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浅野 英之
弁護士
弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。
★ 労働問題を弁護士に相談する流れは?

休職中の退職の伝え方は?休職したまま退職する方法と注意点【例文付き】

解説の執筆者

弁護士法人浅野総合法律事務所

代表弁護士

浅野英之

東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。第一東京弁護士会所属(登録番号44844)。

不当解雇、残業代、セクハラ、パワハラ、労災などの労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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心身の不調で休職したものの、十分に回復せず「退職したい」と考える方もいます。

職場の人間関係や労働環境が休職のきっかけである場合、元の職場に戻ることに不安を感じるのは無理もありません。結論として、休職中であっても退職は可能です。休職期間が残っていても、労働者には退職の自由があり、会社の承諾も不要です。

当事務所にも、休職中の労働者から、次のような相談が寄せられます。

  • 「元の職場に復職するのは不安なので退職したい」
  • 「会社と連絡を取ること自体がつらいが、退職の意思はどう伝えるべきか」
  • 「転職して環境を変えたいが、まず復職するよう言われた」

休職中は、上司や人事担当者との連絡が途切れがちです。そのため、退職の意思をいつ、どのような方法で伝えるか、退職届をどう提出するか、会社から引き止められた場合にどう対応するかといった点について、通常の退職とは異なる注意点があります。

休職中の退職では、傷病手当金、社会保険、失業保険、有給休暇などにも影響するため、体調だけでなく退職後の生活も見据えて進めることが大切です。

今回は、休職中でも退職できるのかという基本的な考え方から、会社への伝え方、引き止められた場合の対応のポイントまで、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 休職中であっても、復職せずに退職することは、労働者が自由に決められる
  • 休職中でも会社の承諾なく退職は可能で、タイミングも自身で決めてよい
  • 復職せずに退職する場合、トラブルを避けるために記録に残る方法で伝える

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目次(クリックで移動)

休職中の復職と退職の判断基準

心身の不調などで休職した場合、期間満了までに回復するかどうか不安でしょう。

「復職できるのだろうか」「それとも退職した方がよいか」といった悩みを相談される方は多くいますが、一律の正解はなく、復職と退職のどちらを選ぶべきかは個々の状況によって異なります。

最終的には、労働者の希望によって決めることとなりますが、弁護士として、次のような判断材料についてアドバイスするようにしています。

  • 現在の体調や回復の見通し
    体調が回復していないのに無理に復職すれば悪化するおそれがあります。主治医の意見を聞きながら、復職可能な体調かどうかを判断してください。
  • 休職理由が解消される見込みがあるか
    業務内容や人間関係、職場環境などが原因の場合、復職後も同じ状況が続くと再発のリスクが高くなります。異動や配置転換、業務量の調整といった配慮を会社がしてくれるかどうかで「復職か退職か」の判断も変わります。
  • どちらが将来をイメージしやすいか
    「復職か退職か」の決断は、法的な観点だけでなく自身のキャリアの問題でもあります。「復職しても働ける未来が想像できない」「考えるだけで強い不安を感じる」というなら、退職も選択肢の一つです。

すぐに結論を出す必要はなく、休職期間満了までに、決めても間に合います。自身の考えのほか、家族や主治医、弁護士などと相談し、慎重に検討するようにしてください。

そして、退職の気持ちが固まったものの、伝え方が不安である場合は次章の「休職中の退職の伝え方」「休職中に退職を伝えるための例文と注意点」をご参照ください。一方で、会社から復職を勧められたり、強い引き止めを受けたりすることがありますが、退職することを決めたのであれば強い姿勢で臨まなければなりません。会社への対応については、「会社に引き止められても、休職中に退職することが可能」をご参照ください。

休職中の退職の伝え方

休職中に退職したいと考える場合、会社への伝え方を理解しておきましょう。

休職中は出社していないため、対面で伝えるのは困難だと考えられます。トラブルを避け、円満に退職するためには、いつ、誰に、どのような方法で伝えるかを慎重に検討する必要があります。

休職中に退職を伝えるタイミング

まず、休職中に退職を伝える適切なタイミングについて解説します。

退職を伝える時期は、休職の途中でも、満了直前でも問題ありません。ただし、休職の開始直後だと、会社から「退職するなら休職扱いにしなくてよかった」といった反感を買いやすいため、休職直後に退職する可能性があるなら、できる限り休職前に伝えるべきです。

