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痴漢で懲戒解雇された時の対処法。「痴漢で逮捕=クビ」は違法?不当?

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痴漢の疑いをかけられて逮捕された場合、最短でも逮捕期間の「72時間」、最長で勾留期間を合わせた「23日間」、否認して起訴された場合、更に裁判期間「数か月」の身柄拘束を受けるおそれがあります。

この間、会社には、「痴漢をした犯罪者」という疑いの目で見られ続けることとなります。本来、起訴されて有罪判決を受けるまでは、「無罪の推定」を受けるのが法律の原則ルールです。

しかし、使用者(会社)側から見ると、「痴漢で逮捕された。 = 痴漢を犯した。」という考え方にどうしてもなってしまいがちです。

そのため、まずは会社に発覚する前に身柄拘束から解放されるよう努力するわけですが、身柄拘束が長引いた場合には、「痴漢で逮捕された。」ことが会社にバレ、社内での処分を受けることとなります。

会社によっては、「犯罪行為を行ったこと」が就業規則上の懲戒解雇事由として定められていることも少なくなく、これを適用して、「痴漢で逮捕された。」ことを理由に懲戒解雇されるおそれもあります。

今回は、痴漢で逮捕されたことを理由に行われた懲戒解雇の有効性と、労働者側の対応方法について解説します。犯罪行為を犯した場合、刑事弁護を依頼すると共に、労働問題に強い弁護士へ、会社対応のご依頼をいただくことが有効です。

1. 「痴漢で逮捕」が該当する懲戒理由は?

「痴漢で逮捕された。」ことを理由に会社内で処分を受けた場合には、まず、使用者(会社)が労働者(あなた)に対して、その理由で、その処分をする権利があるかどうかを確認してください。

懲戒解雇を行うためには、就業規則において、次の2点が明確に規定されている必要があります。

  • 懲戒理由
  • 懲戒理由に該当した際に行うことのできる懲戒処分の内容

特に、懲戒解雇は、労使関係における「死刑」ともいわれるべき重大な処分であり、労働者の将来のキャリアを無にする可能性すらある、不利益の大きい処分ですから、慎重な手続きを踏む必要があります。

就業規則における懲戒理由の条項に、次のような記載のある会社が一般的です。

懲戒処分に関する就業規則の規程例
  • 犯罪行為を犯し、会社の体面を著しく汚したもの
  • 犯罪行為によって有罪判決を受けたもの

このような規定が就業規則の設けられている場合に初めて、痴漢で逮捕した労働者に対して、懲戒解雇をもって処遇することを検討することができるわけです。

就業規則において、「痴漢で逮捕された。」ことを理由に懲戒解雇とすることのできる根拠となるような、当てはまる懲戒理由の規定がない場合には、そもそも「痴漢で逮捕された。」ことを理由として懲戒解雇を行うことは許されません。

注意!
  • 「痴漢行為によって逮捕された。」こと自体を直接の懲戒理由とするのでなく、これによって就労が不可能となったことを、別の処分で問題にすることは可能です。
  • 「その他、当社の企業秩序を著しく侵害する行為」といった一般条項に該当する可能性があります。

2. 私生活上の犯罪を理由とする懲戒解雇は有効?

懲戒解雇であっても、解雇一般の規制として、「解雇権濫用法理」というルールによる制限を受けます。つまり、使用者(会社)が労働者(あなた)を解雇できる場合は、非常に狭く制限されているということです。

解雇権濫用法理によって、懲戒解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会的に相当でなければ、不当解雇として違法、無効となります。

特に、「痴漢行為を実際には行っていない。」、いわゆる冤罪事件のケースでは、痴漢行為を否認すればするほど身柄拘束期間が長くなる傾向にあります。

労働者の冤罪被害に対して、会社が一律に懲戒解雇の処分を行うとすれば、「痴漢行為を実際には行っていない冤罪被害者ほど、職場への復帰が困難である。」という不当な結論となり、妥当であるとは思えません。

2.1. 「痴漢で逮捕」は懲戒解雇の客観的に合理的な理由?

痴漢行為は許されないことですが、会社の業務に必ずしも直接関係する行為ではありません。

むしろ、通勤途中であったとしても、痴漢行為は、あくまでも労働者のプライベートで起こった行為です。「私生活上の行為」であるといえます。

これに対して、懲戒解雇は、「企業秩序を遵守する義務」という労働者の義務への違反に対する制裁です。プライベートで起こった犯罪行為について、いかに悪質であったとしても、即座に懲戒解雇としてよいわけではありません。

すべての私生活上の犯罪行為に対して、懲戒解雇が有効と判断されるわけではありません。

懲戒解雇を行うためには就業規則に「懲戒理由」と「懲戒処分の内容」が明記されなければならないわけですが、就業規則はあくまでも会社内のルールです。労働者は、労働時間以外の時間は、会社のルールから解放されています。

参考

過去の裁判例の中には、「痴漢行為で身柄拘束を受けたとしても、予測される職場の混乱は比較的軽微である。」として、懲戒処分を無効としたケースも実際に存在します。

2.2. 「痴漢で逮捕」は懲戒解雇の社会的相当性を満たす?

