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試用期間の後、本採用されたが給料を下げられた…違法?対応は??

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一般的に、正社員だけでなく、契約社員、アルバイトなどの非正規社員であっても、3か月~6か月などの一定期間の試用期間が設けられていることが一般的です。

試用期間は、採用面接などで見分けることの難しい適正を判断するために設けられる期間ですから、試用期間を終了して社員としての適正が認められるのであれば、採用時、試用期間に提示された労働条件から引き下げられることは通常ありません。

しかし、試用期間が終了して本採用をするにもかかわらず、試用期間中の能力不足、勤務態度などを理由にして、本採用をするときに給料を引き下げてくるケースも残念ながらあるようです。

そこで今回は、試用期間の後に本採用されたが、給料を下げられるというケースが違法であるかどうか、また、その際の労働者側の対応について、労働問題に強い弁護士が解説します。

1. そもそも試用期間とは?

まず、試用期間を経過し、本採用されたタイミングで、その後に会社が労働者の給料を一方的に下げることができるのか、という問題を理解していただく前提として、試用期間についての基礎知識を理解してください。

試用期間の法的意味を理解していただくことによって、会社が、試用期間前後において、一方的に給与を引き下げることができないことを、容易に理解して頂けるでしょう。

4月の入社シーズンが終わり、6月~9月頃になると、試用期間満了のシーズンとなり、試用期間満了にともなう本採用拒否や、今回解説するような給与引き下げの問題が多く発生します。

1.1. 試用期間とは?

まずは、試用期間の、法律上の基本的な性質について、弁護士が解説していきます。

試用期間は、過去の裁判例などにおいて、「解約権留保付き労働契約」であると判断されています。

つまり、試用期間の経過するまで、もしくは、試用期間の終了時に、本採用を拒否するような事情が発覚した場合には、会社側は留保していた解約権を行使し、本採用拒否(解雇)をすることができる、という雇用契約のことをいいます。

1.2. 本採用拒否(解雇)は自由ではない

しかし、試用期間が「解約権留保付き雇用契約」であって、試用期間中に、解約権を行使すべき労働者の問題点、社員としての不適正などが判明したとしても、本採用拒否(解雇)を、会社のまったくの自由にできるわけではありません。

試用期間終了時の本採用拒否は、試用期間が既に雇用契約であって、本採用が「新たなる契約」ではない以上、雇用契約途中で解雇をされることと同じことを意味します。

日本において、解雇という労働者に不利益な処分は「解雇権濫用法理」というルールによって厳しく制限されており、これは、本採用拒否も同様です。

したがって、会社がその労働者を本採用拒否する客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当でない限り、本採用拒否は無効となります。

1.3. 試用期間の前後を通じて同一の雇用契約

以上の通り、試用期間は「解約権留保付き雇用契約」であり、試用期間中の事情によって、会社は労働者を本採用拒否(解雇)にすることができるものの、その本採用拒否に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であるといえない場合、本採用拒否は無効となります。

試用期間の開始によって、会社(使用者)と社員(労働者)との間には、既に労働契約が締結されており、試用期間の終了によって、「試用期間の雇用契約」が終了し、本採用によってあらたに「本採用の雇用契約」が結ばれるわけではありません。

つまり、試用期間も本採用も、同一の、1つの雇用契約が続いているというわけです。

同一の雇用契約が続いている以上、採用から試用期間を経て、本採用に至るまで、労働条件が変更されないのが原則であるのは当然です。

1.4. 試用期間が有期雇用のケースは?

