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浅野 英之
弁護士
弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。
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高度プロフェッショナル制度とは?仕組みとメリット・デメリット、注意点を解説

働き方改革関連法により、2019年4月に「高度プロフェッショナル制度」が導入されました。

この制度は「高プロ」と略され、特定の高度な専門職に従事し、一定額以上の年収を有する労働者を対象として、労働時間規制の適用を除外する制度です。時間ではなく、成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応えることができる制度として注目されています。

制度が適用されると時間外、休日労働、深夜労働に対する割増賃金(残業代)が生じなくなるため、悪用されると長時間労働を助長し、労働者の保護を軽視する「残業代ゼロ法案」になりかねないとの批判もあり、厳格な要件と健康確保措置を講じることが義務とされています。

今回は、高度プロフェッショナル制度の内容や要件、メリット・デメリット、制度導入時の注意点について、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 高度プロフェッショナル制度が適用されると残業代の支払い義務がなくなる
  • 制度が悪用されると、残業代の未払いや過労といったトラブルを招く
  • 制度の導入には厳格な要件があり、かつ、健康確保措置が義務付けられる

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

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高度プロフェッショナル制度とは

はじめに、高度プロフェッショナル制度の基本について解説します。

高度プロフェッショナル制度とは、高度の専門的知識等を必要とし、従事した時間と成果との関連性が通常高くない業務に従事する労働者を対象に、労働基準法上の労働時間、休憩、休日、深夜の割増賃金に関する規定を適用除外とする制度です(労働基準法41条の2)。

働き方改革関連法により2019年4月より導入され、時間に縛られない働き方の実現によって高度人材の生産性を向上させ、ひいては国際競争力の強化につなげるものとして注目を集めています。

管理監督者(労働基準法41条2号)と異なり、深夜労働の割増賃金も不要となる点が特徴です。「労働時間」ではなく「成果」で評価する働き方を前提とした制度で、長時間働いても残業代が発生しない一方で、専門的な知識をもとに高い年収が保障されている必要があります。

この制度では、悪用を避けるため、労使委員会の決議、労働基準監督署への届出、対象労働者本人の同意といった要件があります。また、企業には健康確保措置(休日の確保や労働時間の把握など)が義務付けられています。

高度プロフェッショナル制度の仕組み

高度プロフェッショナル制度は、残業代をなくすという効果を有する一方で、労働者への弊害を避けるために、厳格な要件が定められています。

対象業務の範囲

高度プロフェッショナル制度の対象となる業務の範囲には、法的な制限があります。

対象となる業務は、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上、従事した時間と成果との関連性が通常高くないものとして、厚生労働省令で認められる業種であり、労働基準法施行規則34条の2第3項において、以下の5つが列挙されています。

  • 金融商品の開発業務
    金融工学等の知識を用いて行うもので、例えば、資産運用会社における新興国企業の株式を中心とする富裕層向け商品(ファンド)の開発の業務などが含まれます。
  • 有価証券等の売買その他の取引業務
    金融商品の売買などの取引業務を行うディーリング業務で、例えば、ファンドマネージャー、金融ディーラー、トレーダーの業務が含まれます。
  • 市場動向等の分析、評価または投資に関する助言業務
    有価証券市場の分析、評価、助言といったアナリスト業務が含まれます。
  • 顧客の事業のコンサルティング業務
    顧客の事業運営に関する調査、分析、考案、または助言を行うもので、例えば、戦略コンサルタントやシンクタンクなどの業務が含まれます。
  • 研究開発業務
    新たな技術や商品、役務の研究開発業務が含まれます。

なお、形式的には対象業務の範囲に含まれても、使用者から具体的な指示を受けて働いている場合や、定型的な作業しかしていない場合は対象外です。

対象労働者

高度プロフェッショナル制度の対象者は、以下の要件をいずれも満たす必要があります。

  • 年収要件
    支払われることが確実に見込まれる1年間の賃金額が、厚生労働省令で定める額(1,075万円以上)であることが必要とされます。
  • 職務の明確化
    書面による合意などで職務の範囲が明確に定められており、対象業務に常態として従事していることが必要とされます。
  • 年齢制限
    満18歳未満の年少者には、高度プロフェッショナル制度が適用されません(労働基準法60条1項)。