実際に、休職中の退職をいつ伝えるかについては、次のような例があります。

  1. 復職が困難だと判明した時点
    主治医の意見や回復状況から、休職期間満了時の復職が困難であると判明した段階で、満了を待たずに退職の意向を伝えるケースがあります。
  2. 転職先が見つかった時点
    休職中の転職活動は、法的には問題なく、元の職場より良い転職先が見つかったことを理由に、復職前に退職を希望するケースがあります。
  3. 休職理由が解消されないことが明らかになった時点
    長時間労働やハラスメントなど、仕事や職場が原因で休職に至ったにもかかわらず、休職中に会社からの配慮がないなど、休職理由が解消されないことが明らかになった時点で、退職を検討するケースがあります。労働問題を放置する会社では安全に働けないため、速やかに退職を決断すべきケースもあります。なお、業務に起因する傷病については、労災申請をするのが適切な対応です。
  4. 月末や月初などの区切りが来た時点
    以上の判断基準に加え、実務上は、月末・月初といった区切りも、給与支払いや社会保険などの関連から、退職を検討する一つのタイミングとなります。

なお、休職中に退職するかどうかは、労働者自身の決断であって、会社から「早すぎる」「遅すぎる」などと反論される理由はありません。引き止めのためという会社側の都合で、「せめて休職期間が終わるまで待つべきだ」といった説得をすることが少なくないものの、退職は労働者の自由であり、一律の正解があるわけではないことを理解しておいてください。

休職中の退職を伝える連絡先

次に、休職中の退職を検討するとき、誰に伝えるべきかも重要です。

休職中に退職を決断した場合、はじめに伝えるのは直属の上司となることが多いでしょう。そして、その後に人事を担当する部署へ連絡するのが一般的な順番です。しかし、休職中で出社していないと、直属の上司と連絡が取りにくいこともあり、その場合には人事部に直接連絡しても問題ありません。休職中の連絡窓口が指定されている会社では、そこに相談するのが適切です。

ただし、いずれの場合も、退職の意思を示した後は、休職中といえども最低限の業務引継ぎは行うべきです。体調が思わしくない場合、書面による引継ぎなどの配慮を求めましょう。

会社の辞め方」の解説

休職中の退職の伝え方

次に、休職中の退職を伝える適切な方法について解説します。

体調がある程度回復していれば、復職に向けた面談の場で対面で伝えることが可能です。ただし、それが難しい場合、退職を伝える方法に制限はなく、その他の方法でも構いません。特に、休職中の退職では、体調が思わしくなく、現実的には電話やメールで伝えるしかないこともあります。会社からの引き止めや嫌がらせとして、「対面でなければ退職届は受け取れない」などと説得されるケースも見られますが、診断書を提出し、主治医の意見を示して断るのが適切です。

電話とメールでは性質が異なり、メリットとデメリットがあるため、自身の状況に応じた連絡方法を選ぶのがよいでしょう。

【電話で退職を伝える方法】

  • メリット
    • 聞き漏らしや伝達漏れを防ぐことができる。
    • 感情的なニュアンスを伝えやすい。
    • 会社からの疑問にその場で回答できる。
  • デメリット
    • 記録を残しにくい(必ず録音する)。
    • 感情的になって口論が生じるおそれがある。
    • 精神的な負担が大きい。
    • 時間やタイミングの調整が必要となる。

【メールで退職を伝える方法】

  • メリット
    • 記録を残しやすい。
    • 業務の支障になりにくい。
    • 精神的な負担が少ない。
  • デメリット
    • 気付いてもらえないリスクがある。
    • 真意が十分に伝わらず誤解されるおそれがある。
    • 会社の納得感を得にくい。

まずはメールで伝え、「必要なら電話で説明する」と記載するのもおすすめです。また、体調が思わしくなく電話できないときは、メールのみでも退職は可能です。

退職届と退職願の違い」の解説

休職中に退職届を提出する方法

退職の意思表示を確実に伝えるため、会社に退職届を提出するのが適切です。

休職中の退職の場合、退職届を直接手渡すのは難しく、郵送で提出することが多いです。特に、上司からのハラスメントなど、職場に問題があって休職した場合や、会社が強く引き止め、退職届を受け取ってもらえない場合などは、退職届を一方的に送付するしかない場面もあります。

退職届が会社に到達すれば、有効な退職の意思表示となります。対立が深刻な場合は、退職の意思表示を証拠化するため、「退職届を内容証明で送る方法」も検討してください。休職中の退職では、退職理由によって会社を刺激しないよう、「一身上の都合」と記載するのがおすすめです。