会社の中には、試用期間は有期雇用の別途の契約であり、有期雇用の試用期間が終了した後に、あらたに本採用の場合には別個の雇用契約を締結する、というケースがあります。

このような場合であっても、試用期間の有期雇用契約が、「試用」の意味を持ち、労働者の能力、適性を評価するための期間であるという場合には、本採用は会社の自由に認められるわけではありません。

したがって、形式的には、有期雇用という形をとっても、実質が試用期間であれば、実質にしたがって判断されるというわけです。

2. 試用期間終了後、本採用時に給料を下げられたケース

さて、以上のとおり、試用期間が終了した後に、本採用を拒否することが難しいとすると、試用期間による評価が低い労働者に対しては、給料を下げようとする会社も出てきます。

試用期間満了後に給料を下げられたという労働者の法律相談の例と、どのような問題点があるのかについて、弁護士が解説します。

2.1. 法律相談の例

例えば、「試用期間中の働きぶりを見たが、本採用拒否するほどではないが、当初伝えていた年収では到底働かせることはできない。会社に残りたいのであれば、給料を下げる。」といった会社の例です。

先ほど解説したとおり、試用期間と本採用後は、別個の労働契約ではなく、同一の労働契約の延長ですから、途中で労働条件を引き下げることは、労働者の同意なく会社が一方的に行うことはできません。

そのため、会社は、労働者を本採用拒否して辞めてもらうのではなく、労働者の納得なく給料を下げることで、労働者を自主的な退職に追い込んだり、会社が納得いくだけの給料しか出さないようにしたりするわけです。

2.2. 本採用後に給料を下げることの問題点

雇用契約というのは、労働者と使用者の間の合意ですから、その合意の内容(労働条件)を変更するにも、労働者との間の合意が必要になるからです。強引に当初説明していた労働条件を引き下げようとすることは違法です。

そして、本採用時に、試用期間中とは異なるあらたな契約を締結するわけではないことから、同じ労働契約の中で、本採用をきっかけに給料を引き下げようと考えれば、労働者の同意が必要となるのが当然です。

なお、試用期間中の給与が、「試用」であることから、本採用後の給与よりも低いというケースは、採用面接の段階でそのように賃金額を説明して労働者も同意し、最低賃金を下回らない限り、違法とはなりません。

2.3. 本採用後に給料を下げられた労働者が会社と戦うべき理由

試用期間を経過し、本採用となると、本採用されたことが嬉しく、また、試用期間中に至らぬ点があったことへの反省などから、「頑張って試用期間を働いてきたので。」という理由で、給料を下げられても本採用に同意してしまう労働者も少なくありません。

特に、先ほどの法律相談の例のように、「本採用はするけれども、君の試用期間中のパフォーマンスは足りない。採用時に提示した給料では雇えない。」と言われると、断ったら本採用拒否となることをおそれ、会社の一方的な言い分に従ってしまいがちです。

本採用拒否されるかもしれない、という労働者側の弱みに付け込んで、本採用後の給与の減額という、労働者側にとって不満があって当然の処分を受け入れさせようというわけです。

しかし、試用期間が終了し、本採用をされている以上、少なくとも本採用に足るだけの十分な能力、適性が備わっていたということです。そうでなければ本採用拒否をすればよいわけですが、本採用拒否をすると会社にリスクがあるため給料の減額で対応してくるわけです。

本採用拒否とならずに試用期間を問題なく終了している以上、会社の言い分に従って給料の減額に同意する必要は全くありません。

3. 試用期間経過後、会社が一方的に賃金を下げることは違法!

既に解説してきましたとおり、試用期間の法的性質が「解約権留保付き雇用契約」であるとして、試用期間と、その経過後の本採用とが、同一の労働契約であるとご理解いただけたでしょうか。

すると、試用期間経過後に、会社が一方的に賃金を下げることは、「試用期間・本採用のタイミングだから許される」というものではなく、雇用契約期間中に労働条件を引き下げることと何ら変わらない、不合理な処分であるといえます。

そこで次に、試用期間経過後に、会社が一方的に賃金を下げることが違法となる理由について、弁護士が解説します。

3.1. 本採用拒否はできて、賃金減額はできない理由は?

