会社が一方的に労動者を辞めさせるのは「解雇」に当たります。解雇は、言い渡された方にとって生活の糧を失う重大な事態。理由に納得がいかないと疑問を持つほど、争いたくなるでしょう。
一方的な解雇は無効だとして争いたい…
何とか解雇を無効にしたいが、方法は?
解雇は厳しく制限され、法律で禁止される場面もあります。そのため、裁判例でも「解雇が無効である」と判断した事例は少なくありません。一方的に社員を使い捨てるような会社に立ち向かう際には、解雇を無効にする方法をよく理解すべきです。
また、解雇が無効なとき、その後の対応にも注意を要します。解雇が無効となって復職する場合のほか、無効だがやむなく退職し、再就職するケースでも、トラブルを拡大せぬよう配慮してください。
今回は、解雇の無効についての法律知識の基本と解決手段を、労働問題に強い弁護士が解説します。
解雇が無効となる主なケース
まず、解雇が無効になるパターンは、主に次の5つのケースです。
そもそも解雇は、会社が労働契約を一方的に解約することで、解雇されると会社に残れません。労動者の不利益が大きいため法律で厳しく規制されており、違反する解雇は無効となります。
これらの具体例に当てはまれば、解雇が無効となる可能性は高いため、安易に受け入れずに会社と争うべきです。
解雇権の濫用として無効になる場合
会社は従業員を解雇する権限(解雇権)を有します。ただ、会社がいつでも自由に解雇できてしまうと、働く人の生活は安定しません。そのため、みだりに解雇権を行使することを、法律は厳しく禁止しています。
民法627条2項は、使用者からの労働契約の解約も、2週間の猶予をもって可能である(ただし、期間によって報酬を定めた場合は、当期の前半に解約の申入れをする必要がある)と定めます。しかし、労使の力関係には差があり、弱い立場の労動者を守るため、一定の条件を満たさない解雇を無効にする「解雇権濫用法理」のルールが、民法の特別法である労働契約法に定められています。
労働契約法16条の解雇権濫用法理によれば、会社が従業員を解雇するときの要件は、次の2つであり、これを満たさなければ解雇権の濫用として、解雇は無効になります。
- 客観的に合理的な理由
- 社会通念上の相当性
解雇には、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇といった種類がありますが、特に、懲戒解雇は、労動者に与える不利益の大きさから、他の解雇以上に厳しく制限され、よほどの理由がなければ無効であると考えてよいです。
解雇に要する「客観的に合理的な理由」の具体例は、次の通りです。
- ケガや病気による労働能力の喪失、低下
- 従業員の著しい能力不足、適格性の喪失、欠如
- 従業員の服務規律違反、企業秩序違反などの非違行為
- 会社の業績悪化による経営上の理由(整理解雇)
- ユニオンショップ協定に基づく解雇
例えば、プライベートで大きな事故に遭い、長期に渡って意識不明で、回復も見込めない従業員には、正当な解雇理由があります。
そして、理由があっても解雇にふさわしいものでなければ、やはり解雇は無効です。「社会通念上の相当性」は、従業員の状況や、解雇に至るあらゆる事情を考慮して、解雇が相当かどうかを判断します。この際に考慮されるのは、次の事項です。
【労動者側の事情】
- 解雇事由に至った事案への動機
- 職場における経歴、境遇
- 従来の貢献の度合い
- 過去の処分歴
- 反省・謝罪の態度と、今後の改善の見込み
【会社側の事情】
- 就業規則上の根拠条文
- 解雇事由と処分のバランス
- 他の従業員に対して過去にした処分
重大なミスがあったとしても、労動者にとって有利な情状が考慮された結果、過去が無効であると判断されることもありえます。試用期間中は、能力や適性を試す期間なので、本採用後の正社員よりは解雇のハードルが低いとされます。それでもなお、何ら理由なく解雇すれば無効です。
