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【労働相談】懲戒解雇が有効と判断された後で退職金を請求。退職金は賃金の後払いと判断されて全額を支払ってもらったケース

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人物(悩3)

  1. ある会社に新卒で入社し、長年勤続して貢献してきました。

    あと少しで定年退職というところで、業務上のミスを犯してしまい、これをとがめられて、懲戒解雇であると通告されてしまいました。

    正直、新卒から定年間際までこの会社に貢献し続けてきた私からすれば、私の貢献は非常に大きく、この程度のミスで懲戒解雇とは納得がいきません。

    終身雇用が日本の文化と信じて必死に働いてきました。

    私の貢献に比べたら、会社が私に支払っている賃金は低いと感じていましたが、一つの会社に仕えるのが日本の文化だと言い聞かせ、また、退職したときにはかなりの額の退職金がもらえることになっていましたから、途中で転職したり退職したりといった選択は考えもしませんでした。

    今回、懲戒解雇を通告されたことによって、退職時に受領できるはずであった退職金も、就業規則の規程にしたがって、一切支給されないとのことでした。

    退職金がもらえることを信じて、低賃金でも他に転職せずに私の生涯をささげて働き続けてきたのに、突然裏切られた気分です。このままでは、老後の生活が不安でたまりません。

    まずは、懲戒解雇が不相当ではないかと考え、懲戒解雇の有効性について訴訟で争ったものの、懲戒解雇は有効であるというのが裁判所の心証でした。

    そのため、次は、退職金の不支給が違法であるとして、退職金請求を争うこととなりました。

    この争いでは、懲戒解雇には合理的理由、社会通念上の相当性が認められ、懲戒解雇は有効と判断できるものの、退職金の不支給は違法との判断となりました。

    退職金の不支給は、労働者の永年の功労を抹消する程度の不信行為が必要となるところ、相談者の入社から定年間近までに至る功労を考えると、この一つのミスが懲戒解雇が有効となるほど大きいとはいえ、退職金は支払うべきであるという判断です。

    ただし、全額不支給は無効とされたものの、業務上のミスによって会社が負った損害がある程度残っていたことから、一定の限度での不支給までは無効とされないと判断されました。

    具体的には、3割減額の範囲で退職金の減額が有効とされ、退職金請求のうち、7割が認められることとなりました。

懲戒解雇されても、退職金はもらえる!

懲戒解雇が有効であると判断されたからといって、必ずしも退職金の全額不支給が有効であるわけではありません。

すなわち、懲戒解雇の有効性のハードルよりも、退職金不支給のハードルの方が高いということです。

そのため、懲戒解雇であることを理由として退職金を一切支払ってもらえなかった場合には、懲戒解雇の有効性を争うと共に、仮に懲戒解雇が有効であるとしても退職金の請求をする、という争い方をすべきです。

この際、退職金には「功労報奨的性格」と「賃金後払い的性格」があるとされる結果、永年の勤続の功を抹消する程度の非違行為がない限り、全額不支給は違法であると判断された裁判例が参考になります。

この裁判例では、次の事情が、退職金不支給、減額の有効性を判断するにあたって考慮すべき要素とされています。

  • 解雇事由の内容
  • 会社の損害の程度
  • 解雇に至った経緯
  • 労働者の過去の勤務態度
  • 在職中のその他の諸事情

また、退職金がどのような性質を持つ金銭であるかは、会社における退職金の制度がどのようなものであるかによっても変わってきます。

会社に備え置かれた退職金規程などを精査し、退職金の支払方法や、どのような性質の制度となっているか、検討すべきです。

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