試用期間中、もしくは、試用期間経過後に、採用時には判明していなかった社員として不適格な事由などが発覚した場合に、それが客観的に合理的な理由で、社会通念上相当であれば、本採用拒否を適法に行うことができます。

本採用拒否(解雇)という処分すらできるので、より労働者にとって不利益の小さい給料の減額は可能であろうとお考えの会社もあるかもしれませんが、それは間違いです。

まず、本採用拒否は、労働者にとって不利益の非常に大きい処分であるからこそ、自由に可能なわけではありません。そして、会社は、この厳しい制限のもとに解約権を行使することができるだけであって、これを行使せずに給与を一方的に下げる権利まではありません。

本採用拒否が、「解雇」と同様に、厳しくその有効性、違法性が検討されるのに対して、給与の一方的な引き下げ、労働条件の変更ができてしまうとすれば、労働条件を大幅に引き下げることにより、労働者を退職に追い込むことも可能となってしまうおそれがあり、不当であることが明らかです。

3.2. 労働条件の変更には労働者の同意が必要

さきほど解説したとおり、労働契約は、労働者と会社との合意によって成り立っているものですから、その変更にも両者の合意が必要です。

このことは、労働契約法にも、次の通り定められています。労働者の同意のない、会社からの一方的な労働条件の変更は、無効であるといえます。試用期間経過後、本採用時であってもこれは同様で、労働者の同意を得ずに変更すれば、下記の労働契約法に違反します。

労働契約法3条1項 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

労働契約法8条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

3.3. たとえ能力が低くても給与引き下げはできない

以上のことを一例で見てみましょう。例えば、採用時に時給1200円の雇用契約を締結して、試用期間を経過したアルバイト社員の例で考えてみてください。

このとき、試用期間中のこの社員の能力が低い場合、それが採用面接などでは明らかにならない性質のものであって、本採用拒否をするに足る客観的に合理的な理由があり、本採用拒否をしても社会通念上相当であると評価できるのであれば、適法に本採用拒否することとなります。

これに対して、会社が一方的に「時給1000円程度の能力しかない。」と考えたとしても、本採用拒否するに足る問題点ではない場合には、一方的に時給1000円にする権利は会社にはなく、労働者に同意を求めなければなりません。

そして、労働者が時給1000円に引き下げられることを拒否した場合には、採用時の約束通り、試用期間経過後は、労働契約法の原則に基づき、時給1200円で本採用しなけれなならないということになります。

4. 試用期間経過後の給料引下げに同意を強要されたら違法

以上のとおり、試用期間中の雇用契約と、本採用後の雇用契約は同一のものであって、本採用拒否にいたるほどの問題点がない以上、会社が労働者の労働条件を、一方的に引き下げることはできません。

問題あるブラック企業の中には、労働者の同意をとって給与を引き下げるために、試用期間経過後に、「給与の引き下げに同意をしないと、本採用拒否する。」と脅して、労働者の同意を強要するケースがあります。

そこで、試用期間経過後に、労働者が給料の引き下げに同意をしなければならない義務のないことと、同意を強要された場合の対処法について弁護士が解説します。

4.1. 同意しないことを理由に本採用拒否すれば違法

会社が労働者に通知してくる、「給料の引き下げに応じないのであれば、その価値はないので、本採用拒否する。」という発言は、違法であり、これに従う必要はありません。

試用期間経過後に給料を引き下げようとすれば同意が必要なのであって、「同意をしないこと」を理由に、本採用拒否をすることはできないからです。

本採用拒否は、会社側からの一方的な雇用契約の解約、すなわち「解雇」を意味していますから、会社が本採用を拒否するためには、解雇権濫用法理による厳しい制約があるからです。

会社の評価する能力に見合った給料への減額に同意をしないことは、本採用拒否を正当化する「客観的に合理的な理由」ともなりませんし、「社会通念上相当」とも到底いえません。

4.2. 重要な労働条件の変更への同意は、特に慎重に!

