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浅野 英之
弁護士
弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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障害者の解雇は違法?障害雇用における不当解雇の判断基準と争い方

障害者であることを考慮せずに行われた解雇は、不当解雇と判断される可能性があります。

障害者雇用では、合理的配慮が十分に尽くされているか、配置転換をしたり業務を調整したりする余地はなかったかといった点が、解雇の有効性を判断する重要な要素となります。障害者が働きやすい環境を整備するのは企業の責任であり、障害者雇用促進法や障害者差別解消法などの法律により、障害者の雇用は法的にも保護されています。

障害者を解雇することが全て違法なわけではないものの、障害者雇用に配慮のない企業では、障害を理由にした差別が起こり、トラブルに発展する事例は少なくありません。

今回は、障害者雇用における解雇が違法と判断される基準と争い方について、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 障害の特性に応じた合理的な配慮を尽くし、就労環境を整える必要がある
  • 解雇の場合も、理由や手続きと共に、配慮が不足すると無効になりやすい
  • 解雇理由が能力不足や傷病の場合にも、障害への配慮が前提となる

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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障害者雇用と解雇の基礎知識

はじめに、障害者雇用と解雇について、基本的な知識を解説します。

障害者は、法定雇用率による雇用保障や、差別の禁止といった法的保護を受ける一方、健常者より不利に扱われ、労働条件を下げられたり不当な扱いを受けたり、ハラスメントや職場いじめの対象とされたりすることがあります。

障害者を保護する主な法律

障害者雇用では、障害のある人が不当な解雇を受けないための法律上の保護が整備されています。法律上「障害者」として保護されるのは、身体障害(視覚・聴覚・肢体など)に限らず、知的障害や精神障害のある人も広く対象に含まれます。

障害者雇用促進法

障害者雇用促進法(正式名称「障害者の雇用の促進等に関する法律」)は、均等な機会と待遇を保障することで障害者の雇用を促進することを目的としています。

障害者の差別を禁止し、待遇差の解消、障害者が能力を有効に発揮するための合理的な配慮を企業に義務付けることで、働きやすい環境を整えるよう促しています。

同法により、企業には一定割合の障害者雇用が義務付けられ、法定雇用率を達成できない場合には障害者雇用納付金の納付義務が生じます。

障害者差別解消法

障害者差別解消法(正式名称「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」)は、障害を理由とした差別を禁止し、行政機関や事業者に合理的な配慮を義務付けることで、障害者の権利を保護しています。

同法により、企業や公共機関が、障害者を不当な理由で差別することが禁じられ、不当な扱いをされずに仕事ができるよう、合理的な配慮を受けることができます。

労働基準法や労働契約法などの労働法

労働基準法、労働契約法などの労働関連法令は、全ての労働者を保護しており、障害者にも当然に適用されます。そのため、正当な理由のない解雇を無効とする解雇規制(労働契約法16条)、労災の療養期間中とその後30日間の解雇制限(労働基準法19条)、解雇予告のルール(労働基準法20条)といった保護は、障害者にも及びます。

解雇の意味と法的ルール」の解説

障害者が不当解雇される事例が多い理由

以上の通り、法的に保護されるにもかかわらず、不当解雇された障害者からの相談がなくならない背景には、次のような理由があります。

  • 職場の理解や配慮が不足している
    「障害」も多種多様であり、雇用主がその特性や必要なサポートを理解していないと、障害者の業務に支障が生じ、解雇に追い込まれやすくなります。
  • 人件費削減の対象になりやすい
    障害者は、業績不振などの際に、優先的に解雇の対象にされがちです。売上に直結しない補助的な業務を担当することが多く、軽視されやすいからです。
  • 障害を理由に低く評価されている
    業務が制限されているのが障害の影響なのに、十分に考慮せず「能力不足」といった低い評価を下され、解雇されるケースがあります。
  • ハラスメントの対象になりやすい
    障害を理由としたハラスメントの犠牲になると、疎外感を抱き、職場に居づらくなります。形式は自主退職でも、「辞めざるを得なかった」なら実質は解雇です。
  • 合理的な配慮が企業の負担となる
    障害者に行うべき合理的な配慮が、企業にとってコストとみなされると、経営が苦しい中小企業などでは、障害者が解雇される理由となることがあります。