懲戒解雇が「極刑」「死刑」ともいうべき非常に重大な処分であることも考え合わせれば、容易にはその有効性は認められません。

軽微な違反に対して懲戒解雇をする場合には、「社会的相当性がない。」として不当解雇であると判断されることとなります。

これは、会社が「就業規則にそのように書いてあるので。」と主張しても通りません。「逮捕された労働者はすべて懲戒解雇する。」という就業規則は、裁判所で「公序良俗違反で無効」と判断されるでしょう。

したがって、私生活上の犯罪行為に対する懲戒解雇が有効であるのは、企業秩序を侵害するほどの重大な悪影響を会社に及ぼす、重度の犯罪行為である必要があります。

懲戒解雇が許される痴漢行為とは、会社の名誉、信用を大きく毀損するようなケースです。例えば、次のような痴漢行為は、懲戒解雇されても仕方ないといえるでしょう。

  • 非常に悪質で、被害者に与えるダメージの大きい痴漢行為
  • 常習的に、頻繁に繰り返し行われた痴漢行為
  • 会社名入りでの報道がなされた痴漢行為

また、痴漢行為の種類だけでなく、次の事情もまた、影響力の大きさに関わる事情として、懲戒解雇の相当性を判断するにあたって重要となります。

  • 労働者の地位、役職
  • 会社の業種、規模、知名度

あなたが痴漢行為による犯罪で身柄拘束を受け、これを理由に懲戒解雇されてしまった場合、あなたの職場にどの程度の女性社員がいるか、痴漢行為をすることで会社にどのような悪影響が及ぶかを、具体的に想像してみてください。

3. 「痴漢で逮捕」に課されるその他の処分

以上の通り、「痴漢で逮捕=懲戒解雇」ではないことは、十分ご理解いただけたのではないでしょうか。

ただ、冤罪の場合はともかくとして、実際に痴漢行為を行ってしまったという場合には、「懲戒解雇は重すぎる。」としても、なにも処分がないわけではありません。

例えば、次のような、懲戒解雇よりも軽い懲戒処分となることが考えられます。

  • 出勤停止
  • 減給・降格
  • 譴責・戒告

また、懲戒処分だけでなく、人事処分が課される可能性も高いといえます。

  • 評価が低下したことによる人事処分としての減給・降格
  • 休職処分とされることによる事実上の給与不支給

実際に痴漢行為を行ってしまったのであれば、これらの処分は、甘んじて受けるしかないといえるでしょう。

ただし、「今後、社内にいづらくなるのではないか?」という点が心配なのであれば、自発的に自主退職をすることも検討すべきです。

4. 痴漢で逮捕直後、まずはクビにされないための対応を

痴漢で逮捕された場合、逮捕された直後からすぐに、会社に対する対応が必要となります。

「逮捕された。」となると、まずは刑事弁護のために弁護士を依頼することが多いでしょうが、雇用関係についても、労働者の正当な権利を守るためには、逮捕直後から行動が必要となります。

「痴漢で逮捕され、懲戒解雇(クビ)されたら?」というテーマで解説してきましたが、まずは、少しでもクビにされないために対応をしなければなりません。

4.1. いつ会社に伝えるのか?

逮捕をされると、まずは刑事弁護人は、逮捕期間「72時間」の間に、示談を成立させて身柄釈放をすることを目指して弁護活動をします。

そのため、痴漢で逮捕されても、3日間で出られる可能性があるのであれば、会社に対しては事実を伝えないという方法もあります。

しかし、嘘をつくにも限界がありますし、「病気」「体調不良」など真実とは異なる理由で休み続けた場合、3日間で解放されればよいですが、身柄拘束が長引いた場合や、真実がバレた場合には、より重い処分となることが予想されます。

したがって、刑事弁護人と相談して和解の可能性を判断しながら、できる限り早期の段階で会社に対して真実を伝え、会社との関係を良好に保つことが必要です。

4.2. 弁護士から会社へ報告してもらう

痴漢で逮捕されても懲戒解雇(クビ)されないためには、弁護士から会社へ、適切な報告を行ってもらうことが必要です。

「痴漢で逮捕された。」という事実が会社に伝わった後、進捗の報告、連絡が一切なければ、会社は不安になり、懲戒解雇など厳しい処分を考えざるを得ない心境になるからです。

まず、「痴漢で逮捕」という事実は置いておいても、逮捕をされたことによって、会社の業務に穴をあけ、他の従業員に対して迷惑をかけていることには変わりません。この点については、「申し訳ない。」という謝罪の気持ちを示しておくのがよいでしょう。