また、有期契約の期間中の解約は、やむを得ない事由が必要です(民法628条)。これは、上記の客観的に合理的な理由よりも強度のものと考えられており、解雇が無効になる可能性は更に高いです。なお、解雇と雇い止めは違い、無期契約の社員をクビにする解雇に対して、契約社員やアルバイト、パートなどの有期契約を、期間満了時に更新しないことを「雇い止め」と呼びます。雇い止めも、無期契約と同視できる場合や、更新の期待がある場合などといった一定の条件を満たすと、解雇と同じく厳しい制限を受け、無効となる可能性があります(労働契約法19条)。
差別的な解雇として無効になる場合
差別的な理由での解雇は、違法であり、無効となります。差別や不利益な扱いを禁止する法律には、次のものがあります。
- 国籍、信条又は社会的身分を理由とした解雇(労働基準法3条)
- 性別を理由とした解雇(男女雇用機会均等法6条4号)
- 婚姻、妊娠、出産等を理由とする解雇(男女雇用機会均等法9条)
- 障害者であることを理由とする解雇(障害者雇用促進法35条)
- 組合所属または正当な組合活動等を理由とした解雇(労働組合法7条)
無効になりうる差別的な解雇が禁止されるのは、労動者の努力では変えることのできないものを理由としており、不適切だからです。例えば、女性であること、障害者であることといった人の属性は、努力によって後から変えられず、これを理由にした解雇は無効とすべきなのは当然です。
「職場の男女差別への対応方法」の解説
正当な権利行使に対する報復としての解雇が無効になる場合
育児休業の取得や、労働基準監督署基署への通報などは、労動者に認められた正当な権利です。権利行使を面白く思わず、報復として解雇する会社も残念ながら存在しますが、このような報復的な解雇は無効です。正当な権利と、無効となる解雇の例を定める法律には、次のものがあります。
- 労働基準監督署に申告したことによる解雇(労働基準法104条2項)
- 裁量労働制に同意しなかったことを理由とする解雇(労働基準法38条の4第1項6号)
- 雇用保険の被保険者の確認請求をしたことによる解雇(雇用保険法73条)
- 育児休業、介護休業を理由とした解雇(育児介護休業法10条)
- 産前産後休業を理由とする解雇(男女雇用機会均等法9条)
- 均等法上の紛争解決援助などを求めたことによる解雇(男女雇用機会均等法17条2項)
- 短時間・有期雇用労働者が通常の労働者への転換を求めたことによる解雇(パートタイム・有期雇用労働法14条3項)
- パートタイム・有期雇用労働法上の紛争解決の援助などを申請したことによる解雇(パートタイム・有期雇用労働法24条2項)
- 派遣法違反の事実を申告したことを理由とする解雇(労働者派遣法49条の3第2項)
- 個別労働紛争解決促進法上の助言・指導やあっせんを申請したことによる解雇(個別労働紛争解決促進法4条3項)
- 過半数代表者の正当な権利行使を理由とする解雇(労働基準法施行規則6条の2第3項)
- 公益通報を理由とする解雇(公益通報者保護法3条)
- 障害者雇用促進法上の紛争解決の援助を求めたことを理由とする解雇(障害者雇用促進法74条の6 第2項)
- 不当労働行為の申立てをしたことなどを理由とする解雇(労働組合法7条4項)
解雇が禁止されている場合
労働基準法19条は、解雇をしてはいけない期間を定めています(解雇制限)。同条項によれば、業務上の負傷・疾病の療養による休業期間と産前産後休業期間、及び、その後30日間は、解雇ができません。いずれも、すぐには新たな就職先を見つけるのが難しい事情のある社員を、法律によって特別に保護するためです。