不当解雇の背景には、企業側の障害者雇用に対する理解不足が共通して見られます。

不当解雇は、障害の有無にかかわらず労働者の生活基盤を脅かす深刻な問題なので、自身の権利を守るためにも会社と争う姿勢が大切です。

不当解雇に強い弁護士への相談方法」の解説

助成金の不支給や障害者雇用納付金の納付義務がある

障害者を解雇することは、企業にとっても大きなリスクがあります。

障害者雇用納付金制度は、法定雇用率に達しない企業に納付金を課す仕組みなので、障害者を解雇したことで法定雇用率を下回ると、会社に経済的な損失が生じます。

また、雇用に関する助成金の中には、「会社都合の退職がないこと」を支給要件とするものがあります。例えば、障害者や高齢者の雇用時に受け取れる「特定求職者雇用開発助成金」は、「対象労働者の雇入れ日の前後6ヶ月間に事業主の都合による従業員の解雇をしていないこと」が受給条件とされています。

労働問題に強い弁護士の選び方」の解説

障害者雇用における不当解雇の判断基準

障害者雇用で働く人が直面する労働問題の中でも、特に深刻なのが「解雇」です。

解雇が生活やキャリアに影響を与えるのは、健常者でも同じです。しかし障害者の場合、再就職の難しさや、障害特性に応じた職場環境の確保が必要なため、解雇による影響はより深刻になりやすい点が特徴です。

そのため、法律上も、障害者については障害を理由とした解雇や、不十分な配慮のまま行われる解雇が厳しく制限されます。採用時点で障害を把握している以上、それに伴う一定の制約や業務上の支障は、合理的配慮を前提として企業が検討すべきだからです。

以下では、障害者雇用で働く人について、どのような場合に解雇が不当と判断されるのか、その基準を解説していきます。

解雇には正当な理由が必要

障害者であっても労働者に変わりなく、解雇に関する法的な規制が適用されます。

具体的には、解雇権濫用法理により、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない場合は、違法な不当解雇として、無効になります(労働契約法16条)。

解雇権濫用法理とは
解雇権濫用法理とは

健常者と同じく、事実と異なる理由、不当な評価をもとに解雇することは、上記のルールに照らして違法なのは明らかです。

正当な解雇理由の例と判断方法」の解説

障害を理由とした解雇は禁止される

障害を理由とした解雇は法律で厳格に禁止されており、不当解雇となります。

障害者が特に巻き込まれやすい解雇トラブルについて、違法性の判断基準として次のポイントを理解してください。

障害そのものを理由とする解雇は差別である

障害者雇用促進法35条は、労働者の待遇について「障害者であること」を理由とした不当な差別的取扱いを禁じています。禁止される差別の内容は「障害者差別禁止指針(厚生労働省)」に詳しく定められており、「解雇」については次の3つの例が挙げられています。

  • 障害者であることを理由として、障害者を解雇の対象とすること
  • 解雇の対象を一定の条件に該当する者とする場合において、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと
  • 解雇の基準を満たす労働者の中で、障害者を優先して解雇の対象とすること

いずれも、能力や勤務態度といった事情にかかわらず、「障害者である」という理由だけで解雇の対象としたり、解雇の条件で不利に扱ったりすることを意味し、不適切なのは明らかです。

合理的配慮がないなら不当解雇となる

障害者雇用促進法、障害者差別解消法は、障害者に合理的な配慮をする義務を企業に課しています。合理的な配慮とは、障害者の業務上の便宜を図るために、設備や環境を整えたり、支援措置を講じたりといったことを意味し、具体的には次の例があります。

【職場環境の改善】

  • バリアフリー化
    (段差をなくす、エレベーターや手すりの設置など)
  • 特別な施設の設置
    (点字表記や音声案内、多目的トイレなど)
  • 専用デスクや作業スペースの確保