休職から復職せずに退職する場合も診断書を提出する

休職から復職せずに退職する場合も、診断書を提出するのが適切です。

休職から復職を希望する場合、休職期間満了時に復職可能な状態にあることを示すため、会社に診断書を提出して回復状況を説明するのが通常です。一方で、復職せずに退職するのであれば、会社に健康状態や症状を説明する必要はなく、診断書の提出は必須とはいえません。

また、診断書の提出は法律上の義務ではないため、就業規則などで、会社が提出を命じることができる根拠が定められているかどうかを確認しておく必要があります。

一方で、復職せずに退職するとしても、状況によっては診断書を提出した方が円満な退職を実現できるケースが少なくありません。例えば、会社からの引き止めが執拗で、辞めにくい場合でも、診断書を提出して復職が難しいことを伝えれば、理解を得られることがあります。

したがって、復職を希望する際の診断書には「復職可能」と記載するのに対し、復職せずに退職することを希望するなら、「復職不能」「療養継続を要する」といった記載をするのが適切です。診断書の記載はプライバシー性が高いため、復職せずに退職する場合は「復職の見通しが立たない」ということが伝わればよく、詳細な症状の記載までは不要です。

会社に診断書を出せと言われたら」の解説

休職中に退職を伝える際の例文と注意点

休職中の退職の伝え方」の通り、休職中の退職は、書面やメールなどの文章で伝えることが多いです。そのため、どのような内容を伝えるべきかを、例文を示して解説します。

文章で伝える方法には、記録が残るというメリットがある一方で、文面が不適切だと、かえって不利な証拠が残ったり、会社を過度に刺激したりするデメリットがあります。

休職中に退職を伝えるメールの例文

休職中に退職を伝えるメールの例文は、次の通りです。

件名:退職のご報告

お世話になっております。
○○部の◯◯◯◯です。

長期にわたり休職のご配慮を賜り、深く感謝申し上げます。
職場の皆様には、常に温かいサポートとご理解をいただき、大変心強く感じております。

この度、誠に勝手ではございますが、20XX年XX月XX日をもちまして退職をいたします。

体調が思うように回復せず、復職が困難であり、職場にさらなるご迷惑をお掛けすることになるため、この決断に至りました。何卒ご理解いただけますと幸いです。業務の引継ぎや貸与物の返却につきましては、可能な限り早急に対応します。

長い間お世話になりました皆様に対し、心より感謝申し上げます。今後とも、皆様のご健康と、会社のますますのご発展を心からお祈り申し上げます。

まず、退職を伝えるものであることが分かるよう、件名に退職の意思があることを明記します(例:「退職のご報告」など)。本文でも結論を先に書き、理由を簡潔に記載してください。退職の意思が端的に伝わればよく、メールに詳細な事情を記載する必要はありません。円滑に退職を進めるために、これまでの感謝の言葉を添えると冷たい印象になりにくいです。

なお、一般的な「退職届の書き方と出し方」の解説もご参照ください。

電話で伝える場合の注意点

電話で伝える場合にも、伝えるべき内容は基本的にメールと共通します。

重要なポイントは、その場で考えながら話すのではなく、先に文章を用意し、手元に置いて話すことです。この方法により、感情的にならず、冷静に退職の意思を伝えることができます。一方、退職の意思が曖昧になったり、強い引き止めに遭ったりしないよう、長々説明するのではなく、端的に「辞めます」と伝え、強い姿勢で臨むようにしてください。

電話は、会社の業務時間内にかけるようにしましょう。可能であれば、事前にメールで時間を調整し、相手の都合に配慮するのが望ましいです。

電話のみでは、退職の意思表示をしたことが記録に残りにくいため、電話内容を録音すること、電話の終了後に内容をメモすること、その後に書面やメールで退職の意思表示を伝えることといった方法により、証拠を残すのがおすすめです。

労働問題に強い弁護士の選び方」の解説

LINEやチャットで伝える場合の注意点

業務連絡用にチャット(LINE・Slack・Teamsなど)を用いる会社では、休職中の退職を伝える方法として活用できます。ただし、チャットは軽く受け取られることがあるため、あくまで最初の連絡手段に過ぎず、それだけで完結させるのはおすすめではありません。チャットは雑談になりやすいため、簡潔な文面で、事務的に、退職の意思表示を伝えるにとどめた方がよいでしょう。そして、記録を残すために、スクリーンショットを保存しておきます。