したがって、この期間中にされた解雇は無効となります。既に解雇予告を受けていたとしても、その後に労働災害によって負傷したならば、解雇は無効です。
「解雇制限」の解説
解雇予告が適切に行われていない場合
解雇の場合、会社は労働基準法20条に基づいた解雇予告をしなければなりません。遅くとも解雇日の30日前までに行うか、不足する日数分の平均賃金に相当する解雇予告手当を払う必要があります。一方的な解雇の被害を軽減するため、事前に予告するか、補償をするのが義務となっているのです。
解雇予告の日数が不足する場合にも、解雇予告手当は請求できるものの、必ずしも解雇が無効になるとは限りません。ただ、解雇予告すら適切に行わない会社は、労務管理を適切に整備していないものと推察され、その解雇は無効な可能性があります。
なお、災害などやむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合や、労動者の責に帰すべき事由に基づく解雇の場合には、労働基準監督署の認定を受けると、解雇予告は不要で即日解雇できるようになります(解雇予告の除外認定)。
「解雇予告手当の請求方法」の解説
解雇が無効であると判断した裁判例
次に、解雇が無効と判断された裁判例を解説します。従業員に非がありながらも、解雇権濫用法理に照らして無効とされた例もあるので、決してあきらめてはいけません。
労動者の勝訴した裁判例を知ることで、解雇無効の判断基準を理解し、自身のケースにあてはめて考えることができます。
【事件の概要】
ラジオニュースを担当するアナウンサーが、2週間に2回遅刻して放送できなかったことを理由に解雇された事案。就業規則上の懲戒事由に当たるものの、将来を考慮して懲戒解雇でなく普通解雇とされた。
【裁判所の判断】
アナウンサーとしての責任感に欠けるものの、遅刻に悪意や故意はなかったこと、同僚の処分や損害の度合い、過去の勤務成績といった事情を考慮すれば解雇は酷であり、無効であると判断した。
【事件の概要】
バス運転手が、勤務終了後に飲酒し、停留所以外でバスを停めた結果、運航に遅延が生じて顧客からクレームを受けたことなどを理由に解雇された事案。
【裁判所の判断】
運転手の行為は不謹慎ではあるが、生じた遅延時間は30秒程度だったこと、過去の勤務成績などを考慮すると、解雇権の濫用であるとし、解雇は無効であると判断した。
「労動者が裁判で勝つ方法」の解説
解雇の無効を申し立てる方法
次に、解雇の無効を申立てる方法について順に解説していきます。
解雇の理由を確認し、無効を申し出るところから、法的手続きに至るまで段階的に進めることで会社に打撃を与え、速やかに譲歩させることを目指しましょう。自分ひとりで進めるのが難しいときは、弁護士の提供するサポートを受けるのが賢明です。
解雇理由証明書を請求する
解雇の無効を争うにはまず、会社が主張する解雇理由を確認するのが大切です。確認のタイミングは、解雇の予告や通知を受けたらできるだけ早くが基本です。直接メールや電話で問い合わせるのもよいですが、できれば証拠に残るよう書面で請求書を送付します。
従業員から請求されたら遅滞なく解雇理由証明書を交付するのが会社の義務です(労働基準法22条)。請求してもすぐもらえないなら、弁護士に警告してもらいましょう。
解雇理由証明書は、解雇前後の経緯を確認する方法としても有効です。後になって「解雇ではなかった」と解雇自体を否定されたり、解雇時と異なる理由を主張されたりするのを防げます。
解雇が無効かどうかを検討する
解雇理由がわかったら次に、解雇が無効かどうかを検討しましょう。
このとき、解雇の有効性を判断するため、会社から知らされた解雇理由は、争いが可能な程度に具体的でなければなりません。解雇理由が抽象的にしか知れないときは、改めて解雇理由証明書の出し直しを要求することもできます。