労働者の保護が不足しないように設けられた年収要件は、確実に支払われる賃金額のみを対象としており、インセンティブやボーナス(賞与)などの不確実なものは含みません。

導入の手続きと要件

導入時の手続きは、まずは企業側が理解し、遵守しなければなりません。一方、対象労働者にとっても、手続き的な要件を遵守した有効な制度かどうかを確認する必要があります。

高度プロフェッショナル制度の導入には、次の手続きが必要となります。

労使委員会の設置と決議

事業場に労使委員会を設置し、委員の5分の4以上の多数により、次の10項目について決議する必要があります。

  1. 対象業務
  2. 対象労働者の範囲
  3. 健康管理時間の把握および把握方法
  4. 年間104日以上かつ4週4日以上の休日
  5. 選択的措置
  6. 健康・福祉確保措置
  7. 同意の撤回に関する手続き
  8. 苦情処理措置
  9. 同意しなかった労働者への不利益取扱の禁止
  10. その他厚生労働省令で定める事項(決議の有効期限等)

労使委員会の委員の半数は、過半数組合または労働者の過半数代表者が任期を定めて指名した者であることが必要とされます。

労働基準監督署への届出

労使委員会の決議は、労働基準監督署に届け出なければなりません。労働基準法に違反する内容でないかを行政が監督する意味合いがあり、届出のない制度は無効です。

また、制度が適正に運用されているかどうかをチェックするため、6ヶ月以内ごとに実施状況を労働基準監督署に報告する必要があります。

対象者の個別の同意

決議に基づき、対象者本人から書面による同意を得る必要があります。

同意を得る際、制度の内容や労働条件、評価制度、同意しない場合の処遇や撤回の手続きなどを書面で明示し、労働者が判断するための十分な時間的余裕を与えなければなりません。高度プロフェッショナル制度の重要性に鑑み、真意に基づく同意が必要とされるので、制度の内容を理解した上で書面で行うことが必須とされるのです。

健康確保措置の内容

使用者は、対象者の健康を守るために、健康確保措置を講じる義務を負います。

高度プロフェッショナル制度が過労を助長しないよう、企業が率先して労働から解放される時間を確保する努力が必要とされるからです。

  • 健康管理時間の把握
    タイムカードやパソコンの使用時間の記録といった客観的な方法で、事業場内にいた時間と事業場外での労働時間の合計(健康管理時間)を把握する必要があります。
  • 休日の確保
    年間104日以上、かつ、4週間を通じて4日以上の休日を与えることが必要です。連続勤務とならないよう休日取得の手続きを対象者に周知するのが望ましいとされます。
  • 選択的措置
    以下のいずれか1つ以上を、決議で定めて実施する必要があります。
    • 勤務間インターバルの確保(始業から24時間を経過するまでに11時間以上)と深夜業の回数制限(月4回以内)
    • 健康管理時間の上限措置(週40時間を超えた時間が月100時間以内または3ヶ月に240時間以内)
    • 年1回以上の連続2週間の休日付与(本⼈の請求により連続1週間を2回以上も可)
    • 臨時の健康診断の実施
  • 健康・福祉確保措置
    健康管理時間の状況に応じ、以下のいずれかを選択して実施する必要があります。
    • 選択的措置のいずれかの措置(選択的措置についての決議で定めたもの以外)
    • 医師による⾯接指導
    • 代償休日または特別休暇の付与
    • 相談窓口の設置
    • 適切な部署への配置転換
    • 産業医による助言など