転職先が決まっている場合の退職理由の伝え方

休職中に既に次の転職先が決まった場合、退職理由の伝え方に迷う人は少なくありません。

結論として、会社に対して転職先が決まっている事実や、具体的な企業名を自ら明かす必要はありません。退職理由は「一身上の都合」や「体調回復に専念するため」など、差し障りのない内容にとどめる方が、会社から無用な反感を買わないため、無難な対応だといえます。

休職中に転職を決めた事実を伝えてしまうと、会社側が不満を抱き、退職手続きが難航することとなりかねません。円満に退職の手続きを進めるために、余計な摩擦は避け、事務的に退職の意思を伝えることに徹してください。

うつ病は転職で不利になる?」の解説

円満に退職を伝えるためのポイント

休職中の退職は、会社から「配慮をしたのに退職するのか」といった反感を買うなど、感情的なトラブルを招きやすい特徴があるため、できる限り角が立たないように意識すべきです。既に退職を決断している場合、その理由について全て本音で詳しく伝える必要はありません。円満退職を希望する場合は、責任追及や会社の批判は避け、感謝の一言を付け加えるのが効果的です。

ただし、上司からのハラスメントや長時間労働など、職場の問題点が原因で休職し、退職を余儀なくされた場合、退職後にそれらの労働問題について会社と争うことを検討しましょう。この場合、そもそも休職扱いは適切でなく、業務に起因する傷病については労災申請をすべきです。また、後に会社と争う可能性がある場合、清算条項の付いた退職合意書や誓約書などへの署名を求められても、拒否しなければなりません。

退職代行を利用する場合の注意点

休職中の退職では、退職代行サービスを利用する方も少なくありません。

体調が悪化していて退職の意思表示を自分で伝えられない場合や、ハラスメントなどのトラブルがあって会社の関係者と連絡を取りにくい場合など、退職代行が有効なケースがあります。退職代行を利用すれば、社長や上司と直接連絡を取らずに辞めることができ、精神的な負担を減らせます。

ただし、退職代行を利用する場合、サポート範囲に注意が必要です。特に、法的交渉を代理できるのは弁護士のみであり、民間業者の運営する退職代行では、法的交渉を行うと違法な「非弁行為」となります。会社が退職を拒否したり、残業代の未払いや有給休暇取得の交渉などが予想される場合、弁護士に依頼するのが適切です。

休職したまま退職する方法の流れ

次に、休職中に退職をする場合の手続きの流れについて解説します。

休職中に退職を決断した場合は、通常の退職手続きに加え、休職している場合に特有の注意点を押さえて進める必要があります。

STEP

退職の意思を固める

まず、心身の状態を見極め、退職か復職かを検討します。

前述の通り、休職中の退職そのものは全く問題なく、後ろめたさも不要です。「退職したらやることの順番」の解説も参考に、事前に準備を進めましょう。

STEP

退職前に相談しておくべき相手と順番

休職中の退職は、今後の人生やキャリアに影響する重要な決断です。

体調が思わしくない中、一人で悩んでいると感情的になり、判断を誤るおそれがあります。退職前に第三者に相談し、客観的な意見も参考にしましょう。今後の生活設計やキャリアは家族に、現実的な復職の可否を主治医に相談しておいてください。会社に退職を伝える前であれば、様々な見解をもとに検討することができます。

STEP

退職の意思を会社に伝える

気持ちが固まったら、会社に退職の意思を伝えましょう。

休職中の退職の伝え方」「休職中に退職を伝えるための例文と注意点」を参考に、退職の意思、退職日、簡単な退職理由(「自己都合」「復職不能なため」などで構いません)を伝えます。引き止めがあっても、決意が固いことを示してください。

STEP

退職届を郵送する

退職の意思表示を証拠に残すため、電話やメールで伝えた後、退職届を郵送します。会社から強く説得されたり、退職を拒否されたりしたときは、退職届を内容証明で送付することで確定的な意思表示を証拠に残すことができます。