就業規則に規定された解雇の事由と照らし合わせるほか、解雇を無効であると判断した裁判例の基準と比較して、精査を進めましょう。解雇が無効かどうかの判断は、知識、経験や解決実績の豊富な弁護士に力を借りるのがお勧めです。本解説の「解雇が無効となる主なケース」に該当するなら、解雇は無効な可能性が高く、ぜひとも相談すべき必要性の高いケースだといえます。
「正当な解雇理由」の解説
無効な解雇ならば受け入れる言動は慎む
解雇の無効を争いたいのに、解雇を受け入れる言動をしてはいけません。次の行動は、労動者の意図に反して「解雇に同意した」と評価されるおそれがあり、解雇無効を争う方針と矛盾します。
- 支払われない解雇予告手当を積極的に請求する
- 退職金を受け取る
- 他社に就職し、長期間に渡って解雇の効力を争わない
万が一、解雇予告手当や退職金など、解雇を前提とした金銭が一方的に払われてしまったら、解雇を受け入れない意思を明示した上で、「将来受け取るべき賃金の一部として受領した」旨を内容証明で通告するのが実務的な対応です。
解雇無効を請求する法的な対応
解雇無効を請求する裁判手続きは、「地位確認請求」と呼びます。つまり、解雇が無効であって労動者の地位が存続していることを確認するという求めです。解雇の無効を主張することから「解雇無効の訴え」とも呼びます。
解雇無効の訴えをして勝訴すれば、解雇は無効となり、会社に復職する権限を得ることができます。ただし、訴訟の途中で和解して、争いをやめることもできます。この際、労動者の勝ち筋ならば、解決金を受領することを和解の内容として提案します。話し合いで解決しない場合、最終的には裁判による判決で、解雇の無効を争う方法も考えられます。
不当な解雇に対する裁判手続きの種類
解雇無効を争う流れの最終段階が、法的な手続きです。不当解雇に対する法的な対応として利用できるのが、労働審判と訴訟という2つの裁判手続きです。
【労働審判】
労動者が労働審判を申し立てると、まずは調停(裁判所における話し合い)を行い、決裂する場合には審判が下されます。原則として3回以内の期日で、迅速かつ柔軟な解決を目指す点で、労動者の保護を重視した簡易な手続きです。
労働審判には、次の特色があります。
- 話し合いが中心の手続き
- 解決までにかかる費用や負担が少ない
- 審判に強制力があるため、会社も欠席せず対応する可能性が高い
- 労働関係の専門家(労働審判委員)が関与する
- 異議申立てがあると自動的に訴訟となる
- 審理は非公開で行われる
【訴訟】
解雇無効の主張を記載した訴状を裁判所に提出することによって訴えを提起できます。労動者が訴訟を提起すると、期日における審理では、双方が書面で主張と反論をし、証拠による立証を積み重ね、最終的には裁判官による判決が下されます。
訴訟には、次の特徴があります。
- 手続きに時間がかかる
- 裁判官の判決によって問題を終局的に解決できる
- 不服がある場合は控訴や上告が可能
- 審理は公開で行われる
まずは、費用や時間のかからない労働審判で、解雇が無効となるかどうかを試す感覚で、早期解決を目指すのが適切な対応です。労働審判でも、裁判官による判断が得られるので、解雇無効という心証を勝ち取れれば、その問題について相当有利に進めることができます。
ただし、双方の主張が食い違い、争点が複雑な場合、労働審判で解決できないケースもあります。このような事態が予想されるなら、最初から訴訟を行うことも検討します。裁判手続きでは、証拠集め、申立書や訴状の準備といった複雑なプロセスがあり、知識や経験がなければ難しいので、労働問題専門の弁護士に依頼しましょう。
「労働審判の流れと注意点」の解説
解雇が無効になったらその後の具体的な対応は?
