MENU
浅野 英之
弁護士
弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

→労働問題弁護士ガイドとは
★ 労働問題を弁護士に相談する流れは?

デジタコの義務化はいつから?タコグラフは残業時間の証拠になります

ドライバーなど、運送会社に勤務するドライバーだと、タコグラフは馴染み深いでしょう。
タコグラフは、運転距離を記録するのが目的ですが、労働者の権利を守るのにも役立ちます。

タコグラフは、残業時間を証明する、大切な証拠資料となります。
違法な長時間労働を是正させたり、残業代を請求したりする際に有用です。
残業代請求は、結果として労働時間を短くし、過労死など最悪の事態を防ぐことができます。

デジタコは、平成29年4月1日より、義務化の範囲が拡大されました。
デジタコは、デジタルデータで記録を保存するので、改ざんが不能に。
その分、残業時間の証拠として、より価値のある資料となっています。

今回は、デジタコの義務化と、残業時間の証拠について、労働問題に強い弁護士が解説します。

ドライバーの残業代請求は、次の解説をご覧ください。

目次(クリックで移動)

解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

\相談ご予約受付中です/

労働問題に関する相談は、弁護士が詳しくお聞きします。
ご相談の予約は、お気軽にお問い合わせください。

デジタコが義務化される理由

デジタコをはじめ、タコグラフのことを「運行記録針」と呼びます。
その名のとおり、車両の運行を記録するために、取り付けられる機器です。

タコグラフには、アナタコ(アナログタコグラフ)とデジタコ(デジタルタコグラフ)がありますが、デジタコのほうが、記録をデジタルデータで保存している分、改ざんが難しいというメリットがあります。
冒頭のとおり、デジタコ装着が義務化されるのは、主に道路の安全確保、違反車両の監督強化が目的です。

過去にも平成26年(2014年)改正があり、最大積載量の重い車両から順にデジタコの義務化が進んでいました。

デジタコの義務化は、本来の目的である道路の安全確保といった目的とは別に、労働者の残業代請求、労災防止にも役立つといった点で、労働問題の一部としても注目されています。

デジタコは、改ざんが困難な点がメリット。

なお、タイムカードの改ざんへの対策は、次に解説しています。

デジタコ義務化の拡大はいつから?

デジタコをはじめ、タコグラフのルールを定めるのが国土交通省です。
なぜなら、「道路の安全確保」が目的だからです。

平成23年11月より「トラックにおける運行記録計の装着義務付け対象の拡大のための検討会」で議論が進められていましたが、この検討会の結果、特に死亡事故や長時間、長距離輸送が多く、積載重量の重い車両から、義務化を拡大していくことが決まりました。

重大な事故を起こしやすい車両が、まずは対象となるのです。
ただ、デジタコは、それ以外の車両でも有効なのは当然です。

平成27年(2015年)4月~の義務化拡大

平成27年(2015年)3月31日以前は、事業用の車両でも「車両総重量が8トン以上または最大積載量が5トン以上」という条件を満たすトラックにしか、デジタコの装着は義務付けられていませんでした。
しかし、平成26年(2014年)の省令(貨物自動車運送事業輸送安全規則)改正により義務化の対象が拡大。

平成27年(2015年)4月1日の施行より「車両総重量が7トン以上又は最大積載量が4トン以上」のトラックまで、デジタコ装着が義務付けられました。
この改正は、平成27年(2015年)4月1日以降に新車で購入した車両に適用されます。

平成29年(2017年)4月~の義務化拡大

そして、平成29年(2017年)4月施行の改正により、デジタコ装着義務の範囲は、さらに拡大されることに。

平成29年(2017年)4月1日からは、「車両総重量が7トン以上または最大積載量が4トン以上の普通自動車である事業用自動車」のすべての車両に、デジタコの装着が義務化されました。

タコグラフは残業時間の証拠になる

運送業は、違法な未払い残業代、長時間労働の多い業種だといわれています。

そのため、運送会社で働くドライバー、トラックやタクシー、バスの運転手は、注意を要します。
もちろん、残業代を正しく払い、さほど労働時間の長くない運送会社もあります。
しかし、長時間働いても残業代がもらえず、給料も変わらないブラックな運送会社は多いです。

運送会社でも、残業代に特別なルールはありません。

「運送会社なら払わなくてもよい」ということはまったくなく、「1日8時間、1週40時間」の法定労働時間を越えて働いていれば、残業代を請求することができます。
このとき、残業時間を証明する証拠が必要で、デジタコをはじめとしたタコグラフが役立ちます。

アナタコ(アナログタコグラフ)だと、針の移動によって記録されており、不正確だったり改ざんされてしまったりといった不都合もありましたが、デジタコ(デジタルタコグラフ)のデータの改ざんは容易ではなく、とても価値の高い証拠です。

デジタコの記録は、会社側が保管していることが通常です。
まずは、これら客観的な証拠の開示を要求することからはじめてください。
(参考:タイムカードの開示請求

残業代請求を検討するとき、弁護士の無料相談を活用ください。

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、平成29年(2017年)4月1日に施行されたデジタコの義務化拡大について解説しました。

デジタコの義務化は、労働者にとって、改ざんできない残業代の証拠が用意されたことを意味します。
安全の観点はもちろん、ドライバーの残業代請求という観点でも、朗報といってよいでしょう。

タコグラフは、安全面でなくてはならない装置ですが、労働者の正当な権利の確保にも役立ちます。
残業時間を証明する証拠が増え、より効果的に、残業代請求できます。
残業代請求を検討しているドライバーなどの労働者は、ぜひ早めに弁護士に相談ください。

ドライバーの残業代請求は、次の解説をご覧ください。

目次(クリックで移動)