長時間労働の相談は、どこで行うのが適切でしょうか。相談窓口は複数ありますが、どこが正解かは、ケースによっても異なります。
働く時間が長すぎることが不満の種になることがあります。我慢して働き続け、ワークライフバランスを損なえば、心身に大きなダメージを負います。長時間労働の抑止は社会問題化し、法整備も進んでいますが、未だに「長く働くことが美徳」と考える会社も依然としてあります。
長過ぎる労働時間は不適切ですが、違法性について正確に判断するには、専門的な法律知識が必要です。労働法を熟知している相談先に、長時間労働についての疑問や不安を伝え、アドバイスを求めるのが解決への近道となります。
今回は、長時間労働の相談窓口とその特徴、ケース別の相談先について、労働問題に強い弁護士が解説します。
- 法律の基準を超える長時間労働は違法であり、健康被害のリスクも高まる
- 長時間労働の相談は目的や内容により適切な窓口の選択が必要である
- 健康を守るためにも、早期相談を心掛け、適切なタイミングを見誤らない
\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/
長時間労働が違法になる基準

はじめに、どのような長時間労働を相談すべきかを知る必要があります。
単に「残業が多い」というだけでなく、一定の基準を超えた長時間労働は法律違反となります。人手不足の企業では、労働者一人ひとりの負担が過大となり、長時間労働で補わざるを得ない実態が見られます。しかし、健康被害やメンタル不調など、長時間労働による深刻なトラブルは、決して軽視できません。
労働基準法上、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて残業させるには36協定が必要であり、労働基準監督署に届け出なければ、そもそも残業自体が違法です。そして、36協定には上限規制があります。具体的には、原則として「月45時間・年360時間」が上限であり、特別条項付きの36協定がある場合でも、「年720時間以内」「1ヶ月100時間未満」「2〜6ヶ月平均月80時間以内」といった厳しい制限があります。
また、長時間労働による健康面への影響として、月80時間以上の残業があると「過労死ライン」として脳・心臓疾患のリスクが高まると考えられています。
長時間労働はどこに相談すべき?主な相談窓口【一覧】

長時間労働の相談窓口は複数ありますが、それぞれに強みや特徴があり、自身の希望に沿った場所に相談しなければなりません。働きすぎは、労働者にとって負担が大きく、対応には急を要します。手当たり次第に相談して、時間を無駄にするのは避けるべきです。
働く人の「こころの耳相談」│辛さを打ち明けたい場合
つらさや胸の内を吐露する先を探す人の相談窓口として、働く人の「こころの耳相談」があります。働く人の「こころの耳相談」は、必ずしも法的解決のみならず、気持ちに配慮した相談先であり、「会社と徹底的に争いたくはない」「周囲に相談する人がいない」といった方に最適です。
ただし、問題を法的に解決するのには向いておらず、根本的な改善には至らないおそれがあります。この相談窓口では、所定の訓練を受けた産業カウンセラーなどの相談員が対応します。相談料は無料であり、電話やメール、LINEでの連絡も可能で、敷居も低いです。
労働相談ホットライン│情報収集をしたい場合
法的な情報を得たいなら、労働相談ホットラインが相談窓口として適しています。
運営主体は全国労働組合総連合であり、法的な問題点や対処法も相談可能で、労働組合の目線でアドバイスをもらうことができます。ただし、この相談窓口では、相談時のアドバイスだけでは解決できない問題については、労働組合の助けを借りる必要があります。社内に労働組合がないときは、社外の合同労組(ユニオン)に加入することも一つの手です。
労働条件相談ほっとライン│休日・夜間に相談したい場合
労働条件相談ほっとラインも相談先の一つとして検討してください。
この窓口は、休日や夜間にも、無料で相談可能(月曜から金曜は17:00~22:00、土日祝日は9:00〜21:00)であり、平日の相談が難しい人にとって便利な窓口となります。法令や裁判例などの情報を提供しており、匿名相談や外国語での対応も可能です。一方で、あくまで情報提供とアドバイスにとどまり、会社に対する強制力はありません。
総合労働相談コーナー│専門家に調整してほしい場合
総合労働相談コーナーは、労働局、労働基準監督署などに設置された相談窓口です。無料でありながら、より実態に即した解決を目指したい方におすすめです。
「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づき、相談のほか、助言指導やあっせんを利用することができ、弁護士、大学教授、社労士といった労働問題の専門家である紛争調停委員に調整してもらうことが可能です。裁判に比べて迅速に終了し、かつ、非公開でありプライバシーが守られる一方で、決して労働者に肩入れしてくれるわけではなく、会社が参加しなければあっせんが打ち切られてしまいます(合意成立率は、統計上約4割に留まります)。
「裁判で勝つ方法」の解説

