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お盆休み(夏季休暇)を有給休暇(年休)とする会社は違法?

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運営元:弁護士法人浅野総合法律事務所

お盆シーズンを「夏季休暇」と定めている会社が多くあります。お盆は、カレンダーによって曜日がことなりますが、年によっては長期連休となることがあります。

夏季休暇について「会社が定めた日数分だけ自由にとってよい」というルールを定める会社も増えてきましたが、一方で、長期連休が予定されているような場合には、やはり連続したお盆休みを一斉にとったほうが業務への支障が少ないと考える会社も多いです。

しかし、そのような会社のなかには、夏季休暇に有給休暇をあて、有給休暇を消化してしまうことによって減らしてしまおうとする会社もあります。せっかく「夏休み」なのに、有給休暇も同時になくなってしまうのでは、労働者側としては損した気分です。これは、労働者の正当な権利の侵害なのでしょうか。

そこで今回は、お盆休み(夏季休暇)を有給休暇(年休)にあてる会社が違法なブラック企業なのかどうかについて、労働問題に強い弁護士が解説します。

「有給休暇」の法律知識まとめ

有給休暇を勝手に使わせることは違法!

「有給休暇(年休)」とは、一定の期間会社で働き続けた労働者に対して、給料をもらいながら休むことのできる「権利」を与える、労働基準法における制度のことをいいます。

有給休暇(年休)は、法律上、労働者に与えられた権利ですから、権利を行使して休むかどうかは、労働者が決めることです。したがって、会社は、有給休暇を使うことを強制することはできないのが原則です。

今回のテーマでいえば、お盆休み(夏季休暇)であるからといって、会社側が、労働者に対して有給休暇を使わせることを強制し、消化してしまうことは違法です。

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有給休暇は正当な権利であり、弁護士等の協力によって容易に実現可能です。有給休暇の取得方法とルールを解説します。有給休暇を全く取得できない場合、適切な労働条件を求めて会社と交渉するために労働問題に強い弁護士へご相談ください。

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お盆に有給休暇を使ってもよいケース

とはいえ、お盆休み、夏季休暇ですから、「できればまとまった休みをとりたい」と考えるのが労働者側としても本音である場合もあります。

さきほど申し上げたとおり、有給休暇をとることは、労働者の権利として労基法に明記されていますから、会社や他の社員に気兼ねすることなく、労働者は有給休暇を取得することができます。

この際、お盆休み(夏季休暇)と有給休暇、休日の関係について、基本的な考え方をしっかり理解し、有給休暇を損することのないよう注意しましょう。

休日は会社が決める

会社の休日は、会社が指定します。通常、一般的にいえば、「土日休み」「お盆と正月は休み」という会社が多いですが、これは法律上の義務ではありません。

飲食店やデパート、サービス業など、業種によってはむしろ、「土日」や「盆、正月」は繁忙期といえますから、休日がいつであるか、法律上決まったルールがないことはご理解いただけるでしょう。

勤務している会社が、いつを「休日」と定めているかは、就業規則をみることによって確認することができます。

ココに注意

「休日をいつにするか」については会社が自由に決めることができるものの、労働基準法では、「4週間に4日」よりも休日が少ない場合には、休日手当を支払わなければならないとされています。

休日出勤をしたのに、休日手当(残業代)が全く支払われない会社は、違法なブラック企業である可能性が高いといえます。

また、休日手当(残業代)が支払われていればどれだけでも働かなければならないわけではなく、「違法な長時間労働」を回避し、過労死、過労自殺、メンタルヘルスなどの危険を避けなければなりません。

夏季休暇を無給にできる

ここまで解説してきたとおり、夏季休暇は、労働基準法において会社に義務付けられた休暇ではないことから、夏季休暇をなしにすることも、会社の自由ではあります。

また、夏季休暇を取得するとしても、無給とすることも可能であり、有給の夏季休暇(お盆休み)が、労働者に必ず保証されているわけではありません。

しかしながら、飲食店、デパート、旅行業など、一定の業種でない限り、夏季休暇が一切ないということは、法律上問題ないとしても、一般常識には反すると言わざるを得ません。

長時間労働によってメンタルヘルスにり患してしまったり、過労死、過労自殺など最悪の結果となる前に、有給休暇を取得したり、リフレッシュ休暇を要求したりといった別の手段を検討するようにしてください。

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夏季休暇で有給休暇を消化するケース

以上のとおり、今回のテーマである、「夏季休暇(お盆休み)に有給休暇(年休)を消化させられる」という会社は、違法なブラック企業の可能性が高く、有給消化を強制されることはないことをご理解ください。

