労働問題弁護士ガイドとは?

労働審判の当日の流れと、労働者が有利に進めるため注意するポイント

残業代や解雇、ハラスメントなど、労働問題を争う手段のなかで、最も有効なのが「労働審判」。

労働審判は、簡易、迅速かつ柔軟な解決を目指す制度。
労働者保護のための制度なので、うまく活用できれば、労働者側に有利に進められます。
そのためには、労働審判の当日、特に、第1回期日での対応がとても大切です。

労働審判は、スピーディな解決のため、第1回期日で、証拠調べと事実認定のほとんどを終えます。
当日の流れをよく理解し、有利な判断を下してもらえるよう立ち回らなければなりません。

今回は、労働審判の当日の流れと、労働者側の注意点について、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 労働審判の当日の流れは、事情聴取が最重要で、その後に評議、調停と進む
  • 当日のやりとりでは、不利な発言はせず、裁判所の質問に端的に有利な回答をする
  • 労働審判の当日も、弁護士に依頼すれば同席してもらえ、サポートを受けられる

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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労働審判の当日の流れ

まず、労働審判の当日の流れについて解説します。

労働審判は、労働者側が申立書を裁判所に提出することで始まります。
申立後、40日以内に、第1回期日が指定され、呼出状が労使双方に送達されます。
会社は、第1回期日の1週間前を目安に、答弁書によって反論します。

労働審判では、第1回期日でのやりとりが決定的に重要。
そのため、申立は、証拠の準備を十分にしてからにしましょう。

事前評議

まず、労働審判委員会は、労働者の申立書、会社の答弁書を読み、事前評議を行います。

事前評議では、当日の流れでなにを質問するか、どんな争点があるか、裁判官を中心にして話し合いされます。
このとき、労働者や会社は、労働審判廷には入室していないので、事前評議を知ることはできません。

労働審判の制度説明

時間になったら、裁判所の書記官の案内にしたがい、労働審判廷に入室します。
はじめに、労働審判の制度について、説明を受けます。

労働審判が、労働者保護のため、簡易、迅速かつ柔軟な解決を目指す制度であると説明されます。
あわせて、話し合いを重視する制度で、互いに譲歩を要することもあると留意されるのが通例です。

事情聴取

第1回期日のはじめ1時間程度は、事情聴取にあてられます。

事情聴取は、労使が同席の場で、労働審判官の質問に回答する形で行われます。
労使が互いに質問し合うのも可能ですが、当日その場で言い争うのはイメージが悪く、お勧めできません。

どんなやりとりをすべきかは「労働審判の当日、労働者はどうやりとりすべきか」参照。

評議

事情聴取が終わったら、労働審判委員会の3名が評議します。
労使それぞれから聞き取った事情をもとに、第1回期日で、心証形成がなされます。

事前評議で定めた争点について、どちらが有利・不利かといった点が話し合われます。
このとき、労働者、会社はいずれも外に出され、評議を聞くことはできません。

調停(労使交互に行う)

評議が終わると、そこで決まった心証をもとに、調停が行われます。
調停は、労使の合意形成に向けて、心証を少しずつ開示しながら行う話し合いをイメージしてください。
(裁判における和解交渉と似ています。)

労使が個別に、それぞれ交互に労働審判廷に入室し、裁判所の考えを聞きながら解決を目指します。
3回の期日のなかで、合意できれば、調停成立となり、終了します。

第2回期日の指定

調停成立に至らず、まだ話し合いが必要なときは、第2回期日が指定されます。

労働審判は、スピーディな解決のため、原則として3回の期日までで終了します。

調停不成立

期日を重ねても合意に至らないときは、調停不成立となります。
また、第1回期日であっても、労使の隔たりが大きく、到底譲歩が難しいときにも、調停不成立となるケースがあります。

調停不成立となると、次の審判に進みます。

審判

調停不成立となったとき、労働審判委員会がする最終決定が、審判です。

調停が合意に至らなくても、裁判所の最終決定が得られるのが、労働審判のメリット。
民事調停だと、調停不成立だと終了してしまうため、労働審判のほうが解決力が高いといえます。