特に、給料は、労働条件の中でも、労働者にとって特に重要なものです。労働者の日々の生活の糧となる給料がなくなれば、労働者が安心して働くことはできません。

そのため、給料のような重要な労働条件の変更については、「労働者の同意があったかどうか。」は、裁判所などでは特に慎重に判断がされます。

この点からも、会社が労働者に対して、「不同意であれば本採用拒否をする。」という威嚇をもとにとった同意など、労働審判や訴訟など、裁判所で争うことによって、「同意は無効である。」と判断されることとなるでしょう。

5. 試用期間後に給与を引き下げられたときの対応

以上に解説しましたとおり、試用期間経過後、本採用の時点で給与を引き下げようとするには、労働者の同意が必要であり、同意をするよう強要されたとしても、断固として拒否をするようにしてください。

本採用をしたにもかかわらず、本採用後は引き下げた後の給料額しか支払ってこないという違法な対応をする悪質なブラック企業に対して、労働者はどのように対応したらよいのか、弁護士が解説します。

5.1. 内容証明郵便で、減額された給与を請求する

たとえ試用期間経過後、本採用のタイミングであったとしても、労働者の同意なく、雇用契約途中で労働条件を引き下げることは違法です。

したがって、会社側の「試用期間のパフォーマンスが足りなかった。」などの一方的な理由による給与減額が違法である以上、労働者は会社に対して、減額前の給与を請求することができます。

採用面接時に約束した給与の金額を示す書面などが、請求できる給与額を証明する重要な証拠となります。

賃金の請求について、会社は「賃金引下げは適法」と考えている可能性があり、口頭で請求しても拒否される可能性が高い場合には、客観的な証拠に残る形、すなわち、内容証明郵便によって、減額前の給与との差額を請求することを明らかにしましょう。

5.2. 労働問題に強い弁護士に依頼する

減額前の給与との差額を請求するにあたっては、本人が直接請求するよりも、弁護士に依頼し、弁護士名義で内容証明郵便を送ってもらうほうが、より効果的です。

弁護士に依頼したことを示すことによって、労働法的に正しい労働者側の主張を拒否すれば、労働審判、訴訟などの法的手続に移行し、裁判所において同様の主張がされることを明らかに示すことができるからです。

また、弁護士に依頼した場合には、万が一にも、賃金の請求をしたことによって本採用拒否をされてしまったといったケースで、試用期間満了時の本採用拒否の問題も含めた、すべての労働問題を一括して解決してもらうことができます。

5.3. 労働審判で、減額された給与を請求する

弁護士に依頼して内容証明郵便を送ってもらっても、労働法を理解しようともせず、試用期間、本採用拒否、給与減額についての知識が不足するブラック企業、ワンマン社長の場合、話し合いが成立しないケースもあります。

また、労働者が、減額前の給与を請求してきたことに腹を立て、同意の強要時に言っていた「同意をしてくれないと本採用拒否する。」という脅しを実行に移す悪質な会社もあります。

会社側に、上記のような労働法への理解不足、問題点がある場合、そのまま話し合いを続けて円満に解決することは、もはや絶望的と言わざるを得ません。

話し合いによる解決ができない場合には、労働審判という、訴訟よりも簡易かつ短期間で終了し、柔軟な解決をすることが可能な制度によって、労働問題の解決を模索するのがよいでしょう。

6. まとめ

今回は、試用期間中、問題なく働き、本採用拒否もされなかったにもかかわらず、「本採用拒否しない代わりに、給与を減額する。」と通告されてしまった労働者の方の法律相談について、弁護士が解説しました。

試用期間は、「解約権留保付き雇用契約」であり、本採用拒否は「解雇」と同様に厳しく制限されているうえ、本採用拒否をしないのであれば、労働者の同意なく一方的に労働条件を変更することはできません。

特に、給与は、引き下げをすると労働者に著しく不利益となる非常に重要な労働条件ですから、引き下げに同意するよう強要することは当然ながら違法です。

試用期間経過後に、給与を引き下げられたり、本採用拒否されたりしてしまってお悩みの労働者の方は、労働問題に強い弁護士に、お早めに法律相談ください。

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