労働基準監督署│刑事責任を追及する場合
法令違反を是正し、会社の刑事責任を追及するなら、相談窓口は労働基準監督署が適切です。労働基準監督署に所属する労働基準監督官は、労働問題について警察官と同等の権限を有し、逮捕したり送検したり、差押えしたりすることが可能です。
長時間労働がある上に残業代が支払われていなかったり、労働者の生命が脅かされたりするとき、刑事責任を問うことができるケースもあり、このような危機的な事態では、労働基準監督署が速やかに動いてくれる可能性があります。
一方で、労働基準監督署を動かすには、十分な証拠をもって違反の事実を示すことが必要です。必ずしも労働者の利益のために動くわけではなく、職場の働き方が改善されたとしても、残業代が満額回収できるとも限りません。

「労働基準監督署への通報」「労働基準監督署が動かないときの対処法」の解説


弁護士│交渉と裁判のプロに任せ、根本的な解決を目指す場合
アドバイスを聞くのみならず、根本的に問題を解決したいなら弁護士への相談が最適です。
行政における相談窓口の多くは、情報提供はできても、実際のサポートはしてくれないことがあります。あっせんは話し合いを促進するものの、あくまで中立の立場であり、労働者の利益を第一に考えて行動してくれるわけではありません。これに対して、弁護士は、依頼者の味方に立ち、その利益を実現するためのサポートを提供します。
長時間労働の被害を回復するには、労働者に有利になるよう交渉してくれる弁護士の力を借りるべきです。特に、残業代請求と、安全配慮義務違反の慰謝料の請求が有効です。
「残業代請求に強い弁護士」の解説

長時間労働について相談すべきケース

次に、長時間労働について、相談をすべきケースを解説します。
専門的な法律知識を得たい場合
労働時間についてのルールは、主に労働基準法で定められています。
長時間労働が違法かどうかを判断するには、法律のルールを理解しなければなりませんが、労働基準法における定めは複雑で、違法性を直ちに判断できない場合もあります。長時間の残業をしているのに残業代が支払われない場合のほか、法律に定められた残業時間の上限を超える過剰労働を強いられたことで健康を損なった場合、その労働環境には違法性があると考えられます。
特に、会社が誤った知識に基づいた説明を繰り返していたり、それが企業風土や社風となったりしているとき、正しい理解が欠かせません。
「残業時間の上限」の解説

適切な解決策が分からない場合
どのような解決策が適切なのか確信が持てないときも、相談のタイミングです。
労働者側で、希望する方針がはっきりと決まっていたり、手元に十分な証拠があったりするケースばかりではありません。むしろ、長時間労働が今も続いている場合、相談を迷っているうちに被害が拡大してしまうおそれがあります。自分の状況を客観的に把握し、どのように進めるのが適切かを知るためにも、「まずは相談する」という姿勢を心掛けてください。
弁護士であれば、他の相談先が適切な内容であったとしても、まずは無料相談の範囲で話を聞いて、適切な相談先を案内することが可能です。
「労働問題に強い弁護士の選び方」の解説

休息を十分に取れない場合
休憩や休日がなく、満足に休息を取ることができない場合、相談すべきタイミングです。
違法な長時間労働が常態化し、休みが取れないと、疲労が蓄積していきます。「休みが取れないから相談できない」といった理由付けは不適切であると理解してください。本当に深刻な被害が生じる前に対処しなければ、手遅れとなることも少なくありません。
問題のある会社では、有給休暇を取得することも難しかったり、相談をしたことが発覚すれば職場いじめやハラスメントにつながったりするケースもあります。この場合、会社と対立が深まることを覚悟してでも、欠勤して弁護士に相談することをおすすめします。
「休日に働いたときの残業代の計算」の解説