【業務内容の配慮】

  • 負担の大きい作業を与えない
  • 他の社員と分担して業務を割り振る
  • 業務量を調整する

【労働時間や勤務形態の配慮】

  • 時差出勤や短時間勤務
  • 障害の治療に必要な時間を柔軟に調整する
  • リモートワークを実施する
  • 休憩を増やして頻繁に取れるようにする

これらの配慮は、障害の特性や能力など、個別の事情に応じたものでなければなりません。合理的配慮が不足しているのに障害者を解雇するのは、企業として必要な努力を尽くしておらず、不当解雇となります。

障害が業務に支障を与えないなら不当解雇となる

業務に支障のない障害は、解雇の理由にできません。障害があっても十分に貢献している人を解雇するのは、労働者の権利を侵害する不当解雇と評価できるからです。

「業務に支障があるかどうか」は、労働契約上の義務を果たせているかどうかで判断します。決められた時間に出社し、任された職務を遂行できる場合、障害者だからといって評価を下げるのは不適切です。雇用形態が正社員か非正規か、任せられた仕事の軽重といった事情も、解雇の有効性に影響します。

能力不足を理由にする解雇の注意点

能力不足を理由とする解雇は、障害者雇用では特に慎重な検討を要します。

「仕事ができない」「期待した成果が出ない」という理由で解雇されるケースでは、障害者の能力を評価する際、障害の特性に応じた合理的配慮が行われたかが重要なポイントになります。例えば、次のようなケースでは、能力不足という評価は不合理とされ、解雇が無効となる可能性があります。

  • 当初の業務の内容や量が、障害の特性に合わなかった。
  • 指示や評価の方法が健常者と同じで、調整がされていない。
  • 配置転換や業務変更を検討せずに「能力不足」と評価された。

このような能力の問題は、試用期間満了時の本採用拒否において特に問題となります。

重要なのは、障害者であることに配慮をした上でもなお、業務遂行が困難であると言えるかどうか、という点であり、配慮なく「能力不足」と判断すれば、障害を理由とした不当な扱いであると評価されるリスクが高くなります。

能力不足を理由とする解雇」の解説

欠勤や休職を理由とする解雇の注意点

欠勤や休職を理由とした解雇も、障害者のケースではよくトラブルになります。

業務上の傷病であれば手厚く保護され、労働基準法19条により、業務災害による療養のための休業中とその後30日間は、解雇が制限されます。労働者に責任のない災害によって生じた被害から回復するまでの期間は、解雇されて生活が不安定になるのを避けるためです。

したがって、障害の原因が労災である場合は、すぐに解雇することは労働基準法違反となります。この場合にも、軽易な業務に転換して負担を軽減したり、業務時間を調整したりといった配慮をしなければなりません。

また、私傷病であっても、回復の見込みがあり、一定期間で復職できる可能性があるなら、直ちに解雇することは認められにくい傾向にあります。

多くの会社の就業規則では、休職期間満了までに復職できない場合は退職とする定めがあります。しかし、この規定があるからといって直ちに辞めさせられるわけではなく、特に障害者雇用の場合、合理的配慮を前提とした復職の可能性を検討したかどうかが重要になります。

解雇制限の期間と例外」の解説

障害者である労働者の解雇の届出(障害者解雇届)が必要

障害者を解雇する際は、通常の手続きに加え、ハローワーク(公共職業安定所)への届出が義務付けられています(障害者雇用促進法81条)。障害者は不当な解雇をされやすく、一般の求職者に比べて再就職が困難なことが多いため、状況を把握する目的で設けられた規制です。

なお、天災事変による場合や労働者の重大な責任がある場合など、やむを得ない理由で解雇になった場合には、届出は不要とされます。

「障害者である労働者の解雇の届出」(障害者解雇届)と呼ばれ、解雇年月日、解雇理由、障害の種類・程度などを記載し、障害者の解雇が正当に行われているかどうかを確認します。書式については、厚生労働省の下記サイトを確認してください。