STEP

貸与物を郵送で返却し、私物を配送してもらう

休職中でも、退職時には貸与物を返却する必要があります。

ただし、出社が難しい場合は郵送での返却とするよう求めましょう。高価なものや破損しやすいパソコンなどは、適切に梱包し、追跡可能な方法で送るのが適切です。

会社に置いてある私物も回収する必要がありますが、休職中で取りに行くのが難しい場合は、着払いで郵送してもらうよう依頼しましょう。

職場環境や人間関係に問題がある場合、貸与物の返却や私物の回収をめぐってトラブルが拡大しないよう、接触を少なくする工夫が重要です。対立が激化するおそれがあるときは、退職手続きについて弁護士を窓口にすることを検討してください。

退職時の貸与品の返却」の解説

STEP

退職時の必要書類を受け取る

退職時に必要な書類についても、郵送のやり取りで完結することが可能です。

具体的には、離職票、雇用保険被保険者証、退職証明書、健康保険の資格喪失証明書、源泉徴収票などがあります。

離職票のもらい方」の解説

STEP

就業規則や休職規程を確認しておく

自身で進めるときは、就業規則や休職規程を必ず確認してください。

規程類は社内のルールを定めるもので、休職に関する規定が置かれています。円滑に退職を進めるため、社内ルールが適法であれば従うのが無難です。例えば、退職時の連絡窓口、休職期間や再休職の要件、復職可否の要件などを確認してください。

ただし、社内の規程類より法律が優先するため、違法な規定に従う必要はありません。不明な点はそのままにせず、必ず人事などに確認して進めてください。

会社に引き止められても、休職中に退職することが可能

休職中に退職しようとすると、会社から強い引き止めを受けるケースがあります。

休職中の退職ほど「会社には迷惑をかけた」という気持ちが生まれ、強い引き止めを受けると「退職できないのではないか」と悩む方も少なくありません。しかし、休職したからといって必ず復職しなければならないわけではなく、退職することは労働者の自由です。

実際、弁護士としてもよく相談を受けるケースなので、「休職期間中でも退職できる理由」について、以下で詳しく解説します。

休職中でも退職の自由は保障される

法律上、労働者には退職の自由が保障されています。

休職中でも同様で、労働者が退職を希望すれば会社を辞めることができます。休職中であることは退職を制限する理由になりません。会社の許可や承諾も不要です。

民法627条1項では、期間の定めのない雇用契約は、労働者が退職を申し入れてから2週間が経過することで終了すると定められています。

したがって、会社が引き止めたり、退職を拒否したりする場合、退職の意思表示をしたことを証拠に残すことが重要です。中には、「休職したのに、復職して貢献しないのは裏切りである」といった指摘をする会社もありますが、誤った考え方です。休職制度は、一定の勤続がある場合に、解雇を猶予する意味があり、制度として整備されている以上、利用することができます。

なお、会社の同意が得られれば、即日退職することも可能です。休職中の退職では、会社にとっても、退職日を先延ばしにしたところで休職により就労不能であるため、労働者の退職の意思が固いと判断すれば、即日退職に応じてくれる可能性があります。

退職は2週間前に申し出るのが原則」の解説

労働契約で休職中の退職を妨げることはできない

会社における退職のルールは就業規則や雇用契約書で定められています。

ただし、労働契約で定めても、法律に違反することはできません。法律は、労使間の合意よりも優先するため、「休職中は退職できない」「期間満了までは退職不可」などと定めても違法・無効です。休職中の退職を禁止する条項は、労働者に与えられた退職の自由を不当に制約しており、公序良俗(民法90条)に反すると考えられるからです。

したがって、会社の規則を理由とした引き止めを受けたとしても、労働法の知識をよく理解し、法律に基づいて退職をあきらめない姿勢が大切です。

うつ病で休職して退職するのはずるい?」の解説

休職中の解雇は不当解雇の疑いがある

休職中の退職が労働者の自由であるのに対し、会社からの解雇は制限されます。

引き止めが難しいと判断した会社が強硬手段に出るケースがあります。しかし、解雇は法的に制限され、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要です(労働契約法16条)。

また、そもそも休職制度は、少なくとも休職期間は療養に専念し、解雇が猶予されることを意味するものです。一定の勤続があることを条件として、一時的に就労が難しい場合であっても解雇を猶予する趣旨であるため、一度休職を命じたにもかかわらず、休職期間満了前に解雇することは、休職制度の趣旨に反し、不当解雇となる可能性があります。

