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賞罰欄の経歴詐称は解雇?賞罰欄に逮捕歴、少年犯罪歴、補導歴の記載は必要?

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履歴書を記載する際、「賞罰」という欄が気になったことがないでしょうか。

「賞」といわれると、明確な定義がなくても、できる限り自分のアピールになりそうなことを記載し、アピールに関係なさそうなことについては記載する必要はないでしょう。

これに対して「罰」といわれると、明確な定義がなく悩んでしまいます。

特に、大きな「罰」、例えば前科などがある場合、これを隠して入社を決定した場合には、後に解雇理由などになりかねない重大な問題となります。

とはいえ、労働者にも、自分に不利な事実を積極的に会社に対して告知する義務まではありません。したがって、「書かなくてよいのであれば、書きたくない。」という労働者の気持ちも、法律・裁判例でも「書かなくてもよい。」とされる事項は、書かなくてもよいことになります。

今回は、賞罰欄の記載について、「何を書くべきか。」「何を書かなくてもよいのか。」を、裁判例をもとに弁護士が解説します。

1. 「賞罰」の定義とは?

履歴書の記載欄にある「賞罰」について、法律上明確な定義はありません。

「賞」の欄については、「入社を判断してもらうにあたって、アピール要素となるかどうか」という観点から、取捨選択して記入しておけば足ります。

というのも、「賞」について、漏れがあったとしても、採用がしてもらえない可能性が上がるだけで、後から「なぜこの賞について記載をしていないのか。」と責任追及をされることはないからです。

自分で判断して、会社に採用してもらう可能性が上がるように記載すれば足ります。

これに対して、「罰」の場合には、事態は深刻です。

すなわち、記載をしなければならない「罰」について、記載を怠ったことで、会社が採用してしまったとすると、大問題だからです。

会社としては、「その罰が記載されていたら採用しなかったのに、これを隠していたことは問題だ。」として責任追及をすることが想定されます。「罰」の記載が不適切であったことにより、労働者の責任を追及されるおそれがあるということです。

2. 「賞罰」を隠して入社するリスク

「賞罰」のうち、特に「罰」については、これを隠して入社することは、労働者にとって会社から責任追及をされるリスクがあります。

「賞罰」を隠して入社することによって、労働者が負うリスクを、弁護士が解説します。

2.1. 採用の自由、調査の自由と、労働者の真実告知義務

会社が、賞罰欄の記載のある履歴書を提出するよう求めたり、所定のエントリーシートに賞罰欄を設けるということは、すなわち、賞罰を申告することを、会社が労働者に対して要求したことを意味します。

したがって、「聞かれなかったから答えませんでした。」という労働者側の反論は認められる余地が少ないといえます。

会社には、「労働者を採用するかどうか。」「誰を採用するか。」について、自由に決定することができる権利があります。これを「採用の自由」といいます。

採用の自由の前提として、採用判断の基準となる考慮要素については、労働者に質問をして調査をすることが許されています。これを「調査の事由」といいます。

 参考 
  • 採用の自由
    :どの応募者を採用するかを、会社が自由に決定することのできる権利
  • 調査の自由
    :採用の判断を決定するに際して、考慮要素となる事情を会社が自由に調査することのできる権利

会社に認められた調査の自由に従い、労働者は、会社から質問されたことについて、回答をしなければなりません。

この点は、裁判例でも次の通り認められています。

炭研精工事件(最高裁平成3年9月19日判決)

「使用者が、雇用契約の締結に先だって、雇用しようとする労働者に対し、その労働力評価に直接かかわる事項ばかりでなく、当該企業あるいは職場への適応性、貢献意欲、企業の信用の保持等企業秩序の維持に関係する事項についても必要かつ合理的な範囲内で申告を求めた場合には、労働者は、信義則上、真実を告知すべき義務を負う」

したがって、賞罰欄に記載すべき前科がある場合には、正直に申告しなければなりません。

2.2. 聞かれない場合、積極的な真実告知義務はない

既に解説した採用の自由、趙さの自由と、労働者の真実告知義務により、労働者は、会社から聞かれた質問については、適切に回答をしなければ、責任追及をされるリスクがあります。

これに対し、会社が労働者に対して聞かなかった事項については、労働者から、自分に不利な事実を、あえて積極的に告知する義務まではないとされています。

会社としても、採用判断の要素とするのであれば、質問をするでしょうから、質問をしなかったことにまで不利なことをいう義務はないということです。

したがって、会社から履歴書、エントリーシートなどの指定がない場合に、賞罰欄の枠のない履歴書を用いることによって、あえて賞罰を申告することなく採用面接を受けることが可能となります。

 注意! 