障害者解雇届(厚生労働省)

解雇された障害者が会社と争う方法

次に、障害者雇用で不当解雇されてしまったときの争い方を解説します。

違法な障害者差別を受けた場合でも、法律に基づいて救済を求めることができます。不当な解雇をされても、あきらめずに行動することが重要です。

STEP

解雇直後に行うべきこと

まずは冷静に、解雇の内容と理由を記録に残すことが重要です。

会社から口頭で解雇を告げられた場合でも、解雇理由や解雇日については必ず書面で確認するようにしてください。労働者が請求すれば、会社は「解雇理由証明書」を交付する義務があります(労働基準法22条)。

この際、退職届や退職合意書への署名を求められることがありますが、応じると後から解雇の有効性を争うのが難しくなってしまうので、必ず拒否しましょう。

解雇理由証明書の請求方法」の解説

STEP

解雇理由が障害に関わるかを確認する

次に重要なのが、「障害に関連して解雇されたか」を明らかにすることです。

表向きに示された理由が「能力不足」「欠勤が多い」などでも、実際には、障害への配慮不足や、障害特性を考慮していない評価が背景にあることも少なくありません。そのため、過去の人事評価や面談記録、注意指導の内容などを確認して、示された解雇理由と矛盾しないかどうかを検討することが必要となります。

障害を理由とする不利益な扱いが疑われる場合、不当解雇となる可能性が高まります。

STEP

障害者への合理的な配慮を求める

解雇前に合理的配慮が十分提供されていたかが重要な争点となります。

そのため、業務内容の調整、勤務時間の変更、配置転換などについて、具体的にどのような配慮が可能だったかを整理しましょう。主治医の診断書や意見書、就労支援機関からの助言を活用すれば、「配慮を前提とすれば就労継続は問題なく可能である」という主張を裏付けることができます。

このような検討は、不当解雇が撤回される場合、復帰後の労働環境を整備する上でも重要なことです。

解雇を撤回させる方法」の解説

STEP

行政の相談窓口に相談する

解雇が不当だと感じた場合、労働基準監督署への相談も選択肢の一つです。

労働基準監督署は、労働基準法違反などが疑われる場合に、企業に対して助言指導や是正勧告を行います。ただし、解雇の有効性そのものを判断する機関ではなく、解雇トラブルの解決を全てサポートしてくれるとは限りません。

障害者雇用の場合、ハローワークや障害者就業・生活支援センターも重要な相談先となります。

労働基準監督署への通報」の解説

STEP

弁護士に相談して法的手続きで争う

不当解雇を争うことを検討するなら、弁護士のアドバイスを受けるのがお勧めです。弁護士に相談すれば、会社の対応が法的に問題となる可能性があるかどうか、客観的な視点から整理してもらうことができます。

障害者雇用における差別や不利益な取扱いは、評価や配置、人間関係といった形で現れることが多く、外から見えにくいのが実情です。そのため、当事者である障害者が一人で不当解雇を争うのは、決して容易ではありません。

弁護士に相談することで、被害状況の整理や証拠集め、適切な救済手段について、専門的なアドバイスを受けることができます。

交渉による解決が難しい場合には労働審判や訴訟といった法的手続きを検討することになりますが、その際、職場復帰の可否だけでなく、解決金、差別による精神的苦痛に対する慰謝料請求など、戦略的に方針を検討することが重要です。

労働問題を弁護士に無料相談する方法」の解説

障害者雇用で解雇できるケース・できないケース【裁判例付】

最後に、障害者雇用で解雇できるケース、できないケースを解説します。

確かに、障害者雇用では、障害の特性に配慮し、業務内容や勤務条件を調整することが企業に求められるので、十分な配慮なく解雇に踏み切ると、不当解雇と判断される可能性が高いです。実際に不当解雇と判断されたケースも多々あります。