しかし一方で、次のような一定の場合には、有給休暇を消化することが、会社にとっても労働者にとってもメリットとなることから、夏季休暇(お盆休み)に有給休暇(年休)が消化されることがあります。

次に解説する2つの場合は、いずれも、会社側が一方的に労働者の有給休暇(年休)を減らすものではなく、労基法上も違法とはなりません。

労働者にメリットがあるケース

労働者にとっても、夏季休暇(お盆休み)のために有給休暇(年休)を利用した方がよいケースもあります。

例えば、次のようなお気持ちの労働者の方は、積極的に有給休暇(年休)を取得し、お身体をお休めになることがオススメです。

  • 会社が指定する夏季休暇(お盆休み)に引き続いて、連休をとって旅行に行きたい。
  • 観光地が混んでいるお盆シーズンを避けて、別の週に夏季休暇をとりたい。
  • お盆が繁忙期でありかき入れ時の業種で、別の週に夏季休暇をとりたい。

このような場合、労働者にとっても、有給休暇(年休)を消化して夏季休暇を取得し、もしくは延長することはメリットとなります。

計画年休のケース

労働基準法で会社に認められた有給休暇のルールの中に、「有給休暇の計画的付与」という方法があります。「計画年休」ということもあります。

この「計画年休」の制度は、各労働者が取得することのできる有給休暇のうちの一定の日数を、会社の指定する日にとらせることができる制度です。

有給休暇の計画的付与の制度を会社が採用している場合には、お盆休み(夏季休暇)のうち許される範囲内で、労働者に、有給休暇(年休)を消化させることが可能です。

しかしながら、本来労働者の権利である有給休暇(年休)を消化するわけですから、次のとおりの要件を満たさなければならず、これに違反した計画年休は、やはり違法となります。

「計画年休」の要件

  • 有給休暇のうち、一部に限られる。
    :計画的付与が可能なのは「5日を超える分」に限られ、5日は自由に利用させなければなりません。
  • 就業規則もしくは雇用契約書に定めておく必要がある。
  • 労使協定を締結する必要がある。

勤務する会社が、有給休暇(年休)の計画的付与を行っているかどうかは、就業規則を見ることで確認できます。また、適法な制度であるかどうか、労使協定も確認してください。

もともと休みの日に有給休暇を使うことはできないですが、既に解説したとおり、「お盆」は法律上休みであることが保証されているわけではありません。

参考

適法な「有給休暇の計画的付与(計画年休)」の制度によって、夏季休暇(お盆休み)が有給休暇(年休)となっている場合、夏季休暇(お盆休み)の日にちをずらすことは、労使ともにできません。

お盆にとる有給休暇は会社から変更される?

有給休暇は、労働基準法で労働者に与えられた権利ですが、会社にもまた、「時季変更権」という権利が認められており、一定の場合には、有給休暇の取得日を、会社が変更することができます。

この有給休暇の「時季変更権」は、「会社の事業の正常な運営を妨げる場合」という要件が認められるときに、会社に認められるものです。

有給休暇は労働者の重要な権利ですから、会社に「時季変更権」が認められるケースというのは、ある程度限られています。

既に前項で解説したとおり、夏季休暇(お盆休み)やその前後に有給休暇(年休)を取得することには、労働者側にとってもメリットがありますから、会社が時季変更権を行使できる場合とは限定的なケースであると考えます。

「労働問題」は、弁護士にお任せください!

今回は、「お盆休み(夏季休暇)なのに、有給休暇(年休)の一部をあてると言われた」という労働者の相談に、弁護士が回答しました。

有給休暇を「とらされた。」、「取得を強制された。」というケースは、労基法違反であり、違法なブラック企業といってよいでしょう。一方で、有給休暇を取った方がよい場合や、計画年休などの場合には、違法とはいえません。

有給休暇と夏季休暇(お盆休み)との関係をしっかり理解し、有給休暇の日数が不当に減ることのないよう注意しましょう。

「有給休暇」の法律知識まとめ

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弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区銀座)は、代表弁護士浅野英之(日本弁護士連合会・第一東京弁護士会所属)をはじめ弁護士5名が在籍する弁護士法人。 不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、近年ニュースでも多く報道される労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。 「労働問題弁護士ガイド」は、弁護士法人浅野総合法律事務所が運営し、弁護士が全解説を作成する公式ホームページです。

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