異議申し立て

審判に対し、労使のいずれも異議申し立てできます。

異議申し立ては、審判から2週間以内にすることができ、その場合は、自動的に訴訟へ移行します。

労働審判のほかの、労働問題の解決方法は、次に解説しています。

労働審判の当日、労働者はどうやりとりすべきか

では、労働審判の当日、労働者はどのようにやりとりすべきなのか、ポイントを解説します。

労働者にとって有利な事実を指摘する

労働審判の当日は、労働者側としては、自分にとって有利な事実を指摘するようにします。

このとき、「そもそも、何が有利な事情なのか」を知るには、事前に法律知識を得ておく必要があります。

気負わず、普通の会話を心がける

労働審判は、訴訟のような法廷で行われるのではなく、「労働審判廷」で開催されます。
労働審判廷は、裁判所内の普通の部屋に、少し大きめの円卓の置かれた場所です。

労働審判委員会3名、会社側と弁護士、労働者と弁護士が、円卓を囲み、労働審判の審理をします。

労働審判当日のイメージ
労働審判当日のイメージ

緊張して、有利な事情を伝え忘れうのが、最悪です。
そのため、まずは普通の会話だと心がけ、気負わずに臨みましょう。
意識しすぎず、自然体で、聞かれたことに答える、といった対応が適切です。

不利な発言はしない

裁判所から、緊張をほぐすために雑談を振られることもあります。
自然体で答えるべきと説明しましたが、しかし、労働審判での会話は、すべて証拠になります。

あなたにとって雑談だと思っても、裁判所はその事情を重視するかもしれません。
すべての会話が聞かれ、判断を下すための材料にされていることを忘れてはなりません。
そのため、不利な発言はしないよう、十分な注意を要します。

ふと思いついたように審判委員が質問し、不用意な回答をし、不利に評価されるケースもあります。

裁判所の質問には端的に答える

労働審判の当日を仕切り、最終的な判断をするのが労働審判委員会。
労働審判委員会は、裁判官である労働審判官と、労使の専門的知識ある労働審判委員との3名からなります。
このうち、議事を進行は、労働審判官の役割です。

参加者が好き勝手話すのではなく、労働審判官の進行にしたがい、聞かれた点を回答します。
労働審判の時間には限りがあり、あなたに有利な事情を伝える時間は、さほど多くはありません。

裁判所は、書面を事前に読み、気になった部分について質問してきます。
質問はいずれも、裁判所が心証形成するのに聞きたいポイント。
そのため、ポイントについて、端的に回答するのが、有利に進めるために重要です。

理解してほしいからと、前提事実から延々と議論しはじめるのはお勧めしません。
不要なだけでなく、肝心のポイントが伝わりづらくなり、有利な扱いを得られないおそれもあります。

労働者がしてはならない不利な対応

労働審判では、迅速な判断のため、当日その場でのやりとりを重視します。
つまり、裁判官との質疑応答、ヒアリングが最重要です。

争いとなる労働問題について、事実を一番よく知るのは労働者自身。
弁護士を頼むときも、頼まないときも、労働審判には必ず出席する必要があります。
むしろ、出席せず、有利な証言ができなければ、不利に扱われる危険があります。

労働審判の当日、本人の対応には難しい問題が山積みです。
一生に何度も労働審判を経験する人はいませんから、当然でしょう。

ここまでの解説を参考に、ミスなく進めていきたいところですが、しないほうがよい言動もあります。
労働審判でしてはならない、労働者側の禁止事項は、例えば次のもの。

  • 労働審判の独特な雰囲気に飲まれてしまう
  • 話しづらいので、黙ってしまう
  • 逆に、口数多く主張しようとして、不利なことを口走る
  • 会社への文句ばかりで、印象が悪くなってしまう
  • 感情にまかせて怒鳴り、問題社員のイメージを与える

