懲戒解雇されてしまったとき、会社の扱いが不当だった可能性があります。このとき、懲戒解雇に不服を申し立てるべきです。ただし、この際の労働者の戦い方は一様ではありません。
懲戒解雇に異議がある労働者は、不服の申し立て方にいくつかの戦い方があることを理解しておいてください。そして、どのような方法を選択すべきかは、労動者の求める希望によっても異なります。ブラック企業は許せませんが、有利な解決を得たいならベストな戦い方を選択する必要があります。弁護士に相談すれば、希望を聴取し、ケースに応じた不服の申し立て方をアドバイスしてもらえます。
今回は、懲戒解雇に異議のあるとき、不服を申し立てる方法について労働問題に強い弁護士が解説します。
- 懲戒解雇は厳しい処分であり、労働者側の不服の申し立て方は、主に3つ
- 懲戒解雇に異議があるとき、その申し立て方はケースに応じて最適なものを選ぶ
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そもそも懲戒解雇とは
そもそも懲戒解雇とはどのようなものか、詳しく知る必要があります。
懲戒解雇は、解雇の一種であり、そのなかでも特に厳しい処分です。企業秩序の違反に対する制裁という意味があり、会社が労働者に下す処分のなかでも重大です。そのため、解雇権濫用法理が厳しく適用され、正当な理由がなければ「不当解雇」として無効になります。
懲戒解雇についての特徴を端的にまとめると、次のとおりです。
以上の特徴を知れば、懲戒解雇がいかに労働者に厳しい影響があり、重大な処分かを理解できるでしょう。その重大性からして、懲戒解雇に異議があるなら、必ず不服申し立てをすべきです。
「懲戒解雇を争うときのポイント」の解説
懲戒解雇に不服を申し立てる方法3つ
懲戒解雇の基礎を理解したところで、次にその対策ないし戦い方を解説します。懲戒解雇に異議があるなら、ここで解説する方法によって不服を申し立てるようにしてください。
懲戒解雇には大きなデメリットがいくつもあります。なので、不当解雇ならば撤回を求め、デメリットを回避する必要があります。このとき、複数の選択肢からケースに合った最適なものを選ばなければなりません。
懲戒解雇の無効を主張し、復職する方法
違法な懲戒解雇は無効となります。解雇が無効だということは、現在もなお労働者として雇われ続けているということを意味します。したがって、懲戒解雇への不服の申し立て方の1つ目は、不当解雇であることを理由として無効を主張する方法です。この方法を取ると、その結果として会社に復職して働き続けることを求めるという戦い方になります。
例えば、次のような懲戒解雇は、不当解雇の可能性が高いです。
- 懲戒解雇となる解雇理由が、就業規則に定められていない場合
- 就業規則が、労働者に周知されていない場合
- 懲戒解雇とされた解雇理由が、事実ではない場合
- 懲戒解雇とされた解雇理由が、合理的ではない場合
- 問題行為はあったものの、懲戒解雇とされるほど重大な解雇理由がない場合
- 懲戒解雇の適切な手続き(弁明の機会など)が全くなかった場合
ただし、以上の懲戒解雇が無効となる諸事情は、1つでも満たされれば無効というわけではありません。懲戒解雇を無効と主張し、復職を求める方法で戦う場合、まずは弁護士に依頼して、内容証明の方法によって労働者の主張を会社に伝えます。
しかし、懲戒解雇ほど厳しい処分の場合、会社が、労働者の主張に納得して自発的に懲戒解雇を撤回してくれることは多くはありません。そのため、復職を求める方法の場合には、「地位確認訴訟」という種類の裁判を起こします。
「解雇を撤回させる方法」の解説
懲戒解雇を撤回させ、合意退職する方法
懲戒解雇の無効を主張し、復職を求めて争う方法では、会社が話し合いに応じない限りは訴訟となって、多くの時間や手間、費用がかかるおそれがあります。
不当な懲戒解雇への不服申し立ての2つ目の方法は、懲戒解雇を撤回させたうえで、合意退職して会社を辞める方法です。このような不服を申し立てると、目指すゴールは「合意退職」となります。そのため、戦いとはいえど、会社との「話し合い」が重要となります。
そこで、懲戒解雇を撤回させ、合意退職を目指して会社と戦うケースでは、訴訟よりも簡易な手続きである「労働審判」を利用することが多いです。労働審判なら、「調停」という裁判所でされる話し合いの手続きを利用し、スピーディで円満な解決を目指せます。
「不当解雇の解決金の相場」の解説
懲戒解雇に応じ、不支給になった退職金を請求する方法
懲戒解雇への不服を申し立てる3つ目の方法は、退職金に関するものです。懲戒解雇となると、退職金が不支給、減額となってしまう会社が多くあります。つまり、不支給、減額となってしまった退職金を請求する方法です。
懲戒解雇されたからといって、絶対に退職金が支払われないというわけではありません。例えば、次の場合は、たとえ懲戒解雇が有効でも、退職金を請求できると、裁判例でも示されています。
- 就業規則や退職金規程に、「退職金を減額、不支給にできる」という記載がないとき
- 勤続が長く、貢献を台無しにするほどの問題行為が存在しないとき
「退職金を請求する方法」「懲戒解雇でも退職金不支給が違法となるケース」の解説
まとめ
突然に懲戒解雇されてしまったとき、まずは不当解雇を疑ってください。急な解雇だと、動揺して、冷静かつ正常な判断は難しい労働者も少なくないでしょう。このとき、不服の申し立て方として選べる選択肢になにがあるか、まずは理解してください。
懲戒解雇というのは、とても強烈な響きに感じるでしょう。不当解雇でないかと疑問でも、どんな方法で異議を述べたらよいか、知らない労働者も多いはず。
本解説では、懲戒解雇されたときの戦い方を、わかりやすく3つにわけて解説しました。実際には、労働者の希望にあわせ、さらに多様な戦略を考えなければなりません。解雇トラブルにお悩みなら、ぜひ一度弁護士に相談ください。
- 懲戒解雇は厳しい処分であり、労働者側の不服の申し立て方は、主に3つ
- 懲戒解雇に異議があるとき、その申し立て方はケースに応じて最適なものを選ぶ
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