ただし、面接で質問された事項について前科を秘匿したり、賞罰欄の枠のある履歴書にあえて空欄で提出するなどといった場合には、事後、賞罰欄に記載すべき前科などが明らかとなった場合には、会社からの責任追及を免れません。

3. 裁判例における「罰」とは?

以上のことから、履歴書を記載するときには、賞罰欄のうち、特に「罰」の記載には慎重にならなければいけないことはご理解いただけたかと思います。

裁判例においても、この「罰」の定義については問題となっています。

端的にいうと、裁判例にいう賞罰欄の「罰」とは、「確定した有罪判決」であるとされています。

これに加えて、「確定した有罪判決」に類似しており、「罰」に該当するかが争いとなるものについて、順番に解説していきます。

3.1. 「罰」にあたらない(記載しなくてもよい)もの

「罰」にあたらないと判断されるものについては、労働者の側から積極的に不利な事実を記載する必要はなく、また、記載しなかったことによって採用されたとしても、解雇理由などにはなりません。

後から会社に「重大な事実を隠していた。」と責められ、解雇となるリスクは低いといえます。

「罰」とは「確定した有罪判決」を意味するのですから、次のものは「罰」にはあたらないとされ、記載は不要となります。

 例 
  • 逮捕されたが、勾留されずに釈放された事実
  • 逮捕・勾留されたが、起訴されずに釈放された事実
  • 処分保留・起訴猶予となった事実
  • 現在公判を継続中である事実(控訴審を含む)
  • 起訴され、現在保釈中である事実

したがって、これらの場合には「罰」にあたらず賞罰欄に書く必要がないことはもちろんのこと、採用面接において「犯罪歴はありません。」と回答してよいということになります。

すなわち、「犯罪歴はない。」と回答したとしても虚偽にはならず、経歴詐称にはならないことから、解雇理由ともなりません。

 参考 

なお、交通事故については、いわゆる「青切符」は行政罰であることからこの「罰」となる犯罪歴にはあたらないものの、いわゆる「赤切符」は略式裁判による罰金刑であり、「確定した有罪判決」に該当しますので、注意が必要です。

「たかが交通事故だから。」と甘く見て記載を怠ることとなると、特に運送系の会社など自動車の運転が業務上必須となる会社では、経歴詐称として解雇理由とされても仕方ないものと考えます。

3.2. 時間の経過によって消滅した前科

「確定した有罪判決」を受けた場合には、どれだけ長い期間を経過しても常に賞罰欄で申告を求められるとすれば、労働者が反省し、更生に向けて努力する気力が起きなくなります。

これでは、執行猶予、刑の消滅制度など、時間の経過によって社会内での更生を可能とするための刑事上の制度が、実効性を失ってしまいます。

そこで、刑の執行が終了した後10年以上経過した前科について刑の効力が失われると規定する刑法34条の2の規程、執行猶予期間の経過により刑の効力が失われると規定する刑法27条の規定に従ってこれらの場合には、刑の効力が失われることから、賞罰欄に記載する必要はありません。

同様に、「時間の経過によって消滅した前科」は、面接においても申告の必要はありません。

したがって、すでに執行猶予判決を受け、執行猶予期間を経過した後であれば、「犯罪歴はありません。」と回答してよいということです。

3.3. 少年時代の非行歴、補導歴

少年時代の非行歴、補導歴については、「確定した有罪判決」には該当しないことから、積極的に申告する必要はありません。

同様に、採用面接の場においても、労働者の側から積極的に申告する必要はありません。

4. 賞罰について経歴詐称をしたら解雇?