次に、解雇が無効となった後の、具体的な対応を3つに分けて解説します。解雇が無効になれば、会社に復職することができ、かつ、解雇期間中の賃金を受け取ることができます。
とはいえ、一度解雇されて争った会社に、無効だからといって戻るのは不安でしょう。解雇が無効になったとしても、復職だけが選択肢ではなく、金銭解決の流れにシフトすることも可能です。
解雇無効による復職の流れと注意点
「解雇が無効である」という意味は、つまり、その解雇は「なかったことになる」ということ。すると、解雇の無効が認められると職場復帰が可能になります。
復職時の労働条件は、以前と同じとするのが原則です。解雇トラブルになったからといって従前と異なった扱いをしたり嫌がらせしたりするのは違法です。賃金を減額するなどの労働条件の不利益な変更や、有給休暇を与えないといった対応も許されません。
しかし実情は、ひとたび解雇されると経営者に嫌われて会社に居づらくなり、不利益な扱いを事実上受けるおそれがあります。人間関係の悪化をあなたの協調性不足の問題にすり替えたり、他の従業員からクレームがあったなどの理由を付けて配置転換をしたりといった悪質な会社もありますが、二次被害を受け入れてはいけません。
なお、解雇が無効になって復職する場合には、社会保険料は遡及して納付し、被保険者資格の再登録をしてもらう必要があります。
解雇時に発行された離職票は、解雇が無効なら利用できず、既に失業給付を得ていた場合には、返金しなければなりません。
「労働条件の不利益変更」の解説
解雇期間中の賃金を請求する
解雇が無効となれば、解雇期間中の賃金請求権が発生します。これを「バックペイ」と言い、解雇期間中に本来貰うはずだった給与を、遡って貰うことです。
「ノーワークノーペイの原則」を持ち出して、支払わないと反論する会社もありますが、解雇期間中に就労できなかったのは「無効な解雇をした」という会社の落ち度です。
解雇無効だが復職したくないとき
解雇を争った会社には復職したくない、と感じるのも無理のないことです。パワハラやセクハラを受けた末に解雇されたなど、労働環境に問題があればなおさらです。
解雇が無効だとしても、必ず復職しなければならないわけではありません。解雇が無効でも、復帰を自ら拒否し、退職することもできるからです。解雇が無効になれば、一旦は労動者の地位が回復しますが、その後に就労せず退職したとしても、解雇期間中の給料を返金する必要はありません。したがって、解雇の無効を確認してもらい、未払いの給料だけもらって辞めることもできます。
また、会社としても本音は戻ってきてほしくないことがほとんどですから、このような本音と建前が合致するときは、解決金を受領して退職する、いわゆる解雇の金銭解決を目指せます。
解雇無効請求を成功させるポイントと弁護士への相談のメリット
解雇無効を主張するつもりでも、労動者側の思わぬ行動が「退職を受け入れた」と判断されかねません。その場合、会社側の主張が有利になってしまいます。予想外のリスクを回避するには、解雇を言い渡された時点で、なるべく早めに、労働問題を専門に扱う弁護士に相談しましょう。
解雇無効について弁護士に相談するメリットは、次の通りです。
- 法律知識と経験に基づいて解雇が無効か判断できる
解雇無効についての豊富な知識をもとに、類似した裁判例を調査し、解雇が無効となるかどうか、正確に判断してもらうことができます。 - 代理して交渉してもらうことができる
弁護士は、企業との交渉において、労動者の代理人となり、窓口を任せることができます。弁護士の強い交渉力を活用して有利に進めることができます。また、会社の担当者と顔を合わせず交渉でき、精神的なストレスを減らせます。 - 裁判手続きをサポートしてもらえる
解雇無効は、交渉が決裂すれば裁判で争います。弁護士の助けなくして裁判するのは困難であり、裁判手続きに詳しい弁護士に任せるのがスムーズです。 - 難しい手続きを任せて時間を節約できる
労働問題を解決する手続きは煩雑です。会社と交渉するだけでも、証拠に残るよう書面で進める必要があり、慣れない書面作成には時間がかかります。
弁護士のサポートを受ければ、無効の疑いのある解雇について、今後の対処法を指導してもらい、アドバイスを受けることができます。専門家の助けがある方が解雇無効請求の成功率を上げられるので、解雇問題に直面したら、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
解雇無効を争いたい方からのよくある質問
最後に、解雇無効を争いたい方からのよくある質問についてお答えします。
解雇という深刻な処分に遭ってしまったら、十分な法律知識や情報を得ることが、不利益を回避し、自分の身を守ることに繋がります。
解雇が無効だとどうなる?