一方で、障害者雇用は一切解雇できないわけではありません。障害者であっても、正当な理由があれば解雇が有効とされるケースもあります。

障害者の解雇が有効と判断される場合

障害者であることを前提としても、その雇用契約上の義務すら果たせていない場合、「能力不足」と判断されても仕方ないケースもあります。障害者には一定の配慮を要しますが、その上でもなお、業務遂行に不適切な面がある場合、解雇を有効とした裁判例があります。

東京高裁平成22年5月17日(藍澤證券事件)

うつ病による精神障害を抱えた契約社員が、業務上のミスが続いたことを理由に契約を更新されなかったことについて、障害者雇用促進法の適用を主張し、雇用の継続を求めて争った事案です。

裁判所は、会社は適切な労務管理を行っており、病状に配慮した業務を割り当て、指導担当者による支援や業務時間の調整といった合理的な配慮を提供してきたと認めた。そして、労働者はミスを繰り返した上にそれを隠すなどした点で、更新拒否に合理的な理由があるとし、雇い止めは有効であると判断しました。

業績悪化などにより人員整理が必要となった場合の整理解雇においても、障害者が対象となることがあります。この場合、整理解雇の4要件(①人員削減の必要性、②解雇回避の努力、③人選の合理性、④解雇手続の妥当性)を満たす解雇は有効となる可能性があります。

ただし、障害者であることだけを理由に優先的に解雇対象とすることは許されず、合理的な人選に基づいて対象者を選定する必要があります。

障害者でも、企業の秩序を守る義務があるのは当然であり、重大な責任のある行為があれば、障害者であっても懲戒解雇とすることが認められます。例えば、横領や窃盗などの犯罪行為、重度のハラスメント行為、他の社員への暴力や、会社の機密情報の漏洩や無断での持ち出し、長期の無断欠勤といった悪質なケースは、懲戒解雇とされてもやむを得ません。

懲戒解雇を争うときのポイント」の解説

障害者の解雇が無効と判断される場合

障害者雇用では、障害への配慮や業務調整を十分に検討しないまま行われた解雇は、無効と判断されやすくなります。例えば、次のような裁判例があります。

大阪地裁令和4年4月12日判決

鉄道車両や船舶を製造する会社の従業員が、勤務成績や業務能率などを理由に解雇された事案です。原告は、てんかんで障害等級1級の認定を受けている上に、骨盤にボルトが入っていて足を動かしにくい状態で、配慮の求められる労働者でした。

裁判所は、解雇理由とされた「作業が遅い」という点について、てんかんの症状からくる作業の遅さに配慮を要すると医師が診断していたこと、作業スピードに改善の兆しが見られることなどから、解雇理由に該当しないと判断しました。また、「スプレーガンの使用技術」についても、業務に深刻な支障はなく、他の作業員にも同様のミスがあったことなどから、解雇理由として不適切であるとし、解雇は違法であり無効であると判断しました。

裁判で勝つ方法」の解説

【まとめ】障害者の解雇の違法性

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、障害者雇用における解雇がどのような場合に問題となるか、その判断基準や対処法について解説しました。

障害者が解雇された場合、その有効性は、労働契約法などの一般的な解雇規制に加え、障害者雇用促進法や障害者差別解消法の規定も踏まえて判断されます。企業が、障害の特性に応じた合理的な配慮を検討し、就労を継続できる可能性を探っていたかどうかが重要なポイントとなります。

多様な人材の活用が進む一方で、障害を持つ労働者の地位が依然として軽視されてしまうケースも少なくありません。しかし、障害を理由とする解雇や不利益な取扱いは違法であり、弁護士に相談するなどして、法的な救済を受けることが必要です。

解雇が不当ではないかと感じたときは、一人で抱え込まず、弁護士への相談を検討してください。労働問題を多く扱う弁護士であれば、障害者の問題を軽視することは決してありません。

この解説のポイント
  • 障害の特性に応じた合理的な配慮を尽くし、就労環境を整える必要がある
  • 解雇の場合も、理由や手続きと共に、配慮が不足すると無効になりやすい
  • 解雇理由が能力不足や傷病の場合にも、障害への配慮が前提となる

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