高度プロフェッショナル制度と通常の制度との違い

高度プロフェッショナル制度は、従来の労働時間制とは大きく異なる仕組みとなっています。特に重要なのが、残業代と労働時間の扱いが変わる点にあります。

残業代の扱いの違い

高度プロフェッショナル制度は、成果に対して報酬を支払う考え方に基づきます。

通常の労働時間制では、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働いた場合、使用者(会社)は労働者に割増賃金(残業代)を支払う義務がありますが、高度プロフェッショナル制度では、時間外・休日・深夜の割増賃金の適用が除外され、残業代は生じません。

ただし、無制限に長時間労働をさせられるわけではなく、年間一定日数の休日確保や健康管理措置などが義務付けられており、残業代以外の方法での抑制が図られています。

残業代の計算方法」の解説

労働時間規制の違い

通常の労働時間制度では、労働時間規制が厳格に定められています。

法定労働時間(1日8時間・週40時間)を上限とし、これを超える時間外労働には36協定が必要とされ、長時間労働の上限は原則として「月45時間・年360時間」(特別条項により「年720時間以下」「2〜6ヶ月平均で月80時間以下」「1ヶ月100時間未満」という例外あり)とされます。

一方で、高度プロフェッショナル制度では、これらの労働時間規制が適用されません。働き方の自由度が大きく広がる一方で、労働時間による保護の対象ではなくなります。

残業時間の上限」の解説

裁量労働制との違い

高度プロフェッショナル制度とよく比較されるのが「裁量労働制」です。

裁量労働制は、実労働時間に関係なく、みなし労働時間だけ働いたものと扱う制度ですが、労働時間規制が完全に適用されないわけではない点が、高度プロフェッショナル制度との違いです。その結果、裁量労働制では、1日8時間より長いみなし時間を設定すれば時間外の割増賃金が生じ、休日や深夜の割増賃金も支給されます。

裁量労働制は、時間による規制を前提に、労働時間について特別な扱いをする制度であり、高度プロフェッショナル制度は、時間による規制から離れた制度であるという違いがあります。

裁量労働制の違法性」の解説

高度プロフェッショナル制度のメリット

次に、高度プロフェッショナル制度のメリットについて解説します。成果主義的な発想に基づいて導入する制度であり、有効活用すれば、労使双方にとってメリットがあります。

労働者側のメリット

高度プロフェッショナル制度の労働者側のメリットは、次の通りです。

労働時間に縛られず柔軟に働ける

労働時間規制が適用されないため、働く時間やスケジュールを自分でコントロールし、柔軟に働くことができるという特徴があります。

例えば、集中できる時間帯にまとめて働く、業務が終われば早く帰るといった柔軟な働き方が可能であり、自律的に仕事を進めることができる人にとっては大きなメリットです。

成果を重視した評価を受けられる

労働時間ではなく成果を基準とすることで、「長時間働いた人が評価される」という傾向をなくし、適正な評価を受けることができます。

そのため、業務効率を向上させるインセンティブが生まれ、自身の専門性やスキルを高めて成長したい人にとって、実力が正当に評価されやすい環境となり、モチベーションの向上につながります。

高収入を期待できる

高度プロフェッショナル制度は、年収1,075万円以上の高収入層を対象に、自由な働き方を容認します。そのため、一定以上の収入が確保されることを前提に、自由度の高い働き方ができるメリットがあります。

時間よりも成果で報酬を得られるため、市場価値の高い専門職ほど、さらに給与を伸ばすことが期待できます。

労働問題に強い弁護士の選び方」の解説

企業側のメリット

次に、高度プロフェッショナル制度の企業側のメリットを解説します。

生産性の向上を図ることができる

時間ではなく成果で評価することで、無駄な長時間労働を減らし、効率的な働き方を促進できるメリットがあります。企業として、限られた時間で最大の成果を出すことを評価していると示し、社員の意識改革が可能です。上司の管理監督の手間も軽減され、組織全体の効率化にもつながります。

