このような形でお別れを告げることになり心苦しい限りですが、ご理解いただけますと幸いです。
当社での勤務は、私にとって非常に充実したものでした。社長や上司をはじめ多くの仲間との出会い、共に取り組んだ数々のプロジェクトは、私のキャリアにおいてかけがえのない経験となりました。ここで学んだこと、経験したことは、今後の人生においても大きな財産となることでしょう。
今後の引き継ぎは可能な限りスムーズに進められるよう最善を尽くします。また、何かお手伝いできることがございましたら遠慮なくお申し付けください。最後になりますが、これまでのご指導と温かいご支援に心から感謝申し上げます。離れてしまいますが、会社のさらなる発展と皆様のご健康を心よりお祈りします。
退職のルールには法律上、2週間前の意思表示が必要であり、かつ、就業規則において1ヶ月や3ヶ月前など、これより長い予告期間を要すると定める例も少なくありません。社内のルールよりも法律が優先するため、必ず守らねばならないわけではないものの、転勤が事前にある程度予想できているなら、業務引継ぎなどはきちんとして、迷惑をかけずに辞めるに越したことはありません。
「退職届の書き方と出し方」の解説
不当解雇されないように注意する
転勤が嫌で、拒否するために退職するにしても、退職日までは社員のままです。会社の立場からすると、理論的には、退職日までであれば解雇することができます。とはいえ、理論的に可能だというだけであって、解雇は無制限に許されるわけではなく、正当な理由がなければ違法な不当解雇です。
転勤を理由に退職する場合に難しいのは「転勤を拒否する社員は解雇されやすい」からです。そのため、転勤を命じられてから、退職するまでの間に不当な解雇を受けてしまわないよう細心の注意を払わなければなりません。万が一、不当解雇の犠牲に遭ったら、速やかに弁護士に相談ください。
「解雇される前に退職する方法」の解説
転勤を理由に退職を検討する方からのよくある質問
最後に、転勤を理由に退職を検討する方からのよくある質問に回答しておきます。
転勤を命じられることは、しばしば退職をするきっかけとなりますが、応じるにせよ辞めるにせよ、大きなストレスなことに変わりはありません。少しでも損しないよう、本解説を読んで疑問や不安を解消してください。
転勤を拒否して退職することができる?
転勤は原則として拒否できず、例外的に、転勤命令が違法な場合に限って拒否することができます。とはいえ、転勤をしたくないことを理由に退職するのは労働者の自由です。会社を辞めるかどうかは労働者の自由な意思によるものであり、退職理由は問われません。そのため、転勤が嫌なら退職するのも全く自由に可能です。
転勤に応じた後で退職することができる?
一旦は転勤に応じても、転勤先の職場の雰囲気になじまなかったり、上司が合わなかったりしたとき、その後に退職することも可能です。このとき、転勤先で退職することとなるので、転勤先部署の誰に、どのように伝えるべきかは、退職の決断が固まった際に早めに調べておいてください。
望まない転勤を理由とした退職の雇用保険上の扱いは?
転勤をしたくないときは退職は自由であるものの、その場合の退職は基本的には自己都合退職です。自己都合より会社都合の方が失業保険の面で厚遇されるため、会社都合にできる方法がないかはよく検討してください。
その転勤が違法であったり労働者の望まないものであったりするときや、受ける不利益が大きいときは、会社都合の要件に該当する場合もあるからです。
転勤によるストレスの責任は会社に追及できる?
転勤によってストレスを感じるなら、転勤そのものや、転勤後の職場環境には、違法な労働問題が存在する可能性があります。残業代の未払いやハラスメントなど、そのストレスや働きづらさについて使用者側に原因があるなら、責任追及することが可能です。
この責任追及は、会社が労働者に対して負う安全配慮義務違反を理由とした慰謝料その他の損害賠償請求の方法によって行います。転勤を理由として退職した後でも、在職中の責任を追及できます。
転勤したことは履歴書に書く必要がある?
異動や転勤をしたことは履歴書に書く必要はありません。履歴書に記載する職歴は、法人単位で所属先を記載するのみでよいからです。ただし、職務経歴書には、部署や役職、担当職種を詳しく書くべきであり、この際、転勤による部署変更、職務の変更についても記載するのが通常です。
転勤や退職の際に管理職の地位は保証される?
転勤や異動は、働く場所や職務の内容が変更されるに過ぎず、地位や給与は維持されるのが基本となります。転勤だけでもマイナスなのに、降格や減給を伴うと、更に不利益が大きく、その転勤は違法の可能性が高まります。
これに対し、転勤には応じず、退職して転職する場合に、その地位や給与が維持されるかは転職活動が成功するかどうかによります。前職の給与や役職を参考に採用してくれる企業に入社できれば、キャリアアップを図れます。
まとめ
今回は、理不尽な転勤を命じられ、退職せざるを得なくなったときの対処法を解説しました。
危機的な事態においても冷静に、「転勤に応じた場合」と「退職する場合」を比較し、後悔のない決断をしてください。それぞれにメリット、デメリットがあるものの、転勤に応じず会社を辞めた場合に、将来の不安が生じるでしょうから、失業保険をどれだけもらえるか、会社都合か自己都合か、といった点は重要な判断要素となります。
また、異動や転勤の命令は、違法な場合もあります。会社の主張を鵜呑みにせず、慎重にご検討ください。違法な命令は従う必要がなく、労働審判や訴訟で争い、現在の職場で働き続けられる地位の確認を目指すことができます。そして、違法な転勤によって辞めざるを得ないなら、少なくとも失業保険は会社都合にすることができます。
直ちに従うことのできない転勤を理由に退職を検討する方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
【失業保険の基本】
【離職理由について】
【失業保険をもらう手続き】
【失業保険に関する責任】