長時間労働による被害が甚大な場合
長時間労働による被害が既に明らかなら、速やかに相談しましょう。
会社には、労働者の健康と安全に配慮する義務(安全配慮義務)があり、長時間労働による被害が拡大しないように配慮することもその一環となります。しかし、労務管理に問題のある会社では、労働時間が適切に把握されず、そもそも長時間労働であることすら見逃されることもあります。緊急のケースでは一刻の猶予もなく、速やかに相談すべきです。
長時間労働の問題は、責任感の強い人の場合、自分では気付けないこともあります。常識外れの長時間労働がある場合には、家族が止めることが重要です。弁護士への相談は、体調やメンタルに不安があるときは、家族が付き添うことも可能です。
「残業代請求の解決にかかる時間」の解説

長時間労働とサービス残業の相談目的の違い

長時間労働とサービス残業は、同時に起こることがありますが、相談目的に違いがあります。
長時間労働の相談は、働いている時間そのものが長過ぎることが問題となります。例えば、月80時間以上の残業が常態化していたり、休日や深夜も頻繁に働いていたりといったケースです。このようなケースでの相談のポイントは、法律で定める労働時間の上限を超えていないか、会社の安全配慮義務違反がないかといった点で、「働き過ぎを是正すること」が目的となります。
一方、サービス残業の相談は、働いたにもかかわらず残業代が支払われないことが問題です。例えば、タイムカードを切った後に働かされる、残業時間が申請できない、みなし残業を超えても支払われないといったケースです。この場合、必ずしも労働時間が長くなくても、残業代が未払いとなっている点に違法があり、「本来もらえるはずの賃金を取り戻す」ことが目的となります。
この2つの悩みは重なることもありますが、対応の方向性が異なります。長時間労働の悩みは、労働環境を改善するために労働基準監督署などが優先されるのに対し、サービス残業において残業代の回収を目指す場合には弁護士への相談が欠かせません。
「サービス残業の相談はどこにすべき?」の解説

長時間労働の相談をするときの注意点

最後に、長時間労働について相談する際に注意すべきポイントを解説します。
健康を損なう前に相談する
長時間労働で悩む場合、相談はできるだけ早期にすべきです。
仕事が山積みだからこそ労働時間が長くなるのでしょうが、働き詰めでは疲弊してしまいます。不当な働き方を理由として相談を先延ばしにしてはいけません。違法な長時間労働がある場合、いずれは辞める会社と考え、我慢して尽くすことは止めなければなりません。
無理な働き方をして健康を損なってしまう前に、早期の段階で相談しなければ、その先の対応をする気力も失われてしまいます。
「過労死の前兆」の解説

メールや電話で軽々に判断しない
相談について、対面以外の方法(メールや電話)での対応が可能な窓口もあります。
しかし、長時間労働の相談は非常に複雑であり、労働者の生命に関わるおそれもある重大な場面もあります。そのため、対面の相談を行わずに判断するのはリスクが高いと考えられます。また、対面での相談なら、つらさや気持ちを理解した上で、親身なアドバイスを得ることも可能です。
深刻な事態であるほど、単なる情報収集に留めるのではなく、実際に長時間労働を是正するためにはどのように行動すべきかを検討すべきです。
弁護士の初回法律相談を活用する
弁護士に相談するときは、初回の法律相談を活用しましょう。
多くの法律事務所では、初回の無料相談を実施しており、すぐに依頼して裁判で争うようなケースでなくても、まずは気軽に相談してアドバイスを得ることができます。初回の法律相談を有効に活用するには、自分の希望を積極的に伝えることがポイントとなります。また、弁護士に事実関係を把握してもらうために、時系列でまとめたメモを作成し、手元に証拠がある場合は必ず持参しましょう。
「労働問題を弁護士に無料相談できる?」の解説

【まとめ】長時間労働の相談窓口

今回は、長時間労働の相談窓口について、目的やケースに応じて解説しました。
労働は、多くの人にとって生活の大部分を占める大切なものですが、あまりにも時間が長すぎるとつらくなってしまいます。プライベートがなくなり、休息が十分に取れないほどの長時間労働は、違法の疑いがあります。違法状態なのに耐えて働き続ければ、回復不能なほどの負荷がかかり、再起不能となってしまう危険もあります。
違法な長時間労働の被害に遭っている可能性があるなら、適切な相談窓口を理解し、速やかに相談すべきです。健康に気を使い、自分の身を守ることを最優先にして対応するようにしてください。
- 法律の基準を超える長時間労働は違法であり、健康被害のリスクも高まる
- 長時間労働の相談は目的や内容により適切な窓口の選択が必要である
- 健康を守るためにも、早期相談を心掛け、適切なタイミングを見誤らない
\ 「今すぐ」相談予約はコチラ/