人材を柔軟に活用できる

高度専門職には、細かい時間管理を行わずに済むため、個々の能力に応じた柔軟な配置や働かせ方が可能となります。時間外や深夜、休日の労働について追加の残業代を支払う必要がないため、その分だけ、会社の管理コストも減少します。

優秀な人材を確保できる

成果主義的な働き方は、優秀な人材の確保につながります。

専門的な知識やスキルを持つ人が正当に評価される環境は、優秀な人材を惹きつけ、企業の採用競争力の向上につながります。自由度が高い一方で、評価基準が明確になるため、不公平感を払拭でき、定着率も上がります。

不当な人事評価によるパワハラ」の解説

高度プロフェッショナル制度のデメリット

一方で、高度プロフェッショナル制度には、デメリットやリスクも存在します。

特に、労働時間による保護が弱まる点には注意が必要です。制度のデメリットを理解することは、企業にとって導入の可否を決定する際に役立つのはもちろん、労働者としても、対象者として同意するかどうかを決定する参考となります。

労働者側のデメリット

高度プロフェッショナル制度の労働者側のデメリットを解説します。

長時間労働になりやすい

労働時間の上限が適用されないため、業務量が多いと長時間労働に陥ってしまうリスクがあります。

時間管理が労働者の自己責任となるため、成果へのプレッシャーが強かったり、人手不足だったりすると、労働時間は増えてしまいます。会社に労働時間を把握・管理する義務はなくなるため、休息の確保や時間調整を会社側で行ってもらうのも難しくなります。

労働時間管理」の解説

残業代が支払われない

制度が適用されると、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金(残業代)が一切支払われないため、長時間働いても収入が増えない状況となります。一定の収入要件はあるものの、長時間労働が常態化し、多くの残業代が支払われてきた職場では、かえって収入が減少するおそれがあります。

残業代請求に強い弁護士に無料相談する方法」の解説

過労のリスクがある

長時間労働や不規則な働き方が続くと、心身の健康に悪影響を及ぼします。一方で、残業や休日出勤に制限がなく、残業代も生じません。

制度として健康確保措置が義務付けられているものの、企業の労務管理が不十分だと労働者にとって大きなリスクとなり、最悪は、うつ病や適応障害といった精神疾患や、過労死などにもつながりかねません。

過労死の対策」の解説

企業側のデメリット

最後に、企業側のデメリットについて解説します。

制度運用のハードルが高い

高度プロフェッショナル制度は、対象者や業務の範囲、手続き的な要件など、導入・運用にあたっては厳格な手続きを遵守しなければなりません。

制度設計には知識が必要で、管理の手間が減らせるわけではありません。「残業代をなくせるなら導入しよう」といった甘い考えでは違法な状態を招き、労働者から争われた結果、かえって負担が増えるおそれがあります。会社には、労働者の健康と安全に配慮する義務(安全配慮義務)があり、安易な制度導入は義務違反を招きます。

労働条件の不利益変更」の解説

過剰な成果主義はモチベーションを低下させる

過度に成果主義が強調されると社員がプレッシャーを感じ、モチベーションを失うリスクがあります。成果の出ない人に過度なペナルティを下したり、評価を下げたりすると、働く意欲を失わせ、優秀な人材の離職につながってしまいます。

ノルマ未達を理由とする解雇」の解説

高度プロフェッショナル制度の注意点

最後に、高度プロフェッショナル制度の注意点について解説します。

制度の設計や導入は企業の責任ですが、高度プロフェッショナル制度の対象労働者は、自己管理ができることが前提であり、その同意が要件とされます。したがって、注意点をよく理解することは、労働者にとっても非常に重要なことです。

「残業代ゼロ制度」との批判がある

高度プロフェッショナル制度は、制定過程で「残業代ゼロ法案」との批判がありました。

本来は、高度専門職が「時間」でなく「成果」に基づいて柔軟に働く制度として設計されましたが、「残業代が支払われない制度」として悪用される危険があることは否めません。その結果、「残業代ゼロ制度」という悪いイメージが広がることとなりました。