では、「経歴詐称をしたら解雇されるの?」という法律相談に対して、回答していきます。

以上の通り、次の場合には、前科を隠すことは経歴詐称にあたます。

通常、会社の「前科があるのであれば採用はしなかった。」という主張はもっともだと考えられることから、前科の秘匿は「重大な経歴詐称」に該当し、解雇が可能となります。

  • 会社が賞罰欄の記載のある履歴書の提出を求めたが、前科を記載しなかった場合
  • 労働者が、賞罰欄の記載のある履歴書を提出し、前科を記載しなかった場合
  • 採用面接で前科について聞かれたが、事実と異なる回答をした場合

したがって、「確定した有罪判決」に該当する記録が存在する場合には、会社に対して正直に申告しなければなりません。

ただし、懲戒解雇をする場合には、就業規則に「重大な経歴詐称」が懲戒事由に該当することを記載されていた上で、解雇権濫用法理に従い、客観的に合理的な理由があり、社会通念上の相当性が必要であること、懲戒解雇に必要な手続きを踏まなければならないことは当然です。

これに対し、「起訴猶予・処分保留となった事実」「執行猶予期間が経過した犯罪」「刑の消滅した犯罪」「少年時代の非行歴」などについては、「確定した有罪判決」に該当せず、労働者側に積極的な真実告知義務はありません。

これらの事情を面接で告げなかったこと、賞罰欄に記載しなかったことを理由として行われた解雇は、不当解雇として無効となる可能性が高いものです。

したがって、これら前科に該当しない事情によって解雇を通告された場合には、労働問題に強い弁護士に相談すべきです。

5. 経歴詐称で解雇されたら、争う方法は?

最後に、経歴詐称で解雇された場合に、この解雇を、会社との間で争う方法について、弁護士が解説します。

5.1. 【内容証明】により、経歴詐称でないことを証明する

会社から「経歴詐称か?」と疑われれば、労働者(あなた)と使用者(会社)との間の信頼関係は破壊されてしまいかねません。

まずは、労働者(あなた)の方から、「経歴詐称でないこと」を証明し、会社に示すようにします。

「経歴詐称でないこと」を証明する方法には、今回の解説を参考にして、次の方法を検討してください。ご自身のケースでどのような反論が可能かお悩みの場合は、労働問題に強い弁護士へご相談ください。

  • 採用時、会社から質問されなかったので、労働者側に回答義務のない事実に関することである。
  • 労働者側に、「賞罰」として回答する義務のない事実に関することである。
  • 経歴詐称となるような事実の不一致がない。

「経歴詐称ではない。」という労働者側からの主張は、後の争いの際に役立つ証拠を残しておくために、内容証明によって行うようにしてください。

また、「経歴詐称となるような事実の不一致がない。」という反論をする場合には、そのことを示す資料を、一緒に提出するのがよいでしょう。

5.2. 【労働審判】により、解雇を争う

話し合いによっても会社が納得せず、会社が、「経歴詐称を理由とする解雇」を強行する場合には、この解雇が無効であることを争わなければなりません。

解雇は、解雇権濫用法理により、合理的な理由がなく社会的に不相当な場合、不当解雇として違法、無効です。

例えば、次のような「経歴詐称を理由とする解雇」は、不当解雇の疑いが濃厚であると考えて良いでしょう。

  • 労働者側に回答義務のない事実について、労働者側が真実を伝えていなかったことを理由とする解雇
  • 経歴詐称ではないことを労働者が証明したにもかかわらず強行された解雇
  • 採用に何ら影響のない(真実を告知しても採用するはずであった)些細な経歴詐称を理由とする解雇

特に、業務に何ら影響のない些細な経歴詐称や履歴書の誤記、確認ミスなどは、これを理由として解雇をされたとなると、「社会的相当性」がなく不当解雇であると判断される可能性が高まります。

したがって、あまりに理不尽な解雇の場合、不当解雇を労働審判によって争います。

5.3. 【裁判】により、解雇を争う

労働審判によっても、経歴詐称による解雇トラブルが解決しない場合には、裁判によって争うことになります。

裁判によって経歴詐称による解雇を争う場合には、「地位確認請求訴訟」という類型になります。つまり、労働者としての地位があることの確認を求めるという請求です。

6. まとめ

経歴詐称、特に「賞罰」欄の記載について、どのようなことを記載すればよいのか、あるいは、どのような賞罰は記載しなくてもよいのかについて解説しました。

「賞罰」欄、特に「罰」について、「どのようなことを記載しなくてよいのか。」の判断を誤ると、会社から解雇される理由となるおそれがあります。

一方で、「罰」としては記載しなくてもよいこともあり、採用されるためには、書かなくてもよいことは履歴書に記載する必要はありません。

経歴詐称による解雇トラブルでお悩みの方は、労働問題に強い弁護士へご相談ください。

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