したがって、休職中に退職を伝えた結果、感情的な対立から解雇を示唆されてしまったときは、会社と争うことを検討するため、弁護士へ相談してください。

不当解雇に強い弁護士への相談方法」の解説

休職したまま退職するときの注意点

最後に、休職したまま退職するときの注意点について解説します。休職中は無給である会社が多いため、休職中に復職せず退職する場合、特に金銭面に注意が必要です。

失業保険の受給条件を確認する

休職中に退職した場合であっても、失業保険を受け取ることができます。

失業保険の受給条件は、自己都合退職か会社都合退職かで違いがあるところ、休職中の退職は自己都合退職扱いが原則です。自己都合の場合、7日間の待機期間の後、原則として1ヶ月間の給付制限期間があるため、退職後の生活設計を事前に準備しておかなければなりません。企業によっては、配慮して会社都合扱いとしてくれることもあるため、話し合いを試みてください。

なお、失業保険の受給は、就労能力があることが前提となるため、退職時点で心身の不調により働けない状態にある場合は、直ちに受給することはできません。病気やケガなどで働くことができない場合、ハローワークで申請を行うことで、本来の受給期間(1年間)に加え、最長で3年間、受給期間を延長することができます。

自己都合を会社都合にする方法」の解説

健康保険と年金の扱いに注意する

休職中の退職では、社会保険(健康保険・厚生年金)の扱いにも注意してください。

退職後の健康保険は、任意継続するか、国民健康保険に切り替えるかを選択できます。厚生年金については、退職後は国民年金に切り替える手続きが必要です。

休職中に健康保険の傷病手当金を受給していた場合、退職後も引き続き受給できる可能性があります(健康保険法104条の継続給付)。ただし、これには、退職日までに継続して1年以上健康保険の被保険者であったこと、退職日(資格喪失時)に現に傷病手当金の支給を受けているか、支給を受ける条件を満たしていることなど、一定の要件を満たす必要があります。

特に、退職日に挨拶や引継ぎのために出社し、その分の賃金を受け取ると、労務不能な状態が継続していないと判断され、継続給付が受けられなくなるおそれがあります。

退職後の傷病手当金」の解説

未払いの賃金がないかを確認する

休職中に退職する際には、未払いの賃金がないかを確認しましょう。

体調不良で深く考えずに退職後になって気付き、後悔する方もいます。退職金は、就業規則や退職金規程の条件を満たせば受け取ることができ、休職中の退職でも支給されることがあります。在職中の賃金や残業代に未払いがある場合も、必ず請求しておくべきです。

休職中に退職を申し出た結果、会社から退職合意書に署名するよう求められた場合、その書面に清算条項が定められていると、退職後の請求権を失ってしまいます。

未払い賃金を請求する方法」の解説

休職中に退職した場合の有給消化に注意する

休職中に退職する場合でも、できる限り有給休暇は消化しておきましょう。

有給休暇は、労働者に認められた法的な権利なので、会社は原則として取得を拒否できません。多くの場合は休職前に消化していますが、残日数がある場合、休職中には就労義務がないため、その間に消化することはできません。有給休暇は、労働義務のある日が対象とされ、休職中に消化できないからです(昭和24年12月28日基発1456号、昭和31年2月13日基収489号)。

休職に関連して、有給休暇について不利益を受けないために、休職前に消化する、一度復職扱いにして退職日までに消化する、有給休暇分を買い取ってもらうといった方法を検討しましょう。

退職前なのに有給消化できない時の対応」の解説

【まとめ】休職中の退職の伝え方

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、休職中に退職する方法や、会社への伝え方のポイントを解説しました。

休職中の退職は、心身の状況を踏まえて慎重に判断する必要があります。ただし、退職するかどうかは労働者が自由に決めることができるため、たとえ休職中でも退職そのものは可能です。様々な理由で、元の職場には戻れないと感じたなら、退職を選択するのもよいでしょう。

ただし、休職中だと、「なぜこのタイミングなのか」「復職して検討してほしい」といった会社からの要請を受けることもあり、円満に退職するには伝え方が重要となります。休職中の退職では、退職の意思を曖昧にせず、これまでの感謝の気持ちを添えるといった誠実な対応が適切です。また、会社に強く引き止められる場合は、退職届を提出して証拠化すべきです。

思うように辞められないと大きなストレスになるでしょう。休職中で万全でない場合は、無理をせず、退職に関する対応を弁護士に任せることを検討してください。

この解説のポイント
  • 休職中であっても、復職せずに退職することは、労働者が自由に決められる
  • 休職中でも会社の承諾なく退職は可能で、タイミングも自身で決めてよい
  • 復職せずに退職する場合、トラブルを避けるために記録に残る方法で伝える

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