解雇が無効になると、その結果、会社に復帰できます。また、解雇期間中の賃金も請求できます(解雇期間中に他社で働いて給与を得ていた場合でも請求はできますが、最大で給与の6割まで減額されます)。
解雇が無効かどうか確認する方法は?
解雇が無効かどうか確認する方法は、使用者の主張する解雇理由を明らかにすることから始めます。在職中、退職後のいずれでも解雇理由証明書を請求可能です。
解雇理由を元に無効かどうかを判断するには専門的な法律知識を要するので、弁護士に依頼するのが適切です。その後の対処法もあわせてアドバイスをもらいましょう。
解雇を無効にしたら必ず復職しないといけない?
解雇の無効が確定しても、復職する義務はありません。
本音は「もうこの会社では働きたくない」と思っても、解雇の無効を争い、解決金をもらう金銭解決を目指せます。ただし、解雇無効を争ううちは、このような本音は隠し、復職の意思を示さなければ不利になってしまいます。
結果的に復職しなかったとしても、解雇が無効ならば解雇中の給料は受け取れます。
解雇無効の慰謝料はいくら?
解雇無効となった場合、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料の金額の相場は50~100万円が目安。ただ、慰謝料が認められるケースは、解雇を無効にするだけでは補填しきれないほど精神的苦痛がある場合に限られます。100万円の高額な慰謝料を認めた事例には、妊娠中と知りながら従業員を解雇したものがあります(東京地裁平18年11月29日判決)。
また、解決金をもらって終了させることを狙う場合も、慰謝料を請求することで解決金を増額させられる可能性があります。なお、精神的苦痛のほかにも実損があるときは、解雇無効を理由に損害賠償を請求できます。
「不当解雇の慰謝料の相場」の解説
解雇無効に時効はある?
解雇の無効を主張するのに時効はなく、解雇からどれだけ経過しても、その効力に疑問があるなら解雇無効を主張できます。
ただし、長期間経過した後だと証拠が散逸し、解雇の無効を立証できなくなってしまうデメリットがあります。また、いざ解雇の無効を勝ち取ったとき得られるその期間中の未払い給与の時効は3年です。
解雇無効の場合の社会保険は?
解雇が無効になると、解雇期間中も従業員が在職していたことになり、保険資格も継続することになります。健康保険や厚生年金といった社会保険はもちろん、雇用保険や労災保険といった労働保険もまた、解雇が無効ならば遡って継続します。
したがって、解雇が無効になったら社会保険料などは遡及して納付することができ、被保険者資格の再登録をする必要があるので、会社に依頼しましょう。給与を再計算し、社会保険料の労動者負担分には、支給される賃金から控除します。
解雇無効の場合の離職票は?
解雇が無効なとき、そもそも退職しなかったことになるので、解雇時に発行された離職票もまた無効になり、使用することはできません。解雇時に既に失業保険を受け取っていた場合、解雇が無効になって復職する場合には変換する必要があります。
「労働問題を弁護士に無料相談する方法」の解説
まとめ
今回は、解雇を無効になる具体例とその後の対応について、詳しく解説しました。
従業員のことを考えない会社ほど、簡単にクビを切ります。悪質な場合は、社長の一時の感情で気軽に解雇されてしまうことも珍しくありません。しかし、一方的な解雇に泣き寝入りする必要はありません。解雇にふさわしい理由、正しい手続きとプロセスを踏んで進めていない場合、むしろ、解雇が無効になる可能性は非常に高いと考え、会社と戦うのが正しい対処法です。
納得できず、解雇が無効かどうか疑問があるなら、専門家である弁護士に今すぐ相談ください。労働問題に精通した弁護士に任せれば、労働審判や訴訟を起こして解雇の無効を勝ち取れます。
「解雇に強い弁護士への相談方法」の解説