労働審判は、労働者保護の制度ではあるものの、準備なくして臨むのはお勧めできません。
当日の態度の悪い労働者まで、裁判所は救済してはくれません。

労働者の態度が悪かったり、証言が不適切だったりすると、これまで受けた被害を回復できません。
まして、不利な心証を抱かれるケースもあるので、当日の対応は慎重に進めなければなりません。

一人で進めるのが不安なとき、まずは無料相談がお勧めです。

労働審判の当日のやりとりを弁護士に任せるメリット

労働審判は、労働者だけでも申し立てできます。
しかし、当日のやりとりのことを考えれば、有利に進めるには弁護士に依頼するのがお勧めです。

最後に、労働審判の当日のやりとりを、弁護士に任せるメリットについて解説します。

申立書を前提に、当日のやりとりを準備できる

弁護士に依頼すれば、労働審判の申し立て時点から、書面の作成は弁護士がします。
そのため、労働審判当日までには、申立書という形で、主張は伝え済です。

したがって、労働審判の当日には、裁判所にすべての主張が伝わった状態でスタートできます。
労働審判委員会が、申立書をもとに、気になる事情を聞いてくるという形になります。
申立書に、有利な主張がすべて書かれていれば、それを理解してもらった上で開始できるのです。

申立書がしっかりしたものなら、当日の質問もある程度想定でき、答えを準備しておけます。

有利な事実の指摘を忘れない

弁護士を依頼すれば、労働審判の当日は、同席してもらえます。

そのため、裁判所の質問に対して、有利な事実の指摘を忘れても、弁護士が補足してくれます。
弁護士は、事前にあなたの主張をすべて聞き、理解しており、伝え漏れを防げるのです。

例えば、当日のやりとりのなかで、弁護士がカットインして説明すべきは次のタイミングです。

  • 裁判所の関心事が明らかになり、その点の主張が不足していたケース
  • 会社の反論で新たな事実が明らかになり、再反論を要するケース
  • 事前のヒアリングで聞いていなかった有利な主張に気づいたケース

不利な流れをストップできる

裁判所の質問に答えているだけだと、「不利な流れになっているのでは」と不安でしょう。
実際、労働審判の当日に、有利・不利の心証を聞かせてもらえないケースもあります。

このとき、労働問題の知識があれば、不利な流れに気づけます。
そして、弁護士なら、裁判所の意図に気づき、労働者に質問するなどして反論の機会を与え、不利な流れをストップすることができます。

法的な意見を補足できる

さらに、弁護士であれば、法的な意見の補足もできます。
この点で、労働審判の当日に、労働者が一人で法的な意見を裁判所に伝えるのは難しいでしょう。

法律上の難しい論点があるケースほど、弁護士に依頼するメリットが大きいといえます。

当日のストレスを軽減できる

労働審判は、当日その場のやりとりが重視される分、労使ともに本人が参加します。
あなたが参加するのはもちろん、会社側も、社長や上司が参加してきます。

労働審判の当日に、弁護士に同席してもらえば、会社関係者との直接のやりとりを避け、防波堤となってもらい、当日のストレスを軽減できるメリットもあります。

労働審判の対応をまかせるとき、弁護士の選び方を参考にしてください。

まとめ

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、労働審判の当日の流れとともに、労働者側の注意点を解説しました。

労働審判は、労働者が自分で申し立てることもできます。
このとき、労働審判の当日は、自分一人で対応することとなります。
ただ、法律知識をもとにしたアドバイスや、当日の発言の分担など、弁護士を依頼するメリットは大きいです。

労働審判の申し立てを検討しているとき、事前に弁護士にご相談いただくのが有益です。

この解説のポイント
  • 労働審判の当日の流れは、事情聴取が最重要で、その後に評議、調停と進む
  • 当日のやりとりでは、不利な発言はせず、裁判所の質問に端的に有利な回答をする
  • 労働審判の当日も、弁護士に依頼すれば同席してもらえ、サポートを受けられる

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