その上で、会社としても、無理由で欠勤を続けるよりは、真実を伝え、弁護方針をしっかりと説明した方が、関係を良好に保ち続けることができるケースも少なくありません。

ただし、事件の内容が「痴漢」の場合には、犯罪行為の詳細にわたる事実をすべて会社に伝えれば、感情的に懲戒解雇とされてしまうおそれもありオススメできません。

円満な職場復帰のためには、不起訴処分を目指す刑事弁護活動と並行して、会社に対する弁護士からの適切な報告が必須となります。

4.3. 弁護士に会社対応を任せるメリット

以上の通り、痴漢で逮捕されたら、刑事弁護と並行して、すぐに弁護士に会社対応を任せるのがよいでしょう。

「痴漢で逮捕された。」ことを理由に懲戒解雇されても、懲戒解雇は無効であるとして、地位確認請求の争いを行うのがよいですが、そもそも懲戒解雇(クビ)にされなければ、労働問題自体がおさまるのです。

弁護士に会社対応を任せることには、次のようなメリットがあります。

会社に、法的に正しい説明ができる。
弁護士には守秘義務がある。
会社との良好な信頼関係をサポートできる。

以上の、弁護士に会社対応をしてもらうことにより懲戒解雇を回避できるメリットに対し、デメリットは、「弁護士費用がかかる。」ということくらいではないでしょうか。

まずは法律相談を受けることによって、弁護士費用の見積もりをお願いすることがオススメです。

5. 「痴漢で逮捕」懲戒解雇された場合の争い方

以上の努力もむなしく、「痴漢で逮捕された。」ことを理由に懲戒解雇されてしまった場合でも、あきらめてはいけません。

既に解説したとおり、私生活上の刑事事件を理由に懲戒解雇をした場合、無効と判断されるケースも少なくないからです。

「痴漢で逮捕」を理由に懲戒解雇された場合には、次の手順で、会社と争っていくこととなります。

5.1. 【内容証明】で懲戒解雇の撤回を求める

「痴漢で逮捕された。」ことを理由に懲戒解雇されてしまった場合、まずは、弁護士に依頼し、内容証明郵便によって、懲戒解雇の無効と撤回を要求します。

話し合いによって解決ができれば、時間的にも、費用的にも、一番良いからです。

懲戒解雇という最も厳しい処分としている以上、会社もなかなか円満な交渉には応じてはくれないことが予想されます。

ただ、「退職すること」自体には争いがない場合には、「懲戒解雇を撤回し、合意退職とする。」といった穏便な解決が可能な場合もありますので、話し合いをあきらめてはいけません。

5.2. 【労働審判】で懲戒解雇の撤回を求める

内容証明による話し合いで解決しなかった場合には、裁判所で行われる法的手続に頼るしかありません。

まずは、裁判より簡易な、労働審判の制度で、懲戒解雇の撤回を求めましょう。これを、地位確認請求といいます。「労働者としての地位を確認する請求をする。」という意味です。

ただ、内相証明による話し合いと同様に、労働審判ではあくまでも話合いがメインとなりますので、「復職をする。」という解決は、痴漢を実際に行っていたような場合には相当困難であると言わざるを得ません。

労働審判でも、目指すべき解決は、「懲戒解雇の撤回」にあり、会社を退職すること自体を争いたい場合には、裁判を行うこととなります。

5.3. 【裁判】で懲戒解雇の撤回を求める

労働審判で解決しなかった場合には、裁判を行うこととなります。

ただ、裁判の場合には、時間的にも、金銭的にも、労働者の負担が大きくなります。

次のようなケースでは、労働者の権利が不当に侵害されているといえますので、話し合いで解決しない場合、裁判を起こすことを検討しましょう。

 例 
  • 痴漢が冤罪であるにもかかわらず、十分な調査なく懲戒解雇とされた。
  • 懲戒解雇に必要な手続を行わず、労働者の意見を聞かずに懲戒解雇した。

6. 「懲戒解雇=退職金なし」ではない

多くの方が勘違いしているのが、「懲戒解雇=退職金なし」すなわち、懲戒解雇とすれば、退職金は一切もらえないのが通常である、という考えです。

しかし、この考えは間違いであって、実際、懲戒解雇であっても退職金の全部または一部を勝ち取ることができた裁判例も多く存在します。

「痴漢で逮捕された。」となると、会社が感情的に、「懲戒解雇!」「退職金も一切不支給!」という厳しい処分を下す場合も少なくありません。

懲戒解雇が有効な場合であってすら、退職金の少なくとも一部は支払うべきであると判断した裁判例もあります。長年の勤続の功労を抹消するほどの非違行為でない限り、つまり、あまりにひどい「痴漢行為」でない限り、退職金請求権の一部は認められる可能性が高いといえます。

そのため、「痴漢で逮捕された。」ことを理由として、クビはもちろんのこと、退職金も一切支給されなかった場合には、会社を退職することに争いがなかったとしても、退職金請求の争いを行うべきです。

7. まとめ

痴漢行為を理由に逮捕された場合、たとえ痴漢行為自体を認めるとしても、これに対して会社が懲戒解雇を行うことができるケースは、ある程度限定的に考えられています。

逮捕された労働者が痴漢行為を否認する場合には、ますます懲戒解雇は許されないケースも多いといえます。

痴漢行為を理由に逮捕され、これを理由として会社から懲戒解雇などの厳しい処分を受けた場合には、労働問題に強い弁護士へご相談ください。

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