この背景には「長時間働いても賃金が増えない制度」という社会の認識があります。しかし、制度趣旨はあくまで成果重視であり、かつ、高収入層向けのものです。時間規制が外れることで労働者の保護が弱まったと誤解されないよう、企業としては自社の都合ではなく、労働者の働き方に配慮した運用を徹底しなければなりません。

長時間労働の原因と対策」の解説

長時間労働やハラスメントを助長するおそれがある

高度プロフェッショナル制度では、労働時間の上限規制そのものが適用されないため、労務管理が十分でないと、かえって長時間労働を助長するおそれがあります。

労働者の自己管理に任せていても、成果主義が過大視されれば、成果を出すために長時間働く人が増えることが予想されます。さらに、常に高い成果を出すようにというプレッシャーが加わると、ノルマや期限のプレッシャーが増大したり、昇進できないと会社にいづらくなったり、過度な指導をされたりといった弊害が生じることもあります。

高度プロフェッショナル制度であっても、強い圧力は違法となる可能性があります。業務に必要のない指示や、目的達成のために不相当な手段を用いたりするとき、これらの言動はパワハラとして違法になり、慰謝料請求の対象となります。

「高い給料をもらっているのだから」「自由には責任が伴う」といった理屈によっても、違法なパワハラが正当化されることはありません。

パワハラの相談先」「パワハラと指導の違い」の解説

健康の自己管理が必要となる

高度プロフェッショナル制度の対象者には、自己管理が必須となります。

会社から細かい指示や管理を受けない分、自ら業務の進捗を管理し、効率的に働く必要があります。自己管理が十分でないと、制度を適用されても専門性を活かせず、重要な仕事に遅れが生じたり、結果的に長時間労働によって解決せざるを得なくなったりする危険があります。

企業には、高度プロフェッショナル制度に伴う健康確保措置が義務付けられますが、労働者としても、自身の健康を損なわないよう慎重にチェックし、定期的に健康診断を受けたり、適切な休息を確保したりといった心がけが大切です。

労働者の自己保健義務」の解説

制度が無効なら残業代を請求できる

高度プロフェッショナル制度には、労働者保護のための厳しい条件が課されています。

そのため、これらの条件を満たさない場合、制度そのものが違法・無効となります。その結果、原則的な労働時間制が適用され、残業代を請求できるようになります。高度プロフェッショナル制度が違法に運用されていると、残業は相当長くなっており、かつ、一定程度の収入はあるために、未払い残業代の金額も高額化しやすいと考えられます。

一方で、同制度の適用下で十分な労務管理がされておらず、残業の証拠が会社の手元にないおそれがあります。残業代請求の時効は3年のため、制度が違法ではないかと疑われるなら、速やかに証拠を集め、請求に着手するようにしてください。

【まとめ】高度プロフェッショナル制度

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、高度プロフェッショナル制度についてわかりやすく解説しました。

高度プロフェッショナル制度は、働き方改革関連法によって導入された制度であり、一定額以上の年収を得ている高度専門職に対し、労働時間規制の適用を除外し、割増賃金(残業代)の支払い義務をなくす制度です。自由度の高い働き方が実現できる一方で、労働時間管理は労働者の自己責任となるため、悪用されると長時間労働や過労といった問題につながります。

高度プロフェッショナル制度が有効に活用されれば、時間に縛られない働き方と成果に基づく評価により、生産性を向上させられるメリットがあります。一方で、労務管理が十分でないと、未払い残業代につながりかねず、労使双方にとってリスクを伴う制度でもあります。

高度プロフェッショナル制度は新しい制度であり、導入する企業、対象とされた労働者の双方ともに、違法でないかをよく弁護士に確認してから進めることが重要です。

この解説のポイント
  • 高度プロフェッショナル制度が適用されると残業代の支払い義務がなくなる
  • 制度が悪用されると、残業代の未払いや過労といったトラブルを招く
  • 制度の導入には厳格な要件があり、かつ、健康確保措置が義務付けられる

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